2012年1月
N―3
研修コーナー
17.代表的異常分娩とその管理
1)陣痛の異常
2)胎児機能不全
3)胎盤の異常
4)急速遂娩
1)陣痛の異常
分娩の三要素である娩出力,産道,娩出物のうちの娩出力を構成するものは分娩第二期における怒
責
(腹圧)
を除いてほとんどが陣痛である.陣痛とは子宮収縮そのものを指し,疼痛を伴うことは絶対
的な条件ではない.陣痛の性状の表現には,発作
(収縮期)
,間欠
(静止期)
,周期
(発作+間欠)
および
収縮の強さなどが用いられる.これらの異常を陣痛の異常とし,微弱陣痛と過強陣痛に分けられる.
日本産科婦人科学会の定義では表 1 のように収縮の強さを子宮内圧を測定することによって評価して
いる.しかし臨床的には子宮内圧の代わりに外測法による陣痛周期と陣痛発作持続時間を持って表現
(表2,3)
することも認められており,こちらの方が一般的である.
1.微弱陣痛
<診断>
上記のように次頁“表 1,表 2 あるいは 3”によって診断する.
<原因>
①原発性微弱陣痛
分娩開始より陣痛の弱い状態であり次のような原因も考えられる.
1)子宮の器質的異常:子宮筋腫,子宮奇形,子宮発育不全,子宮内腔癒着など
2)子宮筋の過伸展:多胎妊娠,羊水過多など
3)その他:胎位異常,母体消耗性疾患,肥満,精神的不安など
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N―4
日産婦誌64巻1号
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②続発性微弱陣痛
途中から陣痛が微弱となるもので,子宮筋の疲労や次のような原因も考えられる.
1)産道異常:狭骨盤,軟産道強靭など
2)娩出物異常:巨大児,胎児奇形など
3)その他:胎位・胎勢異常,回旋異常,不正軸進入,母体疲労,麻酔など
<管理と対応>
微弱陣痛が原因と考えられる分娩遷延に対しては日本産科婦人科学会の産婦人科診療ガイドライン
産科編2011に図 1 のように記されている.
薬剤による陣痛促進は表 4 のように行う.
CQ404 微弱陣痛が原因と考えられる遷延分娩への対応は?
図 1 「産 婦 人 科 診 療 ガ イ ド ラ イ ン 産 科 編 2011」に 掲 載 さ れ た
CQ& A
2.過強陣痛
<診断>
表1,表 2 あるいは 3 によって診断する.また,陣痛促進薬使用中の胎児徐脈出現時には過強陣痛
を疑う
(図2)
.
<原因>
1)産道抵抗の増大:狭骨盤,軟産道強靭,胎位胎勢異常,回旋異常,児頭不均衡など
2)陣痛促進薬:不適当な投与量や投与法,薬剤感受性の亢進
<管理と対応>
陣痛促進薬を使用している場合は,直ちに使用を中止する.原因を速やかに診断する.軟産道強靭
の場合は母体の鎮痛・鎮静をはかり,産道の緊張をとるとスムーズに進行することがある.胎児心
拍モニタリングで non-reassuring pattern が観察される場合は図 2 を参考に子宮収縮抑制薬投与を
含めた胎児蘇生法を考慮する.
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2012年1月
N―5
研修コーナー
CQ408 胎児蘇生法については(胎児低酸素状態への進展が懸念される場
合は)
?
図 2 「産 婦 人 科 診 療 ガ イ ド ラ イ ン 産 科 編 2011」に 掲 載 さ れ た
CQ& A
《参考文献》
(編)
.東京:金原出版.2008
1.産科婦人科用語集・用語解説集
(改訂第 2 版).日本産科婦人科学会
2.産婦人科診療ガイドライン産科編2011,
日本産科婦人科学会!
日本産婦人科医会編,東京:日本産科婦人科
学会.2011
北海道大学
山田崇弘
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