報 道 発 表 資 料
平成 23 年 1 月 14 日
気
象
庁
オーストラリア東部の異常多雨について
1.概況
2010 年の 11 月下旬以降、オーストラリア東部はたびたび大雨に見舞われ、
12 月は広い範囲で異常多雨1となった。
オーストラリア東部では、12 月の降水量としては過去最大になったと伝えら
れた(オーストラリア気象局)。また、最近まで、オーストラリア北東部のクイ
ーンズランド州の各地で洪水が発生しており、10 名以上が死亡したと伝えられ
た(日本外務省の海外安全ホームページ)
。
2.大雨の状況
オーストラリア東部では 2010 年 12 月の月降水量が平年を大きく上回り(図
1)、クイーンズランド州のマッカイでは 716mm(平年比 359%)、ロックハン
プトンでは 518mm(平年比 406%)、ブリスベンでは 453mm(平年比 390%)、
ニューサウスウェールズ州のウォガウォガでは 151mm(平年比 315%)となっ
た(図 2)。2011 年 1 月に入ってからも、ブリスベン周辺の広い地域で多雨傾向
が続いている(図 3)。
3.太平洋熱帯域の海面水温との関連
太平洋熱帯域では、昨年夏以降、海面水温が中部~東部で下がり、西部で上
がるラニーニャ現象が発生している。この影響で、積乱雲の活動は中部で平年
より不活発、西部で活発な分布となっていた(図 4)。また太平洋熱帯域西部の
積乱雲の活動は過去のラニーニャ現象と比較して顕著で、かつ分布がやや西側
にずれていた。このため、11 月下旬以降はオーストラリア東部にも活発な積乱
雲がかかることとなった(図 5)。これにより、オーストラリア東部のほぼ全域
で大雨になったと考えられる。
※気象庁では、世界の天候に関する情報を週や月ごとにホームページで発表しています
(http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/)。
[この件に関する連絡先:気象庁 地球環境・海洋部 気候情報課 03-3212-8341 内線 3157]
1異常多雨とは、週や月などの降水量において、その地点として
れな値となった場合を指す。
30 年に 1 回程度以下のま
%
図1
図2
2010 年 12 月のオーストラリア各地の降水量平年比(%)
各地点での日降水量(mm)の 2010 年 12 月 1 日~2011 年 1 月 13 日の経過
mm
図3
%
2011 年 1 月 1 日~1 月 13 日の 13 日間降水量(左)及びその平年比(右)
海面水温平年偏差
外向き長波放射平年偏差
図 4 2010 年 12 月の(上)海面水温平年偏差(℃)、
(下)外向き長波放射の平年偏差(w/m2)。
(注)外向き長波放射:極軌道衛星によって観測される、宇宙に向かって放射される赤外
線の強さのこと。熱帯域においてこれが小さいことは、積乱雲の活動が活発で降水が多い
ことを意味する。
過去の平均的なラニーニャ現象時の 12 月
2010 年 12 月
図 5
オーストラリア付近の外向き長波放射の平年偏差(カラー、w/m2、正偏差(赤色)
なら積乱雲の活動が平年より弱く、負偏差(青色)なら平年より強い)、対流圏下層(850hPa)
の風向・風速の平年偏差(ベクトル、m/s)。(上)過去の平均的なラニーニャ現象時の 12
月、(下)2010 年 12 月。
熱帯域の高温・多湿の空気がオーストラリア東方に吹き込む場所(図の破線の丸囲み)が、
2010 年 12 月は過去の平均的なラニーニャ現象時より西寄りだった。積乱雲の活動が活発
な場所(図で青色の濃い地域)も西寄りとなり、オーストラリア東部にかかった。
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オーストラリア東部の異常多雨について[PDF形式:772KB]