資料1
ダムによる水資源開発のしくみ
水問題に関する協議会 第5回幹事会
平成23年7月26日
愛媛県土木部河川港湾局水資源対策課
1
わが国でのダムの必要性
【地形及び気象特性】
・急峻な地形
⇒一度雨が降ると、河川に水が一気に流れ出し
洪水をもたらす
・降雨の季節的な偏り
⇒渇水時には川の水が減少し、水不足となり生活
や経済活動に影響が出る
洪水調節により水害を防止(治水)したり、豊水時の水
を貯め各種用水を供給する(利水)ためのダムが必要
2
ダムの役割(治水:洪水調節)
○ 洪水時に上流からの河川流量をダムで調節し、下流
の河川流量を低減させ洪水被害の軽減を図る
○ ダムによる洪水調節は、下流部の河川の改修効果と
ともに、洪水防御を行う極めて有効な対策
3
ダムの役割(利水)
○水利権とは・・・
河川の流水の一部を取水し、農業や水
道、工業用水等の事業目的で排他的・独
占的に利用することができる権利で河川
管理者の許可が必要。
○新規の水利権を得るには・・・
新規水利権
既得水利権
・ダムがなければAまでの取水
しかできない
・ダムができればA+Bまでの
取水が可能
・Bの水量を「開発水量」という
①公共の福祉の増進
②実行の確実性
③河川流量と取水量との関係
④公益上の支障の有無
について河川管理者の審査が行われ、
③については、1年を通じ安定的した取
水が可能であることが条件となり、自流
の範囲で取水できない場合は、新たにダ
ム等を建設し水を開発する必要がある。
※水利権量=最大取水量
4
ダムの種類
○治水ダム(洪水調節・不特定)
○利水ダム(上水道、農業、工業、発電など)
○多目的ダム(上記の複数の機能の併設)
それぞれの事業者が単独でダムを作
るより、みんなが共同でダムを作る方
が安価に施工できる
5
県が施行する多目的ダム
事業者
河川管理者と利水者の共同事業
河川法の取り扱い
兼用工作物(共同所有物)
ダムに貯留できる者
水利権の所有者
※「兼用工作物」とは、河川管理施設が他の工作物の効用を兼ねている工作物をいう
○多目的ダムは、河川管理者と利水者との兼用工作物である。
○各事業者が費用負担して共同で施行するものであり、負担割合に応じたダムの
持分(所有権)を有する。
○各事業者がダムに水を貯留するためには水利権を取得する必要がある。
○各事業者は、多目的ダムを共同で施行・管理するための協定を締結。
(黒瀬ダムの場合は、加茂川総合開発事業に関する基本協定書を締結)
河川法
(兼用工作物の工事等の協議)
第17条 河川管理施設と河川管理施設以外の施設又は工作物(以下「他の工作物」という。)とが相互に効用
を兼ねる場合においては、河川管理者及び他の工作物の管理者は、協議して別に管理の方法を定め、当該河
川管理施設及び他の工作物の工事、維持又は操作を行なうことができる。
(兼用工作物の費用)
第66条 河川管理施設が他の工作物の効用を兼ねる場合においては、当該河川管理施設の管理に要する費
用の負担については、河川管理者と当該他の工作物の管理者とが協議して定めるものとする。
6
加茂川総合開発計画の経緯
昭和39年 実施計画調査(補助事業の着手)
昭和40年 加茂川総合開発事業計画書作成
昭和42年 西日本一帯の異常渇水(夏)
加茂川総合開発計画に関する基本協定締結
⇒治水・工水(県営)・発電(県営)
昭和43年 不特定用水事業を追加編入
昭和45年 ダム本体着工
昭和46年 発電(県営)撤退
昭和47年 加茂川総合開発計画に関する基本協定の変更
⇒治水・不特定・工水(県営)
昭和48年 黒瀬ダム完成
昭和56年 既設黒瀬ダムに関する基本協定書の変更
⇒治水・不特定・工水(県営)・発電(住友共電)
昭和59年 西条工水給水開始(西条地区)
7
黒瀬ダムの目的
加茂川総合開発事業
全体計画書より
治
洪水調節
水
黒瀬ダム地点における基本高水流量毎秒1,350立方メートルのう
ち、毎秒510立方メートルの洪水調節を行い、下流加茂川の武丈
地先の基本高水流量毎秒2,440立方メートルを毎秒2,000立方メー
トルに低減させる。
不特定
用水
加茂川沿岸の1,535ヘクタールの既成農地に対するかんがい用水
の補給並びに流水の正常な機能の維持と増進(以下これらの
ために用いる用水を「不特定用水」 ※1という。)を図る。
工業用
水道
西条市及びその周辺工業地帯に対し新たに長瀬地点におい
て1日最大246,000 ※2立方メートルの工業用水の取水を可能な
らしめる。
発電
黒瀬ダムを利用して新設される黒瀬発電所において最大出力
2,000キロワットの発電を行う。(S56に参加)
利
水
※1 不特定用水は長瀬地点において2.0m3/sを確保する(6/6∼9/15)
※2 246,000×0.93(浄水ロス)≒229,000m3/日(給水量ベース)
8
加茂川総合開発計画における水資源開発
間接流域面
積A=75km2
加茂川
流域面積
A=74km2
利水の基準 = 長瀬基準点
4m3/s以下
谷川
ダム流入
直接流域面積
A=25km2
加茂川水系全体の水を有効活用
不特定用水(一定期間)及び
工業用水(通年) の確保
黒瀬ダム
ダム放流
残流域流量
長瀬取水堰
工業用水取水
○流域全体の水が豊富な時は
ダムに貯留
○流域全体の水が少ない時は
ダム貯留水から必要量を放流
長瀬基準点
発電によるバイパス管路
9
黒瀬ダムの治水計画
・治水安全度の決定
流域の重要度から県管理河川で最高の計画規模である1/50と決定
・計画降雨量の算出
昭和12年∼40年の東之川降雨データから確率処理
(雨量単位:mm/4時間)
確率
10年
20年
30年
40年
50年
80年
100年 200年
雨量
173.6
206.5
226.0
240.3
251.3
275.1
286.5
323.1
・計画対象降雨の決定
昭和12年から40年までの29年間の東之川降雨データから降雨特性を検討し
昭和36年の第2室戸台風の降雨パターンを採用
・基本高水流量の算定
流出解析により1/50確率における基本高水流量※を決定
⇒ 武丈地点 2,440m3/s、ダムサイト 1,350m3/s
基本高水流量・・・流域に降った計画規模の降雨がそのまま河川に流れ出た場合の河川流量
計画高水流量・・・基本高水流量から各種洪水調節施設での洪水調節量を引いた河川流量
10
黒瀬ダムの治水計画
○ 黒瀬ダムの洪水調節により
(
)
武丈地点の基本高水流量
2,440m3/sを2,000m3/sに低
減させる
○ このため、ダム地点におけ
る基本高水流量1,350m3/s
のうち510m3/sを調節し
840m3/s下流へ放流する
○ 510m3/sを調節するのに必
要なダム容量は800万m3と
なる
11
貯留制限方式の導入
黒瀬ダムでは、下流の「うちぬき」などの地下水や
農業用水の取水に悪影響を与えないようダムに貯留
する場合のルールを設定。
• 長瀬流量が非かんがい期4.0m3/s、かんがい期
6.7m3/s※を下回るときはダムに水を貯めずその
まま下流に流す。
• 長瀬流量が非かんがい期4.0m3/s、かんがい期
6.7m3/s ※より大きいときはダムに水を貯める。
※この流量を貯留制限流量と呼ぶ
12
工業用水道補給計画
1.給水区域
2.需要計画
[計算ルール]
西条市及びその周辺
利水基準点:長瀬地点(174.8km2)
貯留制限: かんがい期(6/6∼9/30)6.7m3/s
常時229,000m3/日(給水ベース)
非かんがい期(10/1∼6/5)4.0m3/s
不特定確保水量:考慮なし
3.必要容量
S29年∼38年までの10ケ年2位
兎之山義務放流量: かんがい期0.3m3/s
非かんがい期0.2m3/s
S37
1963
S36
1962
S35
1961
S34
夏期制限:考慮なし
1960
S33
1959
S32
1958
S31
1957
S30
1956
S29
1955
1954
単独容量(工業用水)
S38
0
5,000
空容量(千m3)
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
[1957.4.19]
27,023千m3
35,000
27,023千m3×1.1(1割余裕)≒3,010万m3
40,000
13
不特定用水補給計画
1.不特定用水の対象範囲
下流平野部の1,535ヘクタール
(神戸一部、橘、古川、禎端、大町、神拝、朔日、港新地、各土地改良区)
2.かんがい期
6/6から9/30までの117日
3.所要水量の算出
6/6∼9/30の平均所要水量=2.89m3/s
所要水量は、水田に必要な減水深※(近隣地域における実測値)から、
6/6∼6/20の代掻期や水路損失なども考慮して計算
地下水の涵養による自噴等二次取水が可能となり、反復利用率は30%とな
るため、河川取水量としては、2.89×(1-0.3)≒2.0m3/s
4.ダムからの放流基準
不特定用水補給期間を6月6日∼9月15日とし、長瀬自然流量が2.0m3/s以
下の場合は、 2.0m3/sを確保するようダムより調整放流する
※ 減水深とは、水田における蒸発散量と水田浸透量の和を水深単位で表したもの。
14
5.必要容量
[計算ルール]
利水基準点:長瀬地点(174.8km2)
昭和29年∼42年までの14ケ年1位
貯留制限: かんがい期(6/6∼9/30)6.7m3/s
非かんがい期(10/1∼6/5)4.0m3/s
兎之山義務放流量: かんがい期0.3m3/s
非かんがい期0.2m3/s
0
S40
S41
1967
S39
1966
S38
1965
S37
1964
S36
夏期制限:考慮なし
1963
1962
S35
1961
S34
1960
S33
1959
S32
1958
S31
1957
S30
1956
S29
1955
1954
単独容量(不特定用水)
S42
200
3
空容量(千m )
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,357千m3≒130万m3
[1967.9.12]
1,357千m3
15
利水容量の決定(全体)
[計算ルール]
利水基準点:長瀬地点(174.8km2)
貯留制限: かんがい期(6/6∼9/30)6.7m3/s
非かんがい期(10/1∼6/5)4.0m3/s
利水安全度 2/10、給水可能量229,000m3/日
不特定確保水量:基準点において2.0m3/s確保(6/6∼9/15)
兎之山義務放流量:かんがい期0.3m3/s、非かんがい期0.2m3/s
0
S37
1963
S36
1962
S35
1961
S34
1960
S33
1959
S32
1958
S31
1957
S30
1956
S29
1955
1954
夏期制限:7/1∼10/20(-2,100千m3)
S38
5,000
10,000
空容量(千m3 )
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
[1957.4.19]
27,023千m3
27,023千m3 ×1.1(1割余裕)
≒3,010万m3
40,000
45,000
※利水安全度2/10とは、10年に1度はダムパンク(ダムの容量がなくなること)を許容する計画
16
黒瀬ダムにおける各事業者の必要容量
・治 水・・・愛媛県知事(河川管理者)
洪水調節に必要な800万m3
・不特定・・・愛媛県知事(河川管理者)
6/6∼9/15までの不特定補給に必要な130万m3
・工 水・・・愛媛県公営企業管理者
工業用水を229,000m3供給に必要な最大3,010万m3
・発 電・・・住友共同電力㈱
従属発電のため容量なし
・堆 砂・・・3者共同
100年分の堆砂に必要な200万m3 (200m3×100km2×100年)
(住友共電兎之山発電所取水堰の実績(200m3/km2/年)より)
17
黒瀬ダムの容量配分
堤頂 EL 114.90
サーチャージ水位
EL 112.90
常時満水位
EL 110.00
夏季制限水位
EL 108.40
予備放流水位
EL 106.80
サーチャージ容量
3,900千m3
夏期制限容量
洪水調節容量
3
2,100千m
8,000千m3
予備放流容量
2,000千m3
夏期利水容量
28,000千m3
(内不特定1,300千m3)
堆砂面
河床高
夏期制限期間
サーチャージ容量
3,900千m3
冬期利水容量
30,100千m3
(内不特定1,300千m3)
総貯水量
36,000千m3
EL 76.80
EL 58.00
堆砂量
2,000千m3
7月1日∼10月20日
不特定補給期間 6月6日∼ 9月15日
18
黒瀬ダムの費用負担の状況
(金額単位:千円)
治水
昭和47年
(不特定編入)
負担額
負担割合(%)
負担額
昭和56年
負担割合(%)
(住友共電参入)
精算額
工水
2,040,000 2,640,000
43.58
56.42
1,997,900 2,586,700
発電
合計
-
4,680,000
-
100
95,400 4,680,000
42.69
55.27
2.04
100
42,100
53,300
-95,400
0
※ ダム事業に新規参入する場合、応分の費用負担
が必要である
19
長瀬地点での開発水量
当初計画
(S29∼S38)
給水可能量
(m3/日)
利水安全度
今回計算(S49∼H20)
229,000
229,000
198,000
179,000
2/10
21/35
(6/10)
11/35
(≒3/10)
7/35
(2/10)
※ 現在の流況で229,000 (m3/日)全てを利用すると利水安全度が21/35と低下
現在の流況で当初計画と同じ条件により再計算
すれば、給水可能量は、179,000 (m3/日)となる
20
今後利用が考えられる水量(提案)
利用が確定している水量
(経営改善後の西条工水の計画給水量)
= 87,420m3/日
◎現在の流況を考慮した場合、今後利用が
考えられる水量
179,000 − 87,420 ≒ 92,000(m3/日)
※加茂川総合開発計画における給水可能量は229,000m3/日
21
〔参考〕
黒瀬ダム計画時における工業用水給水量の内訳
利水基準年(昭和32年)に、工業用水を
229,000m3/日給水した場合のシミュレーション
[条件]
貯留制限: かんがい期(6/6∼9/30)6.7m3/s
非かんがい期(10/1∼6/5)4.0m3/s
ダム貯留分
64.6%
残流域分
35.4%
不特定確保水量:2.0m3/s(6/6∼9/15)
兎之山義務放流量: かんがい期0.3m3/s
非かんがい期0.2m3/s
夏期制限:7/1∼10/20(-2,100千m3)
○ダム貯留分
貯留制限のルールに従って河川流量の豊富な時にダムに
貯留した水を工業用水に使用した割合
○残流域分
発電により迂回された水や谷川及びダムより下流域から加
茂川へ流入した水を工業用水に使用した割合
22
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ダムによる水資源開発のしくみ(PDF:1282KB)