第19日リバーフロント研究所報告会
(2011年9日2日開催)
「多自然川づくりの先駆的技術の
導入支援」について(小野幹夫)
6.「多自然川づくりの先駆的技術
の導入支援」について
河川・海岸グループ
河川
海岸グ
プ
研究員 小野幹夫
財団法人 リバーフロント整備センター
1.はじめに
ポイントブック
∼河川改修時の課題と留意点∼
多自然川づくりを進めていく上でのポイントとな
る事項と特に留意すべき事項
ポイントブックⅡ
∼川の営みを活かした川づくり∼
中小河川における河道の平面・縦横断形の設定
方法
(基本的な川の形を決める具体的な考え方)
残された課題
「河岸・水際部の計画・設計」に関して、現時点で技術的知見が十分
蓄積されていない分野も含めて調査・研究を行った。
財団法人 リバーフロント整備センター
http://www.rfc.or.jp/
1
第19日リバーフロント研究所報告会
(2011年9日2日開催)
「多自然川づくりの先駆的技術の
導入支援」について(小野幹夫)
1.はじめに
場 所
内
容
河 岸
河道の側岸に対応するのり肩からのり尻までの範囲
水際部
水際(陸域と水域との境界)から陸域側には日常的な水位変動の影響を受ける範
囲を、水域側には水域近傍の植物及び地形の影響を受けて水理特性・環境特性
が変化する範囲
河岸域
(河岸・水際部)
河岸・水際部の全体を指す。また、河岸と水際との間に空きがある場合、河岸域
の範囲としてはこの空間も含めて河岸域とする
河川の平常時の流路で水深が他の部分に比べて相対的に深く、川の流れの方向
に縦断的に連続した河床の最深線である
みお筋
河岸域
(河岸・水際部)
河岸域(河岸・水際部)
河岸
河岸
水際部
みお筋
水際部
河岸・水際部の説明
財団法人 リバーフロント整備センター
2.河川全体を計画・設計するという多自然川づくりの考え方
河道計画の検討にあたっては、「現在良好な河岸・水際部やみお筋は保全する」、「川の働きを
許容する空間を確保する」、「川の連続性を確保する」ことを可能とするような平面形、縦横断
形を設定することが必要である。【技術基準を踏まえた記述】
河岸 水際部を掘削する場合 も、侵食対策 ため 護岸を設置する箇所は必要最小限 す
河岸・水際部を掘削する場合でも、侵食対策のための護岸を設置する箇所は必要最小限とす
る。【技術基準を踏まえた記述】
護岸を設置しない箇所については自然な変化をもつ河岸・水際部を形成させることを基本とす
る。【技術基準にはないが必要な知見の記述】
護岸を設置する場合でも、川の営力により自然な変化を持つ河岸 水際部を形成させることが
護岸を設置する場合でも、川の営力により自然な変化を持つ河岸・水際部を形成させることが
重要である。 【技術基準にはないが必要な知見の記述】
設置した護岸が露出する場合には、護岸に当該箇所の河岸・水際部が有する環境上の機能を
確保し、周辺に馴染んだものとするなど、護岸設置箇所の周辺を含めて配慮することが必要で
ある。 【技術基準を踏まえた記述】
多自然川づくりの思考の流れ
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2
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「多自然川づくりの先駆的技術の
導入支援」について(小野幹夫)
3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
河岸・水際部の計画・設計にあたり、治水機能に加え、河岸・水際部が本来有する環境上の機
能を十分発揮するためには、以下のポイントが重要である。
[ポイント1] 河岸・水際部の計画・設計における護岸の位置付け
(→河岸・水際部と護岸を区別する)
[ポイント2] 縦断的・横断的に自然な変化を持つ河岸・水際部の形成
(→自然な河岸・水際部の形成を目標とする)
[ポイント3] 護岸設置の必要性の慎重な判断
(→護岸の設置箇所は必要最小限にする)
[ポイント4] 護岸を設置する場合の設計上の留意点
(→河川環境の機能が代替できるよう工夫する)
「研究所報告書」を訂正致します
「研究所報告書
を訂 致します
(最後に説明します)
多自然川づくりのポイント
[ポイント5]河畔樹木の保全または植樹
(→積極的に検討する)
[ポイント6]都市河川での多自然川づくりの考え方
(→制約がある中で川づくりのステップアップを検討する)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント1
河岸・水際部の計画・設計における護岸の位置付け
(→河岸・水際部と護岸を区別する)
「河岸」:土砂・礫等の自然素材で構成されており、流水作用(浸食、運搬、堆積)によって変化す
る。⇒川本来の形であり、動植物の生息・生育環境の豊かさである
「護岸」 治水上の観点から河岸の浸食対策(堤内地防護)として設置
「護岸」:治水上の観点から河岸の浸食対策(堤内地防護)として設置
護岸=河岸
河岸
護岸
護岸≠河岸
河岸
護岸
「河岸」と「護岸」の区分
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3
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導入支援」について(小野幹夫)
3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント1
河岸・水際部の計画・設計における護岸の位置付け
(→河岸・水際部と護岸を区別する)
「河岸」:土砂・礫等の自然素材で構成されており、流水作用(浸食、運搬、堆積)によって変化す
る。⇒川本来の形であり、動植物の生息・生育環境の豊かさである
「護岸」 治水上の観点から河岸の浸食対策(堤内地防護)として設置
「護岸」:治水上の観点から河岸の浸食対策(堤内地防護)として設置
「河岸・水際部」と「護岸」を
河岸
区分した上で、
護岸は河岸の一部
として計画・設計する 護岸
護岸=河岸
護岸≠河岸
河岸
護岸
「河岸」と「護岸」の区分
財団法人 リバーフロント整備センター
3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント2
縦断的・横断的に自然な変化を持つ河岸・水際部の形成
(→自然な河岸・水際部の形成を目標とする)
川は、本来、流水の働きによって縦断的・横断的に自然な変化をもつ。良好な
自然状態の河岸・水際部では・・・・・・・・・
平面的には、淵と淵を結ぶみお筋は蛇行流
路に沿って左右に移動し、必ずしも河道の
中心にあるわけではない。
縦断方向で見ると、瀬・淵が連続し、凸凹し
た形状をしており、良好な自然状態の川の
形状は、変化に富んでいる。
状
変
富
る
湾曲部の外岸側では淵が形成され、内岸
側は土砂が堆積するなど浅い流れとなる。
蛇行河川の平面・縦断・横断形
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「多自然川づくりの先駆的技術の
導入支援」について(小野幹夫)
3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント2
縦断的・横断的に自然な変化を持つ河岸・水際部の形成
(→自然な河岸・水際部の形成を目標とする)
川は、本来、流水の働きによって縦断的・横断的に自然な変化をもつ。良好な
自然状態の河岸・水際部では・・・・・・・・・
平面的には、淵と淵を結ぶみお筋は蛇行流
河岸・水際部は、最初から
路に沿って左右に移動し、必ずしも河道の
中心にあるわけではない。人の手で「形造る」ものでは
なく、川の営力により 自然な変
化をもつ河岸・水際部
縦断方向で見ると、瀬・淵が連続し、凸凹し
た形状をしており、良好な自然状態の川の
を形成させる下地を作ることが
を形成さ
る下地を作る
形状は、変化に富んでいる。
状
変
富
る
重要である
湾曲部の外岸側では淵が形成され、内岸
側は土砂が堆積するなど浅い流れとなる。
蛇行河川の平面・縦断・横断形
財団法人 リバーフロント整備センター
3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント3
護岸設置の必要性の慎重な判断
(→護岸の設置箇所は必要最小限にする)
護岸設置の必要性検討フロー
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント3
ア)周辺の土地利用状況等から、河岸防御を行う必要性が低いと考えられる箇所
堀込河道では河岸が侵食されて崩壊すると堤内地にも被害が及ぶ可能性があるが、河
岸の背後に隣接する資産が無ければ、河岸防御する必要性が低いと考えられ、特に背後
地が公共の空き地や緑地の箇所が挙げられる。
背後地が山付部であり河岸防
御の必要性は低い
対岸は農地、民家、道路があり
河岸防御が必要
山付部は河岸防護を行う必要性が低いと判断し切土のみにした事例(元町川:岩手県)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント3
イ)現状が自然河岸であって、既往洪水によって侵食が大きく進行した様子が無く、改修後の河道
条件下でも河岸に働く外力を増大させる方向での流水の作用の変化が想定されない箇所
過去 洪水 お
過去の洪水において、河岸全体の状況を見て削られていないことが確認される箇所では、
、 岸 体 状況を見 削
な
確認
箇所
、
今後も流水の作用により侵食される可能性は小さい。
ただし、侵食は、交互砂州の下流への移動に伴って、徐々に下流に移る場合もあるため、
侵食の移動性を加味して上下流の一連区間を見渡してもなお河岸が全体として削られにくい
ことを確認する必要がある。
過去の洪水において、河岸全体の状況を
見て削られていないことが確認される箇
所では、今後も流水の作用により侵食さ
れる可能性は少ない。
河岸の木が大きく育っていることか
ら、長年侵食されていない河岸であ
ることが分かる。
洪水時の水位
植生
平水時の水位
自然河岸
堆積域形成
過去の洪水において、河岸が全体の状況を見て削られていないことが確認される箇所の事例(市野川:埼玉県)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント3
ウ)現状が岩河岸で侵食が急激に進行する恐れのない箇所
河岸が強固な岩河岸等で構成されている場合には、扇状地や自然堤防帯においても、
当該区間で生じる流水に対する侵食の可能性は限りなく小さくなるのが一般的であり、多く
の場合護岸の必要性が極めて小さい。
ただし、外見上岩河岸に見える場合でも、軟岩等の場合には侵食することがあるなど無
条件で護岸が不要であるとは必ずしも言えないため、必要に応じて侵食に対する確認を
行っておく。
河岸が強固な岩河岸等で
構成されている場合には、
多くの場合護岸 の必要性
は極めて小さい
は極めて小さい。
洪水時の水位
岩盤
平水時の水位
現状が岩河岸で侵食が急激に進行する恐れのない箇所の事例
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント3
エ)川幅が局所的に拡大し死水域となる箇所
死水域では、流速が低下することから、侵食を受けにくい。
死水域では、河岸は浸
食を受けにくい。
川幅が局所的に拡大し死水域となる箇所の事例
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント3
オ)湾曲部内岸側等の水裏部で河岸を十分な高さで覆うような寄州の発達が見られ、その状
況が規模の大きな洪水によって変わらないと想定される箇所
水裏部では、流砂によって砂が堆積し、水深が小さくなることを主な原因として、侵食を受
けにくい。
ただし、湾曲部は洪水の規模が大きくなると主流の位置がずれ、今まで堆積していた内
岸側の一部が侵食を受けたり、流速が早くなる側にシフトしたりする場合がある。特に湾曲
部の入り口はそういう傾向が強いことが過去にも観察されているため、洪水の規模が大き
くなった場合でも、内岸側に砂州が形成される場所かどうか確認する必要がある。仮に、洪
水の規模が大きくなった場合に水衝部的になる場所では、護岸が一定区間で必要である
水裏部で前面には砂州(寄州)が形
成されている。
ただし、線形と河道特性によっては
主流が走る場合もあるため、そういう
点についてもチェックし適性に護岸
の範囲を検討する。
内岸側等の水裏部の寄州の状況が規模の大きな洪水によって変わらない箇所の事例(境川:神奈川県)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント3
カ)改修後の代表流速が1.8m/s以下の箇所
改修後の洪水時の流速を推定し、河岸・水際で植生が回復した場合や礫等で覆われて
いる場合は代表流速1.8m/sで侵食される可能性が小さい。しかし、水際部でも水深や河床
材料等によっては植生が生えることが期待できない箇所があり、そのような箇所は裸地とし
て残ることとなり、場合によっては侵食の可能性がある。
流速が遅いため、堤防に護岸は
設置せず、張芝とした。
・洪水時流速:約1.0m/s
洪水時流速 約
/
・堤防の比高差:3∼5m程度
流速から判断して護岸を設置していない事例(長田川:愛知県)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント3
キ)河岸防護が必要な箇所であっても、水制の設置その他の代替策を適用する方が良いと判
断される箇所
水制は、洪水時の流心を河岸から遠ざけ、河岸への外力を低減する効果が期待される。
また、水制と水制の間は入り江状になり、堆積作用が働く場合が多い。通常では護岸整備
また
水制と水制の間は入り江状になり 堆積作用が働く場合が多い 通常では護岸整備
が必要とされる箇所でも、水制による河岸防護が有効と判断される場合は、護岸に代えて
水制工を設置することを検討する。
低水河岸に水制工を設置した事例(矢作川:愛知県)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント3
キ)河岸防護が必要な箇所であっても、水制の設置その他の代替策を適用する方が良いと判
断される箇所
水制は、洪水時の流心を河岸から遠ざけ、河岸への外力を低減する効果が期待される。
また、水制と水制の間は入り江状になり、堆積作用が働く場合が多い。通常では護岸整備
また
水制と水制の間は入り江状になり 堆積作用が働く場合が多い 通常では護岸整備
が必要とされる箇所でも、水制による河岸防護が有効と判断される場合は、護岸に代えて
水制工を設置することを検討する。
河岸域の河道特性を踏まえ
護岸の設置箇所は
必要最小限にする
低水河岸に水制工を設置した事例(矢作川:愛知県)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
護岸を設置する場合の設計上の留意点
(→河川環境の機能が代替できるよう工夫する)
(1)まず、護岸を河岸の背後に控えて設置し、環境上の機能を回復させることを検討する
(2)次に、護岸が露出する場合には、護岸に河川環境機能を代替えさせることを検討する
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(1)護岸を河岸の背後に控えて設置
1)護岸前面の河岸の洪水に対する挙動について
護岸前面の自然素材の河岸については 現時点では洪水時の土砂の挙動(流出 堆
護岸前面の自然素材の河岸については、現時点では洪水時の土砂の挙動(流出、堆
積)について普遍的な技術が確立していないため、洪水時の土砂の挙動について十分
に検討する。
そこで
護岸前面の土砂が治水上の支障とならないために、以下の可能性を実際上十分小さくして
おくことが必要である。
a) 護岸前面の河岸が大規模に侵食され、移動する事象が起こる可能性の存在
b) 護岸前面の全面的な河岸侵食・流出が治水機能に有意な影響を与える可能性
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(2011年9日2日開催)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
■(1)護岸を河岸の背後に控えて設置
1)護岸前面の河岸の洪水に対する挙動について
a) 護岸前面の河岸が大規模に侵食され、移動する事象が起こる可能性の存在
セグメント1、M及びセグメント2ともに、現状と同等の粒度の材料を用いることが基本
想定事象1 自然堤防帯(セグメント2)で、現状と同等の材料を用いているが、たまたま施
工完了からの経過時間が短い状態で洪水が発生し、植生生育が十分でなく、
全面的な河岸侵食、流出が生じる。
※川底の材料と現状の河岸材料とは通常異なる
想定事象2 扇状地(セグメント1、M)あるいはそれと河道特性を同じくする区間で、河床
の主材料よりも相当程度粒径の小さな材料により埋め戻しが行われたため
の主材料よりも相当程度粒径の小さな材料により埋め戻しが行われたため、
全面的な河岸侵食が生じる。
※河岸材料が川底の材料と同じ粒径の石礫(石ころ)で構成されている場合が多い
想定事象3 ある程度の掘削を伴う河道設計を行う場合に、河床縦断形変化(低下)やそ
れに伴う流速変化(増大)により、結果として、想定外の全面的な侵食が生じ
る。
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
セグメント2の場合
堆積物が下流へ流出する。
■(1)護岸を河岸の背後に控えて設置
1)護岸前面の河岸の洪水に対する挙動について
a) 護岸前面の河岸が大規模に侵食され、移動する事象が起こる可能性の存在
洪水により上部が侵食
セグメント1、Mの場合
され、下部に堆積する。
セグメント1、M及びセグメント2ともに、現状と同等の粒度の材料を用いることが基本
想定事象1 自然堤防帯(セグメント2)で、現状と同等の材料を用いているが、たまたま施
工完了からの経過時間が短い状態で洪水が発生し、植生生育が十分でなく、
全面的な河岸侵食、流出が生じる。
※川底の材料と現状の河岸材料とは通常異なる
想定事象2 扇状地(セグメント1、M)あるいはそれと河道特性を同じくする区間で、河床
の主材料よりも相当程度粒径の小さな材料により埋め戻しが行われたため
の主材料よりも相当程度粒径の小さな材料により埋め戻しが行われたため、
全面的な河岸侵食が生じる。
※河岸材料が川底の材料と同じ粒径の石礫(石ころ)で構成されている場合が多い
想定事象3 ある程度の掘削を伴う河道設計を行う場合に、河床縦断形変化(低下)やそ
れに伴う流速変化(増大)により、結果として、想定外の全面的な侵食が生じ
る。
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(2011年9日2日開催)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(1)護岸を河岸の背後に控えて設置
1)護岸前面の河岸の洪水に対する挙動について
b) 護岸前面の全面的な河岸侵食・流出が治水機能に有意な影響を与える可能性
河岸を構成する土砂の侵食と移動が生じても、以下の場合には治水上の問題はない
●厚い河岸を前面に持たせた護岸設置区間が短かい。
●それが長くとも流送された土砂が堆積するような区間が当該区間及び下流に存在しない。
●さらには、堆積が生じてもその区間の流下能力に十分な余裕があり、流下能力の縦断変
化パターンという観点からも問題ない。
例えば、下流ですぐ河口になる場合
直下流で規模がはるかに大きい河川にすぐ合流する場合
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(1)護岸を河岸の背後に控えて設置
2)先進的な施工事例
元町川:岩手県
みお筋の線形との
擦り合わせに注意
する。
5分の護岸は背後に控え、前面
は緩勾配(2割)の土砂で河岸
を構成している。
のり面が平坦とならないよう
に河岸形状に縦断的、横断的
な変化を与えている。
河岸のライン
1:2.0
1:0.5
控え護岸ライン
河岸を構成する土砂には、現地
発生材を用いている。
約1年後
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(1)護岸を河岸の背後に控えて設置
2)先進的な施工事例
真駒内川:北海道
改修前
護岸
自然河岸・水際域
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(1)護岸を河岸の背後に控えて設置
2)先進的な施工事例
牛津川:佐賀県
2002.10 工事着手
2003.9
(施工後約半年)
2003.2
2007.4
覆土完了
(施工後4年)
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(2)護岸が露出する場合の設計
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(2)護岸が露出する場合の設計
■護岸素材の明度、彩度、テクスチャー(質感)
護岸は、周辺の景観に対して明るすぎず、周辺から目立たない方がよいが、その表
情は 素材の明度 彩度 テクスチャ で決まる
情は、素材の明度、彩度、テクスチャーで決まる。
なお、護岸全体の明るさについては、素材そのものが持っている明度のほか、テクス
チャーによる陰影によっても明度が低くなるため、護岸選定にあたっては、両方の性
質を考慮して選定する必要がある。
※彩度は、故意に色づけしなければ問題とならない
明度
明るさを示すものであり、設置したばかりのコンク
明るさを示すものであり
設置したばかりの ンク
リートブロックの色は白く、明度は9∼10と高い。また、
古くから護岸材として用いられてきた自然石の明度
は低く、土木研究所の研究によると、3∼6の範囲に
あることから、周辺から目立たないようにするには、
コンクリートブロックを用いる場合でも明度は6以下
が望ましい。
自然素材の明度と彩度
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(2)護岸が露出する場合の設計
テクスチャー
材料 持 視覚
材料が持つ視覚的・触覚的な感じのことをいう。材料の表面の色や明るさの均質さ、触覚的な強
触覚 な感
を う。材料 表面
明
均質 、触覚 な強
弱を感じる凹凸など、材料を全体的にとらえた特徴、材質感覚、効果を表す。そのため、表面の肌
理が粗い(ざらざらしている)と、護岸全体としてみたときに、陰影ができる。
空石積み
玉石積み(空石)
間地石(空石積み)
表面仕上げ
間地石(谷積み)
特殊型枠を用いた例
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(2)護岸が露出する場合の設計
①通常のコンクリートブロック
②明度の低いコンクリート(ポーラス)
・色は白に近い
・色はグレーに近い
・明度は10に近く周辺の景観に
対して明るい
・表面はざらざらしている
・表面はつるつるしている
・ブロックの形状による陰影(自
然的な陰影ではない)
・骨材が露出している
・陰影が細かい(明度が低い)
・明度は5程度(推定)であり、②に比
べ周辺から目立たない。
③自然石(間知石)
・色は茶色に近い(地域で古くから使
用されてきた石材:地域の色)
・表面が凹凸している(立体感)
・表情が豊かである
・明度は5程度(推定)で②と変わらな
いが、表面のテクスチャーにより周
辺に馴染んでいる。
護岸の事例写真
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3.河岸・水際部の計画・設計のポイント
ポイント4
(2)護岸が露出する場合の設計
①通常のコンクリートブロック
②明度の低いコンクリート(ポーラス)
・色は白に近い
・色はグレーに近い
・明度は10に近く周辺の景観に
対して明るい
・表面はざらざらしている
・表面はつるつるしている
・ブロックの形状による陰影(自
然的な陰影ではない)
③自然石(間知石)
・色は茶色に近い(地域で古くから使
用されてきた石材:地域の色)
まず、護岸は河岸の背後に控えて ・表面が凹凸している(立体感)
・骨材が露出している
設置することを考え、
・表情が豊かである
・陰影が細かい(明度が低い)
(洪水時の土砂の挙動の確認が前提)
・明度は5程度(推定)で②と変わらな
・明度は5程度(推定)であり、②に比
いが、表面のテクスチャーにより周
次に、護岸が露出する場合には護岸に
べ周辺から目立たない。
辺に馴染んでいる。
河川環境機能を代替えさせることを考える
護岸の事例写真
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4.河岸・水際部及び護岸を計画・設計する際の検討の流れ
①自然な河岸・水際部の形成を目標
とする
河岸・水際部の自然環境が良好な場合は、
改修の影響を回避し保全を行うことが可
能か、河道計画の段階で検討する。
②護岸設置の必要性を慎重に判断し
、護岸は必要最小限の範囲とする
護岸は、流水の外力や河岸の耐力、河道
の形状等を考慮し、設置の必要性を慎重
に判断したうえで、必要最小限の箇所とす
る。
③保全した河岸や掘削したのり面を
そのまま存置する
拡幅のため河岸・水際部を掘削する場合
でも、掘削のり面をそのまま存置し、侵食・
堆積等の川の営力や植物の生育により、
自然な河岸・水際部を自然に形成させる
方法を検討する。
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第19日リバーフロント研究所報告会
(2011年9日2日開催)
「多自然川づくりの先駆的技術の
導入支援」について(小野幹夫)
4.河岸・水際部及び護岸を計画・設計する際の検討の流れ
④護岸はできるだけ河岸の背後に
控えて設置する
まず 護岸は河岸の背後に控えて設置し
まず、護岸は河岸の背後に控えて設置し、
その前に土砂、礫等の自然素材の河岸が
形成されるよう検討することが望ましい。
⑤護岸が露出する場合には環境上の
機能に配慮する
護岸の素材が周囲と調和した明度、彩度、
テクスチャーを有し、護岸のり肩、水際線
等の境界が目立たず周囲と調和するよう
工夫することが望ましい。
また、水際及び背後地を重要な生息空間
とする生物が分布している場合は、のり面
に生息・生育空間・移動経路としての機能
を持つことなど、できる限りの工夫すること
が望ましい。
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5.多自然川づくりのポイント
ポイント1
効果
河畔樹木の保全または植樹(→積極的に検討する)
z河畔林は、魚類にとっての緑陰や落下昆虫の供給、あるいは鳥類の営巣、両生類や
爬虫類の休息場所等を確保する役割を持つ。
z河畔林によって河床に到達する日射が抑制され、その部分の植生の繁茂が抑えられ、
河道内植生の維持管理が容易になる。
z都市部では河畔林は貴重な緑であり、精神的な安息・充足をもたらす働きがあり、ま
た、日陰は、散歩などを快適に行うことができる空間となる。
対策
良好な河畔林は、平面形や横断形の見直しや片岸拡幅などにより保全することを基本
とし、保全できない場合には、スペースを確保して復元したり、河道内死水域に植樹を
するなど次善策を講じることが重要である。なお、その際、洪水に対する安全性、樹木
の管理体制、流木対策等についても検討する必要がある。
修景前
修景後(15年後)
護岸天端部に植樹した事例(いたち川:横浜市)
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導入支援」について(小野幹夫)
5.多自然川づくりのポイント
ポイント2
都市河川での多自然川づくりの考え方
(→制約がある中で川づくりのステップアップを検討する)
地方河川
(主に)
土地の制約が比較的少ない地方河川では河道拡
幅による河道改修(多自然川づくり)が可能で、河
床幅を広くとり、護岸の前面に河岸を設置すること
を検討できる。
都市河川
都市河川ではのり勾配5分の護岸を設置すること
でかろうじて流下断面を確保できる河川が大半で
ある。
⇒現地によって土地などの制約がある場合に
は、その場その場で多自然川づくりを工夫す
ることが重要である。
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5.多自然川づくりのポイント
ポイント2
都市河川での多自然川づくりの考え方
【治水機能の十分な確保が前提】
(→制約がある中で川づくりのステップアップを検討する)
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「多自然川づくりの先駆的技術の
導入支援」について(小野幹夫)
5.多自然川づくりのポイント
ポイント2
ステップ4
都市河川での多自然川づくりの考え方
【治水機能の十分な確保が前提】
(→制約がある中で川づくりのステップアップを検討する)
河道改修時に残る旧川敷きや残地、または沿川の公園・緑地等の公共用地など
を取り込むことによって、部分的に広い空間を確保し、川幅(河床幅)に変化を与
える。
流下能力上
必要な川幅
現況河道の平面形
A
A
一律の川幅にせず、川
幅を広く確保できる箇所
は広く確保する
旧川敷きを活用した事例
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5.多自然川づくりのポイント
ポイント2
ステップ5
都市河川での多自然川づくりの考え方
【治水機能の十分な確保が前提】
(→制約がある中で川づくりのステップアップを検討する)
ショートカット区間で旧河道と計画河道の間の土地等まとまった空間が確保でき
る場合には、河道を中心とした水辺拠点として整備する。
水辺拠点の整備事例
(いたち川稲荷の森の水辺:神奈川県)
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6.おわりに
本調査・研究においては、「多自然川づくり研究会」の委
員の皆様、国土交通省河川局の方々より数多くのご助
言とご協力を賜りました 心より厚く御礼申し上げます
言とご協力を賜りました。心より厚く御礼申し上げます。
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「多自然川づくりの先駆的技術 の導入支援」について