大阪教育大学社会科教育学研究 第10号(2012年3月)
マ イ ニ ン グ ・ソ フ トの利 用 に よ る授 業 事 実 の抽 出
みね
あき
ひで
峯
明
秀
大 阪教育大学
授業 実践 の 成果 報告 は、 授業 の事 実 を真 に示 してい るだ ろ うか 。学 習者 の 変容 の記 録 、ア ンケー ト調 査、 成
果 物(ノ ー ト ・ワー クシー トの記 述、VTR等)に
よる様 々 な証拠 は、授 業者 や観 察 者の 解釈 によ って、 正 当化
され てい るだ けで はな か ろ うか。 この よ うな問 い に対 し、本稿 は授 業 の事 実 を客観 的 に抽 出す る ため の評価 手
段 の一 つ として、 マイ ニ ング ・ソ フ トを利用 し、 授業 者 の意 図や計 画 と学 習 の事 実 との齟齬 ・不 一 致 につい て
検 証 した。結 果 、学 習成果 物 にお け る語彙 の量 的分析 に よ り、 次 の こ とが明 らかに な った。
第 一 に、 教 師が意 図 す る社 会 問題 を とらえ る抽 象 的な概 念 や説 明を 要す る語 彙 の定着 は不 十 分 であ った。 学
習 成果 の評 価 にお いて 、記述 内容 に どの よ うな語 彙 が使 用 されて い るか、 目標 の達 成 状況 をみ る には どの よ う
な表 現 を見 れ ばよ いか、 根拠 とな る言葉 や文 章 を事前 に想 定 して お くこ とが必要 で あ る。
第 二 に、情 意 を示す 語彙 と態 度 との 関係 では、 体験 活動 や資料 に よる心理 的 な影響 が密 接 に関係 して い た。
第 三 に、 授業 者や 観察 者 に よる質 的分 析 としての解 釈 の正 当性 を ど う理 由付 け るか で ある。質 的 ・量 的分 析
を組 み合 わ せ た評 価方 法 ・手段 の 開発 を推 し進 め る必 要 があ る。
キ ー ワ ー ド; テ キ ス トマ イ ニ ン グ、 コ レス ポ ン デ ンス 分 析 、 授 業 評 価,授
Examination of Students' Learning in Lessons MINE Osaka The purpose students analysis actually of this study learn in
of the vocabulary Firstly,
abstract is to investigate the lessons by using concepts concerning Mining SoftWare
University
the gap between date mining
lesson software.
outcomes. social by Using Akihide
Kyoiku of the students' learning 業 の事 実
plans The main issues with teacher's To be precise, findings that teeachers intention the study and what
uses quantitative
are as follows.
intended to teach were learned
ciently by students.
Secondly, It is clear that understanding,brought to the leame's vocabularies earning empathy and and expressions sentiment about generated that indicate from certain by a consistency in
the learning achievement vocabulaly,is activity.It is required of the students in order highly corerelated
to predetermine to evaluate outcomes・
Thirdly, quantitative it is necessary of qualitative to develop analysis evaluation provided methods by teachers and means that or observers combines is needed qualitative anaiysis.
words;
the
students'
l
the interpretation justified,thus Key
insuffi
Correspondence analysis, mining software, ― 21―
quantitive analysis, evaluation of lessons
to be
and a
峯
明 秀
1 問題の所在
③ 「行 動 分 析 」:動 詞 句 と属 性 を 同 時 に マ ッ ピ ン グ
表 示 す る こ とで 、動 詞 句 と属 性 との 関 連 性 の 強 さ
授 業 実 践 の成 果 報 告 は、 授 業 の事 実 を真 に示 し
てい る だ ろ うか。 学 習 者 の 変 容 の記 録 、 ア ン ケー
を 距 離 で 把 握 す る こ とで きる 。どの よ うな属 性 が
「∼ した 」、 「
∼ し た い 」 と思 って い る か を知 る こ
とが で き る 。
ト調 査 、 成 果 物(ノ ー ト ・ワ ー ク シ ー トの記 述 、
④ 「現 象 分 析 」:名 詞 句 と属 性 を 同 時 にマ ッピ ン グ
写 真 やVTR等)に
よ る様 々 な 証 拠 は 、 授 業 者 や 観
表 示 す る こ とで 、名 詞 句 と属 性 との 関 連 性 の 強 さ
察 者 の解 釈 に よ っ て、 正 当化 され てい る だけ で は
を距 離 で把 握 す る こ とで き る。本 文 に対 して 名 詞
なか ろ うか1)。 こ の よ うな 問 い に 対 し、 本 研 究 で
句 、形 容 詞 句 、動 詞 句 を 選 択 し、 内容 を 絞 り込 ん
は授 業 の 事 実 を 客 観 的 に抽 出す る ため の 評 価 手 段
の一 つ と して 、 マ イ ニ ン グ ・ソ フ トを 利 用 し、 授
で分 析 を行 い 、文 章 表現 の 偏 りか ら、そ の属 性 の
特 徴 を把 握 す る こ とが で き る。
業 者 の 意 図 や 計 画 と学 習 の 事 実 との齟齬 ・不 一 致
(Just System[TRUSTIA1の
説 明 の 一 部)
につ い て 検 証 す る。
TRUSTIAは 、 デー タ分 析 に お い て 多 変量 解 析 の
一 つ で あ る コ レス ポ ン デ ン ス分 析 を取 り入 れ て い
2 研究方法
る。これ は 外 的 基 準 が な い 分 析 法 で 、質 的 デ ー タ の
(1)マ イ ニ ン グ ・ソ フ トに よ る 学 習 成 果 の 分 析
内部 構 造 か ら尺 度 化 を 行 う こ とが で き る3)。 テ キ
自然 言 語 解 析 の 手 法 を使 い 、 文 章 の集 ま りを 単
ス ト内部 の反 応 パ タ ー ン に基 づ き 、各 カ テ ゴ リー
語 や フ レー ズ に分 割 し、 そ れ らの 出 現頻 度 や 相 関
と個 体(対 象 者)に
関 係 を 分 析 して 有 用 な 情 報 を抽 出 す る マ イ ニ ン
め られ る。 コ レ ス ポ ン デ ン ス分 析 は、 テキ ス ト型
グ ・ソ フ ト2)を 利 用 し、学 習 の さ ま ざ ま なデ ー タ ・
デー タ の解 析 に そ の ま ま応 用 で き る点 で数 量 化Ⅲ
証 拠 が 残 さ れ る授 業 を分 析 す る 。今 回 、 利用 す る
類 と 同 じ で あ る が、2変 数 の 量 的 変 数 が扱 え る点
TRUSTIAは
で は異 な る。 多 次 元 集 計 され たデ ー タ を多 次 元 空
、 以 下 の分 析 が 可能 で あ る。
お い て対 応 す る類 似 関係 が求
間 にマ ッ ピ ン グ し、 デー タ要 素 同士 の 関係 性 を 視
1 主 題分 析
覚 的 に表 現 す る こ と が で き る。 同 一 の サ ン プル に
主 題 分析 で は、 内容 が似 て い る 文章 を 抽 出 し、グ
反 応 し たカ テ ゴ リー 同士 、 同 一 の カテ ゴ リー に反
ル ー ピン グ を 行 う。何 につ い て どの程 度 の 意見 や 要
応 した サ ン プル 同士 を集 め、 そ れ を空 間 に配 置 す
望 が あ る か を 把握 し、関心 が集 ま っ て い る 話題 を素
るの に適 し た原 点(座 標)を 算 出 し、 散 布 図(ポ
早 く理 解 で き る。 主題 とな る語 句 は 、各 グ ルー プ の
ジ シ ョニ ン グマ ッ プ)を 作 成 して 要 素 の 関 係 を 把
中 か ら も っ と も特 徴 的 な言 葉 を 自動 的 に拾 い 出す 。
握 す る もの で あ る。
主題 の 関係性 は樹 形 図 で表 示 され 、枝 分 かれ した節 目
を手 が か りに、重 要 と思 われ る主 題 や、 それ ぞれ の主
題 が どの よ うな 関 係 で グル ー プ化 され て い る か を把
(2)分 析 対 象
握す る こ とがで き る。各 主 題 は近 くに並 んで い るほ ど
分 析 対 象 は、 岡 崎 市 立 大 樹 寺 小 学 校 の 加 藤 有 悟
内容 の 関連 性 が 高 く、 遠 く離 れ て い る ほ ど低 くな る。
回答 者 の印象 ・評価 ・要 望 を把 握 す る こ とが で きる。
教 諭(当
時 、 岡 崎 市 立 美 川 中 学 校)が
か ら10月29日
、2004年
2 傾 向把 握
10月6日
① 「評 価 分 析 」:文 章 か ら好 評 ・不 評 の 表 現 を 見 つ
分 野 、 単 元 「地 場 産 業 で 働 くア ジ ア系 外 国 人 」 で
け 出 し、グ ラ フ と して表 示 で き る 。対 象 語 句 の好
あ る4)。 本 実 践 は、9時
評 ・
不 評 の度 合 い を マ ッ ピ ン グ で表 示 。 縦 軸 は ア
的 には10時 間 で実 践 され て い る。対 象 とす る理 由
フ ェク ト度 を表 し、上 に ゆ くほ ど好 評 で、下 に ゆ
は 、 学 習 指 導 案 及 び 学 習 者35名 の毎 時 間 の感 想 ・
くほ ど不 評 で あ る こ とを示 す。
に行 っ た 第2学 年 地 理 的
間 で計 画 さ れ た が 、 最 終
意 見 の 詳 細 な 記 録 が 残 され て お り、 授 業 者 に筆 者
② 「感 性 分 析 」:ど の よ う な属 性 が ど う感 じて い る
が 直 接 、 イ ン タ ビ ュー を 行 って い る。
の か 、 属 性 特 有 の 感 性 を把 握 す る こ とが で き る。
形 容 詞 句 と名 詞 との 係 り受 け の 関 係 に 注 目 し て
分 析 を行 う。感性 を示 す形 容詞 句 と属 性 を グ ラ フ
(3)授 業 の 概 要
上 に マ ッ ピン グ で 表示 し、関連 の 強 さ を 距離 で把
握 す る こ とが で き る。
ア 単元の設定理由
授 業 者 は 、 日常 生 活 の 申で 目に した 身 近 な 社 会
― 22―
マ イ ニ ン グ ・ソ フ トの 利 用 に よ る授 業 事 実 の 抽 出
事 象 の 中 で 、 地 域 にお け る外 国 人 労 働者 の増 加 に
せ る。 ② 感 覚 的、 常識 的 な見 方 ・考 え方 か ら、 見
違 和 感 を もち 、 生 徒 は どの よ うに 見 て い る の か を
学 、直 接 体 験 を 通 して、知 的 な 気 づ き だ け で な く、
知 る こ とを 契 機 と して 授 業 を構 想 して い る。また 、
中小 企 業 経 営 者 や 就 労 者 の 気 持 ちや 願 い を 理 解 さ
授 業 者 自身 の 外 国 人 労 働 者 の 増 加 と現在 の 日本 社
せ る。 見 学 に よ っ て、 気 づ い た こ と、 理 解 した 内
会 に お け る外 国 人 労 働 者 を め ぐ る議 論 へ の 関 心 か
容 、 新 た な疑 問 な どを共 有 化 させ る。 ③ 外 国 人 労
ら、 学 習 者 に社 会 問題 の 理 解 を 図 り、今 後 の 日本
働 者 に対 す る心 情 の理 解 が 困難 であ るた め 、 ゲ ス
の対 応 を 考 え させ る学 習 と して 計 画 して い る。
トテ ィー チ ャー を招 き、聞 き取 りの 場 を 提供 す る。
イ 単元における学習指導過 程
④ 資 料 集 を作 成 ・配 布 し、 自 らの 価 値 判 断 、 意 思
単 元 に お け る学 習 指 導過 程 は 、第 一 次 の指 導 計
決 定 を裏 付 け る資 料 収 集 、 論 理 を 構 成 させ る。 ⑤
画 を 実 践 す る 中で 、 計 画 を修 正 し、第 二 次指 導 計
受 け 入 れ 賛 成 者 に は統 計 資 料 を も と に利 点 を 考 え
師の意 図は、①学
させ 、 反 対 者 に は 、見 学 や 聞 き取 りに よ る中 小 企
習者 に 日常 の 社 会 的事 象 に 関 心 を もたせ 、気 づ き
業 の 経 営 者 や 外 国 か らの労 働 者 の 思 い や 願 い の 理
を共 有 化 させ る。 社 会 に お け る 変化 の原 因 を探 ら
解 を 考 慮 させ る。 ⑥ 自 らの 価 値 判 断 の 表 明 、 討 論
画 に 変 更 し て い る。(表1)教
表1 単元計 画 と教師の意図の分析
時
1
2
第一次単元計画
第二次単元計画
ア ン ケ ー ト調 査、 外 国入 労 働 者 が働 い
て い る の を 見 た り聞 い た り した。
教師の意図
な ぜ 日本 で ア ジ ア 系 外 ・日常 の社 会 的 事 象 に 関 心 を もた せ る 。 気
い るの か 。
づ き を共 有 化 させ る。
・社 会 に お け る変 化 の原 因を 探 らせ る 。
学級活動質問作 り
・感 覚 的 、 常 識 的 な 見 方 ・考 え 方 か ら、 見
国人 がた くさん働 いて
なぜ学区の紡績工場で外国人労働者が働 い
ているのだろ うか。
学
活
3
4
学 、 直 接 体 験 を 通 して 、 知 的 な 気 づ き だ
け で な く、 中 小企 業経 営 者 や 就 労 者 の 気
1 紡績工場の見学 1
5
わ か っ た こ とを ま と め
よ う。
持 ち や願 い を理 解 させ る。
・見 学 に よ って 、 気 づ い た こ と、 理 解 した
内容 、新 た な疑 問 な どを 共 有 化 させ る。
6
わ か っ た こ とを ま とめ よ う。
ゲ ス トテ ィ ー チ ャー 、 ・外 国 か らの 労 働 者 へ の 感 情 移 入 や 共 感 が
イ ン ドの ガ ニ さ ん に 質
困難 で あ る た め 、質 問 の場 を 提 供 す る。
問 し よ う。
7
外 国人 が 自由に働 くことがで きる日本 にす 日本 に働 きに来 る外 国 ・自 らの価 値 判 断 、 意 思 決 定 を 裏 付 け る資
料 収 集 、論 理 を構 成 させ る。
るこ とに賛成 か反対 か
人が増 えるこ
8
1 めて調べよう。
賛成、反対の立場決
1
と に賛 成 か 、 反 対 か
・受 け入れ賛成者には統計資料を もとに利
資料集を作成配布。
点 を考えさせ、反対者に は、見学や質問
による中小企業の経営者や外国か らの労
働者 の思 いや願 いの理解 を考慮 させ る。
9
討 論 「外 国 人 が 自由 に働 くこ とが で き る 日 討 論 「日本 に 働 き に 来 ・自 らの 価 値 判 断 の 表 明 、 他 者 の 考 え と比
本 にする」
る外国人が増 え るこ と
に賛 成 か、 反 対 か」
10
20年 後 の 外 国 人 労 働 者 へ の 日本 の 対 応 と 追 究 の ま と め を し よ う
社 会 の 様 子 に つ い て 、未 来構 想 を立 て よ う。 「外 国 人 労 働 者 ∼20年
後 の 日本 。 ど う し て い
較 。 討 論 を 通 して 説 得 ・納 得 す る場 の 保
障。
・討 論 を 通 して 、 他 者 の 考 え と照 ら し合 わ
せ 、 自 らの 考 え を 見 直 し、 新 た な考 え を
再 構 成 さ せ る。
くか∼ 」
(加藤有悟 「
地 場産業 で働 くアジア系外 国人」発表資料 ・別冊 座席表 ・授業記録 よ り筆者作成)
―23―
峯
明 秀
を通 して説 得 ・納 得 す る場 を設 け る 。⑦ 他者 の考
うな 語 彙 が 文 章 中 に使 用 さ れ て い る か 、 各 時 間 の
えを考 慮 に入 れ、 自ら の考 え を見 直 し、新 た な考
主 題 を 抽 出 した もの で あ る。 こ こで は 、 対 象 とす
え を 再 構 成 さ せ る こ とが 意 図 さ れ て い る 。 ま た、
る文 書 の 語 彙 を い くつ か の カ テ ゴ リー に 分 類 し、
見学 や ゲ ス トテ ィー チ ャー か らの 聞 き取 りな どの
関連 度 を ク ラス ター 分 析 し、 そ の 結 果 を デ ン ドロ
活動 を取 り入 れ、 中小 企 業 の経 営 者 や外 国 か ら 日
グ ラ ム表 示 して い る。 例 え ば 、10月14日 の 今 原 紡
本 に働 き に来 てい る労 働 者 の願 いや 思 い に直 接触
績 工 場 の 見 学 後 は、36人 の 生 徒 が 書 い た14文 書
れ 、外 国人 労 働 者 に対 す る感 情 移 入 や心 情 へ の共
中 に 「人 」 が 使 わ れ 、そ の うち の14文 書 中 に 「外
感 が で き る こ とを期 待 してい る。 追 究 の ま とめ は
国」 「
外 国人 」 の語 が使 わ れ る。 ま た、7文 書 中に
「20年後 の 日本 ど うす るか 」 を討 論 させ 、 外 国人
「
社 長」 が使 用 さ れ る 。10月22日
労働 者 を受 け入 れ る体 制 を 整 え る 中 で、 共 に生 き
チ ャ ー を 迎 え た ガ ニ さ ん へ の イ ン タ ビ ュー 後 は 、
る情 意 の形 成 を期 待 してい る こ とが 示 さ れ る。
36文 書 中 の うち の10文 書 に 「外 国 人 」 が 使 用 さ
の ゲ ス トテ ィー
れ 、 続 い て9文 書 に 「ビザ 」 とな っ て い る 。 毎 時
3 分析結果
間の 記 述 の 個 人 間 の 文 量 の 差 は あ る もの の 、個 人
単 位 で は 、 見 学 や 聞 き 取 りを 行 っ た後 の 授 業 記 録
(1)主 題 分 析
で 記 述 す る文 章 の 量 は 多 くな り、 直 接 、 見 聞 き し
単 元 全 体 を 通 して 、 毎 時 間の 学 習 者 全 員 の調 べ
た 内 容 に か か わ る 具 体 的 な 固有 名 詞 が 多 く書 か れ
たい こ とや 感 想 や 意 見 な ど の記 録 が 収 集 され てい
て い る こ とが 示 さ れ る 。 授 業全 体 を通 した 全文 書
る。 全396文 書 中 に使 用 さ れ る語 彙 は 、9785語 で
で は 、 外 国 、 外 国 人 労働 者 、 労働 、 日本 、 岡 崎 の
あ る。 これ を テ キ ス トデ ー タ と して エ ク セル に入
あ と、 犯 罪 、 金 とい う語 彙 が 使 わ れ て い る 。(図
力 し、語 彙分 析 を行 う。(表2)各
時 間の テ キ ス ト
2)こ
れ らの こ とか ら、 学 習者 は 、外 国人 労働 者
デー タ にお け る、 単 語 の 出 現 頻 度 を 集 計 す る。 図
の 問題 を 「外 国 人(労 働 者)の 増 加 」 「犯 罪 」 「収
1は 、 個 々の 生 徒 の 意 見 や 感 想 を も と に、 ど の よ
入 を得 る」 な ど、具 体 的 で個 別 的 な現 象 と単 純 化
表2 毎 時間 の学 習 者 全 員 の感 想 ・意見 の記 録 物(35名
表1中 の各 時間
日
中 の1名 分)
生徒 名 NT 35名 中 の1名 提示
1疑 問
10/6
な ぜ ヨー ロ ッパ の 方 の 国 の 人 が 働 き に来 る 人数 が少 な い の か疑 問 に思 っ た。
2就 労理由の予想
10/7
日本 の物 価 が 高 く、 商 品 が 売 れ た とき の利 益 が 多 い。
3学 活
10/8
どこ の 国 出 身 か 。 な ぜ 日本 で 働 こ う と思 っ た か。 日本 に来 て生 活 は楽 に な っ た か。
4社 長さんへ質問
10/13
な ぜ外 国 の 人 を 雇 っ た の か 。 外 国 の 人 が 自分 の会 社 で 働 い て い る と何 か か わ っ た こ と
は あ る か。 い つ ご ろ か ら外 国 の人 が い る か。
5見 学後 の感想
10/14
6新 たな疑 問
10/19
7GTを 迎 え て
10/22
ガニ さん がす で に今 原 紡 績 で働 い て い ない とい う こ と に一 番 驚 い た 。
8調 査前 の立場
10/26
ゆ れ 動 い てい る。反 対 と言 っ て も今 働 い て い る人 は ど う し よ う もな い 。犯 罪 を す る 人 を
8調 査後考 え
10/27
自分 の 意 見 が ま とめ に くか っ た。
9討 論を終 えて の
意見
10/28
賛 成 派 の 意 見 に も納 得 で き る し、反 対 派 の 意 見 に もよ い と思 っ た り、そ れ は正 しい の で
10日 本 の 対 応 ・社
10/29
なぜ 外 国 の 人 を 雇 っ た の か 。 外 国 の 人 が 自分 の会 社 で 働 い て い る と何 か 変 わ っ た こ と
は あ る か。 いつ ご ろ か ら外 国 の人 が い る か
なぜ イ ン ドな ど、 ア ジ ア系 の外 国人 が多 い のか 改 めて 不 思 議 に思 った 。
い れ な い よ う に、 働 くな ら 国籍 を とって 働 けば よい 。
は な い か と思 う よ うな 意 見 が あ り、 どち らが 正 しい とは 言 え な い と思 う。
外 国 人 労 働者 が 増 え る こ と につ い て 、ぼ くは 「この ま ま」 で よ い と思 う よ うに な りま し
会 の様 子 に つ い て
た 。毎 年 一 定 の 人数 の 外 国人 労働 者 が来 て 、
毎 年 一 定 の外 国人 労 働 者 が 自 国へ 帰 って い
の考 え
き 、そ の来 る人 数 と変 え る人 数 が だ い た い 同 じ く らい が 、バ ラ ンス が よい 受 け 入 れ 方 だ
と思 い ま した 。
加 藤 有 悟(岡 崎市 立 美 川 中 学 校)「 地 場 産 業 で 働 くア ジ ア 系 外 国人 」 発 表 資 料 ・別 冊 座 席 表 ・授 業 記 録 」(日 本 社 会
科 教 育 学会 第54回 全 国 研 究 発表 会 ラ ウ ン ドテ ー ブ ルⅢ-D発 表 資 料 、2004.11よ
―24―
り筆 者 作 成 NTは 生 徒 イ ニ シ ャル)
マイニ ング ・ソフ トの利用 による授業事実の抽 出
10月22日(金) イ ン ドの ガ ニ さ ん に 質 問 しよ う。
10月27日(木) 第7時
ひ と り調 べ2 自分 の 立場
10月28日(木) 第8時 討論
且0月29日(金) 第9時
図1
図2
第5時
ま とめ
各 時間における主題分析
学習成果(396文 書)に 使用される主題
― 25―
峯
明 秀
し て と らえ て い る こ とが 示 さ れ る。 雇 用 、 意 識 、
連 の 強 弱 を示 し、 図 の周 辺 部 に位 置 す る要 素 は突
偏 見 、 人 権 、 侵 害 な どの 一 般化 、抽 象 化 され た概
出 した 特 徴 を 持 っ てい る と見 る こ とが で き る。10
念 を 示 す 語 彙 は見 られ な い 。
月28日 の討 論 後 の 自 らの立 場 と、情 意 を 示 す 形 容
詞 表 現 との 関 係 を 見 てみ る と、 若 い(若 い 就 労 者
(2)属 性 間の 関係 の 深 さ
の 減 少)、 近 い(国)と
い う表 現 と受 け入 れ賛 成
コ レス ポ ンデ ンス分 析 は 、 ク ロ ス集 計 結 果 を も
の 立 場 、 多 い 、 び っ く りの 表 現 とゆ れ 動 い て い る
と に、2変
数の差 や類 似性 を多 次元 空間 に グラ
立 場 が 深 い 関 係 に あ る こ とが 示 され る。 受 け 入 れ
フ ィ ッ ク表 現 で き る。 多量 な情 報 が入 り混 じっ た
に反 対 の 立 場 と、 特 に 関係 す る形 容 詞 の 表 現 は 見
テ キ ス トか ら任 意 の視 点 で情 報 を切 り出 し、 グ ラ
られ な い 。 これ らか ら、 次 の こ とが 推 測 で き る。
フ や分 布 図 と して表 現 し、 各 因子 の距 離 や ま とま
若 い 就 労 者 、 労 働 力 の 減 少 を 理 由 とす る 外 国 人 労
りを意 味 づ け る こ とで、 そ の特 徴 を とら え る。 例
働 者 の 受 け 入 れ 賛 成 が 捉 え られ る 。少 子化 に よ る
え ば、 年 齢 と選 好 な ど属 性 聞の 関係 の深 さを 見 る
(若者 の)労 働 者 不 足 の解 消 と して 、若 い 労働 力 の
こ とが で き る 。 そ こで、 本 研 究 で は、 「よ い 」 「悪
確 保 を 理 由 と して い る。 立 場 を 決 め か ね て い る 学
い 」 「す ご い」 な どの 形容 詞 表 現 に注 目 し、全 文 章
習者 は 、 学 習 の 初 め の外 国 人 労働 者 の流 入 が多 く
に お け る単 語 の 品 詞、係 り受 け の傾 向 と、外 国 人 労
な っ て き て い る こ とに 驚 き 、 賛 成 ・反 対 の理 由 を
働 者 の 受 け 入 れ の態 度 と形 容 詞表 現 を分 析 す る。
あ げ て 、 自 らの 立 場 を表 明 す る こ とに戸 惑 いや 揺
図3は 、10月28日
の討 論 を 終 えた 後 、外 国 人 労
らぎ が 窺 え る 。 受 け 入 れ に反 対 の立 場 と密 接 に 関
働 者 の受 け入 れ につ い て、 賛 成 ・反 対 の 自分 自身
わ る感 情表 現 を 示 す 形 容 詞 は見 られ な い。
の 立 場 と、 毎 時 間 の 学 習 の 記 録 に お け る 形容 詞句
の 出現 状 況 との関 係 を 示 して い る。
(3)記 述 内 容 の 質 的 分析
表3は 、 学 習 者 の全 員 の 中 か ら無 作 為 に抽 出 し
図 上 に 示 され る各 要 素 間 の 距 離 は 、要 素 間 の 関
図3 討論後の受 け入れの立場 と、授業記録 にお ける形容詞表現 との関係
―26―
マ イ ニ ン グ ・ソ フ トの 利 用 に よ る授 業 事 実 の 抽 出
表3 学 習 過 程 に 沿 った 学 習 者NT・STの
お もな学習課内容
記述内容の分析
NT内 容 の分析
日
時
6
1/9
外 国人が働 いてい る なぜ ヨー ロ ッパの方 の 国の人 が 送 り出 し国の分 布に なぜ外国人は 日本 で 外 国人労働者 が 日本
のを見たこ とがあ る 働 きに来 る人数 が少 な いのか 疑 対する疑問
に来 るこ との理由へ
働 いているのか。
か
の関心
問に思った。
7
2/9
疑 問 を発表 し合い、 日本 の 物価 が 高 く、商 品 が 売 れ た
クラス追究の 間いを と き の利 益 が多 い。
作 ろう(問 い 「なぜ
日本で アジア系外 国
人がた くさん働 いて
いるか」に対す る予
想)
13
学活
表2の 抽出生徒(NT)
抽 出生徒(ST)
ST内 容 の分析
物 価 が 高い こ とが、自 分 の 国 に 不 満 を
高賃 金 と結 びつ くこ 持 っ て い る か ら、 日
とはないが、企業 の 本 で 働 い て い る と
利益 の高さ と賃金 と 思 っ た。
の 関係 に 目を向 けて
い る。
働 き に来 る 理 由 に つ
い て、 送 り 出 し 国
の 実 情 を 推 量 して い
る。
今 原紡績の見学 で質 ど この 国出 身 か 。な ぜ 日本 で働 こ 外 国人 労働者が来 る 自 分 の 国 に 不 満 を
問 したいこと
う と思 った か 。 日本 に来 て生 活 は 理 由について、 自ら 持 って い る の か 。
楽 に な った か 。
の予想 に対す る資料
収集の ための問い。
働 き に 来 る理 由 に つ
い て 、 送 り出 し 国 の
実 情を推量 したこと
の確 か め
見学
な ぜ 外 国 の 人 を 雇 っ たの か 。外 国 企業 として、外国人 外 国 の人 は何 人 く ら 雇用人数
社長さんに質問 した の 人 が 自 分 の 会 社 で 働 い て い る 労働者 を雇用す る理 い 働 い て い る の か 。
い こと
と何 か か わ った こ と はあ るか 。い 由、時期 を問 う質問。
つ ご ろか ら外 国 の 人 が い るか 。
14
3/9
見学 日記 新 たな疑 外 国 の 人 は3力 国 語 や4力 国 語 送 り出 し国(ア ジ ア ・ 日本 人 よ り外 国 人 の 雇用者 か らみた外 国
問
を 話 せ る と 聞 い て と て も 驚 い た。 イ ン ド)の 情 勢 に 対 ほ うが い い と言 っ て 人労働者 の働 きぶ り
な ぜ イ ン ドな ど、ア ジ ア 系 の 外 国 す る 関 心 の 高 ま り
い て び っ く り した。 につ いての意見につ
人 が 多 い の か不 思 議 に 思 っ た 。
いての感想
19
4/9
見学 や調 査でわかっ なぜ イ ン ドな ど、 アジ ア系の 外 外 国人労働者 が働 き 外 国 の 人 もい ろい ろ 外国人 労働者 が働 き
たこと
国人 が多 いの か改 めて不 思議 に に来 ることの理 由に とた い へ ん な こ と に に来 るこ との大変 さ
ついて、追究 する こ 気 付 い た。
思 った。
についての気づき
とへの意欲化
22
5/9
イ ン ド の ガ ニ さ ガニ さん がす でに今 原紡 績で 働
ん(ゲ
ス トテ ィ ー い て い な い と い う こ と に 一 番 驚
チ ャー)に 質 問 しよ い た 。
う
26
6/9
日本に外国人が働 き 外国人 労働者 が 日本
に 来 る の が す ご く に入 国するこ と、就
難 しい ことがわか っ 労す ること との大変
た。
さへの驚き
「日 本 に 働 き に 来 る △ ゆ れ 動 い て い る。・反 対 と言 っ 政 策に対す る自 らの 反 対 ・外 国 の 人 が 犯 外国人 労働者 が働 き
意思決定。
罪 を して い るか ら。 に来 ることへの現状
外 国 人 が 増 え る こ と て も今 働 い て い る 人 は ど う し よ
に 賛 成 か 、 反 対 か 」 う も な い。犯 罪 をす る人 をい れ な
い よ う に 、働 くな ら 国籍 を と っ て
ひ と り調 べ1
働 け ば い い。
現状 の対応策の 問題
点 の気付 き
対応策 の提案。
の問題点を確認 した
上での、 自らの意見
の形成
27
7/9
「日本 に 働 き に 来 る ○ 自分 の 意 見 が ま と め に くか っ 自 らの意思決定 に対 外 国人 の犯罪が多 く 資料 「
外国人 による
外 国 人 が 増 え る こ と た。
す る振 り返 り
なっているか ら反対 犯罪の増加」 を根 拠
に 賛成 か、反 対 か」
とした意思決定
(Q)
ひ と り調 べ2
28
8/9
「日本 に働 きに来 る 賛 成 派 の 意 見 に も納 得 で き る し、友 だちの意見を比較 日本 が 大 変 な こ とが 日本国 内のさまざ ま
外国人が増 えるこ と 反 対 派 の 意 見 に も い い と 思 っ た し、 よ り納得 できる わか っ た。
問題への気づき
に 賛成 か、反 対 か」 り、 それ は正 しい の で は ない か と 提案 の模 索。
討論
思 う よ う な意 見 が あ り、ど ち らが
正 しい と は言 え な い と思 う。
29
9/9
ま とめ 「外 国 人 労 働 外 国 人 労 働 者 が 増 え る こ と に つ 現状 を踏 まえた上 で
者 ∼20年 後 の 日本 、い て 、ぼ く は 「この ま ま」 で い い の、 自 らの意見の形
と思 う よ うに な り ま した。毎 年 一 成
ど う して い くか 」
定 の 人 数 の 外 国人 労 働 者 が 来 て 、
毎 年一 定の外 国人 労働 者 が 自国
へ 帰 っ てい き、そ の 来 る人 数 と変
える人 数が だい たい 同 じく らい
が 、バ ラ ンス が い い 受 け入 れ 方 だ
と思 い ま した 。
今 も外 国人労働者が 資料 「
外国人 によ る
日本 に仕 事をさが し 犯罪の増加」を根 拠
に来 ていて、これか とした意思決定 の強
らもず っと外 国人が 化
増 えてい くかも しれ
ない。外 国人犯罪 も
増 えて くるかも しれ
ない ので、外 国人は
あ ま り日本にいれな
い方がいい と思 う。
ST・NTは
― 27―
生 徒 の イ ニ シ ャル(筆
者 作 成)
峯
たNT(表2)とSTが
明 秀
各 時 間 に書 い た 記 述 内容
過 程 と学 習者 の記 述 内 容 を 関連 させ 、 授 業 者 の意
の分 析 で あ る。 そ れ ぞ れ の 内容 につ い て 、 筆 者 が
図 と学 習 者 に 育 成 さ れ た で あ ろ う知 識 ・技 能 ・態
学 習者 に獲 得 され て い る知 識 や 心 理 を 学 習 指 導 の
度 な どを 推察 した 解 釈 で あ る。 ま た、 別 添 の 参 考
過 程 との 関係 か ら意 味 づ け て い る。 外 国 人 労 働 者
資 料 は 、筆 者 に よ る授 業 者 の 意 図 の 分 析 で あ る6)。
の受 け入 れ につ い て 、 どち ら と も言 えな い と した
授 業 の事 実 を示 す観 点 や解 釈 の妥 当性 、 正 当性 を
NTは
どの よ うに示 す こ とが で き る で あ ろ うか 。
、 送 り出 し国 が アジ アに 分 布 す る こ と に対
す る疑 問 を も ち、 日本 の 賃 金 の 高 さ に 目を 向 け て
い る。 外 国人 労 働 者 が 来 る理 由 に つ い て 、予 想 し、
(2)個 別 的な体験活動の影響
資 料 収 集 の た めの 問 い を つ く って い る。 企 業 と し
表1の4∼6時
て、 外 国人 労 働 者 を 雇 用 す る理 由 や ア ジ ア ・イ ン
チ ャー を 迎 え て 当事 者 か ら話 を 聞い た後 で は、 ど
ドの よ うす に対 す る関 心 の 高 ま り、 就 労 の理 由を
の 学 習者 の記 述量 も増 え、 見 聞 き した具 体 的 な 内
追 究 す る こ との意 欲 化 が 図 られ て い る 。 日本 の 現
容 が書 か れ て い る こ とが示 され た。 中小 企 業 の 経
状 の対 応 策 の 問題 点 に 気付 き 、 友 だ ち の 意 見 を参
営者 や外 国 か ら働 き に来 た労 働 者 の さ まざ まな 努
考 に、 よ り納 得 で きる 提案 を模 索 して い る こ とが
力 や苦 労 話 が 、学 習者 に大 きな 影 響 を 与 えた こ と
窺 え る。 同様 に、 受 け 入 れ に反 対 と したSTの
が考 え られ る。 実 際、 図3に 示 され る よ うに 情 意
分
間 目の工 場 見 学 や ゲ ス トテ ィー
を示 す形 容 詞 句 は、8・9時
析 は表 の 通 りで あ る。
間 目の 調 査 や 討 論 に
お け る立 場 の選 択 や 判 断 に関 係 して い る こ とが 示
4 考察
され た。 す な わ ち、 学 習 に組 み 込 ま れ る 体 験 や 話
者 の 個 人 的 な 見 解 が 、 学 習 者 の 心 情 面 に 影 響 し、
(1)学 習成果 の外部観察の正当性
価 値 判 断 ・意 思 決 定 に影 響 を 与 え る とい う こ とで
学 習 者 に よ る 自由記 述 に よ る記 録 物 は、 個 性 的
あ る。 よ く学 校 現 場 で 取 り入 れ られ て い る 見 学 や
か つ 多 様 で あ る。文 量 も限 定 さ れ て い な い た め 、多
ゲス トテ ィー チ ャー を 招 い て の 直 接 的 な体 験 活 動
量 に 記 述 さ れ て い る も の ほ ど、 観 察 者 に は多 くの
が 、 どの よ う な 目的 で 認 識 と心理 を どの よ う考 慮
こ とを 学 ん だ よ うに受 け止 め られ る。 しか し、 ど
す る のか が 問 わ れ る。
の よ うな こ とを学 習 したの か 、 説 明 に用 い る鍵 と
な る 語彙 は何 な の かが 、 事 前 に明 らか に され る必
(3)限 定 ざ れ る 資 料 に よ る誘 導
要 が あ る 。例 え ば、 学 習 者 に と って 日常 語 で な い
表3で は 、NTの
記 述 内容 か ら、 外 国人 に よ る
抽 象 的 な言 葉 は使 用 され に く く、 あ る概 念 を 示 す
犯 罪 増 加 の 新 聞 記事 が 、 受 け 入れ につ い て の意 見
語 彙 が使 われ てい て も、 そ の 意 味 を 真 に 理 解 して
形 成 や 価値 判 断 に 強 く影 響 を与 え てい た こ とが 示
い る か ど うか は不 明 で あ る 。事 実 、 学 習 者 の 学 習
さ れ る7)。 この こ とは 前 述 の(2)と
成 果 物 にお け る 自由 記 述 に は 、 雇用 、偏 見 、 人権
業 者 が 用意 した 資料 に よ る誘 導 を 意 味 す る。 そ し
同様 に、 授
な どの語 彙 は使 用 され て は い な か っ た。 そ れ らの
て 、資 料 の信憑 性 に疑 義 が持 たれ る。
語 彙 は学 習 者 に と って 日常 語 で な い ゆ え に 、理 解
授 業 者 は 、選 択 した資 料 か ら どの よ うな 情 報 が
され に くい こ とが 考 え られ る5)。 他 方 、 授 業 者 の
導 き 出 され る の か を 吟味 し、 授 業 を構 成 す る。
実 践 を 振 り返 った レポ ー トの記 述 や 筆 者 に よ る授
本 事 例 に おい て も、 受 け入 れ に 関 す る価 値 判 断
業 者 へ の イ ン タ ビ ュー の 中 で、 授 業 者 は学 習 者 に
や 自 らの立 場 の意 思 決 定 に際 し、 用意 した 資料 に
身 に つ け られ た知 識 ・理 解 や 資 質 と して、 人 権 や
よ っ て、 自 らの 立 場 を 理 由付 け る展 開 に な っ て い
共生 とい う鍵 概 念 を用 い て説 明 した 。この こ とは 、
る。外 国人 労 働 者 の増 加 、中 小企 業 に お け る労 働 者
学 習者 が書 い た 内容 を 、 授 業 者 が 解 釈 し抽 象 化 し
不 足 、 日常 生 活 で の 文 化 的摩 擦 な どの現 象 的 な事
て い る た め、 「人 権 を 守 る」 「共 生 す る」 とは 、 具
実 と、 大 企 業 と 中小 企 業 の格 差 、 景 気 に左 右 され
体 的 に は何 を どの よ う にす る こ とか 、 真 に 理 解 さ
る不 安 定 な 雇 用 、 労働 者 自身 も条 件 の よい 職 場 へ
れ て い る か ど うか は 不 明 な こ とを 意 味 して い る。
の 柔 軟 な移 動 な どの雇 用 と労 働 の構 造 的 な 問題 、
か か る観 点 か らす れ ば 、 筆 者 の 解 釈 に よる 授 業
国 際 間 の 労働 力 の移 動 を どの よ う に見 学 や 体 験 活
の事 実 の 抽 出 に も適 用 さ れ る 。表3は
動 、資 料 の 選択 ・利 用 の 中 で位 置 づ け て い るの か
、学習指導
―28―
マ イ ニ ン グ ・ソ フ トの 利 用 に よ る授 業 事 実 の 抽 出
を吟 味 す る必 要 が あ る 。
(2012.2.8)が
4)加
5 おわ りに
参 考 にな る。
藤 有 悟(岡 崎市 立 美 川 中 学 校)「地 場 産 業 で働 くア
ジ ア 系 外 国 人 」 発 表 資 料 ・別 冊 座 席 表 ・授 業 記 録 」
(日本 社 会 科 教 育学 会 第54回 全 国 研 究 発 表 会 ラ ウ ン
学 習成 果 物 にお け る語 彙 の 量 的分 析 に よ り、 次
ドテ ー ブ ルⅢ-D発 表 資 料 、2004.11)、
の こ とが 明 らか に な った 。
第 一 に、 教 師 が 意 図 す る 外 国 人 労働 者 の 問 題 を
5)犯
とら え る抽 象 的 な 概 念 や説 明 を 要 す る語 彙 の 定 着
の影 響 が大 き い と予 想 され る。 また 、日常 語 で な い
聞 き取 りは
2008.6に 行 っ た 。
罪 、違 法 行 為 な どイ メー ジ化 が 図 られ や す い 資 料
は不 十 分 で あ った 。 学 習 成 果 の 評価 に お い て 、 記
翻 訳 語 は 、原 理 的 に理 解 され に くい 。 柳 父 章 『翻 訳
述 内容 に どの よ うな語 彙 が 使 用 され て い るか 、 目
語 の 論 理 』 法政 大 学 出版 局,1972。
標 の達 成 状 況 をみ るに は どの よ うな表 現 を 見 れ ば
6)筆
よい か、 根 拠 とな る言 葉 や 文 章 を事 前 に 想 定 して
の 流 入 の 現 象 に焦 点 を あ て、社 会 の し くみ や 様 々 な
者 の分 析 に よ る評 価 は 、加 藤 氏 は、外 国 人 労 働 者
お く こ とが必 要 で あ る。
分 野 に お け る 問題 点 を具 体 的 に検 証 し、学 習 者 に よ
第 二 に、 情 意 を 示 す 語 彙 と外 国 人 労 働 者 の 受 け
る 自主 的 な 価値 判 断 と意 思 決 定 を 意 図 して い る。学
入 れ の態 度 との 関係 で は 、 見 学 や ゲ ス トテ ィ ー
習 者 に よ る 社 会 事 象 の 理 解 と社 会 構 造 を 捉 え る 理
チ ャー へ のイ ン タ ビ ュー に よる 感情 移 入 や 資 料 か
論 の 理 解 との 指 導 と評 価 の 検 証 が 求 め ら れ る 。 ま
らの心 理 的な 影 響 が 密 接 に 関係 して い た 。授 業 を
た 、授 業 目標 と討 論 を通 して学 習 者 に 形 成 さ れ る学
構 成 す る 内容 や 方 法 と、 扱 わ れ る資 料 の 目標 との
力 や 資 質 との不 一致 が指 摘 さ れ る。
整 合 性 を 吟 味 す る必 要 が あ る。
7)外
第 三 に、 授 業 者 や 観 察者 に よ る質 的分 析 と して
る 一 般 の 犯 罪 の 増 加 率 に対 して必 ず し も高 くな い 。
の解 釈 の正 当性 を ど う理 由 付 け るか で あ る。 学 習
準 備 さ れ た 資料 と して 、A日 本 の 「
人口 ピ ラ ミ ッ ド」
の事 実 を抽 出す る観 点 が 異 な れ ば 、評 価 は異 な る 。
(2000、2025、2050、B日
例 え ば、 記 録 物 の 部 分 的 な 学 習 者 の 感想 ・意 見 や
ドの 変 化 、C高 年 層 の労 働 力人 口 と就 業 率 の 推 移 、
ア ン ケー ト調 査 に よ る集計 結果 が どの よ うに 成 果
D有 効求 人 倍率 の 推移 、E各 国(日 本 ・ア ジ ア)の
を 示 す か を 明 らか に す る必 要 が あ る 。 そ の た め に
失 業 率 の 比 較 、F新
は、 質 的 ・量 的分 析 を組 み合 わ せ た評 価 方法 ・手
約100万 人 」、G外 国 人 登 録 者 総 数 ・我 が 国 の 総 人
段 の 開発 を推 し進 め る必 要 が あ ろ う。
口 の 推移 、H外 国 人新 規 入 国者 の数 の推 移 ・就 労 目
的 外 国人 の 在 留 状 況 、I外 国人 労 働 者 の現 状(合 法
就 労 者 ・不 法 残 留 者)、J産
割 合 な どが示 さ れ てい る。
【注 】
1)学
習 者 の授 業 の振 り返 りや 感 想 な ど に よ る報 告 は 、
学 習 成 果 の 一 部 を 切 り取 っ た もの に過 ぎず 、真 に事
実 を 表 してい る のか 問 わ れ る 必 要 が あ る。 例 え ば 、
だ れ に対 して 書 か れ た も のか 、 どの よ うな指 示 が な
さ れ た か 、文 量 は ど うか な どの影 響 を どの よ うに解
釈 す る か 分 析 手 法 の妥 当性 が 問 わ れ る必 要 が あ る 。
2)マ
イ ニ ン グ(mining)と は 「
発 掘 」 とい う意 味 で 、 テ
キ ス トの 山 か ら価 値 あ る情 報 を掘 り出 す、 とい っ た
意味がある。
3)数
量 化 皿類 で も 同様 の 分 析 が で き るが 、コ レ ス ポ ン
デ ンス分 析 は異 な る2変 数 の デ ー タが 扱 え る。本 稿
で は 主 成 分 正 規 化 コ レス ポ ン デ ン ス 分 析 を 使 用 す
る 。http;//www.macromill.com/method/dO1.html、
http://www.ec.kagawa-u.acjp/ hori/mva.html
― 29―
国 人 労 働 者 に よる犯 罪 の増 加 は、人 口比 率 に対 す
本 の 人口 ピ ラ ミ ッ
聞記 事 「
無 業 の 若 者2010年
に
業 分 類 外 国人 労 働 者 の
峯
明
秀
別添資料 教師による毎時の授業の流れ に合わせ た振 り返 りに対する筆者の分析
意図 さ 時 授業計画 授業計画 提示する資 教師が期待 する学習成 果
れた授
で提示 さ に示 され 料 ・情報
業構成
れた問い る学習活
動
導入
社 会問
題 への
気付 き
なぜ学 区 予想を立
の紡績工 てよ う
場で外国
人労働者
が働いて
いるのだ
ろ うか。
.外 国 人 の 視 点 か ら
1.給 料 が 高 い,2.働
く環
境 が い い,3.勉
強 した い,
4.留 学 して い る
.経 営 者 の視 点
Ⅱか ら
1.給 料 が安 い,2.よ
く働
く,3.体 力 が あ る,4.技
術
授業 の事実
変更 され 生徒 の反応、獲得 された知識、教師 獲得 された
た授業 の の意 図の実現
事実 に対す
流れ
る問題 点
外 国人が 見聞 き した ことが ある(67%) 日
働い てい 本になぜ働きに来るのか、なぜ アジ
るのを見 ア系の人が多いのか
た ことが
あ るか
疑問を発 日本全体 の外 国人労働者数、割 合、
表 し合い いつ ごろから
・4
・ 日本 人 と外 国 人 の 給 料 は 違 う と 今 原 紡 績 所
思 っ て い た け ど、 同 じ。
の 社 長 さん
社長や労 ・ガ ニ さ ん や 外 国 人 は 、 もの す ごい の 考 え を 、
働者か ら 努 力家 で文 句 も言 わ ず、 え らい と思 雇 用 者 の 考
の実状を い 、今 の 日本 人 だ っ た ら 、 ほ とん ど え と し て 、
聞き、 自 い な い よ うな気 が した。 あ ん な 外 国 一 般 化 で き
分たちで 人 の よ うに 日本 人 が な って い く とい る か 。
は予想 で い な あ と思 っ た。
きなかっ ・外 国 人 の 方 が 日本 人 よ り若 く、 一
た新 たな 生 懸 命 働 い て くれ るん だ な 。 今 ま で
事実 に気 外 国 入 を 悪 い イ メー ジで 見 て き た 自
付 か せ 分 は ば か だ な あ と思 った 。
る。
(自 分 の 価値 意 識 や偏 見へ の 気 付 き)
・外 国人 は 仕 事 を 一 生 懸 命 に や っ て
見学
イュ 象 事 労 回 個 も
・ビ 対 る や の 、な
査 タ のな者 者 は的
調 ン− と 業 働 答人
,Ⅰ.日
本 人 労 働 者 と外 国人
労働者の比較
1.イ ン ド人 が5人 が い る,
2.年 齢 は30歳 前 後 と若 い,
3.体 力 が あ り一 生 懸 命 に
働 い て く れ る,4,給
料は
30万 円 程 度 と高 い,5.朝
5時 か ら1日15時
間程 度
働 い て くれ る,6.イ
ンド
人 は6年 も 働 い て い て 熟
練 して い る,7.人
柄 がよ
く近 所 の 評 判 も 良 い,8.
求 人 をす る と日本 人の 若
者 は 来 て くれ ず 高 齢 者 が
く る,9.日
本 の高齢者 に
は体 力 面な どで仕事 内容
や 労 働 時 聞 に 限 界 が あ る,
10.3人 に は福 利 厚 生 や 賞
与 な どは 必 要 な い
.日 本 と外 国人Ⅱ労 働 者 の
母国の比較
今原紡績
に見学 に
行 こう
社長 さん 教 師 は、 雇 う 日本 側 の 事 情 、 背 景 に
に質 問 し 目 を 向 け させ たか った 。
たいこ と 外 国人 を雇 う こ と は、 マ イ ナ ス 面 が
多 い とい う考 えを もつ 生 徒 が 多 い 。
3
3
のの調
証 め学
検 た見査
日本人労働 1.給 与,2.労
働 時 間,3,
者 と外国人.年 齢,4.能
力,5,そ
の 他,
労働 者の比 6.収 入,7.生
活 環 境,8.
較給 料 ・労 そ の 他
働 時間 ・年
齢 ・能 力、
その他
日本 と外 国
人労働者 の
母 国の比較
学活
疑問の
整理
時
く れ て 使 え る か ら、 今 で は 必 要 に
な っ て い る 。 こん な に も 日本 の人 が
外 国 人 を 必 要 とす る とこ ろ を初 め て
見 て 、 び っ く り した。
・若 い 人 の 力 は 大 切 だ な と思 っ た 。
つ 。
なる
にい
のて
教 師 は 、 ビザ の 発給 や制 限 につ い て
の 関 心 を も た せ た い と考 え た。
結 果 的 に 、 外 国 人労 働 者 の勤 労 意 欲
と事業 所 の 労働 成果 を結 びつ け、 外
国 人 労 働 者 を雇 う こ とは 、 雇 用 者 ・
労 働者 の 双 方 に良 い と い う評 価 的 ・
価 値 的知 識 を 引 き 出 して い る
省
9頁 の資料を用意 し、一人調べを行わせる。
意見を変 えたある生徒の様子
人数
配布前
査中
調途
査了
調終
賛成
日本の高齢化 と人口の減少に驚いた。僕
の意見な ら反対派に負けない。(「日本の
人口の将来 推計」・「
高齢者 を支 える成人
の割合 」)
査め
調初
×反対
高齢者が増 えてい て、外国人を働かせ る
余裕がない。
日本人 自体 が職に就 けな くなっている。
人口が増えて人口爆発す る。
第 7時
1.外 国 人
労働 者 の統
計 を調 べ る
2.岡 崎 市
の外 国人 労
働者 の統 計
を調 べ る
3.他 の 会
社 につ い て
調べ る
4.新 聞 記
事を 集 め る
5.日 本 の
人口 に つ い
て調 べ る
6.今 原 社
長、 イ ン ド
Aさ ん に
人
聞く
7.家 の 人
に聞 く
第6時
賛成、反
対の立場
を仮に決
めて調べ
よう
略
賛反 ひ べ
に 、﹂調 2
とか かり ・
こ 成 対 と1
「外 国 人
が自由に
働 くこと
ができる
日本 にす
る」 賛 成
か、反対
か。
に来 人る
本 に 国え
日き外 増
﹁ 働 るが
立場を
もたせ
る こと
によ り
意欲化
をはか
り、自
らの主
張を構
成する
資料 収
集
と論
理の構
成
賛成
13
10
10
14
反対
2
14
15
16
揺れ
18
11
10
6
教 師の指導
堂竺質聞な
ど目標 として,反 対派の生徒には,見
で具体的にわかったこ とも考慮 し
― 30―
1
6
12
6
Ⅰ
ダウンロード

マイニング・ ソフ トの利用による授業事実の抽出