第9章 メカトロ機械の制御技術
伝達関数
ラプラス変換
周波数応答
ボード線図
ゲイン特性
時間遅れ・・・
フィードバック制御のブロック図
●フィードバック制御とシーケンス制御
●交流モータの制御→インバータ制御
●新しい制御方法→ファジィ制御,ニューロ・・・
●「制御」とは?
制御
機械・装置などを目的とする状態に保つために、適当
な操作を加えること。
制御に関連する用語(制御工学/メカトロニクスの教科書より)
機械制御,フィードバック制御,自動制御,サーボ制御,電圧
制御,プロセス制御,シーケンス制御,ON-OFF制御,リニア制
御,PWM制御,インバータ制御,ファジィ制御,最適制御・・・
一概に「制御」と言っても,用語の使い方は様々
であり,同列に並べられない!
(概念もあり,具体的な操作方法もある。)
9.1 機械式制御と電子制御
●機械式制御の例:蒸気機関の遠心調速機
★おもりの遠心力と地球の重力とのつり合いによって,バルブ
の開閉を行っている。
●電子制御の例:自動車用エンジン
エンジンが必要とす
る燃料の量と噴射
のタイミングを電子
制御装置によって
正確に制御する。
制御の目的
①排気ガスの浄化
(NOx,CO,HC)
②燃費の向上(CO2)
③加速性能/エンジ
ンの応答性・・・
●エンジン制御項目
①空燃比制御
②点火時期制御
③アイドリング回転数制御
(外乱の影響)
③EGR制御
ガソリンエンジン
●空燃比制御の必要性
三元触媒の構造と浄化率
自動車エレクトロニクス(山海道)
●実際の自動車用エンジンの制御システム
吸入空気量
エンジン回転数
冷却水や吸入空気の温度
排気管内の酸素濃度
運転条件
【演習問題①】
★機械式制御と電子制御の特徴(利点,問題
点)をまとめ,機械式制御が適した機械の例
をあげなさい。
9.2 フィードバック制御の概要
入力信号に対し
て,どのような
出力信号が得
られるのかが重
要!
(a) 入力から出力を表す簡単なブロック図
目標値と実際の
制御量の差を
計算して,入力
する。
(b) フィードバック制御を表すブロック図
●フィードバック制御の要点
①入力と出力の関係は,
微分方程式で表されるこ
とが多い。(ラプラス変換
の必要性)
●ラプラス変換
●伝達関数
②制御系の時間遅れ(応
答性)や安定性が重要と
なることが多い。
●一次遅れ,二次遅れ
●周波数応答・・・
これらを数学的に表す技術(制御工学)
●フィードバック制御とシーケンス制御
目標値と実際の制御量の
差を計算して,入力信号
を決める制御。
(a) フィードバック制御
あらかじめ決められた手順(プ
ログラム)に従って制御の各段
階を決めていく制御。
(b) シーケンス制御
実際のメカトロ機械では,これらを組み合わせて使うことが多い。
【演習問題②】
★フィードバック制御とシーケンス制御の特徴
(利点,問題点)をまとめ,シーケンス制御が
適した機械の例をあげなさい。
9.3 インバータ制御
(a) 交流モータ
(b) 直流モータ
インバータ制御は,交流モータの回転数を制御
する手法であり,機器の省エネ化に重要!
(1) インバータの基本構造
●インバータ:直流を交流に変換すること(装置)
●コンバータ:交流を直流に変換すること(装置)
三相交流を直流に変換
し,コントローラで交流
に変換している。
●一般の交流電源は,周波数一定(関東では50Hz)。
●インバータよって任意波形の交流電源を作ることができる。
(2) インバータの使用例と必要性
●交流モータの回転数制御
●例えば,インバータ制御のエ
アコンは,きめ細かい温度調
節の制御ができ,省エネ効果
が高い。
http://kadenfan.hitachi.co.jp/ra/index.html
(2) インバータの使用例と必要性
●蓄電システムの利用
●例えば,コジェネレーションシステムで,直流蓄電池(バッ
テリ)に電気エネルギーを貯めておく。
(2) インバータの使用例と必要性
●ちらつきが少なく,調光できる蛍光灯
http://biz.national.jp/Ebox/heyabetsuakari/living_fset.html
●高周波数の交流を使えば,蛍光灯のちらつきが低減でき
る。さらに,インバータ制御によって調光が可能となる。
(3) インバータの問題点
●高周波の電源を利用するため,電波障害や騒音などが発生
する。
ノイズ低減は非常に重要な技術!
●インバータでの損失がある(10%程度)。
システムの省エネ化(高効率化)が重要!
「インバータ制御=省エネ」は間違い!
【演習問題③】
★電力の省エネルギー化の具体的な方法を5
つ考えなさい。
9.4 新しい制御方法
従来の制御
従来のフィードバック制御などのように,入力/
出力の関係を数学的に表す制御方法。
高い精度で解析可能な現象を制御するには極めて有効
新しい制御
コンピュータ技術を利用して,取り扱いやすさを
考えた制御方法。
複雑な物理現象を扱う場合に有効な手法
●ファジィ理論
●ニューラルネットワーク
●遺伝的アルゴリズム
(1) ファジィ制御
●数値ではなく,言葉による制御規則(ルール)を定式化し,制御
手順を決める手法である。
●経験的なデータベースが多くある場合,ルールの設定は比較
的容易であり,また完全なルールは要求されない。
●ファジィ理論には学習機能が基本的になく,得られる解が最適
であるかは保証されない。
例えば魚ロボットの場合・・・
(1) 速度が速くて,消費電力が大きいならば,
最大振れ角を小さくする。
(2) 速度が遅くて,消費電力が小さいならば,
最大振れ角を大きくする。
●家電機械への適用例
洗濯機
1990年~:ファジィ家電ブーム
①洗濯物が多く,布質がごわごわならば,水流を強くし,洗い時間を長くする。
②洗濯物が少なく,布質がやわらかならば,水流を弱くし,洗い時間を短くする。
掃除機
①ごみの量が多く,床面がカーペット状(やわらかい)ならば,吸引力を強くする。
②ごみの量が少なく,床面が畳状(固い)ならば,吸引力を弱くする。
ファジィ理論は・・・
●経験的な知識を規則として記述しやすい。
●ただし,適切な規則を作るには,十分な経験が必要となる。
(2) ニューラルネットワーク(ニューロ)
●人間の「脳」の機能を積極的に真似ようとする考えに基づいて
いる。
●何かを見て,それが何であるかを認識し,必要に応じて行動を
起こすといった人間には容易な思考をコンピュータに学習させる。
●数値データを用いた情報処理に適しており,入出力データから
の学習能力に優れている。
●ニューロの適用例
評価関数を設定し,計算
することで,トータルの制
御量(出力)を計算できる。
評価関数:成績の優劣を表す指標
それぞれのつながりの重
み付けを考える。
●ニューロの適用例
複雑なニューロモデルを考えれば,
「賢い」魚ロボットが完成する?
(3) 遺伝的アルゴリズム
●淘汰,増殖,交叉,突然変異といった生物の進化の過程を模擬
した情報処理手法。
●対象とするシステムの様々なパラメータの集まりを一つの「遺伝
子」と見なして表現し,多くの異なった遺伝子を作って,「進化」の
過程を適用させる。
●複数のモデルを評価し,優れた物を交叉させ,より優れたモデ
ルを増殖させる。
●多くの組み合わせの中からの選択能力に優れているが,最初
に複数のモデルを構築する必要がある。
成績が良いものを残し,悪いものを捨てる!
●遺伝的アルゴリズムの適用例
魚ロボットの遺伝子モデル
●遺伝的アルゴリズムの適用例
遺伝的アルゴリズムの計算例
【演習問題④】
★ファジィ制御,ニューラルネットワーク,移転
的アルゴリズムなどの新しい制御方法は,日
常生活や生物の仕組みを利用した制御方法
と言える。
日常生活あるいは身の回りで何らかの「制
御」をしている実例をあげなさい。
9.5 制御理論のまとめ
●様々な制御理論・制御方法がある。
●実際のメカトロニクス機械を作り上げるのに重要なのは,
どのような操作をしたいのかを明確にすること!
●もちろん,制御理論だけでは機械は完成しない。ハードか
らソフトまでの全てがそろって,適切な機械が成立する。
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