シリーズ第 24 弾 JICA プロジェクト訪問
貴重なタンパク源、魚をもっと!
淡水養殖改善・普及プロジェクト(フェーズ2)
プロジェクト概要
淡水魚はカンボジアの人々にとって貴重なタンパク源だが、
漁獲高は必ずしも十分ではなく、特に農民の栄養改善を妨げ
る要素にもなっている。そこでプロジェクトでは、農民たちが
もっと手軽に淡水魚を食べられるように、ため池を利用した
養殖の普及に取り組んでいる。
2005 年から 2010 年にわたり、フェーズ 1 として、プレイヴ
ェン、タケオ、コンポンスプー、カンポットの 4 州で 9,000 戸
超の農家に養殖を普及。2011年から2015 年のフェーズ 2 では、
ポーサット、バッタンバン、シェムリァップ 3 州での普及を展
開している。
した小さなため池で複数の魚を養殖する方法だ。まず、池に天
然プランクトンを繁殖させ、稚魚を放つ。魚種は、シルバーバル
ブ、ティラピア、コイ類。そのあとは、米ぬかや野菜くず、ミミ
ズなど農家で容易に入手できる餌を補完的に与えながら魚を育て
る。この方法で「初心者」でも、池面積 100 平方メートル当たり
年間 20 キロから 30 キロ、養殖経験を積んだ農家なら 40 キロ
以上の漁獲が見込まれるという。
シェムリァップ州の農家、プオク・チョムさん(46)は、3 年
前から養殖を始めた。自分の土地に小さな池をいくつも手堀りで
作り、コイなどの魚を育てている。雨季の今は、
「種苗」と呼ば
れる稚魚を池に放つ時期だ。水色のネットで丁寧に囲われた池
に餌をまくと、魚が水面に浮き出て元気についばむ。
チョムさんは、
「種苗生産農家」と呼ばれる。成魚を販売する
のではなく、稚魚を育てて各農家に供給する役割を担う。こうし
た種苗生産農家が地域の中に誕生すれば、村落の中に生産サイ
クルができあがる。
また、種苗生産農家にとっては、養殖を手掛ける一般農家が
増えればそれだけ「顧客」が増える。そこでプロジェクトでは、
彼らが中心になって一般農家に養殖技術を伝える「農民間研修」
の仕組みをつくった。今年 6 月には、対象 3 州で 14 戸の種苗
生産農家が、500 人以上の一般農家に養殖技術の研修をした。
多くの村で、もともと養殖の伝統があったわけではない。まだ
魚が小さいうちに売ってしまったり、我流の育て方で魚を死なせ
養殖に取り組む農家を訪れ、改善策などを指導する丹羽さん
Mr. Niwa often visits the fish farmers for consultation
東南アジア最大の湖・トンレサップ湖、悠々と流れるメコン川。
豊富な水資源を擁するカンボジアは、
「淡水魚王国」でもある。
カンボジア人 1 人当たりの年間水産物消費量は 52.4 キロ。その
ほとんどが淡水魚であり、
淡水魚の消費量は世界一ともいわれる。
ところが、淡水魚を十分に食べられるのは、トンレサップ湖や
メコン川など主要な漁場に近い地域に限られるという。これら漁
場で獲れる魚を、遠い農村部まで流通させる基盤が整っていな
いからだ。
カンボジア人は動物性タンパク質の 75% を水産物から摂取し
ている。このため、水産物、特にその中心である淡水魚を入手
できない地域の農村住民たちは、栄養が不足しがちだ。遠い漁
場から運ばなくても、身近な場所で淡水魚を養殖できれば、農
民たちの現金収入になるだけでなく、栄養改善にもつながる。
「大
規模な投資が必要な集約的な養殖ではなく、一般農家がわずか
な投資で始められる養殖方法を普及するのが目的」と、プロジ
ェクトのチーフアドバイザー、丹羽幸泰さんは言う。
このため、プロジェクトが推進するのは、水田跡地などを活用
てしまったり、失敗も多い。お互いに教え合うことで、その土地
の条件に最も適した方法を見いだすこともできる。丹羽さんは、
「農民間研修は、公的な機関に依存せず、自分たちの手で養殖
を持続させるための第一歩」と話している。
Freshwater Aquaculture
Improvement and
Extension Project Phase II
(FAIEX-II)
For Cambodians, freshwater fish are one of the most
important sources of protein, but catching a fish in the wild
does not provide enough for everyone. JICA’s Freshwater
Aquaculture Improvement and Extension Project (FAIEX)
Phase I was implemented in PreyVeng, Takeo, Kampong Spue
and Kampot between 2005 to 2010. As a result of the project,
more than 9000 farmers are now engaged in aquaculture.
Now, Phase II of the project has been implemented in Pursat,
Battambang and Siem Reap for the period from 2011 to 2015.
According to Mr. Yukiyasu Niwa, chief adviser to the project,
FAIEX aims at providing aquaculture skills to small farmers
in order to improve their access to better protein sources. To
do this, they advise using small ponds in their back yards or
utilizing former paddy fields. They are also advised to use as
feed something easily available in the village, such as rice
bran, vegetables or earthworms. Even without a large capital
outlay, the farmers can grow 20 to 30 kg of fish with a pond
2
of 100m - if they are experienced fish farmers, they can grow
more than 40 kg of fish in the same pond.
In each community that the project works in, they have socalled “nursery farmers”. They grow fry for the other farmers
and, at the same time, they have become the leaders of the
aquaculture industry in their communities. As the industry gets
bigger within their village, they will have more customers to
provide with fry.
In June this year, 14 nursery farmers from three provinces
instructed over 500 farmers in setting up their aquaculture
systems. According to Mr. Niwa, teaching and sharing
information with each other in the village is the first step
towards creating a sustainable industry within the community.
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貴重なタンパク源、魚をもっと!(PDF)