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資産選択理論の基本的構造
書 間 文 彦
目 次
はじめに
I 資産選択理論の主題
皿 選好基準と無差別幽線
皿 有効ポートフォリオと均衡ポートフォリオ
w 安全資産(貨幣)と資産選択
一分離定理と絶対的および相対的危険回避度一
付論 キューソ・タッカー(Kuhn−Tucker)の条件について
は じ め に
トービソ(J.TObin)が,ケイソズの『一般理論』のなかで示された流動性
選好理論を明確化することによって,その端緒を与えたr資産選択の理論」
(Theo・y of Portfolio Selection)は,それ以降多くの学老によって,一層精綾化
され,彫琢されて,今日では相当程度ととのったひとつの体系をもつ理論に発
展してきている。ωそこで用いられる分析手法は,後にみるように,消費者需
要理論のそれと,本質的には同一のものである。このことぽ価格理論の適用可
能性の広さを示しているといえる。また,これを金融論の立場からみるならぼ,
これまで経済理論と一応切り離されて考えられがちであった金融論を,経済理
論の枠内で再認識し,いう淀らば,金融論の徴視的な理論的基礎を与えようと
するものであるといえる。(2〕これによって,金融論の理論的発展の可能性はき
わめて豊かなものになると考えられる。
このように,資産選択理論は金融論の徴視的な理論的基礎を与えようとする
工195
72
点において,ひとつの意義を十分見出すことができる。しかし,もうひとつの
貢猷は,経済理論のなかに,不確実性というものを明示的な形で導入したこと
である。不確実佳というものが,金融現象だげでなく,経済現象一般にも当然
存在することを考えれば,資産選択理論が不確実性を理論的にとらえるひとつ
の方途,ないしはその可能性を示したことは,今後の経済理論全体の発展にな
んらかの貢献をしたといえよう。
ひるがえって,資産選択理論それ自身をながめれば,かなりととのった理論
になっているが,経済理論としての発展の可能性は十分にあるといえる。その
例をいくつかあげれば,多期閻分析への拡張,資産選択行動と消費(貯蓄)行
動との理論的統合,資産市場の一般均衡分析,資産選択理論による貨幣需要の
分析の充実化,不確実性の概念の拡充などが考えられる。倒 これらの問題のい
くつかについては,すでに研究がなされている。
しかし,これらの発展にむかうためには,何よりもまず,資産選択理論の基
本構造を,できる限り確実に理解しておかなげればならない。本稿は,そうし
た意味から,今日の資産選択理論の基本的な構造を明らかにしようとするもの
である。
注
(1) トービンの先駆的な論文は[13]である。また,資産選択理論の端緒そのものを
論ずるならぱ,「貨幣理論における限界革命」を主張Lた,ヒックス[5]もあげね
ぱなら次いだろう鉋
(2) これについては,もちろん、バティンキンやガーリー’ショウの貢猷もあげねば
ならない。たとえぱ,バティンキンの二分削こ関する諸論文や[12],ガーリー・
ショウの[3コなどがある。
(3) これについては,[17]64∼68ぺ一ジ,[16コ67∼94ぺ一ジ参照。
I 資産選択理論の主題
ここでは,資産選択理論の主題を明らかにし,かついくつかの基本的な前提
について言及する。
1196
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さて,ある一定の額の富を有する経済主体は,その富を多種多様な資産に配
分して保有しているのが一般的現象であろう。その富の保有形態ぱ,経済主体
が富を将来どのような目的で使用するかによって,そしてまた,その将来の目
的が実現されるまでの経過時聞の相違によって,ある程度制約をうけるであろ
う。ω
しかし,そうではあっても、将来の目的の実現期目がくるまで,経済主体は
自己の保有する富を適切に運用することによって,その価値をできる隈り増大
させようとするであろう。より正確にいうならば,経済主体は自已の富を適切
に運用することにより,富の保有から得られる満足度(効用)を最大にしよう
とする。資産選択理論はこの意味での資産運用をその主要な問題とする。すな
わち,資産選択理論は,ある一定期間後に自己の保有する富から得られる効用
を最夫化しようとする経済主体が,その期間中富をどのような資産形態で保有
しようとするかを分析する。
ここでは,富の将来の使用目的およびその時期に関する問題はとりあげない
ことにする。(2〕また,富の源泉である貯蓄行動についても言及しない。{訓そし
て,ここで取り扱う資産は,一応金融資産に限定しておくことにする。
まず,将来が完全に予見される世界におげる資産選択行動を考えより4,こ
の時の資産選択行動は単純明決である。この場合,経済主体は禾胴可能な多く
の資産のなかで,その予想収益率(資本利得および損失も含まれる)の最も高い資
産に自己の富全部を投下するであろう。しかし,ここでは将来が完全に予見さ
れず,っねに何らかの不確実性が伴なうものとしよう。それがより現実的であ
ることは言をまたず明らかである。
そこで,資産選択理論におげる不確実性の意味を明確にしよう。賛産選択理
論における不確実性とは,資産選択行動に参加する経済主体は,彼が利用でき
るすべての資産について,その将来価値の確率分郁1を想定しているというこ
とである。すなわち,彼は諸資産の将来価値がどのようた確定値をとるかにつ
1197
74
いて完全に予見できないが,それらの確率分布については確実に知っていると
考えるのである。もちろん,それらの確率分布は各人の不完全な予想にもとづ
くものであるから,各人によって異なる,いわぱ主観的な確率分布であるとい
えよう。以上,資産選択理論の主題と,経済主体に関する基本的な前提の一部
を説明した。
つぎに、資産市場の諸前提について論ずる。まず,ここで取り扱う資産は,
その将来価値がつねに何らかの不確実性を伴なうという意味でr危険資産」で
ある。もちろん,その将来価値が確実であるという意味で「安全資産」もない
わげではない。その重要な例として,貨幣をあげることができる(もちろん,こ
の場合,物価水準は一定とされる)。安全資産としての貨幣は後に論ずることにす
る。
さて,ここでは資産市場は完全市場であるとしよう。もちろん,経済主体の
行動の場が,上述したように完全予見ではないのであるから,通常の意味での
完全市場とば異なる。ここでいう完全市場とは,次の三条件をみたす市場のこ
とである。脆〕
(i)完全流動性(full liquidity)
なんらの遅滞もたく,その時の市場価値通りに当該資産を換金できること。
(ii)完全可逆性(perfect reversibility)
どのような時でも,売手に対しても買手に対しても,同一の価格で売買でき
ること。{7]
(iii)完全分割性(complete divisibility)
どんなに少額であっても,売買可能であること。
すなわち,完全な資産市場においては,すべての利用可能な資産は,(i)の
意味で完全に流動的であり,敢引費刷割や租税は存在したいものとされ,どん
なに少額であっても売買可能である。そしてさらに,ここでは完全競争が支配
しており.各資産の市場価格は各経済主体にとって与件であるとする。童た,
l198
75
経済主体は借入れを行なわないと仮定しよう。
つぎに,経済主体はどのような基準で,保有資産の組合せの望ましさを判断
するかということを明確にしなければならない。これは,正確にいえば,資産
選択行動におげる選好関数,すなわち効用関数を規定することにほかならない。
経済主体が富の保有から得られる効用を最大にするためには,その将来価値が
平均的にみて最も高くなるような資産に富全部を投下して,一定期聞後に得ら
れる富の価値を最大にしようとするかもしれない。しかし,多くの経済主体は
そのような行動はとらないのが普通であろう。というのは,彼らぱ,平均的に
みた富の将来価値の大小とともに,その値が実現しない場合をも考慮して資産
選択をするのが普通と考えられるからである。すなわち,ある資産選択から結
果する富の将来価値がどのように高いものであっても,その値が実現しなかっ
た時の値のバラツキが大きいと考えている経済主体は,そうした資産選択行動
をとることを少たくともちゅうちょするであろう。いいかえれぼ,一般的にみ
て,経済主体は資産選択行動によって与えられる資産の組合せについて,その
収益性とともに危険性を考慮して,その望ましさを判断するといえよう。
以上のことを考慮して,現代の資産選択理論には,選好基準に対する考え方,
すなわち,効用関数を規定する方法に二通りのものがある。
(1)いわゆる,2パラメーター・アプロLチといわれるもので,富の将来価値
の確率分布(各資産の将来価値が確率変数値1と考えられているから,それから構成され
る富の将来価値もまた,ひとつの確率変数である)の平均値(すなわち,数学的期待値)
と標準偏差という,2つのパラメーターを変数としてもつ序数的効用関数を考
えるものである。ω富の将来価値がある確率分布で示される時,経済主体は,
そのなかで平均的な値(数学的期待値)をひとつの目安にして行動すると考え
てよいであろう。これは収益性を示す変数として考えることができる。一方,
標準偏差は確率分布の中心(期待値)からのバラツキの程度を示す。富の将来
価値の確率分布は,上述したように,いわぼ主観的な確率分布であるから,
l199
76
標準偏差は富の将来価値の期待値が実現する可能性に対する経済主体の確信
の度合を示すといえよう。したがって,これは危険性を示す変数と考えられ
る。
(2)現代的効用理論にしたがって,r不確実性下の期待効用最大化」の仮説を
利用するものである。(2)および(1)と(2)との関連については,IIで論及される。
ここで,これまで述べてきたことを定式化して,問題を明確にしよう。
利用可能な資産は〃種あり,保有される各資産の価値をκ旭(仁1,2,……,〃)
としよう。考察される期問の当初に経済主体が保有している富の価値を肌と
し,一定であるとする。この時,
冗
(I−1) Wo=Σ狗 狛≧O
{=1
が成立する。これをベクトルで表示すれば,
として,
WF〃X
である。ωつぎに,各資産の収益率を%とする。σ・は確率変数であり,%の
期待値を7。,分散をσ肋とし,%と吻の共分散をσ勿とする。
(・一・)炸亙(σ・)一∫八・・)伽
爪ψ。)は%の確率密度関数である。幽
(卜・)σド・(・イ・)』/(炉・・)惚)伽
(I−4) σ炉0o。(%,σゴ)=E{(%イ・)(%一7ゴ}
ここで,汽,吻,σ切は富の大きさやその資産構成から独立で一定値をとるとす
る。また,仮定から利用可能な資産はすべて危険資産であるから,
1200
77
σ批>O
である。期末における富の価値をwとすると,
(I−5) W=Σ1(1+口1)助
一;1
であり,wもまた確率変数である。その期待値を仰とする。
イ︺
(I−6) μ〃≡亙(Wつ=Σ(1+κ{)狛=Σμ幼㈱
{=1 壮1
ただし,μF(1+7{)o
ベクトルで示せば,
として,
仰=E(Wつ=〆X
である。その分散を卯2とすると,
冊 胞
(I−7) σw2=1;{〃7一亙(η7)}2=ΣΣσ{ゴκ{κゴ
丑!1戸1
これを行列で表示すれぼ,
として,
卯茗=X1λX幽
ここで,λは対称行列であり,σ{ゴ≡σゴ。である。そして,λは正則であって,
その行列式は1刈≠Oであり,さらに,μi〉Oであるとしよう。飼最後に,
先の選好基準(1)より,経済主体の効用関数を,
(I−8) σ=〔1(μw,σ呼)
とする。これは序数的効用関数である。
以上をまとめて,問題を定式化しよう。
1201
78
(I)〃α如〃zθ:σ=σ(仰,σw)
w加/甘
卯』X’λX
X≧O㈹
ここで,もうひとつ考えなければならないことがある。それは,これ重ででは,
まだ仰と卯2との関係が与えられていないということである。というのは,
同一の咋を与える幼の組合せはいくつもあり,それらに応じてσw2も異
なるからである。しかし,一般に,同一の仰を与える幻の組合せのなかで
最も望ましいのは,最小のσw里を与える組合せでなけれぼたらない。そこで,
つぎの問題が解かれなけれぼならない。帥
(II)〃〃〃2θ:卯2=X’λX
一/ジ
この問題の解をg(仰,σw)=Oで示そう。すると,資産選択理論の基本的な問
題は最終的につぎのように示される。
(皿)〃α〃〃28:σ=σ(仰,σ〃)
S〃あ畑㍑o:9(仰,σwト0㈹
なお,ここでは選好基準(1)から導出された効用関数のみを提示したが,選好
基準(2)からも,ほぼ同様な効用関数が導出できるが,それについては1Iで詳述
する。
注
(1)様々な蓄財目的の実現期目の相違が資産選択行動に影響するのは、資産市場が不
完全な場合,特に完全可逆憧がみたされない場合である。トービンは,不完全な市
場のもとでは,蓄財目的の実現期日の相違が完全予見の仮定のもとでも,保有資産
の多様化を生むことを示している。[14コPP−6∼11。これは,ヒックスの貨幣の予
1202
79
備的需要の分析と強い関連があるように思われる。な曹なら,敢引費用の存在は不
完全た市揚を意味し,支払期目の不確実性は,ある意味で支払期目の相違と考えら
れるからである。[7]pp−31∼37.訳書,43∼52ぺ一ジ。
(2)完全な資産市場を仮定している本稿では,蓄財目的の実現期目の相違の意味は取
り上げる必要がないというべきであろう。注(1〕を参照。
(3〕時間選好分析と資産選択理論との統合は,今後の重要な課題のひとつである。こ
の試みが,バティンキンによってなされている。[12コ,[16]69∼71ぺ一ジ。
(4〕これは,ケインズ以前の経済学が無意識のうちに仮定していたものである。ケイ
ンズの重要底貢献のひとつは,この完全予見の仮定を否定し,不確実佳を経済分析
のなかに導入したことである。[10コ,[9コ。
(5)確率分布とは,ある確率変数κ(のとる値)とそれに対応する確率∫(κ)との関
係を示すものである。
(6)[14]pp−3参照。
(7)それゆえ,ここでは短期,長期の資産の区別は無意味である。
(8)取引費用が存在せず,また完全市場が仮定されている理論では,注(1)でみたよう
に,貨幣の予備的需要を分析するには不適当である。
(9)確率変数とは,その変域内のそれぞれの値に対して一定の確率をもつ変数をいう。
確率変数が実数のある区間において不連続な値しかとりえない臨北は離散確率変
数といわれ,その確率グ(尤)は確率関数といわれる。確率変数尤’が実数のある区
間のすべての値をとりうる時,κは連続確率変数とよぱれ,その確率グ(”’)は確
率密度関数とよぱれる。∫(π)および∫(π’)はつぎの性質をもつ。
(1)ル。)≧0{三1,2,……粥 1(π1)≧0
(・)ゑ伽)一・ ∫∫(・炸・
(3)α<βなる任意の実数の区間[αβコにおける北,〆の確率Pは,
β
・(α…β)一帥・),ア(α・北・・β)一∫〃)〃
α≦血。≦β
本稿で考えている確率変数は連続確率変数である。[22]。
(1◎ 確率分布の特性値について少L述べ乱 (数挙的)期待値とは・通常の度数分布
の算術平均に対応する。連続確率変数笠の期待値は五(工)で示される。
∫柳)批
亙(比)一。。 イ伽)加
∫∫(丸)ム}
ユ203
80
期待値については,いくつかの計算法貝uが成立する。たとえぱ,
(1)”を定数として,万(α)=α。
酬一∫榊)∂α一α∫∫(肋一・
(2)五(伽)二泌(π)
万(伽)一∫榊)伽一α∫榊・仁酬
また,κの分散は,亙(”一E(κ))2とかかれ,
∫(・一酬)榊伽
E(κ一E(め)2一 ・。 一∫(κ一亙(π))榊〃
∫榊・
である。いま,”の尾次の原点積率およぴ中心積率を,それぞれ吻,μ此で示す。
炸∫舳)伽μ1一∫(卜刎)1舳κ
ここで,刎=亙(”)。す次わち,
侮∫脈)加リ・一万(π)
この時,2次の中心積率,すなわち分散は,つぎのように示される。
炉∫(κ一肋)・1(北)6仁酌一刎)・一リrリ・1
μ炉∫(北一榊)2舳仁∫が八批一・棚∫榊)糾刎1∫ル)〃
=リ2−2リ12+リ12=レ2一】一12。 [22]竈
ω ”は〃を地行1列の行列とした時の転置行列であり、行列の積の記法にLたが
えば,勉とxの内横(刎,x)は,〃’xと書げる。すなわち,
wo=(拠,x)=〃x
以下,X1,〆についても同様。[23コ回
注(9)参照。
⑬伽一・(W)一Elゑ(・柵)伽1一・(を・)・E(釦伽)
1204
81
柵 冗 冊 皿 冊
=Σ拘十Σ万(勿)灼=Σ肋十Σ碗■{=Σ(1+れ)肋
旭=正 {:1 炉1 一一1 一官1
注⑩参照。
⑭ 2次形式の記湊その他について少し述べる。一般に,ペクトルX=(κ1,・・…・,伽)
の2次形式∫(X)はつぎのように示される。
∫(X)=ΣΣ物〃仰
{昌1ゴ=1
Lたがって,(I−7)は2次形武である。いま・係数行列を,
とすれぱ,行列の讃の記法にしたがい。
1(X)=(X,λX)=X1λX
07∫(X)一(以X)一〃X(〃はλの転置行列)
と書ける。そこで。
X1λX+X1〃X X1(〃十λ)X
∫(X)ヨ 2 ’ 2
ここで,行列苧は”μ去物を一般元としてもつ行列で舳・ま・””去物
を∼とすれば,明らかに,∼=伽である。このように,主対角線を軸として,そ
〃十λ
れに関して対称の位置にあるすべての元が相讐Lい行列を対称行列とい㌦ 2
=Bとすれぱ,
ア(X)=X偲X
すなわち,2次形式は対称行列を用いて表示できる。もちろん,本論の対称行列λ
は,上のような行列の変換によるのではなく・共分散の定義から本来的に与えられ
たものである。また,すべてのXに対して∫(X)≧Oで・少なくともひとりりX
≠Oに対してプ(X)>O癒る時,八X)を非負値形式といい,X≠Oならぱ1(X)
〉Oなる蒔,/(X)は正値形式といわれる。[23]chapも7。
⑲ これは任意の相関係数物が・一1〈∼<1であることを意味す乱一般に・相
関係数は,
σ切
物凹〉π〉房7
と書け,その変域は[一1,1]である。[22]220ぺ一ジ。
いま,汽ゴニ1とすると,レ引=Oと愈るo
1205
82
?・ 何。偏…・…一πノ汀
〉蒜何〉π.仮_.ツ_....、肥田
、肌㍗∵㌻、。
傭ノ扁._....。......σ祀柵
また一般に・σw2≧Oであり■刈キOであるから,閉次の首座行列式,すなわち,
卿2の判別式は■刈>Oと考えてよい。いいかえれば,ここではσ吻は正値形式
と仮定されている。[23]204∼211ぺ一ジ。
⑲ ベクトルX二(”1,……,伽)の各元が物≧Oの時,X≧Oと書く。
⑰ この問題は,皿で論じられるよ5に,ある種の経済主体にとっては無意味なもの
となる。
⑱ WoをバラメーターとLて,
プてμw,σ豚,旧7o)=O
としてもよいであろ’う。皿を参照。
n 選好基準と無差別曲線
ここでは,先の2つの選好基準から導出される効用関数について,両者の関
連に留意しつつ,立ち入?た分析を行牟い,無差別曲線を導出する。
□まず,裏好基準(・)によって与えられた序数的効用関数,σ一σ(柵、、)
につ㍗論机ωこ鵬干の無翻1曲線群は消費老需要理論における通常
の分析にしたがって導出される。そこで,σ=σ(仰,卯)を全徴分してOと
おこう。
∂σ ∂σ
∂仰伽十∂、。伽一〇
これより,
6σw σ仰 ∂σ ・ ∂σ
(■■1)一伽一σσ、・ σ仰一∂μ、・σσ・一∂、、
1206
83
を得る。σ仰,σσwはそれぞれ,期待値と標準偏差(危険)の隈界効用を示
す。一般に,σ仰>Oであるが,σσwについては,σσ研>Oとσσπ<Oが
考えられよう。
(a)σ仰>0,σσw>Oのケース
この時,不確実性に対する隈界効用が正なのであるから,このような性質の
効用関数をもつ経済主体を「危険愛好型」(ThβRisk LOver)とよんでよいで
あろう。この場合,
∂卯 σ仰 ∂σw
(I〔一2) 一 _ >0 一→ <0
∂仰 σσw ∂仰
となり,危険愛好型の経済主体の無差別曲線は負の傾きをもつ。
(b)σμ〃>0,σ卯<O のケース
この時,σσ〃<0なのであるから,このような効用関数をもつ経済主体は
r危険回避型」(The Risk Averter)とよばれる。この場合,
∂σw σ仰 ∂σw
(II−3) 一 _ <0→ >0
∂仰 σσ服 ∂仰
であるから,その無差別南線の傾きは正である。
つぎに,無差別曲線の形状を考察しよう。ここでは,通常の分析にしたがい,
隈界代替率逓減の法則が成立しているものとする。(2〕通常の分析で限界代替率
逓減の法則がいわれる時には,各財の隈界効用は]]三と考えられているから,.(劃)
のケースでは,σ仰>0,σσw>Oより,通常の分析をそのまま適用できる。
すなわち,
∂2σw ∂里σw
(I【一4) 一 〈0 一一一> 〉O
∂仰2 ∂仰2
である。(b)のケースでは,σ卯<Oであるから,通常の場合に直す走めに,
(】I−1)式の両辺に一1をかげる。
∂σw σμ豚
(n−1)’ 二一一
∂仰 σ卯
1207
σπ
この時,通常の場合にしたがえば,
.㎎
肌仏
∂2卯
(]I−5) 〈0
∂仰2
となる。そこで,以上の結果をもと
に,(・),(b)両方の無差別曲線群を図示
しておこう。ここで,効用水準の順位
は,もちろんともに, σ1〈σ2くσ3〈
(α) 〃
……である。
さらに,ケース(o)として, σσw≡0
σ〃
σ1
仏
の場合も考えることができる。このよ
うな性質の効用関数には,独立変数と
してσwが入ってこない。すなわち,
このような効用関数をもつ経済主体は
危険に対して無関心であるといえる。
そこで,このような経済主体を「危険
(あ) μw 中立型」(The Risk Neutra1)とよぶ。
σ〃
〃
仏匹㎎
危険中立型の無差別曲線は,明らかに
Fig.II−1の(c)のように示される。
l II iつぎに,選好基準(2)の期待効
用最大化の仮説にしたがって効用関数
を考え,その無差別曲線を導出し,
lI1奪との関係を明らかにしよう。その
0
(c) μπ
ためにまず,ノイマソ(工von Neumam)
とそルゲンシュテルソ(O.Morgens土e−
Fi&II−1
m)による現代効用理論を概観してい
こう。一副そ加は効用概念にある意味で
1208
85
の基数性を与えようとする試みである。それはつぎのように要約できる。
いま,序数的効用概念が与えられ(すなわち,無矛盾的な選好体系が与えられ),
それらを,〃,砂,〃,……とした時に,任意の効用ωについて,
〃=α〃十(1一α)砂 O<α<1
となるようなαが存在するならば,つぎの条件をみたす写像によって与えられ
る効用指標は,それらの差の比較が可能であるという意味で,基数的効用とみ
なすことができる(効用の絶対のO(原点)とその絶対の単位が与えられるという意
味で基数的なのではない)。その条件とは,
(i)〃>砂ならば,y(〃)〉γ(〃)
(ii) γ(α〃十(1一α)砂)=αγ(〃)十(1一α)γ(砂) O<α〈1
である。この時,〃・・α〃十(1一α)砂とすれぼ,
(n→)γ(〃)昌α7(〃)十(1一α)γ(砂)
となり,これは,
γ(〃)一γ(砂)
(II−6)1 α一
γ(〃)一γ(o)
と変形される。これは効用の差の比較がαによって与えられていることを示
、す。そして,原点,γ(砂)と単位,γ(〃)一γ(砂)が与えられるならば,αは与
えられているから,γ(ω)は確定値をとる。
このような写像はそれの正の工次式変換を除いて,一意的に定まる。ωいま,
(i),(ii)をみたす写像が2つγ(〃),γ1(勿)があるとして,それらを,
ρ呂γ(〃), ρ’=γ1(〃)
としよう。この時,ρご〆なる変換を考えることができるから,それを,
ρ’=ψ(ρ)
とする。問題はこのgが正の1次式変換であることをいえばよい。ところで,
ρ,ρ’はともに,先の条件(i),(ii)をみたしているから,g(ρ)もまた,条
件(i),(ii)をみたすよう淀ものでなければ放らない。すなわち,gについて
1209
86
(i)’ ρ〉”ならば,乎(ρ)>ρ(σ)
(ii)’ 乎(αρ十(1一α)σ)冨αg(ρ)十(1一α)甲(σ) Oくαく1
が成立していなければならたい。これらをみたすような関数は,
ρ1≡ψ(ρ)=αρ十ろ
である。ここで,o,あは任意の定数で,α>Oである。これは正の1次式変換
にほかならない。正の1次式変換が(i)1,(ii)1をみたすことは,以下にみら
れるように明らかである。すなわち,α〉Oより,(i)1はみたされており,
(ii)1については,
(左辺)g(α叶(1一α)σ)=α(αρ十(1一α)σ)十ろ
≡ααρ十(1一α)ασ十ろ
(右辺)αρ(ρ)十(1一α)g(σ)=α(αρ十あ)十(1一α)(αρ十あ)
:ααρ十(1一α)ασ十6
より,みたされていることは明らかである。
ノイマソとモルゲソシュテルソは,以上概観してきたことを公理化して論証
している。すなわち,序数的効用概念と〃=α〃十(1一α)砂,0<α<1,とから得
られるいくつかの性質を公理化して,そこから条件,(i),(ii)をみたす写像
の存在することを証明している。㈲かくして,上記のように与えられた写像は,
その正の1次式変換を除くならぼ,一意的に定まる。{6]
、ところでいま,αが確率を示すと考える次らば,上記条件(ii)は,その写像
によって与えられる効用指標は数学的期待値の計算が可能であることを示して
いる。ωそれゆえ,不確実な状況を想定した時には,効用最犬化の行動は効用
の期待値の最犬化行動として考えることができる。効用の期待値を期待効用と
よぶ。それは,上にみたように,原点と単位を与えれば一意的に定まるという
意味で,基数的ないし可測的である。以上がr期待効用最犬化」の仮説といわ
れるものである。すなわち,経済主体は,不確実な状涜下では,行動の結果の
与える効用の期待値を最大化するように行動すると考えられるのである。’
1210
、87
つぎに,期待効用最大化の仮説が与
σ
α
えられたとして,経済主体の不確実性
に対する態度,すなわち,不確実性に
対する選好パターンについて考えよ
晦
う。幅〕そこで,確実な状況のもとでの
α、
α
富の効用関数を,
(IIl−7) σ=乙ア(W)
肌 w1 肌
w
(血)刎〃)〉O
つの条件をみたしているものとする。
σ
、 ψ
岨
晦
とする。この効用は,もちろん先の2
Q
一般に,富の隈界効用は正であるから,
(n−7)式は正の勾配をもつ。正の勾
配をもつ効用曲線の形状は,一般に三
種考えられる。それらをFig.■一2
で示そう。
(・)のケース
○ 肌 W1
(あ) 工堰(W)〈O
肌 w この時,σ佃は強凸関数{到と考えられ
び
るから,任意に,肌,肌(W。≠■肌)
をとれば,
(I圧一8) σ皿(α仰71+(1一α)凧皇)
α、
くασ咀(豚1)十(1一α)σ皿(W毘)
0くα<1
がつねに成立している。これは, π
肌 〃 肌 w
(o)㎎(W)=0
Fig lI−2
=α肌十(1一α)肌とすれば;つぎの
ことを意味する。すなわち,σαのよ
うた効用関数をもつ経済主体にとって
は,確実な状況のもとでw1を得た時
12u
88
の効用((皿一8)式の左辺で示され、図ではσ刎で示される)は,W1をαの確
率で,肌を1一αの確率で得る時の効用の期待値((皿一8)式の右辺,図では
σωである)よりもつねに小さい。このことは,いいかえれぼ,この時の経済
主体ぱ確実な状況よりも不確実な状況を好むということを意味している。この
ような経済主体を危険愛好型とよぶ。α皿(w)は強酉関数であるから,
(II−9) σ囮”(切7)>O
である。すなわち,富の限界効用が逓増するような富の効用関数をもつ経済主
体を危険愛好型とよぶのである。
(b)のケース
この場合は,肌(W)は強凹関数であるから。(・)のケースとは逆に,
(I圧一10) σb(αW1+(1一α)㎜2)〉ασ5(η71)十(1一α)σb(W2) 0<α<1
が成立している。これは,(・)のケースとは逆に,σo(W)のような富の効用関
数をもつ経済主体は不確実な状況よりも確実な状況を好むことを意味している。
そこで,このような経済主体を危険回避型とよぶ。この時,明らかに,
(n−11) σ凸”(W)くO
である。すなわち,危険回避型の経済主体の富の隈界効用は逓減する。
(・)のケース
この時,σ。(w)は直線で示され,したがって,
(n−12) σo(αW1+(1一α)W2)=ασ。(W1)十(1一α)σ。(W2)O〈αく1
である。このような富の効用関数をもつ経済主体は確実な状況と不確実な状況
とを同等なものと考えているといえよう。このような経済主体は,不確実性に
対して無関心と考えられ,危険中立型とよばれる。この時,
(皿一13) σ‘”(仰7)≡O
となる。すなわち,富の隈界効用が一定であるような経済主体は危険中立型で
ある。これまで論じてきた三種の不確実性に対する選好パターソの意味すると
ころは回で述べたこととほぼ類似のものといえよう。
1212
89
つぎに論じなげればならないのは,期待効用最大化の仮説にもとづいて,無
差別曲線群を導出することである。この時,先と同じように,選択結果の収益
性指標として富の将来価値の期待値を,危険性指標として標準偏差(分散)を
とるためには,二つの方法がある。
(1)富の効用関数を2次関数とすること。
たとえば,σ(w)=αw+ろw翌とすること。
(2)富の将来価値の確率分布がその期待値と標準偏差によって確定される正
規分布をなしていること。すなわち,富の将来価値の確率密度関数が,
(lI−14) 9(W)=9(W:仰,σw)
で示されていること。ω
そこで,この(1)と(2)からそれぞれ無差別曲線を導出することにしよ㌔
(1)のケース
富の効用関数を,
(1ト15) σ=σ(W)呂απ十あ卯
とする。富の限界効用は正であるから,α,6は,
ぴ(W)=α十2あW>O
をみたすような定数である。σ(w)の期待値はつぎのように示される。
(皿一・・)互(σ)一亙1岬)1−/σ(W)・(W)〃
ここで,wぱ連続確率変数と考える。また,攻w)はwの確率密度関数で
ある。この時,亙(のは仰と卯との関数となる。
亙(の:∫(〃十〃2)9(w)〃
一∫榊(w)〃十∫あ晩(w)〃
一α1晦(w)〃・仰・(w)〃
1213
90
、、 ≡泌(Tの十胴(W2)
ところで,垣(W),亙(W2)は,それぞれ1次,2次の原点積率にほかならず,
2次の中心積率,すなわち分散をσ■とすれぼ,卯2=E(W2)一{E(W)}2で
あるから,上式は,
亙(σ)≡α亙(〃)十あ1{E(w)12+σw2}
となる。E(w)=仰であるから,
(n−17) E(σ)司仰十ろ(μ〆十σw2)
である。.したがって,
(1ト18) E(σ)昌F(仰,σ豚)
と示すことができる。
そこで,無差別曲線を導出するため,(n−17)式を全徴分して0とおく。
疵(σ)一∂亙(σ)伽十∂亙(σ)6、。
∂仰 ∂σπ
=(α十2ろμw)6μw+(2あσ豚)∂σw=0
これより,
6σw _ α十26μ〃
(]I−19) 一
6仰 25σw
を得る。ここで,α十2ろ仰〉Oである。もし富の隈界効用が逓減しているなら
ぼ,すなわち,
乙「”(例7)=2ろ<O ==;き.ろ〈O
ならぼ,無差別曲線は正の傾きをもつ。もし逓増するたらば,
σ”(1;ア)=26〉O ⇒ あ>O
とたり,傾きは負となる。さらに無差別曲線の形状をみるために,(皿一19)式
を徴分すると,
。、、..(・伽一・・(1・・1仰)(窒姜)
(Iト20)
∂仰2
(2あσw)2
/・・(篤)ト・
σπ
、1214
91
を得る。これらをまとめよゑ。まず,
富の限界効用が逓減するような経済主
σ冊
体,すなわち,危険回避型の経済主体
の無差別曲線は,傾きが正で,上に凸
となるJ一方,富の隈界効用が逓増す
るような経済主体,すなわち,危険愛
好型の経済主体の無差別曲線は,傾き
が負で,やはり上に肖となる。この時,
Flg.II−3
μ冊
前者の無差別曲線は,Fig.II−1(あ)
と同じ形となるが,後老は,(α)図と違って,Fig.]I−3のように示される。ω
これはjTlと回の,ひとつの相違といえようρ
(2)のケース
富の確率密度関数を(■一14)式とすると,富の効用の期待値は,
(皿一・・)亙(σ)一1σ(W)・(W:μ恥卯)〃
となる。これも・一Wヂとおいて規準化帆㈱規準/!された正規分布
(標準正規分布)では,期待値はO,分散は1となる。したがって,
(H・)亙(σ)一/ひ(仰・・σ・)・(・:α・)・・
6卯
そこで,E(σ)を一定として, を求めよう。以下1g(Z O,1)を簡単
∂仰
化してg(Z)と示す。
椰)一1ぴ(仰・刈…窒葦)・(9)・・
一1ぴ・(・)∂・・姜箒1ぴ碓(・)∂・
12工5
92
これより,
∫吻(Z)∂Z
6σ豚 _。。
(■一23) 一 〇〇
φπ
1ぴ勿(・)∂・
富の隈界効用ぴを正とすれば,分子は正となる。また,分母については,
(・一・・)、鈎1ぴ勿(・)・・一ぴ(仰)1勿(・)・・一・
である。なぜ’ならば,
1勿(・)∂・一亙(・)一・
であるから。これより,卯→Oの時,分母は限りなくOに近づく。したがって,
∂σw
σπ→O=⇒ →oo
ψw’
いま,隈界効用σ1がwの単調減少関数,すなわち逓減するとすれば,
・一Wi仰より,・についても単調減少関数となる。そこで,
σw
O oo l
(・一・・)1ぴ4(Z)6Z・1。ぴ螂・1
が成立し,0’>0なのであるから,
o oo
lぴ勿(・)…α1ぴ郷)・…
一〇〇 一0
である。したがって,
oo O oo
(・一・・)1ぴ勿(・)・・一1ぴ勿(・)…1ぴ螂)ゴ…
■oo −oo 0
かくして,
∂卯
(n−27) >O
ψπ
1216
93
である。すなわち,この時の無差別曲線は]]三の傾きをもつ。いいかえれば,富
の隈界効用が逓滅するような経済主体,つまり危険回避型の経済主体の無差別
曲線の傾きは正である。
つぎに,その形状をみていこう。いま,同一の無差別曲線上にある2点
(仰,σW),(仰1,卯1)をとると,両者の効用水準は等しいから,
σ(仰,σ〃)≡σ(仰’,σπ’)
と示せる。隈界効用逓減のもとでは,たとえば,両点の中点について,
(ト鵬)÷σ帥)・÷σ(μ柵)くσ(÷(1紬)・
÷(σ・・剛)
が成立している。ωこれは,中点の期待効用は,(仰,σπ),(伽1,卯’)を含む
無差別曲線よりも高い位置にあることを示す。いいかえれば,このことは危険
回避型の経済主体の無差別曲線が左方に凸であることを意味す飢胴
他方,限界効用がwの単調増加関数,すなわち,逓増するとすれば,(■一
25)式は,
0 oo
(H・)・1ぴ螂)・・く1ぴな(・)∂・
_oo 0
となり,したがって
oo o oo
(ト・・)・1ぴ攻(・)・・一1吻(・)∂・・1ぴ螂)・…
_oo _oo 0
かくして,
加w
(n−27)1 <O
ψπ
となる。すなわち,危険愛好型の経済主体の無差別曲線の傾きは負である。そ
して,この時,隈界効用逓増の仮定より,
1 1
(皿一28)1 一σ(仰,卯)十一σ(仰1,卯’)〉σ
2 2
(÷(仰・μ〆)・÷⑭・州)
12!7
94
を得る。蝸 これは先とは逆に,危険愛好型の経済主体の無差別曲線が右方に凸
であることを意味している。ω以上の結果が,(1)のケースとほとんど同一のも
のであることは明らかであろう。㈱
注
(1)これは,ヒックスの考え方を少し拡張Lた分析である。[6コ,[8]。
(2)[4コchapt・2参照。ここで,μπ,σ〃は財ではない。したがって,所得効果を論
ずる時には,この相違が重要なものとなる。
(3)[11コchapt.1参照。
〈4) これは厳密には,アフィン変換というべきかもしれない。[26]80∼81ぺ一ジ。
(5)[1王]chapt,1およぴApPe回dix参照。
(6)逆にいえぼ・条件(i)・(ii)をみたすよう奉写像の正の1次式変換は童た効用指
標である。
(7)[11コ訳書,仏ぺ一ジ参照。
(8)[2コ参照。
(9)一般に,関数グ(X)が,定義域内の任意の2点をX1,X2とし,α十β=1,α≧O
β≧0とした時に,
/(αX。十幽)≦畝ム)十畝為)
をみたすならぱ,∫(X)は凸関数であるという。また,
∫(αX1+βX2)<αプ(X1)十βグ(X2), α>O,β>O,α十β=1
をみたす時に,/(X)は強い意味で凸関数という。一方,’一∫(X)が凸関数である
時,∫(X)は凹関数といわれる。[21コ187ぺ一ジ。
⑩ [14]pp,19∼22,[15]64∼65ぺ一ジ参照。
⑩ この相違は,Lかし,皿で論じる均衡ポートフォリオの導出には影響しない。
⑫ 危険中立型の揚合は,1次の効用関数を仮定すれぱよい。その時,岬軸に対L
て平行な直線群が無差別曲線となることは明らかである。
⑬ [22コ93∼94ぺ一ジ参照。
⑭ 在せならぱ,限界効用逓減の効用関数は,先のFig一皿二2のケース(b)のよ5に,
凹関数で示されるから。
(θ Fig.皿一1のケース(b)参照。
⑯ この時の効用関数は,先のFig.皿二2のケース(・)のように,凸関数と考えられる。
㈲ Fig一皿一3参照。
㈱ 危険中立型σ経済主体の揚合は,σwが効用関数の一独立変数ではないのである
.ノ岬
から・その無差別曲線は,σ豚→Oの時の’ を考えればよい。 これぱ,(皿一
σμw
i218
95
24)式より,一σγ軸に対して平行在直線と汝る。注⑫参照。
皿 有効ボートフォリオ
と均衡ポートフォリオ
ここでは,Iで示した問題(皿)を解いて,皿で得た諸結果と総合して,均衡
ポート7オリオを導出する。そこでまず,問題(■)を解こう。それは,最終的
に形で示された間題(皿)の制約式!(仰,σ研)=0の性質を分析することにほか
ならない。グ(仰・σw)=10の描く軌跡を「機会軌跡」(Opportmity LOcus)とよ
び,それに対応する資産の組合せを有効ポートフォリオとよぷ。機会軌跡とは,
Iで述べたように,仰の各値とそれに対応する最小のσw2との組合せの軌跡
にほかならないo
ここで,問題(n)を再記しよう。
珊 田
(皿) ”伽6刎6彫jσw2≡ΣΣσ勿篶勾≡X’λX
悼1j=1
田
これは,非線型計画間題とよぼれるもののなかの,とくに2次計画間題といわ
れるものである。すなわち,目的関数が凸の2次形劃1〕で示され,制約式が1
次式で示されるようた間題である。そこで,ラグランジュ乗数を,2λ。,2λ。と
して,つぎのラグラ:■ジュ関数をつくる。
(皿一1)炉X1λX+2λ、(W。一〃X)十2λ。(μrμ’X)
この時,解はいわゆる「キューソ・タヅカー (Kuhn−Tucker)の条件」(・〕に
より,つぎの等式不等式体系を解ぐこセによって与えられる。
X≧Oの時
12T9
96
(皿_2) ∂・一2λX−2・λ、一2μλ、≧O1−1,2,・・,・
∂〃
(皿_3) ∂・一2(肌一勉・X)一〇
∂λ。
(皿_4) ∂し2(μ。一μ・X)一〇
∂2。
いま,X〉O,すなわち,すべての資産が保有されるとすると,上の等式不等
式体系は,
(皿_2)・ ∂」2〃一2・λ、一2μλ,一〇・一1,2,一・,・
∂狛
(皿_3)・ ∂」2(肌一〃X)一〇
∂λ1
(皿_4)・ ∂」2(仰一μ・X)一〇
∂λ。
と,等式体系とたる。先に,1λ1〉Oと仮定したから,=副μの各要素がすべて
等しい場合をのぞけば,‘4](皿一2)’式∼(皿一4)1式をみたすXは存在する。
そこで,この時の仰と卯との軌跡をみていこう。(皿一2)’式より
(皿一5) X呈λ。λ一1〃十λ。止1μ
を得る。λ一1はλの逆行列である。=副これを(I−1),(I−6),(I−7)の
各式に代入すれば,行列の積の記法に注意して,
(皿一{) W「ド〃(λ1λ一1〃十λ皇λ一1μ)
≡λ1〃λ一1〃十λψ1λ一1μ
(皿一7) 仰=〆(1、介ユ〃十λ2λ一1μ)
=λ1〃λ■1μ十λ2〆λ一1μ
(皿一8) σw2≡(λ。λ■’〃十λ皇λ一1μ)1λ(λ。λ一1勉十1。λ一1μ)
=λ12〃1ノユーi〃十2λ1λ2〃’ノ1−1μ十λ22μ1/1−1μ
=λ。(λ。〃介1〃十幼’止1μ)十2。(λ里〆λ一’μ十1、〃介1μ)
=21WO+22μ呼㈹
一220
97
となる。そこでいま,
α=μ’■411μ>O
β=〃λ■1μ>0
ド〃λ一ユ〃>0
として,上式を書き直せば,
(皿一6)’ 肌=2。γ十切
(皿一7)’ μw≡λ1β十λ2α
(皿一8)’ σw2=λ。肌斗λ。仰
(皿→)式と(皿一7)式から,λ。,λ。を求めると,
肌β
μw α α1;γo一βμw−
21= =
γ β αγ一β2
β α
γW。
β仰_γμrβ肌
22≡ 一
γ β αγ一β2
β α
となり,これを(皿一8)式に代入しよう。
1が一(α等幸W)肌・(γμ岩許)1・
(αγ一β2)卯’=αW。」βW仰十γ仰2一βW。μW
−1卿・1(仰一押)2一押
一1(1・一÷肌)里・(αデ)附
これが求める機会軌跡を示す式にほかならない。これをさらに簡潔に示すため,
P=五肌
γ
1221
98
1
ρ至=一w.2
γ
1
五宮=
αγ一β2
とおくと,上式は整理されて,
(皿一9) σπ2一ρ2=馬(仰一P)2
となる。これは双曲線の方程式にほかならない。ω これカ{問題(皿)の1(卯,
仰)=Oである。
それをFig.皿一1で示してみよう。この時,与えられた肌においては,
仰■の変域は隈られている。すなわち,
σ冊
λ その最大隈界λ(仰)は,全資産のな
かで最も高い予想収益率を与える資産
にwo全部を投下した場合であり,
3
λ(μW):伽卯ドW.X伽桝
となる。一方,’その最小限界B(仰)は,
最も低い予想収益率を与える資産に
刈μπ)μ冊
○ 月/伽)
wo全部を投下した場合であり,
B(仰)…〃伽㌍W.X刎伽・
Fig.m−1
である。以上,∫(仰,σw)=Oで示さ
λ
σ肝
α
れる機会軌跡の基本的な特徴について
α
α論じた。
つぎに,上で明らかに。した機会軌跡
と,1Iで得られた無差別曲線群とを用
いて,均衡ポートフォリオを求めよう。
まず,Fig.皿一2によって,危険回避
型の経済主体の場合を考える。この時
μW
Fi酔m−2
虹2:≡2
の均衡ポートフォリオは,明らかにP
99
点に対応する資産の組合せにほかなら
σw
ない。それは,先の最終的な問題(皿)
λ
α
を解いた結果,
∂σ 斬
∂仰_∂伽
(皿一10) 一
∂σ ヴ
∂σw ∂σπ
に一致する。すなわち,危険回避型の
経済主体の均衡ポートフォリオは,期
μ冊
待値と標準偏差に関する限界代替率が
機会軌跡の傾きに等しい点に対応して
Fig.皿一3
σ〃
与えられる。この時には,明らかに保
仏仏仏
A
有資産の多様化が生じる。
つぎに,危険愛好型の経済主体の場
B
合をみていこう。Fig.皿一3はそれを
示す。帽〕この場合には,均衡一煮は〃こよ
って与えられる。これはつぎのことを
意味する。すなわち,危険愛好型の経
O
凹帥
一r
Fi鋏皿一4
済主体は,すべての資産のなかで,最も高い予想収益率と最も高い危険度を示
す唯一の資産に富全部を投下する。かくて,このような経済主体の場合には,
保有資産の多様化ぼ生じたい。さらにこの場合には,間題(皿)から得られた均
衡条件(皿一10)式をみたさない。これは,危険愛好型の経済主体にとっては,
仰の各値に対応して最小のσw2を求めるという問題(n)が,本来的にいって
無意味なものであるということの帰結にほかならない。1釧
最後に,危険中立型の経済主体の場合をFig.皿一4でみていこう。この時も
図から明らかなように,均衡点はλで与えられる。これは,このようた経済主
体は,すべての資産のなかで最も高い予想収益率をもたらす唯一の資本を選択
ユ223
100
することを意味している(この場合,彼にとって危険度は問題とならない)。
さらにまた・危険中立型の経済主体にとっても,その意味に多少の違いはある
が,危険愛好型の経済主体と同じように,問題(工[),すなわち機会軌跡の導出
は無意味となる。
注
(1) Iり注⑭および付論を参照。
(2)これについては,付論を参照。
(3) Iの注蝸参照。
<4)(皿一2)1式∼(皿一4)1式の体系の係数行列は,
σ柵1…’…’…・σ榊一1一μ冊
一工・・…一・・…一10 0
■μr・・“・… 一μ祀O O
となるが,μ=μとすれぱ,その行列式は,
一1
仰
σ刎・・・・・・・・・… σ刑冊一1
一1
1μ1’’・’.・…一μ冊O
−1・・一・…・・…一10
=O
0
0
となる。
(5)λの逆行列λ一1とは,単位行列E
ユO・
?1
五一1
O ・… O1
として,
λλ』=E
をみたすような行列λ■1のことである。[23]169∼171ぺ一ジ。
(6)式の展開については,付論の注⑭参照。
{7)(皿一9)式を変形すれぱ,
1224
ユ01
σ〃2 (岬一力)2
一 一1
ぴ(音)毘
となる。
(8) ここではFig皿一3を用いたが,Fig・]I−1(0)を用いても結果は同じである。
(9) Iの注⑫参照回もしλの示す岬より大きくはなく,λの示す岬より犬きい
憧質をもつ資産が存在するならば,彼がその資産に富を全額投下する可能性は十分
あるといえよう。
1V 安全資産(貨幣)と資産選択
一分離定理と絶対的および相対的危険回避度一
これまでの分析で取り扱ってきた資産は,すべて危険資産であった。ここで
は,安全資産,すなわち,その将来価値が確実であり,その標準偏差がOであ
るような資産を導入する。安全資産の定義からすれば,それが貨幣のみをさす
のでないことは明らかであろ㌔しかし,貨幣が安全資産の中でも,ひとつの
重要な例となりうることもまた明らかである。それゆえ,ここでは,安全資産
といえば,一応貨幣を念頭において分析を進めることにしよう。
さて,安全資産を導入することによって,これまでの分析にどのような結果
が加えられるであろうか。その基本的なもののひとつは,いわゆる「分離定理」
(Separati㎝Theorem)とよぼれるものである。以下ではまず,それについてみ
ていくことにしよう。
そこで,初期の所与の富をwoとし,そのなかから危険資産に投入される
額をんとする。したがって,安全資産に投じられる額は,肌一λoで示され
るρ安全資産の確定的な収益率をγoとする。定義より明らかなように,安
全資産の将来価値の標準偏差はOである。他方,λ。の不確実た収益率をクと
する。σは,明らかに確率変数であり,その期待値万(σ),および分散亙{卜
亙(σ)}2は,保有される危険資産の構成比率に応じて変化する。このもとで,
富の将来価値wは,
(lV−1) 豚昌(1斗σ)λ旺十(1+〆血)(㎜o一λo)
I225
102
となるoここで,
(IV−2) 1+E(q)=μ
(r7−3) 1+7o=μo
(W−4) 疵1σ一五(2)}2昌σ
とする。この時,〃の期待値仰と標準偏差卯は,つぎのように示される。
(W−5) μ声μ。十μ。(肌一λ。)
(1VL6) σw=≡σλo
両式から,
(Iト7) 仰J哨σム十μ。W。
σ
一μi的σw+μ。w。
σ
を得る。ここで,μ,σは定義から明らかなように,^の値からは独立であっ
て・その溝成比率の争に依存し下い私そこで・(1V−7)式は・もしλ・の構
成比率が不変であって,安全資産が保有されているならば,仰とσ豚との関
係は,1次式,すなわち,直線で示されることを意味している。
そこでいま,卯の各水準に対して最大の仰を与えるような直線を求めよ
う。いいかえれぼ,それは安全資産が保有されている時の機会軌跡を求めるこ
とである。(1V−7)式から明らかなように,μo,肌が一定のもとでは,上記
の条件をみたす直線は,
(Iト8)θ」‘μ」μ・■灼肌
σ σπ
が最大となる時に得られる。それを図によって求めよう。Fig−1V−1の曲線
λBは,皿で求めた安全資産が存在し次い時の機会軌跡である。ここで,ρ=
μO肌として,θを最大にするには,仰>ρなる範囲で,ρを通る曲線λB
への接線を求めればよい。この時,図より明らかなように,θは最犬となる。
接点を亙としよう。亙は,安全資産が保有されなくなった時の,卯と仰と
を示す。また,Qは,凧。がすぺて安全資産に投じられた時の,卯と炊を
1226
工Oぎ
示す。かくて,新たな機会軌跡はρEλで示される。
ところで,(lV−8)式より明らかなように,θは肌の値に依存していな
い。なぜならば,μ一μoは,肌=1とみた時のθと考えられるからである。
σ
したがって,μoが所与であれば,θは危険資産の構成比率を決定していると
いえる。
それでは,無差別曲線,すなわち,
λ
効用関数の役割は何であろうか。これ
σH
までの分析では,無差別曲線は,所与
E のw。のもとで,仰とσwの均衡
B 1 組合せを与えることを通して,危険資
1P’; 産の構成比率を決定していた。そこで
l l
lθ l l
l l
= ; = いま,ある無差別曲線が,Pで新しい
1 1 I
O Q μ註〆冊 〃 機会軌跡と接したとしよう。この時,
Fi&W−1
均衡点1〕に対応する期待値仰*は,E
に対応する期待値を仰1として,
(IV→9) μπ*=αμo凧o+(1一α)μw’ O≦α≦1
と示される。これは,仰*のうち,安全資産の傑有から得られる期待値が
αμ。肌であることを示す。いいかえれば,αwoだげ安全資産が保有されるこ
とを示している。このことは,安全資産が保有される限り,すなわち,均衡点
が線分ρ亙にある限り,無差別曲線ぽ安全資産と危険資産との配分比を決定
し,富の価値肌は,それに応じた保有絶対額を決定することを意味してい
る。これが,いわゆる「分離定理」にほかたらない。以上をまとめて示してお
こう。
一安全資産が保有される時には,危険資産内部の構成比率は,富の現在価値
や無差別曲線から独立に決定され,富の現在価値や無差別曲線は,安全資産と
危険資産全体との保有額を決定する。〔2〕一一 。
i227
104
これに付げ加えていうならば,まず第一に,分離定理が成立するのは,危険
回避型の経済主体のみであるということである。それは皿で論じたことから明
らかである。このことは,いいかえれば,安全資産を保有するのは危険回避型
の経済主体のみであるということにほかならない。第二には,安全資産を含ん
だ資産選択においては,安全資産が保有されている限り,それぞれの危険資産
を考える必要ばなく,最大のθによって,その構成比が与えられる一種の合成
危険資産を考慮すれば十分であるということである。{3]このことは,以下の論
述において,さっそく利用される。
つぎに論じようとするのは,安全資産と危険資産が同時に保有されている時
に,危険資産の予想収益率の変化や富の初期値の変化が,その保有比にどのよ
うな影響を与えるかということである。通常,これはr絶対的危険回避度」
(The Abs01ute Risk AversiOn)および「相対的危険回避度」(The Relative Risk
Aversion)とよばれる概念によって分析される。{4jこの場合,分離定理によっ
て,何種類かの危険資産があっても,それらは合成危険資産という一種類の危
険資産として取り扱うことが可能であ私また,安全資産と危険資産が同時に
保有されるのであるから,考察対象の経済主体は危険回避型のみである。
さて,ある一定の構成比率をもつ合成危険資産の保有額をαとし,その不確
実な収益率をσとする。σは,もちろん確率変数である。この時,富の将来価
値Wは,(IV−1)式および(IV−3)式より,
(1V−10) η7二μo(Wo一α)十(1+α)σ
。 ≡μ0W。十(卜70)α
である。したがって,万{σ(W’)}ぼ,
(IV−11) E{σ(W)}=E{σ(μ。W。十(α一κ。)α)}
となる。ここで単純化のため,起こりうる将来の状況が二つしかなく,それぞ
れ,ヵ1,力。の確率で,σ。,免が起こるとしよう。そして,σ。>σ。とする。もち
ろん,カ、十カ2=1である。
1228
105
いま,”に関して均衡が成立しているものとする。その均衡条件はつぎの通
りである。
(卜・・)泌{多;W)」・1ぴ(m(け)/一・
これは均衡の第1条件である。仮定から,σ’(W)>0である。単純化の例に
よれば,
(1V−12)’ カ。σ1(肌)(σ、一7。)十ムσ1(肌)(σ。イ。)=O
である。ただし,
W1=μOWO+(α1−70)α
w2=μowo+(α2一γo)α
で,σ。>σ。であるから,W。>肌である。また,σ1(”)>0であるから,(1V
−12)’式が成立するには,σ。>q。である隈り,
σ1−7o〉0 ===〉 σ1>グo
σ2−7o<0 ⇒ σ2くκo
となっていなければならない。つぎに,均衡の第2条件は,次式に示される。
(卜・・)棚牒)}一五/岬)(σ一れ)・1・・
ここでは,危険回避型の経済主体を考えているから,ぴ’(W)〈Oであり,上
式は成立する。
㈹ σの変化
いま,σが将来の状況のいかんをとわず,一様に少しだけ変化したとしよ
う。㈲この時のαの保有額の変化をみるため,(W−12)式を2で徴分しよう。
(ト・・)万/”(・)(1一れ)/1・(1一れ)音/〕一・
これより,期待値の計算にしたがって,㈹
伽_ 五{ぴ’(w)(σ一グo)}
(r7−15) 一一 α
吻 亙{ぴ’(w)(σ一7o)2}
を得る。単純化の例によれば,
1229
106
肋 力1ぴ’(W1)(σ1一κO)十あσ”(W,)(42−70)
(lV−15)1 = α
吻 カ1ぴ’(W1)(σ1−7血),十力2ぴ’(W2)(q2−70)2
となる。ここで,分母については,(lV−13)式より,
(IV−16) 亙{ぴ’(W)(σ一7o)2}≡ク〃’(W。)(σ。一7。)2
+ク。σ”(W2)(2。一7o)2<0
である。一方,分子については,そのままでは正負は明らかでない。そこで,
一叩・(w)(σ一汽)/α一亙/(讐1影;)ぴ(w)(1一れ)/αω
一亙/1滞;1ぴ(w)(σ刊/α
と変形する。ここで,
(・一・・)&(・)一織一1器;1
を,絶対的危険回避度と定義しよう。&は富の限界効用の相対的変化率であ
る。分子の正負は,この見が富の増加関数か減少関数かによって決定され
る。というのは,単純化の例にしたがえば,(lV」12)’式より,
ク1(σ1−70) σ’(W2)
ク2(2rκO) σ1(W1)
である。そこで,分予は,
一軌σ”(W1)(σ1−70)十力2ぴ’(W2)(α2−70)}α
一一/岬)俵緒(州w(肌)(吻一伶)/1
一庇(帥)ぴ(肌)/鉄緒多総/α
となる。ここで,見を用いると,上式は,
(lV−18) 力毘(σ。一κo)ぴ(肌){&(W。)一見(W。)1α
となって,σ。一7o<Oより,上式の正負は,見(W。)一見(W。)の正負で与え
られることになるo
1230
107
まず,見がWの減少関数であるとしよう。W。〉肌であるから,見(肌
>見(W。)となり,分子は負となる。分母は,(lV−16)式より負であるから,
この時,
∂α
一>0
吻
となる。一方,見が増加関数であれば,見(肌)<見(W。)となり,分子は
正である。したがって,
6α
一くO
吻
となる。
(B)Woの変化
㈹の場合と同様に,(W−12)式をWoで徴分する。
万/岬)/灼・(1刊制〕一・
これより, 、
ゐ_ 亙{ぴ1(豚)(α一7o)}
(IV−19)万一亙{ぴW)(α一れ)・}μ・
μo>0であるから,倒で展開したのと同じ分析が,ここでも成立することは明
らかである。すなわち,見が減少関数ならば,
伽
一>0
∂w
となり,増加関数ならぼ,
ゐ
一<0
∂w
となる。かくて,&の定義にしたがえぱ,σおよびwoの変化の合成危険資
産に与える効果は,つぎのようにいえる。
r絶対的危険回避度が増加(滅少)関数であれば,σおよび豚oの増大は合
成危険資産需要を減少(増加)させる。㈲一
1231
108
このように,ぬを用いれば,σの変化に応じた合成危険資産と安全資産の
保有比の変化の方向は明らかになる。なぜならば,この時の合成危険資産需要
の変化は,woが一定なのであるから,安全資産需要の逆方向の変化を意味す
るからである。しかし,W・の変化に応じた両資産の保有比は,&だげでは
不十分であろう。そこで,相対的危険回避度が必要となる。
相対的危険回避度は,富の初期値の変化率に対する資産需要の変化率の大き
さ,すなわち,資産需要の富に関する弾力性一9】を測るのに用いられる。そこで
いま,合成危険資産の富弾力性をη、としよう。それは(lV−19)式より,
ゐ wo_ 亙{σ”(w)(α一7o)} 〃「o
η・=〃。α’Elぴ・(W)(σ一伶)・1”丁
_μ。W.E{ぴ1(W)(σ一7。)}十αE{ぴ’(W)(σ一7。)2}一αE{ぴ’(W)(σイ。)2}
αE{σ”(wF)(α一グo)2}
亙rぴ’(W)(σ一κ。){μ。WO+α(α一κO)}〕
=1
αE{ぴ’(w)(σ一κo)2}
(lV−10)式より,
亙{ぴ’(w)w(σ一7o)}
(r7−20) η1=1
α亙{ぴ’(wr)(4−7o)2}
となる。また,安全資産の富弾力性をη2とすれば,
(・一・・)伽一6(蒜α)・(≠、)一(・一蒜)(井、)
一(・一峠)(丹、)一保η夢
肌一α・器粋搾箒1}
肌0一α
亙{ぴ’(w)w(σ一κo)}
=1+
(wo一α)亙{ぴ’(w)(¢一κo)2}
となる。ここで,相対的危険回避度R。(w)を,
(卜・・)W)一鵠・一1祭筈1・1
1232
109
と定義する。
これは限界効用の富に関する弾力性にほかならない。⑩&を用
いれば,
(IV−20)1
互{五児(wr)ぴ(w)(σ一7o)}
η1=1+
(W−21)1 η2=1
αE{ぴ’(w)(σ一7o)2}
亙{五児(w)ぴ(w)(σ一7o)}
(肌一α)E{ぴ’(wF)(α一γo)2}
単純化の例を用いれば,
(lV−20)・η、一1。”(肌)(σ・■州R用(肌)一R亙(肌)1
ψ且ぴ’(〃。)(2。一7。)2+Aぴ’(肌)(狛一7。)呈1
(W−21)・η、一1 力1∼ア(肌)(σ・一伶){R・(肌)一R亙(W・)1
(肌一α){カ1ぴ’(W。)(α1−70)里十ク2σ”(肌)(α2−70)2}
である。α>O,肌一α>0であるから,(W−16)式より,分母は,ともに負
である。分子の正負は,先と同じく,&がwの増加関数か減少関数かによ
って決定される。
いま,&が増加関数であるとしよう。この時,W。〉肌であるから,鳥
(W1)>凧(肌)とたる。したがって,σ。一7o<Oとあわせて,
あぴ(W。)(妬イ。)/&(肌)一沁(W、)}>O
となり,
η1く1, η毘>1
を得る。一方,減少関数とすれぼ,&(W。)<&(肌)となり,
あぴ(肌)(σ。一7。){私(W。)一払(W、)1<0
したがって,
η1>1, η2<1
となる。かくて,相対的危険回避度にしたがえぼ,つぎのことが明らかとなる。
一相対的危険回避度が増加(滅少)関数であるならば,合成危険資産の富弾力
性は1より小(大)となり,安全資産の富弾力性は1より犬(小)となる。ω一
XX×XXXXX×XX
工233
110
以上で,本稿の本論を終える。しかし,これで,資産選択理論の基本的構造
をすべて論じ終えたということではない。さらに論ずべき点は多々残されてい
る。そして,今後の発展として,できうれば,資産選択行動と消費(貯蓄)行
動との統合を敢り上げたいと思う。これらの点については,別の機会を期した
いと思う。
注
(1)もちろん,数種の安全資産が存在することも考えられる。しかし,その時には,
それらのなかで最も高い収益率をもつ安全資産のみが選択の対象となることは明ら
かであろう。そのような時には,貨幣のもつ価値確実性の意義は小さなものとなろ
う。なぜならば,貨幣の資本利得およぴ損失を含め底い意味での収益率は・、一般に
○と考えられるからである。こうLた観点からすれぱ,貨幣の重要性は,それが遅
滞なく支払いに応じられるという特性にあるとするヒヅクスの主張1亨重要な意睦を
含んでいるといえる。[7コ。
(2) 詳綱については,[16コ55∼62ぺ一ジ。
(3)これは,ケインズがその流動佳選好理論で,2種の資産のみを分析Lたことを支
持するといえようが,それでも,トービンの批判をまぬがれると、・うことでばない。
[13コ。
¢)[ユコchaPt.3,■[17]参照。
(5) したがって・ここでは一つの資産の予想収益率の変化の夢果については論じてい
ない。これは,資産選択理論におげる代替効果および期待資産効果の分析で扱われ
る。[15コ鉋
(6) 工の注⑩参照。
(7)仮定より,ぴ(Wr)<Oであるから,
ぴ’(w)
一 >O
ぴ(w)
である。
(8)これを先の2次の効用関数σ(π)=α豚十ろW2に適用すると,奇妙な結果を得
る。危険回避型のケースでは,
乙π(珂7)=”十2あηア〉0
σ”(W)=ゐくO
である。したがって,灰■(w一)は,
σ”(w) ろ
亙且(W)=■ぴ(π)一一θ。・〃
1234
ユ11
となり,あ<Oより,πの増カロ関数である。したがって,危険回避型の経済主体は,
wの増加に応じて,合成危険資産需要を減少させるという,いわば現実と矛盾した
結果を生むことになる。
このことはまた,2次の動用関数から導出される期待効用の無差別碑稗麟が・
実は同心円であるということから導くこともできる。期待効用,亙(σ)=卯w+あ
(μw2+σw2)を変形して,
(仰・青)2・が一蝸(暴十♂
を紙これは・中心を(一素・)・半径を〉蝸纂)十がとする円にほかたち
σ岬
〃
ない。そこでいま wらが
何倍か増加Lたとしよう。
この時,新たな機会軌跡
α””は、全体に右方へ
亙
移動するが,直線の都分の
α
傾きは変化しない。無差別
万 α
曲線群が同心円である限り,
新たな均衡点は,中心を五
とじて,線分PRになけ
れぱならないことは明ら.か
である。新たな均衡点をP’
Q QI
R 灼
とLよう。P’の示すσwは
前の均衡点Pの示すσ〃よ
りも常に小であることは,図より明らかである。すなおち、危険回避型の経済主体
は,富が増加するにつれて,危険資産需要を滅少させるのであ乱これは,2次の
効用関数に基礎をおく資産選択理論の重大な欠点といえよう。ヒックスが序数的動
用関数による資産選択灘論へ向った,ひとつの理由もこれであった。[6コ,[8コ。
(9)これはもちろん當が何割か変化した時に・資寧箪要がそれに応じてどれくらいの
割合で変化するかを示す。
(1Φ 富の隈界効用の富弾カ性は㌧
6ぴ(豚)
σ1(w) ∂ぴ(w) 肌 σ”(w)
’珊_■珊’ぴ(豚)一ぴ(豚)肌
豚o
である筥
⑬η1…η呈=1となる時もある血すなわち.(V−20)’式および(V−21)’式から明
ユ235
112
らかなようにR丑(w)が一定の時である邑
付論 キューン・タヅカー(Kuhn−Tucker)
の条件について(1〕
ここでは,lIで用いたキューソ・タッカーの条件を,より一般的な形で示し,
その初歩的な証明を与える。そこで,与えられる間題をつぎのように示そう。(2〕
〃肋伽肋:∫(κ1,……,κ刑)
S吻θ州・:{・・π・十…………十仰κ皿≧{・
1 1 1〃<〃 (1)
α刎κ1+・”……十α㎜冊κ柵≧C肌
劣也≧0 づ=1,2,・・・… ,〃 (2)
まず,上記の問題の解はK・τの条件をみたさなげればならないことを証明
する。すなわち,K・τの条件の必要性の証明である。いま,最適解が(κ。0,…
…,κ胴0)で与えられたとする。ここで,
タ=1,2,……,〃1についてが…O
仁〃1+1,・一・,〃についてκ壱o>O
とし,さらに,(κ。o,……,κ刑o)を(1)に代入して等号となるものが,最初から刎。
個並んでいるようにしよう。κ{Oからの徴小変化を幽{で示す。κ{0+伽が条
件をみたすとすれば,ξ=1,2,……物1とト1,2,……刎1について,
伽≧0 {=1,2,……〃。 (3)
αゴユ6κ1+.’..‘’….十α加6κ冊≧O プ=1,2,・・・… 刎1 (4)
でなけれぼなたらい。(3)は,変動褒,Oであった解が負になることはないこと
を示し,(4)は,変動後,当初等号で示された条件が破られることはないことを
意味する。他の条件は,強い不等号で示されているから,それらの条件をみた
すような十分小さな伽を考えることができる。㈲ここで,1(κ。,一・・,κ珊)は
1236
113
連続で,(κ。O,……,κ刷O)の近傍で徴分可能とする。この時,全徴分〃は,
ψ=圭五荻、1・1
旭。1∂狛
となる。(κ・皿,……,κ冊0)が最適解であれば,変動後,〃くOをみたす新しい解
は存在しないから,
ψ一差五6、、≧O
(5)
。昌1∂κ{
が,先の(3),(4)をみたすすべての変動に対して,成立していなければならない。
ところで,ミソコフスキー・ファルカス(Minkowsky−Farkas)の定理によ
れぼ一連立1次方程式λX=ゐが非負解X≧Oをもつための必要十分条件は,
”ク≧0㈲なる任意の解力に対して,グあ≧0となることである㈲。一これを逆
に考えると,”カ≧0なるφに対して,〃≧0となるならば,AX=ろに非負
解X≧0が存在する。これを利用すれば,
α。。伽十・一…・十α〃机≧0
伽 ≧O
■
.
.
‘
.
.
伽祀。 ≧0
ゴ==1,2,・・・… 〃z1
の解伽に。対して,(5)が成立するのであるから,ある非負の数を,勿。,……〃閉,
〃、,……脇1とすれば,
α11α21・・・・・・・・・… o帆11 1…・・“… 0
竺・
五
∂κ。
{・・α・・.’’..’.I....争・1㍗‘..“?
: : : ㍉:
〃刎
〃工
ω刑1
五
∂伽
となる。す汰わち,
一237
114
ぴ
α11〃1+・・・・・… 十α㎜11〃刎十ω1 −
1 ∂狛
・ ヴ
α1刎〃1+・・・…十0如1刎ω伽1+〃冊1 一
∂{刎
’ 敬
αユ弼吻十…………十α刎皿脇1 =
∂伽
となり,これより,
三五≡竃砧α3、十凱、
旭。1∂鳩 』=1 。=1 ㌍1
を得る。両辺に批、をかけて,ω灸式を得る。
差(缶一茗榊)伽省脇
亡こで,刎≧〆刎、なる物について,〃戸Oとすれば,上式は,
差(吾一芝榊)加払伽
となる。ここで,吻≧0,伽≧O(6=1,2,……〃,)であるから、
ゑ(暑一抄)伽・・ (・)
が,
冊1
Σ俄伽 (7)
旭=1
をみたすすべての伽壱について成立する。
そこで,各変数を個々に徴小変化させてゑよう。
(i) ξ≦勿、のケーメ
ここでは,”≡0(仁1,2,……めである。伽{のうちひとつを正とし,他をO
とすれば,(6)は,
五一芸榊、≧O, 1−1,2,……,。,
∂” 5・・
となる。〃≧{〉勿1なる∂蛎はOとする。
昭蔓蔓
115
(ii) 刎≧6〉〃1のケース
ここでは,κ包o〉O(〃≧ξ>〃1)である。したがって,この場合の伽は(7)の範囲
外にある。伽のうち,ひとつを除いて,他をOとすれぼ,その赦{の正負を
間わず,(7)は成立するから,(6)は,
(缶一ゑ榊)伽・い・1… (・)
となる。伽>Oでも伽く0で㌧よ式が成立するためには,明らか酢三,
研 ㎜
万一ξ、榊=O (・)
でなければたらない。(8),(9〕ぱ,IIで示されたように,K・τの条件である。
かくして,物のある組(πユ0,……,κ刑0)が1(κ。,’……,”刑)を条件(1),(2)のも
とで最小化しているならば,その時,ある非負の数の組を(吻,^一,〃㎜)とし
て,
北包o=0の時,
缶一ξ、榊・・
(8)
κ。o>0の時
音一葦1炸・ (・)
となっていなげればならない。以上で,K・τの条件の必要性の証明を終え
る。幅〕
つぎに,K・Tの条件の十分性を証明する。すなわち,(8),(9)をみたすよう
在κ旭の組(κ、0,……,κ胴。)は与えられた問題の最適解であることを証明する。
この証明は,大きく2段階た分けて考えられる。
〔1コ (π10,……,仙o)が(秘1,……,〃肌)とともに,(8),(9)をみたしているが,
大域的最小点であるかわからないとしよう。しかし,この除・(κ且o,=・・晶・,北刑o)
は少なくとも,局所的最小点である。[1]では,これを証明する。
いま,(”、O,……,狐0)に十分近い組として,(κ1,……,κ冊)をとり,テーラ}
{塊今
116
展開を行なおう。胞〕ただし,2次以上は考えないものとする。この時,
ψ=ル、,……,π冊)イ(κ、。,_..,。冊。)=差五(π、_、、。) ⑩
{。1∂狐
である。仮定より,(8),(9)はみたされているから,すべてのタについて,〃=O
研 刎
か万一ξ、榊=Oが成立しているべれより・
狗音一唯榊 ・一・z…・・㍉・
が成立する。これを⑩に代入すれば,
炸ξ音κ・一知着榊
とたる。(κ。,・…・・,κ弼)は仮定から,篶≧0である。したがって,(8),(9)より,
∂デ 刎
拘万≧唄σ灼
である。これを用いると,ψは,
冊 衙! 冊 一祀
ψ≧Σ伽Σαゴ〃ゴーΣκ毒0Σ伽物
包=1 ゴ=1 仁1 ゴ;1
すなわち,
ψ脅1(茗榊青刈 ⑪
となる。ここで,灼≧Oで,〃戸Oである項ぱ考えなくてよいから,〃ゴ>0な
る項を考えると,それらの項は,すべて,Σαゴ泌0=0ゴが成立するようたプ(す
■=1
なわち,物1≧プ≧1)に対応している。また,(κ1,……,π柵)も,Σ1伽郷ゴ≧を
ゴ=1
みたすようなものでなければならない。したがって,
冊 冊
Σσ沸≧Σα淋0
仁1 忙1
を得る。伽≧Oであるから,⑪は,上式を用いて,
1240
117
〃・刺茗榊青刈・・
すなわち,(κ。0,……,κ疵O)によって与えられる∫の値は,それに十分近い組
(κ。,……,κ冊)によって与えられる!の値よりも大きくない。これは,K・τの
条件をみたす解は局所的最小点であることを示している。ω
[2コ ここでは,目的関数アがある性質をもつ時には,局所的最小値はその
まま,大域的最小値となることを証明し,さらに,!が非負値2次形式で示さ
れる時には,!はその性質をもつことを証明する。ω
そこでまず,1(κユ,一・,κ柵)が凸関数であれば,1(κ。,……,κ刑)の局所的最
小値は,大域的最小値であることを証明する。
いま,XO=(が,・一・,〃)を局所的最小点とする。グの定義域内の任意の点
をXとする。X≠Xoである。この時,Xに対して,Xoが局所的最小点であ
ることと,ブが邑関数であることから,
!(X。)≦1〔(1−1)X。十泌〕≦(1一λ)ヅ(幻十狐X)
をみたすλ(O≦2≦1)が存在する。ωこれより,
∫(Xo)≦(1一λ)∫(Xo)十炉(X)
助(Xo)≦切(X)
となる。したがって,
グ(Xo)≦1(X)
である。xは!の定義域内の任意の点であるから,xoはその定義域内で,
∫(X)の最小値を与える点である。以上で,証明を終わる。
最後に,非負値2次形式/(X)昌ΣΣ伽灼巧=X’λXが凸関数であること
仁1戸1
を証明しよう。㈱
定義域内の任意の2点を,X。,X皇とし,0≦λ≦1として,!(X)が凸関数
であるとしよう。凸関数の定義より,
1241
118
!〔泌。十(1一λ)X。〕一λ∫(X、)一(1一λ)1(X。)≦0
これを夕(X)=X’五Xを用いて展開すると,
1〔λX1+(1一λ)X雪〕一〃(X1)一(1一λ)グ(X2)
=〔服1+(1一λ)X2〕’λ〔λX1+(1一λ)X2〕一泌11λX1
一(1−1)X2’孤,
一λX.1〃X。十λ。X.1五(1一λ)X。十(1一λ)XμλX。十(1一λ)X里1A(1一λ)X。
一λXllAX1一(1一λ)X2’λX2
ところで,X11λX2≡X。’λX1であるから,上式は,
λ2XμX。十2λ(一λ)XμX。十(1−1)2XμX呈一λXμX。一(1一λ)XμX。
=λ(1−1)XμX。十λ(λ一1)XμXr2λ(2一ユ)XμX。
=λ(レ1)〔XμX。一2XμX。十XμX,〕
rλ(λ一1)〔(X。一X。)仏(XrX。)〕≦O
ここで,仮定より,1(X)は非負であるから,任意のXについて,
プ(X)≡X’AX≧O
である。また,仮定より
λ(λ一1)≦0
である。したがって,上式は成立する。すなわち,非負値2次形式は凸関数で
ある。
注
(1)K・τの条件は[20]で示される。ここでは,[18コ,[19コを使った。
(2)最小化・最大化の区別なく,また割約式が等号であるか不讐号であるかにかかわ
りなく,さらに不讐号の向きにもかかわりなく,XlTの条件は証明される。[19コ
209∼216ぺ一ジ。讐号の場合については,注(8),⑩を参照。
(3) したがって,そのよう次伽一こついては,特に考慮L放くてよいことになる。
∂グ
μ)亙は・もちろん物Oの時の煽微分であ乱
(5)”はλの転置行列。
(6) この定理の証明は省略する。これにつし、ては,[24]131ぺ一ジ。[21]209ぺ’ジ。
1242
u9
(7) この6物は,もちろん条件をみたすものである。
(8)皿で示された問題のように,制約式がすべての等号で示されている揚合は・この
緒論にわずかの修正を加えることになる。この時・刎個の1次方程式すべてについ
て,
の丑61π十・・・…十の柵∂伽≧0 ブ=1,2,・・・…,刎
と同時に。
α316κ1+・・・… 十αゴ柵dκπ≦0 ゴ=1,2,・・… .,”o
をみたさなければならない。後式は,
脇(一伽D+……十伽(一伽冊)≧O ゴ=1.2,・・…=〃
と書げ,これに,”・万の定理を適用すれば,
一勿ゴ≧O→〃コ≦O ゴ=1,2,・… “,〃!
となる。これは,制約式が響号の時は,〃の符号は問わないことを意味す乱 か
くて.この時には,任意の数の組(物,……,伽)について.
灼o=Oの蒔,
∂ゲ 伽
一一Σ〃如兇≧0
∂狗 ゴ・工
幼o〉Oの時
∂ゲ 帆
一一Σ〃ゴαゴ{:O
∂勿 ヅエ
となる。この刎がラグランジュ乗数であることは・もはや明らかであろうo
(9)テーラー展開については。たとえば,[25]1∼67ぺ一ジo
⑩ 制約式が等号であれば,それを不讐式化Lて,すぺてのハこついて。
Σ=”ゴ包北{‘oゴ≧O
ゲ1
かつ,
一Σ:αゴtκ奇十〇ゴ≧:O
{!1
とすることができる日一カ,(狛0,“…・,κ刑O)については・仮定より・
Σ肋幼L勿二〇
一1
または,
一Σ:四ゴ{北旭鉋十むゴ…O
{=1
である。Lたがって,
1243
】20
Σωψ{一Σ〃{娩o≧O
一=1 0=1
また,
一Σ:αゴμ{十Σαゴ{”{o≧O
一=1 t=1
となる。後式については,先の注(8)と同じく,一物>Oとすることにより,本文と
同じ証明が可能となる。
⑪ より厳密に考える底らば,[18コchap仁13を参照。
⑫ 先の皿の注(9〕参照。
⑬ 先のIの注⑭とI[の注(9)参照。
⑭ 内稜の定義より,
(λXユ,X茗)=(X2,λX・)
(λX1,X2)=X1’λX2
(為。λX1)=X2’λX1
これより,X11λム=X21五X1。[23コ166∼7ぺ一ジ,154∼5ぺ一ジ。
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本稿は昭和48∼49年度の指定課題研究rポ}トフォリオ・セレクションと収益率に
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資産選択理論の基本的構造