鳥栖久留米道路 橋梁下部工工事における盤ぶくれ対策の事例報告について
福岡国道事務所
工務課
◎千年
康秀
○山口
学
1,はじめに
工事を実施するにあたり事故なく安全に完成物を仕上げていくことは重要であ
り、そのために現場等ではKY活動や安全協議会など日々安全対策を行っている状
況である。
一方で、工事を安全行うに当たっては、地盤状況などを見ながら施工中に想定さ
れる事象(沈下、盤ぶくれなど)に対するを検討し、現場にあった仮設工法を選定
することは重要と考えられる。
福岡 国道 事務所が事業を行っている福岡3
号線鳥栖久留米道路は、筑後平野の中央付近
に位置しており、筑後川を筑後川橋(仮)に
て横断する計画となっている。
この 地域 では、河川沿いには比較的発達し
た自然堤防が確認され、背後には氾濫平野が
広がり水田などで利用されている。古地図に
よれば、当路線の筑後川周辺部には「白地」
写真1
橋梁下部工工事仮設状況
が広がり特に地盤条件が悪いことが分かっている。
本発表は、これらのことを踏まえ、福岡国道事務所での筑後川橋(仮)の橋梁下
部工工事における仮設時の盤ぶくれ対策について報告するものである。
2,施工箇所の状況
2.1,筑後川橋(仮)の概要
橋長:390m
幅員:20.75m
壁式(小判型)橋脚
H=21.9m
上部工:鋼5径間連続非合成箱桁橋
下部工(P1 ):壁式(小判型)橋脚、場所打ち杭
2.2,土質状況
(1) 橋脚底面付近に不透水の粘土層がある。
場所打杭φ500
L=21.0m
(2) 粘土層下層に被圧滞水層は出現していない。
(3) 粘土層は縦断、横断方向に一様分布している
と考えられる。
図1
橋梁下部工(P1)構造図
粘土層
粘土層
粘土層
図2
筑後川付近の地質縦断図
2.3,仮設工(土留工)の検討
土留工は,①河川区域において止水性が求められる②資材など確保の観点から標
準的工法を採用、を考慮して鋼矢板工法とした
2.4,土留掘削後の底面安定に関する検討結果[P1橋脚]
■ボイリング:不透水層が介在しているため照査対象としない。
■ヒ-ビング:不透水層が介在しているため照査対象とする。
場所打ち杭が先行。杭配置が土工指針に示す条件を満足(※1)
→検討は省略(本現象の出現はないものとする )。
■パイピング:先行掘削で地盤を緩める施工は行わないため照査対象としない。
■ 盤 ぶ く れ : 被 圧 滞 水 層が な い . 掘 削 底 面 と 河 川 水 面 と の 水 頭 差 が 生 じ る が , 粘
土層があるため浸透流は生じないため照査対象としない。
→ 結果、底面安定に関しては問題ない
粘土層
粘土層
想定支持層線
図3
筑後川橋(仮)P1橋脚地質図
図4
仮設概要図
3,施工時の留意事項
粘土 層が 平面的に連続している場合は盤ぶ
くれは生じないが,不連続となっている場合
は河川の水面と掘削底面との水頭差に起因し
た浸透流が発生し,盤ぶくれの懸念があるた
め,施工前にチェックボ-リングによる確認
を行う。
図5
盤ぶくれ概念図
<粘土層が不連続の場合に懸念される現象>
P1橋脚部:盤ぶくれ
4,チェックボーリングと対策の検討
チェックボーリングの結果、粘土層は不連続箇所が見つかり、盤ぶくれの懸念が
生じた。
①ディープウェル工法、②矢板延長工法、③コンクリート置換え工法で工法比較
を行った結果、地質条件、現場状況から総合的に判断して①ディープウェル工法が
最も適していると判断された。
図6
仮設対策工法比較
5,ディープウェル工法
水を強制的に吸い上げて
周りの水位を下げる
すでに現場が進んでいる中でデ
ィープウェル工法は、仮設矢板周
辺の地下水位を下げることで水頭
差をなくす工法であるため、水を
汲み上げる施設を追加することで
対策が可能であったことから、矢
板や基礎杭等に影響ないため、工
事の手戻りがなく施工することが可
図7
ディープウェル工法概念図
能であった。
ただし、現場周辺には生活用な
どの井戸が多数あったことから、
地下水位を下げることによる影響
DW孔
ノッチタンク
DW孔
が懸念された。そのため、施工の
際には
吸い上げた水は
ノッチタンクを経由
し川へ放出
①地元への事前周知
②水位を下げすぎることによる
影響がないよう危険水位を設
ノッチタンク
定し毎日観測
DW孔
③有事の際に対応できるよう地
元市役所に説明(給水車手配
図8
DW孔
ディープウェル工法 施設配置図
準備)
④毎週開催される工事変更審査会などを活用し、現場と事務所の情報共有
など細心の注意を払った。
6,まとめ
・盤ぶくれ対策としてディープウェル工法を採用することで安全に工事を施工す
ることができた。
・ただし、ディープウェル工法は地下水位を下げる工法であるため、周辺環境の
把握、地元周知や情報共有など施工の際には細心の注意が必要である。
・設計成果における申し送り事項等の把握は重要
※1<土工指針に示す条件>
①杭中心間隔が杭径の 5 倍以下
②杭純間隔が 5.0 m以下
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