装具完成までの期間の検討
葛西循環器脳神経外科病院
リハビリテーション室1)
同脳神経外科2)
早川義肢製作所3)
三岡相至1) 阿波根朝光2) 桐田泰蔵1)
松岡利光3) 吉田康成2)
はじめに
脳卒中急性期における装具療法の果たす役割として、
早期歩行獲得・早期退院が可能になるなど多くの利点が
認められている。しかし、装具の完成は、一般的に採型
から1週から3週を要するため、急性期型病院での限ら
れた入院期間中間に合わず、異常歩行を呈したままの退
院となり、退院後に漸く装具が完成し利用可能となるこ
ともある。
今回、義肢装具士の協力を得、急性期理学療法を施行
した患者に対し、装具完成までの期間を4日にした効果
について、考察を加え報告する。
対象
平成13年11月から平成15年1月までに当院に脳血管障害を
発症して入院し、急性期より理学療法を開始した患者36名。
理学療法開始までの期間
平均2.42日(0日から24日)
1名
1名
17名
19名
脳内出血
脳梗塞
脳挫傷
脳膿瘍
装具の種類
31%
69%
作製数合計 36件
金属支柱付長下肢装具
11件 プラスチック製短下肢装具
25件 短下肢装具の内訳
8%
・靴ベラ式短下肢装具(以下
SHBとする)15件
・Semi SHB 2件
12%
12%
8%
60%
・オクラホマ継手付短下肢装具
3件 ・タマラック継手付短下肢装具
3件 ・オルトップAFO 2件 装具完成不完全例

カットラインの不良

骨隆起部の圧迫

アライメントの不良
3件
1件
1件
当院における装具の全般的特徴
大腿カフ:大腿コルセット式
(モールドタイプ)
ネオプレーン使用
(エアタッチ)
 膝継手:3way 継手使用
 SHB:コルゲーション使用
 装具の厚さ:4mm以上で作製

長下肢装具の紹介
患者への使用
装具作製の流れ
1日目
採型・陰性モデル作製
陽性モデル作製
2日目
モデル修正・フォーミング
3日目
トリミング/支柱取り付け
4日目
完成
作製期間短縮の得失
利点
欠点
早期の装具療法が可能 装具の完成度が不安定
効率が良い
①カットライン不適合
早期の退院が可能
②絞り不十分
早期の歩行獲得が可能 ③骨隆起部の圧迫
④その他(面取り等)
その他
考察 ①
脳卒中急性期における装具療法の役割としては、早期歩
行の獲得、異常歩行の抑制、歩行訓練により全身状態の低
下、歩行訓練による患者家族の回復に対する意欲の向上な
どが考えられる。急性期病院において、発症後2週間以内
に装具を作製することは、状態の不安定な時期であるため
注意を要するが、発症後2週以降に麻痺が有り、その後も
残存すると考えられる症例において、装具完成までに期間
を要すると、歩行の獲得や退院までの期間が延びてしまう
ことは明白である。
考察②
現在の医療法では在院日数の短縮は焦眉の課題であり、完
成までに期間を要することは好ましくない。また訓練用装具
として病院の備品を用いることが多々あるが、患者本人に適
合した装具を作製することで歩行が自立することはよく経験
しており、身体に適合しない装具が異常歩行を促進していた
可能性を示唆している。ゆえに完成までの期間を短縮させる
ことは重要と考えられるが、今回は5件の不完全例が認めら
れた。最も多かったのがカットラインの不適合で、短かすぎ
ることを危惧し、つい長くしてしまいがちである。また面取
り等が不足しがちのこともある。今回絞りの不適切例はな
かったが、今後発生してくることは十分に考えられる。
結語
装具完成までに要する期間は、早期の装具療法を展開する
上で必要不可欠な検討課題である。現在の医療法上在院日数
の短縮は急務であるが、いまにも転倒しそうな状態(歩行不
完全な状態)での退院は困難なことが多く、装具の早急な完
成が待たれることがある。また、外来患者においては破損し
た装具をいつまでも使用しないようにする必要もある。今回
の検討より、装具完成を早める事は技術的には可能であるが、
作製業者の技術に大きく左右されることが伺われた。さらに、
不適合が生じた場合の対応の迅速性という点から、病院近隣
の業者が望ましいであろう。
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