オペレーション・リサーチ
オペレーション・リサーチ
•オペレーションズ・リサーチ(Operations Research,以後ORと略す)は,現在
では,組織体(企業,非営利法人,自治体,政府,国際機関などすべて)の
意思決定のための,合理的・科学的アプローチの技術として必須のものであ
る.元来は第二次大戦中米英両国で,多くの分野の研究者,技術者(自然
科学,工学,社会科学,心理学など)を組織的に動員し,最適戦略(optimal
strategy)を研究するORグループを編成したのがその始まりである.
operationとはここでは「作戦」といった意味である.その成果は1951年,現在
ではORの古典として有名なP.M.Morse and G.E.Kimball:Methods of
Operations Researchとして出版された.この書物には,軍の配備,対潜哨戒,
船団護送,都市攻撃,対空射撃,対神風特攻攻撃など,きわめて多方面で
の成果が報告されているが,下に一例を紹介しよう.
•野戦における食器洗い
–食事後各兵士が各自の食器を洗うために洗い桶が用意されている.半分は洗い用,
他の半分はすすぎ用であるが,いつも洗い用に長い行列ができ,すすぎ用はほとん
ど行列ができない.OR担当士官は測定の結果,洗いには平均してすすぎの3倍の時
間がかかることを見出し,洗い用,すすぎ用の桶の数を3:1にしたところ,行列はほと
んど解消した.
0Rの特徴と手順
ORはいくつかの特徴をもつことがわかる.
1. 科学的・合理的であること
1. ORによる解決は,宗教教祖のお筆先のように,特定の人物の直観と霊感によって得られるものでは
ない.基本的な仮定とモデルに基づいて導かれ,その仮定やモデルは現実から抽象されたものであ
り,したがって結論の根拠について合理的な説明が可能でなければならない.ただしその結論の正し
さは一にかかって基本仮定の正しさによるわけで,仮定が充分現実を反映しているものでなければ
ならない.しかし,問題の複雑さのために,モデルに採り入れなかった要素が大きな影響をもったり,
パラメータの値やデータが少し変わったために結論が大きく変わったり,その他諸々の事情のため,
往々にして熟練した意思決定者のカンによる結論の方がOR研究の結論よりも正しいことも起こりうる.
しかしこれはORの価値を下げるものではない.ORにおいては,結論と同時に,結論に至るプロセス
が大切であり,そのプロセスを通じて現象の本質に迫ることが重要なのである.
2. 学際的(interdisciplinary)であること
1. ORグループの解決すべき問題は複雑多岐であり,このため多方面の知識,種々の分野で開発さ
れた方法論が必要である.大切なことは,各メンバーが他分野に対する理解と関心をもつと同時に,
自らの主体性を失わないことで,この点は野球のチームと似たところがある.とくに注意すべきこと
は,分野による専門用語のちがいであり,同じ言葉で異なったことを意味したり,同じことを異なった
言葉でよんだりすることである.
3. 定量的(quantitative)であること
1. 前節で示した例でわかるように,行列を短くする,あるいは味方の損害を少なくして敵を撃滅するの
には,どうしたらよいか.定性的な答なら通常の常識でただちにわかる.しかし,定量的な答となる
と,数値的なデータと数理的な解析がぜひ必要であり,また問題の大きさ,複雑さのために電算機
が多用されるのである.
0Rの特徴と手順
•
ORの最初の手順は、目的の明確化である。営業戦略を樹立するにあたっても,利益を最大
にするのか,シ ェアを最大にするのか,また向う1年を考えるのか,5年後を考えるのか,
などによって全く話が異なってくるであろう。また投入人員,予算,法的規制など種々の制
約(constraint)がつきものである。ORの基本的な発想は,考えられる制約の下で,目的達
成に最適なしかたを見出すことである(最適化optimization)。こうして目的が明確となり,問
題が把捉され,必要な調査を行ったら,次にモデル構成である。生のシステムは通常非常
に多くの要因に支配されて複雑すぎて扱いにくいばか,往々にして何が本質的なことかを
見極めることが困酢ある。このため,現在の目的において本質的でない要因の影響を無視
して、本質的なものだけを残した理想的なシステムを研究の対象とすることが多い。これが
モデル(model)であるが,モデルはあくまでモデルであって現実ではないことを忘れてはな
らない。ORでは他の型のモデル、例えば図的モデルや物理的モデル(スケール・モデル)も
使われるが,数理的モデルが最も普通である。数理的モデルでは一連の方程式でシステ
ムの挙動を記述する。方程式に含まれる変数は2種類に分かれる。1つは決定変数
(decision variable),他は外生変数(exogenous variable)すなわち定数である。前者は戦略
実施にあたって意思決定者が直接制御できる変数であって,それにより、結果が左右され
るものであり,OR研究はこれらの変数の最適な値を求める活動である。後者はOR研究の
際には外から与えられた定数として扱うべきもので,意思決定者によって制御できないもの
である。もちろん,外生変数の値が変わればそれに応じて決定変数の最適値も変わる.
ORによる在庫管理の例
このモデルでは,在庫量がゼロの時点で品物が発注され,
発注量のQがただちに納入されると仮定している.需要は
時間的に一定で,つまり,在庫は一定量ずつ減少していき,
在庫量がゼロになった時点で再び,Q量が発注,納入され
る.この1サイクルの期間をt日とし,この状況をグラフに表
すと,図のようになる.
ORによる在庫管理の例
•
•
年間の総需要をRとすると,年間の発注回数は(実数値で)R/Q回となり,1回の発注費をkとする
と,年間の発注費はkのR/Q倍である。また,1単位の品物の年間の在庫維持費用(倉庫経費,
保険料,保守費用,税金,運搬費,利息など)をhとすると1日の平均在庫量がQの半分となるか
ら,年間の在庫維持費用は,h×Q/2となる。
年間の総費用は,いま述べた年間発注費用と年間在庫維持費用の和で示される。
年間の総費用=(k× R/Q)+(h× Q/2)
•
となる.この式が目的関数で,これを最小にするQを見出すことが目標である。
微分方程式を使用して、上記の目的関数の最適な発注量Qは求める方程式は次のよう
になる。
総需要 ー> R
1回の発注費 ー> k
1単位の品物の年間の在庫維持費用 ー> h
ORによる在庫管理の例
• 1回の発注費が20000円,1単位当りの年間在庫維持費用が
10000円,また年間総需要が900品の時の,最適発注量と年
間総費用の最小値を求めよ.
• 【解】
k=20000
h=10000
R=900
であるので,式より,最適発注量は
=60(単位)
となる.この時の年間総費用は目的関数により
C*=10,000×60
=600,000(円)
となる.
プロジェクトマネージメント
プロジェクトマネージメント
• プロジェクトマネジメント(PM)の勢いは歴史的な高まりを見
せている。主な理由は、プロジェクトマネジメントが事業戦略
として求められるものになったためである。それを示す証拠
はたくさんある。大企業、つまりアメリカ経済の中核を担う組
織は企業を上げてPMの導入を推進し、PMを推進する専門
部署を立ち上げるなど、プロジェクトマネジメントを成功させ
るための環境を整えている。フォーチュン500社はその競争
力を向上させるために、「PMベンチマーキング・フォーラム」
を創設し、ベストなPM実務慣行を求める作業に着手した。中
小企業は競って先例を迫っている。さらに興味深いことには
、この動きは特定の産業に限らない現象となっていることで
ある。建設や航空宇宙などのPMの伝統的な担い手と同じ戦
列に、ハイテクや電気通信などのニュー・エコノミーの新たな
勢力が加わろうとしている。
プロジェクトマネージメント
• 現在の日本では、企業戦略やコンセプトが弱いために、時代の変化に対
応できず、ずさん管理等のさまざまな問題が生じている。従来のプロジェ
クトの考え方には、戦略やコンセプトの部分が不足しているといえる。
• プロジェクトは、相互に関連したいくつかのタスク(そのプロジェクトにおけ
る仕事の単位であり、イベントとも呼ばれる)の集合である。そして、それ
ぞれのタスクには開始と終了時期がある。すべてのタスクは資源(ヒト、
モノ、カネ)を消費するので、貴重な資源をムラなく配分するとともにコスト
を抑制することが必要である。
• そこでプロジェクトマネジャーの仕事は、スケジュールの中で資源配分を
適切にし、コストを抑制することによって、コストパフォーマンスに優れた
ものを開発し、それをユーザー(顧客)に提供することである。
• だからプロジェクトを成功させるためには、コスト、スケジュール、そして
パフォーマンスのバランスを図らなければならない。これらのバランスを
図るためには、システムモデル(複数の要素が有機的に関係しあい、あ
る入力に対して何らかの出力をするモデルのこと)の考え方を理解する
必要がある。
プロジェクトマネージメント
システムモデルには、機械、生物、そして社会システム等がある。これらは、何らかの入力を受け、こ
れらの入力を、計画、組織、コントロール、そしてリーダーシップといったマネジメント機能によって
変換して、何らかのサービスを求める環境に対して出力する。
プロジェクト・チーム
• プロジェクトチームは、機能別組織あるいは部門別組織の力を結集して、
困難な問題に取り組むことになるので、すべての組織の核心となるリー
ダーシップと、力を結集するための意思疎通が必要である。
• リーダーシップとは、組織を確実に掌握し、明確な企図の下、適時適切な
命令を与え、組織の活動を律し、もって組織をしてプロジェクトの目標達
成に邁進させることである。そして意思疎通とは、メンバーがお互いの能
力や役割を理解し、また、教訓や成功経験を共有することである。この際
、チームが自己組織化的にシナジー(相乗効果)を高めることができるよ
うに、自主裁量の余地を与えることに留意しなければならない。
• したがって、プロジェクトチームが成功するための秘訣は、「明確な目的と
ゴール」「適時適切な決心」「コミュニケーションと相互理解」「メンバーの
力のシナジー(相乗効果)」であり、これによってプロジェクトチームは、各
メンバーの単純な合計よりも大きな力を発揮することができるのである。
プロジェクト・マネージメント・ツール
• PMにおいて、その盛り上がりを見せている活動の中心はプロジェクト・プ
ロセスのマネジメントであった。これは、1980年代に起こった全社的品質
活動からの当然の帰結であった。PMプロセスとは、順序よく計画したプロ
ジェクトのアクティビティとフェーズを円滑に実施し、その結果としてプロジ
ェクトの要素成果物をもたらすものである。その要点はいたって単純であ
る。迅速で、再現可能な方法で、高品質なプロジェクトの成果物を生み出
すためには、コントロールされた、無駄のない、かつ予測可能な実行が
要求される。これを実現するには、日々の活動の中でこのようなことを強
制するメカニズムをプロセスに組み込んでおく必要がある。このメカニズ
ムがPMツールである。
• PMツールは、プロジェクトを計画してコントロールするための実用的、具
体的、かつ体系的な方法を提供する。
ガントチャート
• ガントチャートは、水平バーからなるスケジュール表であり、米国人エン
ジニアで社会学者のヘンリー・L・ガントが1917年に考案した製造工程コン
トロールツールである。プロジェクト・マネジメントにおいて頻繁に用いら
れるガントチャートは、プロジェクトにおける特定のタスクを計画し、調整
し、追跡するための図式を提供する。
• ガントチャートは、縦軸にすべてのタスク(イベント)を並べたマトリクスで
ある。それぞれの列は、一連番号と名称からなる一つのタスクを含む。
• 水平軸は、タスクの見積もり期間、そのタスクを達成するために必要なス
キルレベル、そしてそのタスクに割り当てられた人の名前で始まり、それ
ぞれのプロジェクトにおける期間に対応する矩形が表示される。それぞ
れの期間は時間、日、週、月、そしてその他の時間単位をもって表わして
もよい。また、ガントチャートは、グラフ用紙に措いてもよいし、マイクロソ
フト社のMSプロジェクトやエクセルのようなアプリケーションソフトを用い
てより複雑なものを自動的につくってもよい。
ガントチャート
ガントチャートは、日程表や業務予定表などと呼ばれ、広く一般に用いられている。し
かし、ガントチャートには、各タスクの間の関係を把握しづらいという欠点がある。そ
れは、プロジェクトの規模が大きくなるほど問題になる。
CPM(クリティカルパス・メソッド)
• CPMは、個々のタスクの期間とそれらの従属関係に基づきプ
ロジェクトの全所要期間を計算し、プロジェクトを遅延なく進
めるために、どのタスクが重要であるのかを特定するための
数学モデルである。このモデルは、マイクロソフト社のMSプ
ロジェクトをはじめとするプロジェクト・マネジメント用ソフトウ
ェアで用いられている最も基本的なスケジューリング手法で
ある
クリティカルパス
• クリティカルパスは、従属するタスク(それぞれが先行するタ
スクに従属する)からなり、完了するのに最も長い時間を要
するパスである。それは、ネットワーク中の最も長い期間を
構成するパスであり、すなわち、プロジェクト全体の最短期間
を意味する。
• CPMチャートにおいて、クリティカルパスは二重線や赤線等
で表示される。クリティカルパス上にあるタスクに対し、プロジ
ェクトマネジャーおよびスタッフは特別な注意を払うべきであ
る。プロジェクトが進行するにつれて、一部のタスクがスケジ
ュールよりも早くあるいは遅く完了することによって、スケジュ
ール上にある他のタスクが新たなクリティカルパスになること
がある。またプロジェクトは、複数のクリティカルパスを持つこ
ともある。
CPM(クリティカルパス・メソッド)
CPM(クリティカルパス・メソッド)
• ネットワークを構成するそれぞれのタスクの名前はノードで
あるボックスの中に記される。タスクの期間は、ボックスの右
上部分の小ボックスに記され、通常、日単位であるが、短い
プロジェクトでは時間単位あるいは分単位で表わされること
もある。
• 最早開始(ES)と最早終了(EF)
• 最早開始とは、可能な最も早い時間に活動を開始することを
意味する。これに対し最遅開始とは、可能な最も遅い時間ま
で活動を開始するのを待つことを意味する。
• 最遅開始を選んだ場合、何か問題が生じれば、それはプロ
ジェクトの遅れを引き起こす。反対に、もしもあなたが最早開
始を選択すれば、あなたは、活動問の余裕の時間(スラック
タイム)を、プロジェクトの間に生じた問題への対処に割り当
てることができる。
CPM(クリティカルパス・メソッド)
• フロート(スラック)
• 複数のパスが存在する場合、自由時間(遊び時間)が生じる
ことがある。
• サンプルの図では、建物の基礎を構築するケースを単純化
したものである。建物の土台を敷設した後、配管を敷設する
のには2日間を要するが、断熱材の取付けはたったの1日で
できることに注意してほしい。それぞれのタスク終了後、配管
工と大工はいずれもコンクリートを注ぐ作業を行なう予定で
あるとしよう。
• これは、断熱材を取り付けた大工が、配管敷設が終わるまで
の問、1日待機することを意味する。このような場合を、1日の
フロートあるいはスラック(slack)を持つというのである。
クリティカルパスの計算
クリティカルパスの計算
• CPMにおけるクリティカルパスを決定する方法は、次のとおりである。
1. 最終タスクの最早開始(ES)日を記録する。
2. 最終タスクにつながっているタスクのうちで、最早終了(EF)が記録した
日の1日前になっているものを見つける。
3. タスクを見つけたら、その最早開始(ES)日を記録する。
4. ③で見つけたタスクにつながっているタスクのうちで、最早終了(EF)が
記録した日の1日前になっているものを見つける。
5.
以上のプロセスを、ネットワークの最初のタスクに到達するまで繰り返す
。
• 見つけたタスクをつなぐパスが、ネットワークにおけるクリティカルパスで
ある。したがって、クリティカルパス上には常に自由時間がないことにな
る。この際、同じ最早終了(EF)日を持つタスクが一つ以上見つかるかも
しれない。これは、ネットワークに複数のクリティカルパスが存在する可
能性を示している。
データマイニング
データマイニング
• コンピュータを単なるデータ集計の自動化だけに用いるので
はなく、より戦略的な部分にも活かそうとする試みは、ここ数
年“IT経営’’というキャッチフレーズとともに、ますます盛り上
がりを見せています。と同時に、データマイニジグというキー
ワードが脚光を浴びるようになりました。
• 大量のデータから有用な「お宝」を採掘するという意味から名
付けられた、データマイニング(datamining)と呼ばれる技法
のほとんどは、従来からあった統計学などの手法です。教育
的な見地からこれらの違いを考えると、基礎となる概念や手
法を抽象的に理解してから応用を考えるのではなく、蓄えら
れたデータからどのような手法を適用すればマーケテイング
戦略などに役立つ結果が導けるか、要するに、抽象論では
なく具体的な分析例が最初に存在しているのが「データマイ
ニング的教授法」といえるでしょう。
データマイニング
• 現在のデータマイニングブームには、“IT経営”を導入しようと
するとき、統計学や経営数学などを一から学ぶのではなく、
使える技法からどんどん試していけるような学修スタイルへ
の支持が、その根底にあるような気がします。また、ネットワ
ーク・インフラ(環境)が整備され、大量の経営データを扱うこ
とが容易になったという時代背景も、データマイニングへの
関心を高めている一因なのでしょう
• データマイニング的なアプローチで、基本だとされていること
は、さまざまなデータのグラフ化です。ここでいうグラフとは、
QC七つ道具でも用いられる棒グラフ、円グラフ、レーダーチ
ャートなどのような統計グラフのことです。大量データの分析
を行うときにも、QC手法同様、やはりグラフ化による視角的
な理解は、全体的傾向や特徴をつかむためにきわめて重要
であるということです。
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