⑹
学級集団における適応感を高める具体的な手だて
児童生徒が学級集団内における適応感を高めるためには,母体である学級集団を望ましい方向に高め,
児童生徒がその集団に親しみや誇りをもてるようにすることが必要である。その中で,信頼関係や所属
意識を高め,自分なりに成長を感じ取れることが大切である。
ア 学級集団における適応感を高めるポイント
◇
温かな雰囲気の中でかかわったり助け合ったりできるような活動を増やすことにより,集団
内の仲間への関心,相互の受容感や信頼感を高めて,学級集団への愛着をもたせる。
◇ 児童生徒とともにルールや目標を設定し,集団内における心の安定と安全を確保する。
◇ 集団における役割の設定により,各自が学級集団のために役に立つことの自覚をもたせると
ともに対等な人間関係づくりを行う。
◇ 共通の目標設定,話合いにおける合意形成,共通実践を通した成功体験の積み重ねにより,
集団としての協調性を高め,集団及び集団における個人の育ちに気付かせる。
イ
学級集団における適応感を高める場や機会にするために
授
業
日常の場面
○
○
児童生徒とともに,学習時のルールを確認する。
グループによる活動や学習の振り返りなどを取り
入れ,助け合い,信頼感を高める場や機会を設ける。
○ 特別活動などで話合い活動や集会活動を充実させ,
集団の育ちに気付かせる場や機会を設ける。
○ 集団内での良好な人間関係をつくるための上手な
自己主張や問題解決などのスキルを獲得する活動を
取り入れる。
○
朝(帰り)の会,SHR,給食の時間などで簡
単なふれあい活動をする場や機会を設ける。
○ 「されると嫌な言動」,「した方がよい行動」な
ど児童生徒の考えを生かした学級のルールを話合
う場や機会を設ける。
○ 集団の一員としての自覚を高めるために,係活
動や当番活動などを認め合う場や機会を設ける。
○ 帰りの会やSHRなど,よいこと・困ったこと
などを自由に出し合える場や機会を設ける。
学年・学校行事
○
○
行事等では,各学級のまとまりを高めるために,各学級で役割を果たす場や機会を設ける。
児童生徒の考えを生かした簡単な学級の目標やルールなどをもって取り組ませ,家庭での協力,集団での達
成感や成就感を味わわせる場や機会を設ける。
○ 運動会や体育祭などの企画・運営で学級集団の協力による成功体験を味わわせる。
○ 宿泊学習や修学旅行等での企画・運営で構成的グループエンカウンターなど心のふれあう活動を取り入れる。
ウ
学級集団における適応感を高める教師のかかわり
□ 児童生徒に対して自ら明るいあいさつをして,和やかな雰囲気をつくっていますか?
□ 児童生徒の「楽しい,うれしい」などポジティブな感情だけでなく,「怒る,悲しい」などネガティブな感
情も受容する言葉掛けをしていますか?
□ 児童生徒の個性を認め,それぞれの存在が学級集団を支えていることを,本人や周りの人に伝えています
か?
□ 心のふれあいとルールの遵守の大切さについて,かねてから児童生徒に伝え,望ましい学級集団を育てる
工夫をしていますか?
□ 「ありがとう」,「助かるよ」など,活動の後には児童生徒への感謝やねぎらいの言葉掛けをして,自分と
他者・集団とのかかわりに気付かせていますか?
□ 「~さんはやさしい」など,児童生徒が他者を認める言葉やその姿を積極的に探
し,他者のよさに気付くことのすばらしさ・大切さを話していますか?
□ 役割(立場)の交代や一人一人が活躍できる場の設定により,学級で対等な人間
関係がはぐくまれるように配慮していますか?
□ 「悩んでいることがあれば,いつでも聞きますよ」のように,いつでも・どこで
も・だれにでも相談できる窓口を示していますか?
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エ
学級集団における適応感を高めるための教育活動例(中学校2年・学級活動)
 題材名 「クラスマッチを成功させよう」
 ねらい
認め合い,助け合いのある話合いを通して,学級の一員としての自覚を高めるとともに,集団の
凝集性を高め,行事を成功させようとする態度を育てる。
 留意点
a 話合いの雰囲気づくりの形態を工夫することにより,意見を出しやすくする。
b 生徒や教師の発言により,学級集団の育ちとそれを支える一人一人の成長に気付かせる。
 活動の実際
過程
時間
主な学習活動
導入 1
(10分)
2
展開
(30分) 3
留意点
話合いの雰囲気づくりを行う。
○
○
2人組で握手する。
握手したまま,空いた手でじゃ
んけんし,勝った人は負けた人の
手の甲をたたく。負けた人は,直
接たたかれないように自分の手で
手の甲を守る。
○ じゃんけんを繰り返して続ける。
○
「手の甲たたきじゃんけん」を行い,和やか
な雰囲気をつくる。
○
司会などの係については計画的に分担する。
○
教師は始めに話合いに期待することを一言述
べ,その後は必要に応じて助言を行う。
○
話合いのルールを確認し,事前の計画委員会
で話し合わせておく。
本日の議題と提案理由,役割分担を 〔ルール例〕
確認する。
○ 挙手して自分の考えを話す。
クラスマッチを成功させよう。
話合いのめあてやルール,
序を確認する。
〔めあて例〕
○
○
内容,順
人の意見を最後まで聞く。
互いの考えを一方的に否定せず
に,よりよい考えになるように話
し合うなど
自分の考えを積極的に発表しよう。
4 計画に沿って話し合う。
○ 目標(合い言葉)については,ブレーンストー
(1) クラスマッチにおける学級目標(合
ミングの方法で,グループ内で意見を多く出さ
い言葉)
せてから全体での話合いをさせる。
○
自分の考えを付箋紙にいくつか
書く。
○ グループ内で各自付箋紙に書い
た目標(合い言葉)を交代で発表
し,1枚の紙に貼り合わせ,まと
める。
※ 互いの考えを否定しないででき
るだけたくさん集めるようにする。
(2)
出場種目
(3)
係分担
終末 5 話合いのまとめを行う。
(10分) (1) 決定したことなど
(2)
話合いの振り返り
(3)
教師から
○
事前アンケート等を活用し,各自の考えをも
たせるとともに状況の把握に努める。
○
決定したことなどをきちんと確認し,話合い
の責任を学級全員がもてるようにする。
○
グループ内でシェアリングし,話合いの振り
返りをさせる。
○
教師は,役割遂行,話合いの内容と態度など
でよかったことを話す。学級集団や個人のよさ
に気付かせるとともに,今後の活動への意欲を
高めさせる。
※
クラスマッチの後に,簡単な振り返りの場を設け,生徒の努力をねぎらい,学級集団の成長を認
めることが大切である。
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