第2学年2組
社会科学習指導案
平成26年11月27日(木) 第5校時
指導者
教 諭
青 柳 慎一
生徒数
男子 18 名 女子 16 名 計 34 名
1
2
単元名
欧米諸国のアジア進出と日本の開国(歴史的分野内容(5)
近代の日本と世界)
単元構成の視点
(1) 教材観
本単元は、歴史的分野内容(5)アと、イの「開国とその影響」について取り上げ構成する。開国
とその影響については、学習指導要領の内容の取扱いにア「欧米諸国のアジア進出」と関連付けて
取り扱うようにすることとあり、本単元はこの点を踏まえて構成するものである。
17 世紀から 18 世紀にかけてヨーロッパでは啓蒙思想が説かれ、その影響を受けイギリスやアメ
リカ、フランスでは革命により近代民主政治への動きが生まれた。18 世紀後半にワットが蒸気機
関を改良し、やがて工場や炭鉱などで盛んに使われるなど技術革新が進むと欧米諸国の産業は飛躍
的に発達し、資本主義社会が成立した。産業革命の進展に伴い、欧米諸国は新たな工業製品の市場
や工業原料の供給地を求めてアジアへの進出を強めていく。中国(清)では 1840 年にイギリスとの
間にアヘン戦争が起こり、近代的な兵器を備えたイギリスが清を圧倒し、南京条約を締結する。こ
の条約はイギリスの領事裁判権を認め、清に関税自主権を認めない不平等条約であった。インドで
は 1857 年にイギリスの支配に対する大規模な反乱が起こるが、イギリスはこれを鎮圧し植民地支
配を強めていく。ロシアは沿海州へ進出し清や日本との間に衝突が起きた。
アメリカは、アジア貿易や捕鯨の中継地として日本に開国を求め、1853 年にペリーが浦賀に来
航し、翌年日米和親条約を結んだ。この過程で幕府は先例を破って大名に意見を求め、朝廷にも報
告したため、大名や朝廷の発言力が強まるきっかけとなった。1858 年には米英露蘭仏と通商条約
を結んだが、相手国の領事裁判権を認め、日本の関税自主権を認めない不平等条約であった。貿易
の開始により国内の物価が高騰し幕府に対する不満が高まった。幕府が朝廷の許可を受けずに通商
条約を結んだことから尊王攘夷運動が盛んになった。しかし、直接欧米諸国と砲火を交えた薩摩藩
や長州藩は攘夷が不可能であり、欧米諸国のような近代国家の設立が必要であることを悟り、薩長
同盟を結び倒幕を目指した。これに対し、徳川慶喜は政権を朝廷に返上し(大政奉還)、260 年余
り続いた江戸幕府は滅亡した。
学習内容の構造化図
欧米諸国に
おける近代社
会の成立とア
ジアへの進出
市民革命
イギリス・・ピューリタン革命・名誉革命・ロック・権利章典
アメリカ・・独立戦争・独立宣言・モンテスキュー
フランス・・絶対王政・フランス革命・人権宣言・ルソー・ナポレオン
産業革命
技術革新・・蒸気機関・蒸気船・蒸気機関車
資本主義社会の成立・・資本家と労働者
労働問題・社会問題・・貧富の差・労働災害・社会主義
ア
近
代
の
日
本
と
世
界
アジア諸
国の動き
中国への進出・・アヘン戦争・南京条約・太平天国の乱
インドへの進出・・インド大反乱・イギリスの支配
ロシアの動き・・南下政策・沿海州への進出・シベリア鉄道
関連付け
イ
明治維新に
より近代国家
の基礎が整え
られたこと
開国とそ
の影響
開国・・ペリー来航・日米和親条約・川越藩・忍藩の警備
貿易・・日米修好通商条約・国内経済の混乱・桜田門外の変・攘夷運動
幕府の滅亡・・尊王攘夷運動・薩長同盟・大政奉還・王政復古の大号令
西郷隆盛・木戸孝允・坂本龍馬・徳川慶喜・勝海舟
-1-
(2) 生徒の実態
※HP上には掲載しません。
(3) 指導観
本単元では、欧米諸国における近代国家の成立やアジア進出といった世界の歴史を取り上げる。
中学校では、世界史的な内容を我が国の歴史との関連で扱うことに留意する必要がある。特に市民
革命や産業革命は、生徒にとって初めて学習する内容で既得知識が少ないため理解することが難し
い項目であると思われる。一方、ペリーの来航については小学校で学習していて生徒の知識が定着
している。そこで、これらの点を踏まえ、第1時でペリーの来航と日本の開国を取り上げ、第2時
から第4時で日本へ開国を迫る欧米諸国の歴史的背景を、第5時と第6時で開国による影響を追究
する学習展開を、単元の構成を工夫して設定することとした。その際、第1時で単元を貫く学習課
題を設定して、生徒に課題意識をもたせ追究意欲を引き出していく。
幕府は、欧米諸国からの開国や通商の要求に対して苦渋の決断を迫られる。本単元では第1時で
ペリーの開国要求に、第5時でハリスの通商要求に対して、自分ならどのように意志決定するか考
えさせるとともに生徒間で意見交換する学習活動を設定する。これにより当時の状況を疑似体験的
にとらえさせて歴史的事象への関心を高め、多面的・多角的に歴史的事象をとらえる見方や考え方
の育成を図るとともに、情報から読み取ったことを自分なりに解釈し意志決定した過程や結果を表
現させる機会とする。当時の国際情勢をとらえさせる方策として、欧米諸国の動きを年表や地図を
使ってまとめる作業的な学習活動を位置付ける。
欧米諸国のアジア進出については、地理的分野「世界の様々な地域」との関連を図り、アジア州
-2-
の地域的特色と歴史的な背景との結び付きについても着目させ理解を深めさせる。また、ロシアと
の関係では日露和親条約に触れ、北方領土の歴史について理解を深めるよう配慮する。郷土の教材
活用について、川越藩、忍藩が江戸湾の警備に当たったことや川口の鋳物業が大砲鋳造に関係した
ことを取り上げる。
3
単元の指導と評価の計画
(1) 単元の目標
欧米諸国における市民革命や産業革命、アジア諸国の動きを通して欧米諸国が近代社会を成立
させてアジアへ進出したことを理解させるとともに、開国により社会が混乱し幕府への不満が高
まり明治維新への動きを生み出したことを理解させる。
(2) 単元の評価規準
社会的事象への関心・
意欲・態度
社会的な思考・判断・
表現
資料活用の技能
社会的事象について
の知識・理解
欧米諸国のアジア進
出や日本の開国とその
影響について関心をも
ち、意欲的に追究して
その特色をとらえよう
としている。
欧米諸国における近
代社会の成立とアジア
進出、日本の開国とそ
の影響について多面的
・多角的に考察し、公
正に判断して、その過
程や結果を適切に表現
している。
欧米諸国における近
代社会の成立とアジア
進出、日本の開国とそ
の影響について、様々
な資料から情報を適切
に読み取り、年表や地
図に整理している。
欧米諸国が近代社会
を成立させてアジアへ
進出したこと、開国に
よる政治的・社会的な
影響により明治維新へ
の動きを生み出したこ
とを理解し、その知識
を身に付けている。
(3) 単元の指導と評価の計画(6時間扱い
時
1
(
本
時
学習内容・学習活動
指導上の留意点
評価方法・観点
)
ペリー来航と日本の開国
本時の課題
開国の要求に対して、幕府はどのように対応したのだろう?
○ペリーの開国要求に対し ・小学校「黒船の来航」の学 ・欧米諸国のアジア進出や開
てどのように対応するか
習との関連を図り、ペリー
国による影響について関心
考え、その理由について
の開国の要求に対して幕府
をもち、それを意欲的に追
生徒間で意見交換する。
がどのような対応を取った
究しようとしているか、ワ
らよいか自分なりに考えさ
ークシートの記述から評価
せ、本単元の学習に対する
する。
関心を高める。
(関心・意欲・態度)
単元を貫く
学習課題
2
本時1/6)
:欧米諸国は、どのような目的でアジアへ進出し、日本は、開国により
どのような影響を受けたのだろう?
欧米諸国の市民革命
本時の課題
欧米諸国は、市民革命によりどのような社会になったのだろう?
○ヨーロッパで啓蒙思想が ・欧米諸国で起こった市民革 ・市民革命についての情報を
発展し、イギリスやフラ
命のあらましを年表にまと
様々な資料から適切に読み
ンスでは市民革命により
めてとらえさせるとともに、
取り、そのあらましを年表
絶対王政から市民を中心
フランス革命を例に、近代
にまとめているか、ワーク
とする近代国家が成立し
民主政治への動きが生まれ
シートの記述から評価す
-3-
アメリカが独立した過程
を調べ、年表にまとめる。
たことに気付かせる。
る。(資料活用の技能)
3
産業革命と欧米諸国
本時の課題
欧米諸国は、産業革命の進展によりどのような社会になったのだろう?
○産業革命のあらましを調 ・欧米諸国で工業化が進み、 ・産業革命の進展による欧米
べ、産業革命の進展によ
資本主義社会が成立したこ
諸国の変化を多面的・多角
り欧米諸国でどのような
とや労働問題・社会問題が
的に考察しその特色を捉え
変化が起きたのかを、イ
発生したことに気付かせる。
ているか、ワークシートの
ギリスを例に考える。
記述から評価する。
(思考・判断・表現)
4
ヨーロッパのアジア進出
本時の課題
欧米諸国は、どのようにアジアへ進出していったのだろう?
○中国、インドについて欧 ・欧米諸国が新たな市場や原 ・欧米諸国のアジア進出につ
米諸国の進出やロシアの
料の供給地を求めてアジア
いての情報を様々な資料か
進出の様子を調べ、地図
への進出を強めたことに気
ら適切に読み取り、地図に
にまとめる。
付かせる。
まとめているか、ワークシ
ートの記述から評価する。
(資料活用の技能)
5
開国と不平等条約
本時の課題
開国により、日本の社会はどのように変化したのだろう?
○通商条約の要求に対して ・通商条約が不平等な内容で ・開国による国内の影響を多
どのように対応するか考
あり、国内の物価が高騰す
面的・多角的に考察しその
え、その理由について生
るなど幕府に対する人々の
特色をとらえているか、ワ
徒間で意見交換するとと
不満が高まり、尊王攘夷運
ークシートの記述から評価
もに、開国の影響につい
動が盛んになったことを押
する。
て考える。
さえさせる。
(思考・判断・表現)
6
江戸幕府の滅亡
本時の課題
どのように倒幕への動きが高まっていったのだろう?
○尊王攘夷運動から倒幕運 ・西郷らが攘夷の不可能を悟 ・欧米諸国が近代社会を成立
動に変わり、幕府が滅亡
り、幕府に代わる新政府を
させてアジアへ進出したこ
し、新政権の成立に至る
設立して欧米諸国のような
と、開国による政治的・社
あらましを調べ、年表に
近代国家になる必要性を考
会的な影響により明治維新
まとめる。
えていたことに気付かせる。
への動きを生み出したこと
○これまでの学習を振り返 ・開国による社会的、政治的
を理解し、その知識を身に
り、学習課題のまとめを
な影響から明治維新の動き
付けているか、ワークシー
文章で記述する。
が生み出されてきたことに
トの記述と事後のテストか
気付かせる。
ら評価する。
学習課題のまとめの例
(知識・理解)
欧米諸国は産業革命によって工業生産が飛躍的に伸び、新しい市場と原料供給地を必要としてアジアに
進出した。日本は開国後、不平等な通商条約を結び、国内物価が高騰したため幕府に対する不満が高ま
った。尊王攘夷運動が活発になるが、攘夷が不可能と悟った薩摩藩や長州藩は西郷隆盛や木戸孝允らが
実権を握り新政府の設立を目指し倒幕運動の中心となった。この情勢を見て幕府は大政奉還を行い江戸
幕府は滅亡した。
-4-
4
本時の指導
(1) 本時の目標
ペリーの来航と幕府の対応について考える学習活動を通して、欧米諸国のアジア進出や開国に
よる影響について関心をもち、その様子を追究する意欲を高める。
(2) 本時の展開
過程
導
入
5
分
課題
提示
2
分
追
究
①
15
分
学習活動・内容
◎評価の観点
資料等
1
様々なペリーの肖像画を見て、
どうして様々な絵が描かれたのか
考えるとともに、ペリーが開国を
求めて来航したことを確認する。
・ペリー来航に対する当時の人々の 資料プリント
驚きと関心の高さに気付かせる。 「ペリーの肖像画」
・小学校「黒船の来航」の学習と関
連付け、日本に開国を求めて浦賀
(東京湾)に4隻の艦隊で来航し
たことを確認させる。
・浦賀と江戸の位置関係を地図で押 地図帳 p106
さえさせる。
掛地図「日本全図」
2 本時の学習課題と学習の見通し ・将軍の病気を理由に幕府は一年後
について、教師の説明を聞く。
に回答すると約束したことを補足
本時の学習課題
する。
開国の要求に対して、幕府はどのように対応したのだろう?
3
これまでの外国船の出現と幕府
の対応について確認するととも
に、ペリー艦隊の蒸気船の様子や
幕府が江戸湾に台場を築いて川越
藩や忍藩などがその警備を担当し
たことについて教師の説明を聞
く。
・以前からロシア、アメリカ、イギ
リスなどが来航し通商や補給を求
めていたこと、幕府が鎖国を祖法
とし通商を拒否してきたこと、異
国船打払令を出したが、アヘン戦
争の情報を基に取りやめたことを
押さえさせる。
・ペリー来航により初めて蒸気船を
目の当たりにし、空砲の音に人々
が驚いたことを補足する。
・川口の鋳物職人により大砲が製造
されたことを補足する。
年表(資料集)
アメリカ大統領の開国を求める
親書やオランダ国王の開国勧告、
アメリカから帰国した漂流民の意
見についての資料を読み、欧米諸
国が開国を求める理由を考えると
ともに、当時の欧米諸国の様子を
考える。
・親書からアメリカは補給、保護、
通商を求めていることを読み取ら
せる。
・勧告から欧米諸国がアジア進出を
進めていることに気付かせる。
・漂流民の意見から、アメリカで市
民社会が成立していることに気付
かせる。
資料プリント
幕府に意見を求められた大名の
立場になって、開国の要求に対し
てどのように対応したらよいかを
考える。
①個人でどのように対応したらよ
・これまでの学習事項を基に、開国
した場合と拒否した場合の双方に
ついてどのような影響があるか考
えさせる。
・自分なりに考えた過程と結果を、
-5-
ワークシート
4
追
究
②
15
分
・指導上の留意点
5
PC
「外国船の出現」
「ペリー来航図」
写真
「台場」「大砲」
「大統領の親書」
「開国勧告書」
「漂流民の意見」
意思表示カード
いか考え、その理由をワークシ
ートに記述するとともに、意思
表示カードで自分の考えを示し
て隣の人とペアを組み意見交換
する。
意思表示カードを示しながら説明
させる。
◎欧米諸国のアジア進出や開国による影響について関
心をもち、開国の要求に対する幕府の対応について
意欲的に考え意見交換しようとしているか、ワーク
シートの記述内容や意見交換の観察から評価する。
(関心・意欲・態度)
努力を要すると判断した生徒に対する支援
・欧米諸国のアジア進出の状況を踏まえて考え
ていない生徒に対して、戦争になる可能性を
補足説明し、考えをさらに練るよう促す。
概ね満足と判断した生徒に対する支援
②3~4人でグループを組み、江
戸湾を守る川越藩や忍藩の大名
の立場だったらどうするか話し
合う。
③実際にどのような意見が寄せら
れたか、資料を読み取るととも
に教師の補足説明を聞く。
追
究
③
10
分
6
整
理
3
分
7
日米和親条約の内容を調べると
ともに、ロシア、イギリス、オラ
ンダとも同様の条約を結んだこと
について教師の説明を聞く。
単元を貫く学習課題と次時の学
習について教師の説明を聞く。
・開国または拒否の一方から考えている生徒に
対して、双方から考えた上で意志決定するよ
う促す。
・埼玉県に関連する教材を工夫する
ことで、地域の歴史に対する関心
をもたせる。
・実際には意見がまとまらず、国内
の意思統一が困難であったことに
気付かせる。
PC「大名の意見」
・日米和親条約の内容を押さえさせ
るとともに、通商については認め
なかったことに気付かせる。
・ロシアは、プチャーチンが同時期
に来航し、日露和親条約で千島列
島に国境が定められたことや、伊
豆で船を建造し、西洋式の造船技
術獲得に影響を与えたことを補足
する。
資料集
「日米和親条約」
「領土に関するパ
ンフレット」
・本単元では、単元を貫く課題を教
師が設定することとする。
単元を貫く学習課題
欧米諸国は、どのような目的でアジアへ進出し、日本は、開国によりどのような影響を
受けたのだろう?
8
本時の学習の評価について、教
師の話を聞く。
・意欲的に学習に取り組んでいる様
子を取り上げて賞賛し、生徒の学
習意欲の高揚を図るとともに、自
己評価能力の育成を図る。
(3) 本時の評価
○欧米諸国のアジア進出や開国による影響について関心をもち、開国の要求に対する幕府の対応
について意欲的に考え意見交換しようとしている。【関心・意欲・態度】
-6-
授業のポイント案
①生徒に課題意識をもたせる単元構成の工夫
②生徒の関心・意欲を高める意見交換の工夫
-7-
ダウンロード

第2学年2組 社会科学習指導案