技術記事
計装アンプの効果的な使い方
トランジスタ技術 2008 年 5 月号掲載
著者: 齊藤剛
はじめに
OP アンプの陰に隠れてしまいクローズアップされることの少な
い計装アンプ IC ですが、実際にはノイズの多い環境や大きな同
相信号のある環境下でも直流精度・ゲインの正確さを必要とさ
れる産業用計測アプリケーションの多くで広範囲に使用されて
います。
実際にどのような回路構成で計装アンプが用いられるかの一例
が、下記回路図になります。
本稿では、計装アンプとは何か?OP アンプとの違いは?どんな
風に使うものなのか、使用上の注意点・ノウハウ等についてご
紹介していきたいと思います。
計装アンプとは?
計装アンプはイン・アンプ、インスツルメンテーション・アン
プとも呼ばれています。ストレイン・ゲージ、圧力トランデュ
ーサ等の信号源からの微小な差動またはフローティング信号を
計測したり増幅したりする為に設計された、特別な用途を目的
としたアンプの事を指します。
図 1-1b.圧力センサと計装アンプ AD8553
圧力センサ出力値:①Vout+ = 300mV、②Vout- = 292mV
計装アンプ・ゲイン設定値:50 倍
計装アンプ・出力値:③400mV(≒ (300mV – 292mV)×50)、
気圧 1bar 時
図 1-1a. 圧力センサと計装アンプ(代表例)
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計装アンプの効果的な使い方
圧力センサ出力値(気圧 vs.温度)
記載値はマイクロ・コントローラー内蔵の AD コンバータによるデジタル出力を mV 換算したものとなります。
複数の OP アンプを用いて計装アンプと同じような機能を持つ
回路を構成することも可能ですが、これには本来の計装アンプ
と比較して幾つかの難点があります。
又、この回路構成においての温度・気圧を変動させた際の実測
値表が上の表となります。
このように、圧力センサと計装アンプの組み合わせで増幅した
出力データを得られ、さらに AD コンバータ、又はそれを含むマ
イクロ・コントローラーを回路に組み込むことにより、データ
測定・グラフ化・補正などのアプリケーションを含めての実験
が可能となります。 #実験詳細につきましては第 4 章の計装ア
ンプ実用例に記載しております。
近年このような圧力センサ・アプリケーションの民生機器への
導入が目立つようになり、それに伴い、計装アンプ自体も産業
用計測アプリケーション以外でも注目されるようになってきま
した。 そこで、まずは計装アンプと OP アンプの違いについて、
図も合わせて解説したいと思います。
1.
ゲイン設定に、入力ラインとフィードバックに抵抗が必要
2.
ゲイン設定のための外部抵抗のバランス一致が必要
3.
入力インピーダンスはプラス側で R1’+R2’、マイナス
側では R1 となり一致しない
4.
CMRR が抵抗器のマッチングに大きく影響される
OP アンプ = 計装アンプ?
OP アンプを使って計装アンプを組むことはできますが、計装ア
ンプを使って OP アンプのような多種多様な目的に向けて回路
を構成することは出来ません。というのも、OP アンプは抵抗、
キャパシタ等の外付け部品による帰還回路を使うことでユーザ
ー自身が特性を変更できますが、一方、計装アンプは機能と動
作ゲインの許容範囲に制約があるからです。OP アンプの動作は
外付け部品により規定されますが、計装アンプでは 1 つの抵抗
か、ピンの選択により動作ゲインを設定します。要望される特
性に特化し、それ以外のパーツは IC 内部のチップ上に構成され
ています。
OP アンプとしてみると“制限”に見えますが、計装アンプとし
てそれはアプリケーションにおける要求精度を十分に満たす
“仕様”となります。
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図 1-2.OP アンプと外部抵抗器による計装アンプ構成
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計装アンプの効果的な使い方
外部で使用する抵抗器の許容誤差は良くて 0.1%程度であり、こ
れでは回路本来の持つ CMR は得られません。その点、計装ア
ンプは製造工程においてレーザ・トリミングされた誤差 0.01%
の薄膜抵抗による IC 内部回路構成となるため、あまり労する事
無く所望の CMR*特性が得られる事となります。
これらの事から、「OP アンプ=計装アンプ」とはならず、両者
の位置付けは根本で異なっているという点が見えてくるかと思
います。
計装アンプの定義と回路構成
計装アンプの定義
計装アンプとは、一対の差動入力端子と、リファレンス入力端
子(Vref)を電位基準とするシングルエンド出力で構成されて
います。ほとんどのデバイスにおいて、外付けとなる 1 つの抵
抗(RG)によりゲイン設定を行えるようになっています。
又、AD8231 や AD825x ファミリーのような、指定デバイスピン
の High/Low 設定においてマイクロ・コントローラー側からデ
ジタル的にゲイン切り替えが可能な計装アンプもあります。
計装アンプはどのようなところで使われるのか
産業用計測アプリケーション制御システムのセンサ~マイコン
間において、安定して精度の高い信号増幅を行う為に使用され
ています。 センサ類、例えばストレイン・ゲージ、ロードセル
(重量計)や圧力トランデューサは、その感度を増加させるため
に、ほとんどの場合ブリッジ型の配置で構成されます。
計装アンプは、このような小さな差動出力(VA - VB)をその入力
にかかる比較的大きなコモン・モード電圧(VEXC ÷ 2)による影
響を受けずに、高精度の測定を要求されるアプリケーションに
用いられます。
図 3-1. 計装アンプ
リファレンス入力は、単電源アプリケーションで使われる電源
電圧の中間電位へのオフセットを持たせること(レベル・シフ
ト)を可能としていますが、その必要が無い場合、リファレン
ス入力端子は必ずグラウンドに接続する必要があります。これ
を怠ると出力が飽和して電源電圧に張り付いてしまうので注意
が必要です。
コモン・モード電圧(CMV)とは?
図 2-1. ブリッジ型センサ出力の計測
他に、コモン・モード電圧を持った各電圧の計測や、熱電対や
電流シャント抵抗間の電圧のような“フローティング”信号源
の測定に計装アンプは最適といえます。
コモン・モード(同相モード)電圧とは、計装アンプの入力両
端に同じタイミングでかかる、望ましくない AC または DC 信
号の事をいいます。 コモン・モード信号は、多くの場合回路か
ら派生するか(Vcm)、あるいは浮遊容量(Cstray)を通して誘
導されて生じます。
図 3-2b. コモン・モード電圧の除去
図 2-2. 熱電対や電流シャント抵抗間の電圧測定
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入力が大きくゆらいだとしても出力はその影響を受けてゆらぐ
事があってはなりません。 入力のゆらぎ、すなわち同相モード
電圧の除去能力が大きいものが良い計装アンプとなります。
この除去能力をパラメータ表記しているものが、同相信号除去
比(Common Mode Rejection Ratio: CMRR)です。
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CMRR は入力の同相モード電圧の変化に対する計装アンプ出力
電圧の変化の比で表されます。(変化=電圧レベルのゆらぎ、
と考えて頂くと分かりやすいかと思います)
入力同相モード電圧の変化:5V
入力に対応した出力電圧の変化:100uV
とすると、
CMRR = 1/50,000
♦3OP アンプ構成の計装アンプ:
古典的かつ最も一般的な構成となる計装アンプです。
長所は、この回路構成における CMR 特性は R1,R2,R3,R4 の抵抗
比マッチングで決まります。又、同相信号は設定ゲインに関わ
り無く、増幅されません。回路図を見ていただくとお分かりい
ただけるかと思いますが、OP アンプの入力端子間がほぼ同電位
となるため RG の両端に同相電圧は発生しません。その為、こ
の抵抗には同相電流が流れない、という理想的な回路構成とな
っています。つまり、抵抗器のマッチングが高くできれば高い
CMR 特性が得られる、という回路構成となっています。
短所としては、この構成としてもディスクリート設計において
は高精度の OP アンプを 3 つ、更には許容誤差が極力少ないカ
スタムマッチされた抵抗器が必要になりますので、求める特性
を得るにはコストがかかってしまうという点が挙げられます。
これを、仕様書上でのパラメータ表記 CMR とすると、
CMR = 20 log CMRR
CMR = 20 log (1/50,000)
CMR = -93.9 dB
パラメータ値は 70dB ~ 100dB 以上が普通で、ゲインアップすれ
ば数値はさらに良くなります。
計装アンプの回路構成
計装アンプにはよく使われる 2 種類の基本的な回路構成があり
ます。 1 つは 2 個の OP アンプを用いたものであり、もう 1 つ
は 3 個の OP アンプを用いたものになります。3 つの OP アンプ
を用いた回路はモノリシック(IC)やディスクリート設計の両方
で最も一般的なものとなります。
図 3-4. 3OP アンプ構成の計装アンプ
♦2 個の OP アンプを使ったディスクリート計装アンプ:
長所としては、2 個のアンプしか使わないという点、入力のプ
ラス(+)およびマイナス(-)の両方共に高い入力インピー
ダンスとなる点があります。
短所は、入力の同相モード電圧範囲がゲインと信号レンジに依
存する(同相モードはアンプ A1 の(R3+R4)/R4 に依存する)点、
V1 入力端子から Vout 出力端子までの信号経路において位相差
が生じ CMR 特性に影響を及ぼす事があります。
♦IC タイプ計装アンプ
3OP アンプ構成の計装アンプをモノリシック IC 化したものです。
話の流れから既にお察しの事かもしれませんがこの IC タイプ計
装アンプこそ、お勧めし得る計装アンプです。
図 3-5. IC タイプ計装アンプ
図 3-3. 2 個の OP アンプを使ったディスクリート計装アンプ
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内蔵される 3 つの OP アンプの良好なマッチングはもとより、
レーザ・トリミングされた許容誤差がとても小さい薄膜抵抗器
が用いられる事により、優れたゲイン精度、CMR 特性を持つ計
装アンプが低コスト・1 チップで実現、提供されます。
現在、IC タイプ計装アンプには、シングル・デュアルチャンネ
ル、プログラマブル・ゲイン機能搭載タイプ、JFET 入力タイプ、
励起電流・Vref 内蔵のブリッジセンサ用途特化タイプ、など
様々なタイプのものがライン・アップされています。
一例として、プログラマブル・ゲイン機能搭載タイプの計装ア
ンプを紹介します。
このデバイスは、A0,A1,A2 の外部ピンの High/Low の組み合
わせにより 1 ~ 128 までのゲインをデジタル的に切り替えができ
る IC タイプ計装アンプです。 A4 の OP アンプは、出力にサレ
ンキー型フィルタを構成したり、出力を差動出力としたい場合
などに使用できるアンプですので、内部的に計装アンプとして
の回路にはからんではいません。
図 3-6. AD8231 回路図とゲイン設定表
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実験:ディスクリートタイプと IC タイプ計装アンプの CMR 特性比較
冒頭でも少しお話しましたが、ノイズの多い環境や大きな同相信号のある環境下において高精度で動作する事が計装アンプに求められる
性能です。産業用計測アプリケーションのみならず通信システムなどを搭載する民生機器などでも RF 信号の干渉等により同相信号干渉
は発生します。 この、計装アンプにおいて特に重要となる同相信号=コモン・モード電圧を除去する能力すなわち CMR 特性が、前述の
ように抵抗比マッチングに大きく依存する事について、IC タイプの計装アンプと 3 つの OP アンプ IC によるディスクリートタイプ計装ア
ンプを使って実験、その依存性について確認を行いました。
実験基板 A:OP07×3 つを用いた
ディスクリート計装アンプ
実験基板 B:IC タイプ計装アンプ AD620
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実装面積の比較
測定条件:
Vs+ = +10V, Vs- = -10V
G = 1 (RG 端子オープン= High-Z)
Vin+, Vin- をショート、同相信号(Amplitude ±4V, Frequency 99.6Hz)入力
R1,R2,R3,R4 に 10kΩ(誤差±0.5%)のチップ抵抗を使用しましたが、実験基板上には手選別した 10kΩを R2,R3,R4 に、9.98kΩを R1 に
マウントしています。
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Graph1:Waveform generator - Line-In 出力値:1.3dB
Graph2:Waveform generator - 実験基板 A - Line-in 出力値:64.8dB
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Graph3:Waveform generator - 実験基板 B - Line-in 出力値:87.3dB
測定結果:
実験基板A(ディスクリートタイプ)
64.8 – 1.3 = 63.5dB
実験基板B(AD620)
87.3 – 1.3 = 86.0dB
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ここで、計装アンプ後段 Subtractor 部における CMR の抵抗比マ
ッチング依存を伝達関数を用いて下記のように計算してみます。
~実験のまとめ~

CMR 特性は抵抗器マッチングに依存しており、ディスク
リートにおいてより高い CMR 特性を得る為には許容誤差
が小さいものが求められる。

抵抗器は許容誤差が小さいもの、つまりは IC タイプ計装
アンプのようにレーザ・トリムされた許容誤差 0.01%以下
となる薄膜抵抗器がベストである。

特性、コスト、実装面積のどの点においても IC タイプ計
装アンプの持つアドバンテージは大きい。
抵抗比による CMRR 算出
実験条件と同じく、Vcm=2V、R1=9.98kΩ、R2=R3=R4=10kΩ
とします。
式1、式2を用いて Vout を算出すると、
Vout=2mV、Vcm=2V で CMR を算出。
上記伝達関数で求められた CMR と実験で得られている数値
63.5dB に近い事から、信頼できそうな実験結果であると考えら
れるかと思います。
又、AD620 測定結果においては、Datasheet Figure.16 ”CMR vs.
Frequency” の 100Hz において 90dB に対して 86.0dB と、これも
近い数値を得られている事が確認できました。 ディスクリート
タイプは、OP07 が 3 つ、その OP アンプ同士のマッチングもさ
ることながら、高い CMR 特性を実現する為には許容誤差が小
さい抵抗器が必要となる反面、IC タイプ計装アンプ AD620 は単
体で高い CMR 特性を得る事ができます。
結果、IC タイプ計装アンプが特性、コスト、実装面積において
大きくアドバンテージを持つ事が分かるかと思います。
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計装アンプの注意すべき点、使い方・ノウハウ
ここでは計装アンプを使用する際の注意すべき点、サポートセ
ンターなどでよく見かける陥りやすい使い方ミスやエラーにつ
いての原因や改善策、転ばぬ先の杖としてのノウハウ等ご紹介
したいと思います。
バイアス電流の帰還経路確保
計装アンプ使用時の注意点として、バイアス電流の帰還経路確
保が挙げられます。
一般的 OP アンプと同様に、計装アンプにおいてもバイアス電流
のグラウンドへの帰還経路を確保する事が重要です。この処置
は完全“フローティング”アプリケーションや、入力が AC カッ
プリングされている場合など、特に重要となります。
このケースの場合、VCM は 4.0V、G×Vsig/2 は 4×0.5=2 とな
りますので、アンプ A2 の出力は 6V、アンプ A1 は 2V となり、
出力は 4V と計算値としては期待値が弾き出されます。
よくある間違い
1.
図 4-2. 各ノード計算式
計装アンプの内部電圧に注意!
計装アンプでは、ゲインは前段の差動部で行い、後段の OP ア
ンプでレベル・シフト、差動信号→シングルエンド変換を行っ
ています。 入力電圧が最大入力電圧範囲内にあるからといっ
て必ずしも正常に動作できないことがあります。 これを回避
するために、特に前段 OP アンプの出力電圧を考慮しておく必
要があります。
一例として AD8231 を用いて上記注意事項について解説したい
と思います。
プラス(+)側 4.5V、マイナス(-)側 3.5V、GAIN = 4 とし
て図 4-1 を動作させる場合、出力に何 V が得られるかを考えま
す。
図 4-3. 計算上の内部電圧は・・・
しかしながら、内部アンプはレール to レール出力ではあります
が電源電圧は 5V なので、アンプ A2 の出力は 5V のレールにお
いて飽和してしまいます。 したがって、実際の出力としては図
4-4 のように 3V しか得られない結果となるわけです。
図 4-1. 出力は・・・?
この図における数値のみで単純計算すると(4.5V – 3.5V)×4 倍の、
出力電圧としては 4V が期待できるかと思います。 しかしな
がら、結論から先に言ってしまうと、実際の出力は 3V しか得
られません。
何故か?
内部前段アンプの出力電圧を図 4-2 に基づいて計算してみまし
ょう。
図 4-4. 実動作における各ノード値と出力結果
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こういった場合の対策としては、
こういった場合の解決策としては、
入力電圧を動作範囲内にシフトして使う。
レイアウトの改善、すなわちライン長などの見直しによりマッ
チングを取り寄生容量を減らす
この段ではゲインを抑えて、後段で増幅を行う。
電源電圧を高くして使う。
端子間にコンデンサを挿入し寄生の影響を最小限にする
デバイスの選択を再考する。
などが挙げられます。
が挙げられます。
3. オフセット電圧の変動
2. データシートのような CMRR 特性が得られない
原因として、計装アンプの入力ピンに到達するまでに同相信号
が劣化してしまっているという事が考えられます。 ソースイン
ピーダンスと寄生容量の組み合わせはローパスフィルタを形成
します。その為、図 4-5 のようなキャパシタンスや抵抗値のミ
スマッチが発生していると考えられるので、各入力ピンでのロ
ーパスフィルタはマッチングされる必要があります。
大きなオフセット電圧やその変動は、特に入力リード線を長く
した場合や、ノイズの多い環境下で発生する事が予想されます。
考えられる原因としては、RF 信号の整流効果が挙げられます。
RF 信号が入力部周辺の寄生接合部分などから DC 電圧成分に変
調される場合や、入力のリード線がアンテナとなって影響を及
ぼす事が考えられます。
解決策としては、図 4-6 赤枠のような RF 帯のフィルタを挿入す
る、入力リード線にツイスト・ペア線を使用しアンテナ効果を
低減させる、シールドを施す、などが挙げられます。又、場合
によってはデバイスそのものの選択を再考する必要性も出てく
るかと思われます。
図 4-6. RF 帯のフィルタ挿入
図 4-5. 入力ライン上のミスマッチ
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計装アンプの動作不良
計装アンプ実用例
電源投入直後などに出力がどちらかのレールに張り付いてしま
う場合、その原因は、入力ピンからのバイアス電流の流れ先が
キチンと設けられてない事が考えられます。 簡易図になります
が AD8231 を例としての対策としては、図 4-7 のように高抵抗を
用いてバイアス電流経路を確保させます。スイッチやマルチプ
レクサを併用する際、これらがオフ状態になる場合にも気をつ
けましょう。
ブリッジセンサ(圧力センサ)
実動作実験として、ブリッジセンサ、計装アンプ(AD8553)、
マイクロ・コントローラー(ADuC7026)を、配線接続。市販
のタッパーを改造し、とりあえずの減圧環境を作成しました。
図 5-1. 実験環境
センサ・アプリケーションにおいて最も注目すべき出力特性
ゲイン温度ドリフト
オフセット温度ドリフト
の 2 点が挙げられます。
センサ・計装アンプを含めた上記特性がどの程度のものである
か、又デジタル的な補正が可能であるか、を実験の目的としま
した。
データ測定において、出力されてくるデータに対する気圧・温
度条件をウォッチする為、タッパー内の気圧・温度測定及びデ
ジタル表示が可能な市販のハンディタイプの大気圧計を使用し
ました。 又、卓上の簡易実験の為、温度条件をきっちりと所望
の温度にキープする事が難しく、表においては温度条件に幅を
持たせての測定、気圧条件においては、市販のタッパーの加圧
方向は難しく、シリンジによる減圧方向のみとなります。
第1章でも一度触れていますが、出力条件は下記になります。
図 4-7. バイアス電流経路の確保
圧力センサ出力値:①Vout+ = 300mV、②Vout- = 292mV
計装アンプ・ゲイン設定値:50 倍
計装アンプ・出力値:③400mV(≒ (300mV – 292mV)×50)、
気圧 1bar 時
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測定データ
温度範囲が 0~50℃と狭い範囲での測定の為、ゲイン温度ドリフ
トが観察しづらいデータとなりましたが、オフセット温度ドリ
フトは比較的差が見られるので、1bar のデータを用いて多項式
補正を行いました(下図参照)。
この補正により、0~50℃で約 15mV の出力差が約 5mV に収め
る事ができました。
オフセット温度補正
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結論として、ADC 後のデジタルデータ補正は可能であることが
確認できました。ブリッジセンサ・アプリケーションは後段に
おけるデジタル補正が必須であり、又、補正レベルはアプリケ
ーションに要求される応答特性・分解能により様々であると実
感しました。
今回はデータ測定・採取、補正までが目的だったのでマイク
ロ・コントローラーを用いていますが、電源ボックス、計装ア
ンプ、可変抵抗器(ブリッジ用)があれば動作確認等の実験は
思うよりも簡単に行えるかと思いますので、計装アンプ入門と
して計装アンプ+圧力センサの実験をお勧めしたいと思います。
民生機器への圧力センサ搭載に合わせて、ブリッジ型センサ用
途に 特化した、 励起電流源 内蔵タ イプの低価 格計装アンプ
AD8290 などもライン・アップされるようになってきています。
まとめ
高性能・高精度を要求される産業用途の計装アンプですが、実
際は幅広いアプリケーションにおいても有用なデバイスです。
今後、外付け部品点数の削減を求められるハンディ・アプリケ
ーション等、様々なセンサ用途に合わせて計装アンプが採用さ
れる機会も増えてくると思いますので、是非一度動作・特性等
に触れてみてください。
参考・引用文献・ソフトウェア
1.
CQ 出版;トランジスタ技術 SPECIAL, センサ活用ハンドブ
ック
2.
CQ 出版;OP アンプ大全第 2 巻, OP アンプによる信号処理
の応用技術
3.
Analog Devices Inc.;A Designer’s Guide to Instrumentation
Amplifiers 3RD Edition
4.
Analog Devices Inc.;AN-244 アプリケーション・ノート, IC
計装アンプのユーザ・ガイド
5.
Analog Devices K.K;2007 アナログ技術セミナー資料
6.
Analog Devices Inc.:AD8231 Datasheet Rev.A
7.
音声スペクトルアナライザーソフト「WaveSpectra」v1.20
AD8290
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