Star Formation Histories,
Abundances, and Kinematics of
Dwarf Galaxies in the Local Group
Eline Tolstoy, Vanessa Hill, and Monica Tosi
Tolstoy, et al., 2009, ARAA, 47, 371
2012/6/20
村山研 M2 本間英智
0. Motivation
• 矮小銀河は、近傍に多数分布している、比較的単純な系で
ある、といった理由から化学進化を調べるよい実験場として
期待される。
• 星に分解しての銀河化学進化研究は、今までMW以外では
できなかった。
• 複雑な構造(bulge, disk, …)をもたないため、銀河進化モデル
で記述しやすいと考えられる。
• 表題の論文をベースに矮小銀河について概観しつつ、主に
化学進化に焦点を当てた発表を行う。
1. Introduction ; 矮小銀河とは
• 歴史的に、Bバンド絶対等級で -18 (or -16) mag より暗いもの
が「矮小銀河」と呼ばれる。
• 矮小銀河にも様々な種類があり、通常銀河とはやや物理的
性質が異なっている。
• 大雑把に、ガスや若い星がほとんど存在しないdE/dSph と、
ガスを含み星生成をしている dIrr とに分けられる。
• “dSph” と “dE” をひとくくりにして “dSph” と呼ぶことが多い。
[Local Group に属す銀河の空間分布]
(Mo, et al., 2010, “Galaxy
Formation and Evolution”)
[Vバンド絶対等級 vs 中心表面輝度]
[Vバンド絶対等級 vs 半光度半径]
赤い円 :楕円銀河の分布領域
青い円 :円盤銀河の分布領域
紫の点円:galactic nuclei (?)
黒の点円:large early/late-type system (?)
青い■ :Blue Compact Dwarfs (BCD)
紫の× :Ultra Compact Dwarfs (UCD)
五角形 :Local Group に属す矮小銀河
★
:ultra faint dwarfs (uFd)
[Bバンド絶対等級 vs 半光度半径]
矮小楕円銀河(dE) と矮小楕円体銀河(dSph)
の違いを模式的に表わした図。
(Mo, et al., 2010, “Galaxy Formation and
Evolution”)
[Bバンド絶対等級 vs Sersic number]
Coma cluster における楕円銀河(色等級図
でred-sequence にのる)と分類されたもの。
矮小銀河の Sersic number はn=1に近いこと
が分かる。(n=4は赤線)
(Graham, et al., 2003, AJ, 125, 2936)
2. Detailed SFH ; 星生成史の測定法
• HST や 8-10m 級大型望遠鏡の登場によって、矮小銀河の星
の色等級図 (CMD) が測定できるようになってきた。
• 観測されたCMDと、理論計算された星の進化経路を比較す
ることで、矮小銀河の星生成史 (SFH) を見積もることができ
る。
• 主系列転向点 (MSTO) が観測されると SFH の決定精度は上
がるが、そのためには十分に深い観測が必要になる。
• HST では約4Mpc の距離にある矮小銀河の CMD を得ること
ができているが、地上望遠鏡では Local Group より遠い天体
を捉えることは難しい。
[モデル計算されたCMD (左) と解析結果 (右) ]
測定誤差を含めて計算されたCMDに対してフィッ
ティングを行い、右図のような結果を得ている。
上から、
(a). 入力したSFH
(b). すべての星を用いて解析したSFH
(c). (b)のビンを広くとったもの
(d). RGB星とHB星のみで解析したSFH
(Dolphin, A. E., 2002, MNRAS, 332, 91)
(e). 明るいRGB星のみで解析したSFH
[見積もられたSFH]
HSTで測定された
矮小銀河のCMD
から見積もられた
SFH (上段) と、その
時までに生成され
た星の割合 (下段) 。
(Weisz, et al.,
2011, ApJ, 739, 5)
3. Stellar Kinematics and Metallicities
dSph ;
• 質量は10^{6-8} Ms 程度と球状星団に近い値をもつが、サイ
ズはずっと大きく、中心部での速度分散からは dark matter
の存在が示唆される。(M/L ~ 10-1000)
• RGB星などで金属量が測定される。
dIrr ;
• 質量は概ねdSphより大きい(10^{7-9} Ms) が、dSphのように
星を観測できない (HI cloud を観測している) ため、dark
matter の量を見積もることは難しい。
• H II region などで金属量が測定される。
4. Detailed Abundances of Resolved Stars
• dSphの星の金属量測定は90年代後半から行われていたが、
1つの星の分光に約5時間かかったためサンプル数が少な
かった。大口径望遠鏡の高分散多天体分光器が活躍するよ
うになって、サンプル数が増え始めている。
• 重元素の組成比は、その時代の重元素汚染に最も寄与した
星の組成比を反映している。
• 各重元素で振る舞いに若干の違いはあるが、大きく分けてα元素、二次元素、中性子捕獲元素、iron-peak 元素、銅より
重い元素があり、これらの組成比を総合的に判断することで、
どの進化段階の星が化学進化に寄与しているか推定できる。
• 化学進化の進み具合を示す指標として、[Fe/H]がよく用いら
れる。
[α元素の組成比 vs [Fe/H] ]
dSphの星の組成比 (color dots) とMWの
disk/halo 星の組成比をプロットしたもの。
右に行くほど化学進化が進んだフェーズ
を表している。
dSphとMWで振る舞いに差がみられるこ
とから、dSphの合体によるMWの形成へ
の反証として扱われる。
[中性子捕獲元素 vs [Fe/H] ]
上段がs-過程(AGB星)、下段がr-過程(SN II)
による元素の振る舞いを表す。
dSphごとでも振る舞いが異なることが分か
る。
5. Chemical Evolution Models
• 銀河化学進化モデルの構築は60年代から行われていた(e.g.
Arimoto, N., & Yoshii, Y., 1987)が、観測データが充実し始め
た近年になって、個々の銀河の性質を反映したモデル作り
が可能となってきている。
• 矮小銀河の化学進化モデルには、観測されるような低金属
量な系を再現することが求められる。そのため、ガスの流入
出がどのようにして起こるかが重要となる。
• 化学進化モデルには以下の式に基づく標準モデルと、流体
シミュレーションを取り入れた化学動力学モデルがあるが、
どちらも十分な説明には至っていない。
化学進化の式:
瞬間的混合近似の成り立つ領域における重元素量の時間変化は、
星への取りこまれ、星からの放出、領域へのガス流入、領域からの
ガス流出に依存する。
Appendix: Metallicity Distribution
 金属量分布関数 (MDF; Metallicity Distribution Function)
• ある金属量の星の個数を示した関数。
• 化学進化の進み方によって形状が異なってくる。
• ガスの流入出量によって大まかな形状が決まるため、ガス
の流出が何に起因するか、ガスの流入が何で決まるのか、
がわかるかもしれない。
• [問題点]
• 仮定するIMF, SFH, stellar yield
などにも依存する。
• 十分なサンプルが必要
[近傍 dSph の MDF]
Keck/DEIMOSによって分光観測
されたdSphのMDF。
各dSphで形状が異なっているこ
とが分かる。
(Kirby, et al., 2011, ApJ, 727, 78)
[モデルフィット(左)と得られた物理量(右)]
Leo I dSphに対してモデルフィットした結果、右のよう
な化学進化に関する物理量の時間変化が得られて
いる。
上から、ガス流入量、系の星/ガス質量、SFH、元素
組成比、[Mg/Fe]
(Kirby, et al., 2011, ApJ, 727, 79)
6. Concluding Remarks ; まとめ
• Fundamental plane での振る舞いからは、矮小銀河は単純な
small-scale galaxies ではないことが認められる。
• 矮小銀河には非常に古い星が含まれており、最近できた系
ではない。
• 金属量の観測からは、MWとdSphで異なる化学進化を経て
きたことが示唆され、特にMWのhalo星がdSphの星と起源が
同じであるとは言い難い。
• 現在は観測技術の向上によって、地上望遠鏡でも1Mpcの距
離にある矮小銀河の分光に成功している。
• 測光観測はHSTでの観測が主流であるが、分光観測は地上
望遠鏡による多天体分光器の活躍が期待される。
• 金属量分布関数を調べることで、銀河の物質循環が見えてく
ると期待される。
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