温暖化防止の意味と日本の貢献
2050年エコイノベーション
国際連合大学・東京大学名誉教授
安井 至/Itaru Yasui
(独)科学技術振興機構
・研究開発戦略センター
http://www.yasuienv.net/
1
2007年世界の流れは変わった

スターンレポート





温暖化対策を行わないと GDP 5~20%減
対策に要する費用は GDP 1%程度
アル・ゴア「不都合な真実」
IPCCの第四次報告書
ハイリゲンダムG8サミット
2008年になって、ますます流れは強くなった
2
安倍首相による「美しい地球50」
Cool Earth 50 by P.Minister Abe




5月24日、2007年。“アジアの未来”で演説。
May 24, 2007. "Asia in the Future"
「美しい地球50」 温室効果ガス50% 削減、 2050
年までに
"Cool Earth 50": Halve GHG by 2050.
ハイリゲンダムG8でも一定の合意。
Basic Agreement in Heiligendamm G8
洞爺湖サミットでは、そのより具体的な提案が求め
られている。
Detailed Proposal at "Toyako G8 Summit 2008"
3
2050年までの道筋
Schematic Drawing up to 2050
MtCO2
60000
50000
40000
30000
20000
Half
Goal
10000
0
1980
1990
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
4
社会のイナーシャ 変化に要する時間
Inertia of Society:Time Constants to Change


社会インフラの寿命≒100年、建築物≒60~
100年、生産工程≒30年、自動車≒15年、耐
久消費財≒15年
Life Time of Infrastructure ≒100 Years, Buildings ≒60-100
Years, Production Plants ≒30 Years, Automobiles ≒15 Years,
Consumer Durables ≒12 Years

社会の変革に要する時間

Time to change Social Systems.

人々のマインドセットの持続性

Persistency of “Mindsets of People”.
5
2050年までの道筋
MtCO2
Schematic Drawing up to 2050
60000
50000
40000
30000
20000
Half
Goal
10000
0
1980
1990
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
6
475ppm – 国環研によるシナリオ
475ppm Scenario by NIES
7
Total CO2 Emission(Global)
Now
JAPAN
1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
8
Total CO2 Emission(Global)
Now
1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
9
Total Emission of GHG (Global)
Now
GLOBAL
COUNTRIES
1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
10
2050年までの道筋
Schematic Drawing up to 2050
MtCO2
60000
50000
2
~
3
40000
30000
20000
10000
0
1980
1
Half
:
1
1990
:Goal
先進国分
1
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
先進国が排出量をゼロにしても目標の実現不能
11
Sustainabilityの歴史




1972年
1987年
1992年
2000年


国連人間環境会議
ブルントラント報告
リオのサミット
ミレニアムサミット
Millennium Development Goals
2002年 ヨハネスブルグサミット
12
Sustainability の定義


余りにも多数あってよく分からない。
1987年ブルントラント委員会


「われわれが必要なものを考えると同時に、将
来世代が必要なものを考えて行動する=未来
世代に地球を残す!」
1992年の地球サミットでは、標語になり、
アジェンダ21のなどの規範となった。
13
もともと先進国と途上国の対立




先進国は、Developmentが環境破壊の原因だ
と、1972年以来主張
途上国は、Developmentを実現することこそが
Sustainabilityにとって必須
その両方を実現する政策が求められているの
が国連というもの
そこで、Sustainable Developmentになった
14
Millennium Development Goals



ミレニアムサミット(2000年9月)において
、世界的な合意を得た開発達成目標。
貧困の撲滅、生活の改善。
2015年を達成時点として、1990年比で
各種目標数値が設定されている。
15
8種のゴール in MDG








1.貧困と飢餓の克服
2.初等教育の世界的実現
3.性の平等、女性の活力増大
4.幼児乳児死亡率の改善
5.妊婦の健康
6.HIV/エイズ、マラリアの克服
7.環境面での持続可能性の確保
8.開発のためのパートナーシップ
16
国連の人口予測 UN Prospect of World Population
12000000
10000000
8000000
中位予測
上位予測
下位予測
6000000
4000000
2000000
2050
2040
2030
2020
2010
2000
1990
1980
1970
1960
1950
0
17
140000
120000
100000
Korea
Japan
Italy
Ukraine
Uganda
80000
60000
40000
20000
0
1950
1970
1990
2010
2030
2050
18
1600000
1400000
1200000
1000000
USA
India
China
800000
600000
400000
200000
0
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
2020
2030
2040
2050
19
Herman Dalyの定義
学術的ハードSustainability



"再生可能な資源"の持続可能な利用の速度は,
その供給源の再生速度を超えてはならない.
"再生不可能な資源"の持続可能な利用の速度
は, 持続可能なペースで利用する再生可能な資
源へ転換する速度を越えてはならない.
"汚染物質"の持続可能な排出速度は, 環境が
そうした汚染物質を循環し, 吸収し, 無害化でき
る速度を越えてはならない.
20
CO2排出量とGDPの関係
CO2 vs. GDP per Capita
Japan
Norway
21
Energy Consumption
Oil Equivalent Ton/Capita
CO2 Emission Ton/Capita
22
2050
Japan
Costa Rica
23
Energy Consumption
Kg Oil Eq. per capita
1994
1973
1987
バブル経済
1960
岩戸、いざなぎ景気
GDP per capita (PPP in $)
24
Possibilities of Reduction of GHG
IPCC 4th Report
エネルギー
建築物
輸送
WG3
農業
製造業
廃棄物
林業
1tCO2 <$20 <$50 <$100
25
26
27
これでは不十分。 やはり車重を半分にすることが必要?
Not Enough. Need to halve Weight?
さらに、電気自動車か?
Pure Electric or Plug-in?
28
Bio-energy: Energy Profit Ratios
サトウキビ
テンサイ
トウモロコシ
糖蜜
茎、ワラ
バガス
by Harro von Blottnitz* and Mary Ann Curran
IPCC AR4 WG3:第二世代バイオ燃料が必要
Necessity of 2nd Generation Biofuel
29
GTZによる燃料価格比較
30
30
2007年版
データは
2006年11月
31
安価すぎる深夜電力は技術開発の阻害要因
ヒーター型深夜電力利用温水器

円/kWh
深夜
北海道電力 6.22円
東北電力
6.25円
東京電力
6.05円
中部電力
7.22円
北陸電力
6.23円
関西電力
6.80円
中国電力
7.14円
四国電力
7.18円
九州電力
6.60円
昼間
28.98円
29.16円
29.80円
29.54円
32.31円
29.35円
33.64円
27.70円
31.05円
深夜電力は、環境負荷が1/4~1/5なのか??
エコビレッジ構想の問題点





栃木県某所 約100戸のエコプレミアムビ
レッジを分譲予定
原則として「太陽電池の設置を」
周囲には、住宅数100戸。
電力網への影響が大きい。
17戸まではOKという。その後、費用負担
をすることで、54戸に。
33
再生可能エネルギー導入準備
Preparation for Renewable Energy

日本の電力網は、弱い Weak Power Grid



いっそ、2050年DC送電構想を持つ


九電力が独立 Nine Electric Power Co.
50Hzと60Hzが共存 Coexisting
DC Power Grid in 2050
最終配電は共通周波数55Hz?!?

Common Frequency at 55Hz?
34
2050年までの道筋
Schematic Drawing up to 2050
MtCO2
60000
50000
2
~
3
40000
30000
20000
10000
0
1980
1
Half
:
1
1990
:Goal
先進国分
1
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
先進国が排出量をゼロにしても目標の実現不能
35
14 億トン
10億トン
世界の
鉄鋼生産量推移
1950-
International Iron
And Steel Institute
8億トン
1950
1970
1990 2000
36
日本の鉄の蓄積量 千トン
Steel Stock in Japan 1000ton
37
Energy Consumption
Kg Oil Eq. per capita
Korea
GDP per capita (PPP in $)
38
トリレンマ状態





人口:資源:経済
人間活動が地球の限界を超した。
人口を減らしたい。
途上国が経済成長しないと、人口が増える。
温暖化限界があって、化石燃料は使えないの
で、途上国の経済成長はできない。
地球の限界:化石燃料の価格は上昇を続け
て、途上国は、ますます経済成長ができない
。
39
経済学が崩壊している!

古典的な経済学







資源は無限にある
労働力・資本には限界がある
需要と供給のバランス点で価格が決まる
が、これがどう動く?
現時点:資源はかなりひっ迫
現時点:労働力は余っている
現時点:資本は過剰にまで余っている
現時点:価格が何で決まるのか分からない
40
図2: 家庭からの二酸化炭素排出量。電気、ガソリンが二大排出源。
先進国に住む我々は、今の快適で
便利な生活を変えられない。
解決法はあるのだろうか?
42
解決策と日本の貢献

貢献すべき分野






国際政治分野
経済分野
技術分野 --現実的にはこれか
技術分野は、自国の産業の強化にも
しかし、もっとも抵抗勢力が強いところ
スターンレビューをもう一度思い出す
43
Energy Consumption
Kg Oil Eq. per capita
1994
1973
1987
バブル経済
1960
岩戸、いざなぎ景気
GDP per capita (PPP in $)
44
Trend in COP
効率係数
エアコンのCOP推移
Now
>6
Introduction
Top Runner
By METI
1970
80
90
00
最近では、
自動お掃除
Self-cleaning
Air conditioner
45
トップランナー方式
公平な比較のために、
多くの区分に分割。
エアコンだと、
冷暖房用、冷房専用、マルチ、
サイズ、能力などなど 32区分
2010冷凍年からは4区分
32 categories for Air Conditioners; 4 from 2010
46
”エコ技術2.0” 2020年から導入
EcoTech 2.0 from 2020

効率、改善を2倍以上で実現する技術
Improve Efficiency at least by the factor of 2







かつての冷蔵庫、エアコン Heat Pump Technology
自動車で言えば、プリウス Hybrid Vehicle (Plug-in)
その次 Next Candidates
自動車は、電気自動車 Pure Electric Vehicle
分散型エネルギー Micro-Grid w/Fuel Cell
照明はLED LED Light
テレビは有機EL、レーザーテレビ
Organic EL, Laser TV
「超高効率化」
47
47
一人当たりのGDP(PPP)とエネルギー消費量(kgOE)
Provide "Tunneling Route to China, India etc."
kg
GPD per capital 2000 const. PPP
48
プリウスの燃費メーター
瞬間燃費と5分ごとの燃費が表示される。
この写真は、輸出仕様のもので、100km
走行に要するガソリンをLで表示。
「見える化」
49
家電などの「見える化」は、どう
すべきか


まずは、HEMS
Home Energy Management System



必要仕様は
部屋ごと、コンセントごと、の瞬間消費電力値、
5分ごとの消費電力をテレビに表示
次回請求書の金額が、先月、今月、などで比較
できる
50
自分の排出量の理解

基本的な理解





電気の量はどんな単位?
1kWhの電気を使うと、何kgのCO2が出る?
ガソリン1Lは、何kgのCO2を出す?
日本人は1年でどのぐらい出している?
2050年には、60~80%カット

そんなことができる?
51
各種テレビの消費電力
有機EL
レーザーTV
52
超大型TV比較 V vs.P
213W
110インチプロジェクションTV
1450W
103インチPDP
53
最近のお薦め製品
ナショナル
ビューティートワレ
DL-GZ20 など
「必要なときだけ、
必要なところだけ」
54
各種テレビの消費電力
視線検知型テレビを作れば、、、、
有機EL
レーザーTV
55
連結可能な電気自動車
二人乗り 電気自動車 航続距離は30km
それ以外にも大物がある



飛行機!!!
飛行機は、そこまで小型の車を一人で運
転して行く程度の排出量。
例:東京 → シドニー → 東京


大体1.7トンのCO2
水の排出による温室効果を全部計算すると、
3.5トンのCO2に相当
57
情報を動かす、人は動かない


テレビ会議
バーチャルツアー

現状の機能では、不満足!
成田-エジプト往復の排出量=7602kg (by COJ)58
エコビレッジ構想の問題点







栃木県某所 約100戸のエコプレミアムビ
レッジを分譲予定
原則として「太陽電池の設置を」
周囲には、住宅数100戸。
電力網への影響が大きい。
駅送迎用の共用電気自動車(朝夕)の充
電用として、平滑化にも使う?
ガスを熱源とする発電で、電熱同時供給。
59
「地域分散型」
家庭用マイクログリッド





東京ガスは、東京水素になっているか?
燃料電池がメタン対応になっている?
家庭は、電圧制御のために燃料電池型コジ
ェネを導入する
それには、電力会社に、燃料電池などによる
電力の買取義務を!
「地域には一つのエネルギー企業」
60
2050年までの道筋
Schematic Drawing up to 2050
MtCO2
60000
50000
2
~
3
40000
30000
20000
10000
0
1980
1
Half
:
1
1990
:Goal
先進国分
1
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
先進国が排出量をゼロにしても目標の実現不能
61
現代西欧文明はグリッド型
国土








電力供給網
高速道路網
新幹線網
下水道網
細かい網で面をカバーする
これは世界全体で可能な訳ではない。
例:新幹線網は、テロに弱い。
例:ロシアは広すぎる。
62
中国はグリッド型を完成できない?





途上国が目指すべき本当の文明は?
恐らく「自律分散・情報ネットワーク型」
自給を基本とした地産地消
輸送は基礎素材・工業製品などに限定
人間の輸送は、飛行機+飛行船
日本型文明





日本の技術の本質は、高効率だと思われ
ている
しかし、単なる効率の向上では限界がある
モッタイナイは、どちらかというとゴミにしな
い、というイメージ
西欧流は、セントラルヒーティング
「必要なときだけ、必要なところだけ」
新日本型文明

もったいない (ゴミを買わない)
超高効率
買うエコ:エネルギーがもったいない
見える化
必要なときだけ、必要なところだけ
ビンテージ など

自律分散型・情報ネットワーク型発展モデル





イメージ 20世紀と21世紀
Images: 20th and 21st century
Economical Growth
Resource Acquisition
Population, Consumption
66
Premium Products
Value
can be
extended.
Population,
Consumption
67
エネルギー使用量の長期推移
Ultra-Long Term Scope Fossil Fuel
Fossil Fuel Era
500 Years
BC 10,000
AD 10,000
68
地球共生型シナリオ
Scenario for Long Term Sustainability
Human Activity
人
間
活
動
の
総
量
・
地
球
へ
の
イ
ン
パ
ク
1800
ト
化石燃料依存から核融合依存へ
High Energy Intensity Scenario
地球の持続能力
Capacity of Earth
300年必要
100年間で人口の半減は厳しい
2000
2300
Natural Reduction of Global Population
69
さて、京都議定書はどうする



カナダは、ギブアップ宣言をした。
日本も、かなりギブアップに近い。
やってはいけないことは、排出権のハンガリー
などからの購入=総額2兆5千億ぐらいか。



これは、免罪符に過ぎない。
未達の場合は、いさぎよく謝ろう。
そして、ポスト京都へ新しい提案を!
70
71
72
73
74
結論

温室効果ガスの排出を削減すること
それは、これまでの開発、経済成長の考え方
を70%程度以上変えること。
企業の有り方も、大幅に変わる。
文明の有り方すら、変わるだろう。

人の考え方など、30年も有れば変わる!!



75
ダウンロード

6月28日2008年:「温暖化の意味と日本の貢献」