地球温暖化対策に係る
中長期ロードマップ
(議論のたたき台)
平成22年3月
地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ検討会
地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ検討会 委員
検討に当たっては、各分野の有識者52名により、計29回の検討会を開催。
【全体検討会】
赤井 誠
飯田 哲也
大塚 直
荻本 和彦
大聖 泰弘
○西岡 秀三
伴 金美
藤野 純一
増井 利彦
三村 信男
村上 周三
屋井 鉄雄
安井 至
計5回開催
産業技術総合研究所 主幹研究員
環境エネルギー政策研究所 所長
早稲田大学大学院法務研究科 教授
東京大学生産技術研究所 特任教授
早稲田大学大学院創造理工学研究科 教授
国立環境研究所 特別客員研究員
大阪大学大学院経済学研究科 教授
国立環境研究所 主任研究員
国立環境研究所 室長
茨城大学広域水圏環境科学教育研究センター
建築研究所 理事長
東京工業大学大学院総合理工学研究科 教授
製品評価技術基盤機構 理事長
【地域づくりWG】
佐土原 聡
谷口 守
中村 文彦
松岡 俊和
松橋 啓介
松行 美帆子
村木 美貴
室町 泰徳
○屋井 鉄雄
慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科 教授
日本設計 取締役 常務執行役員
大阪大学大学院工学研究科 教授
東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
不動産協会 専務理事
住環境計画研究所 所長
工学院大学建築学科 教授
建築研究所 理事長
アルセッド建築研究所 代表取締役
東北芸術工科大学建築・環境デザイン学科 准教授
【自動車WG】
小野 昌朗
草鹿 仁
○大聖 泰弘
樋口 世喜夫
松村 隆
横浜国立大学大学院環境情報学府 教授
筑波大学大学院システム情報工学研究科 教授
横浜国立大学大学院工学研究院 教授
北九州市環境局環境モデル都市 担当理事
国立環境研究所交通・都市環境研究室 主任研究員
東京大学工学系研究科都市工学専攻 特任准教授
千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻 准教授
東京工業大学大学院総合理工学研究科 准教授
東京工業大学大学院総合理工学研究科 教授
教授
【住宅・建築物WG】 計6回開催
伊香賀 俊治
佐藤 信孝
下田 吉之
清家 剛
高橋 健文
中上 英俊
中村 勉
○村上 周三
三井所 清典
三浦 秀一
計5回開催
計5回開催
東京アールアンドデー 代表取締役社長
早稲田大学大学院創造理工学研究科 教授
早稲田大学大学院創造理工学研究科 教授
早稲田大学環境総合研究センター 参与・客員研究員
芝浦工業大学システム工学部環境システム学科 教授
【農山村サブWG】
計3回開催
東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科 教
授
森林総合研究所林業経営・政策領域林業システム研究
久保山 裕史
室 主任研究員
栗山 浩一
京都大学農学研究科生物資源経済学専攻 教授
荘林 幹太郎 学習院女子大学国際文化交流学部 教授
泊 みゆき
バイオマス産業社会ネットワーク(BIN) 理事長
国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究セ
橋本 征二
ンター循環型社会システム研究室 主任研究員
森林総合研究所温暖化対応推進拠点温暖化対応推進室
○松本 光朗
室長
【エネルギー供給WG】
計5回開催
牛久保 明邦
芦田 譲
芦名 秀一
飯田
○大塚
荻本
倉阪
斉藤
谷口
哲也
直
和彦
秀史
哲夫
信雄
環境・エネルギー・農林業ネットワーク 理事長
国立環境研究所 地球環境研究センター温暖化対策
評価研究室 研究員
環境エネルギー政策研究所 所長
早稲田大学大学院法務研究科 教授
東京大学生産技術研究所 特任教授
千葉大学法経学部総合政策学科 教授
日本風力発電協会 企画室長
東京都環境局環境政策部環境政策担当
2
○:座長
はじめに
地球温暖化対策について、我が国は、中期的には温室効果ガス排出量を2020年ま
でに1990年比25%削減する目標を掲げており(すべての主要国による公平かつ実効
性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提)、長期的には、2050年
までに1990年比80%削減することを目指すこととしている。
低炭素社会は、化石資源に恵まれず、それを人材と技術でカバーしてきた我が国
の強みを最大限に活用できるものであることなどから、世界に先駆けてそのような
社会モデルを構築していくことは、我が国の今後の成長の核となるものであり、ま
た、国際的貢献の柱となるものでもある。
しかし、構築を目指す低炭素社会は、現在のトレンドの延長線上には存在しない
ものであり、その実現のためには、社会の仕組みを変える対策・施策をすべての分
野で講じていく必要がある。特に、国民全体に、中長期的な目標を明示し、それに
向けた対策・施策をぶれることなく継続的に実施していくことを促すことが重要と
なる。
このため、低炭素社会への道筋として、いつ、どのような対策・施策を実施して
どの程度排出量を削減していくかの現時点での見通しを明らかにし、節目節目で達
成状況を確認していく必要がある。その道筋を示すものが、本ロードマップである。
本検討会で提示するロードマップが国民各界各層における議論のたたき台となり、国内
外における低炭素社会構築の一助となることを期待したい。
3
ロードマップの視点
日々の暮らし
ものづくり
最先端の技術により、製造時、使
用時、廃棄時ともに、低炭素化で
世界をリードする付加価値の高い
ものづくりを実現する。同時に、そ
れらの製品・技術・システムを世界
に展開していくことで、世界全体の
排出削減にも大きく貢献していく。
大量消費に生活の豊かさを求
める社会から脱却し、消費時
等の意思決定における環境配
慮を推進し、ライフスタイル・
ワークスタイルの変革を含め、
低炭素で快適な暮らしを実現
していく。
地域づくり
地域ごとの特性を活かしながら、公共交通を骨格としたコンパク
トシティづくり、自然資本や地域資源の活用を進め、快適に暮らせ
る低炭素型都市の理想像を実現する。
また、農山村地域をゼロカーボン化(吸収源を含めるとカーボン
マイナス化)し、都市域との連携による地球温暖化対策の推進に
より、農山村地域の振興を図る。
4
ロードマップの全体構成
 中長期ロードマップ検討会の体制
 ロードマップの分野構成
住宅・建築物WG
日々の暮らし ~住宅・建築物分野~
自動車WG
日々の暮らし ~自動車分野~
地域づくりWG
地域づくり
地域づくり(農山村)
農山村サブWG
エネルギー供給
エネルギー供給WG
ものづくり
全体検討会
 ロードマップの分野構成と温室効果ガス排出部門との関係
運輸部門
産業部門
民生部門
【地域づくり】
(農山村)
【日々の暮らし】
【ものづくり】
自動車
【エネルギー供給】
:排出部門
農林水産部門
住宅・建築物
エネルギー
供給部門
5
中長期の対策・施策のターゲット
2010年現在:本検討会によるロードマップの提示
1990
2010
2020
2050
★中期目標(2020年)に向けて
現状の排出削減ポテンシャルを最大限に顕在化させて
いく対策・施策
既存技術の大量普及
排出量の見える化の徹底
排出削減に努力する人や企業が報われる仕組みづくり
★長期目標(2050年)に向けて
社会の仕組みやインフラを着実に変えていくために、2050年
を見据えて、今から動き出す必要がある対策・施策
革新的技術の継続的な研究開発・実用化を推進する仕組みづくり
低炭素社会を実現するハード及びソフトインフラ整備の推進
人材育成・環境教育、環境金融の活性化
※2020年に向けた対策・施策も、2050年に向けた対策・施策も、低炭素社会の構築に向けて、
どちらも今すぐに動き始める必要がある。それぞれ各分野で優先順位が高いものを検討した。
※2020年に向けた対策・施策は2050年の長期目標達成にも有効であり、逆に2050年に向けた
対策・施策は、2020年の中期目標達成に資するものとなる。
6
全体ロードマップ:施策手順と効果
1990
温室効果ガス
排出削減
2010
2050
▲25%
▲80%
見える化の徹底・既存技術の効果出現
国内市場拡大期・世界市場進出期
▶ 排出削減に努力する人・
企業が報われる仕組み
施▶
2020
財
源
インフラ整備・革新的技術の効果出現
世界市場拡大期
キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度
地球温暖化対策税
固定価格買取制度
大企業
排出量の見える化
中小・個人
見える化の成果を活用した仕組みの運用
すべての主体に見える化を徹底
策
▶ 既存技術の大量普及
を推進する施策
▶
▶
▶
▶
自主的取組の
促進
トップランナー
による規制
規制と支援の適切な組合せ
低炭素インフラ整備
研究開発の促進
人材育成・環境教育
環境金融の活性化
▶ 低炭素型技術の普及
効
果▶ 新産業・新市場の拡大
既存の低炭素技術
革新的な低炭素技術
世界市場
国内市場
7
個別ロードマップの構成
1)現状と課題/キーコンセプト/目標
・現状と課題
・低炭素社会構築に向けてのキーコンセプト
・主要な対策の導入目標
2)主要な対策と施策
・目標達成のために必要な主要な対策と施策及びその削減効果など
主要な対策
主要な対策の名称
対策実現のための
主な施策
2020年の導入量
2020年における主要な対策の導入量
2020年の削減効果
2020年における主要な対策の導入
による温室効果ガスの削減効果
対策の導入目標を実現するために必要となる主な施策
注)一般に、削減効果については、その削減前の状態をどのように想定しているかによって、その大きさが異なってくる。ここでは、
基本的に本ロードマップの想定を踏まえた国立環境研究所の試算において、2020年の固定ケース(地球温暖化対策や技術の
導入水準が2005年と大きく変わらずに推移した場合)と対策ケース(ロードマップで見込んだ対策等の導入目標を達成した場
合)の差を削減量として示している。
8
個別ロードマップの構成
3)ロードマップ
主な対策の
導入目標
排出量を削減する対策を推進する施策の準備と
してあらかじめ実施しておくべき施策を、実施時
期が分かるように明記。
-10年-
1990
導入目標
行
程
表
-10年-
2010
排出量を削減する対策を推進する
施策を、実施時期が分かるように
明記。
-10年-
2012
-10年-
2020
2015
10%
-10年-
2030
-10年-
2040
20%
2050
100%
施策の分類
◆主な施策
準備として実施すべき施策
◆主な施策
対策を推進する施策
対策を推進する施策
4)新産業の創出等の副次的効果
・ロードマップの対策と施策の推進により期待できる、温室効果ガス
排出削減以外の副次的効果
・同じく、市場の創出や拡大が期待できる新たな産業 など
5)ロードマップ実行に当たっての視点・課題
9
日々の暮らし ~住宅・建築物分野~
10
日々の暮らし(住宅・建築物分野)
~現状と課題/キーコンセプト/目標~
◇現状と課題
 住宅・建築物分野では各種施策がとられてきたが、自主的な取組が多く、省エネ住宅/建築の
普及率は高くない。この分野のエネルギー消費は京都議定書採択以降も増加してきた。
 住宅・建築物のゼロエミッション化には、高効率の設備・機器の普及が必須。しかし、新しい省エ
ネ・創エネ機器は、高コストのものが多く、費用対効果の面で大幅普及が困難な状況にある。
 長期的には、2050年まで使用される新築住宅対策の徹底、中期的には、新築住宅対策だけで
は不十分であり、大きなCO2削減ポテンシャルを有する既存住宅・建築物対策が重要。
◇長期目標達成に向けてのキーコンセプト
 建物や設備・機器の省エネ化、創エネルギー手法等を組み合わせた統合的対策によるゼロエミ
住宅、ゼロエミ建築の普及
 自治体等と連携した横断的、総合的取組による住宅群、建築物群の省エネの推進
 環境性能等の「見える化」やエネルギー消費実態の開示等による、市民の省エネ意識の喚起
※ゼロエミ住宅:単独で年間CO2ゼロエミッションとなる住宅
※ゼロエミ建築:単独もしくは複数の建物群で年間CO2ゼロエミッションとなる建築物
◇長期・中期のための主要な対策の導入目標
中期 新築:2020年に、次世代省エネ基準又は改次世代省エネ基準の100%達成を目指す。
既築:既築改修・機器更新で既存建築の省エネ効率向上を図る。
長期 すべての住宅・建築物を、ゼロエミ住宅・ゼロエミ建築にする。
11
11
日々の暮らし(住宅・建築物分野) ~主要な対策と施策~
主要な対策
2020年の導入量
2020年の削減効果※1
住宅(建築物)の環境性能(断熱水準等)
の向上
住宅における高効率給湯器の普及
住宅における空調の高効率化
建築物における空調の高効率化
住宅・建築物における照明の高効率化
計測・制御システム(HEMS、BEMS等)
その他家電の効率改善
その他電気機器の効率改善
太陽光発電の設置※2
新築の100%が次世代基準(H11基準)
又は改次世代基準(改H11基準)を達成
490~ 840万t-CO2
(2,200~ 2,600万t-CO2)
1,000~ 1,400万t-CO2
440~ 780万t-CO2
1,100~ 1,800万t-CO2
1,600~ 1,700万t-CO2
1,100~ 1,800万t-CO2
1,700万t-CO2
2,900万t-CO2
2,300~3,200万t-CO2
3,400~4,100万台
COP4~6に向上
COP3~5に向上
効率が80%向上
全体の約3~8割に普及
効率が35%向上
効率が45%向上
3,700~5,000万kW
※1: 2020年技術固定ケースからの削減量。括弧内のみ、現状水準からの削減効果(固定ケースの想定に一定の効率改善が織り込まれており、現状水準から
の削減量と比較すると、削減量は相対的に小さく表示されるため、参考までに現状水準からの削減量を算出して提示した)
※2:住宅・建築物に加えてその他分も含む
対
策
実
現
の
た
め
の
主
な
施
策
基軸となる施策
•基準強化(改次世代(改H11)基準、ゼロエミ基準設定)
•新築住宅・建築物に対する一定の省エネ基準の義務化
•住宅・建築物の環境性能表示制度の導入
•省エネ住宅購入・改修の補助・税制・優遇融資等導入
•公共住宅・施設等の率先省エネ化
•設備・機器へのトップランナー基準引き上げとCAFÉ基
準の導入
•キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度
•地球温暖化対策税
各種の支援・誘導的施策
(見える化推進)
•すべての家庭・事業所のエネルギー消費実態の開示普及
•住宅分野のGHG診断専門家の育成
•削減量に応じたインセンティブの付与制度の導入
(中小支援・対策)
•中小工務店・建設業者等への研修等支援制度の導入
•リフォーム業者等の信頼性の確保のための制度導入
12
日々の暮らし(住宅・建築物分野) ~ロードマップ(住宅・家庭部門)~
1990
2010
新築住宅で
次世代基準30%
導入目標
2015
2012
既存住宅の
省エネ化推進
太陽光発電 114万kW
ゼロエミ住宅の
普及開始
太陽熱温水器 350万台
2030
2020
新築住宅で
次世代基準70%
改次世代基準30%
改修50万戸/年
新築住宅で
ゼロエミ住宅 100%
2050
ゼロエミ住宅
ストックで100%
太陽光発電 2,500万kW
太陽熱温水器 1,000万台
住宅・機器性能の向上
改次世代省エネ基準 ゼロエミ基準(創エネルギー必須化)
(省エネ機器との統合) ライフサイクルカーボンマイナス(LCCM)・木材利用の推進
新基準 次世代省エネ基準
◆総合的な環境性能基準
の設定
パッシブ考慮
◆ 環境性能表示の義務付け
新築住宅
表示義務付
住宅ラベリング制度
簡易総合評価手法(CASBEE等)普及
資産価値に反映させる仕組み
拡大・強化
◆規制導入
住宅トップ
(環境性能基準の義務化)ランナー制度
既存住宅
既存賃貸住宅
流通時表示義務付 売買時表示義務付
エネルギー面的利用(インセンティブ付与、規制見直し、スマートグリッド活用等)
省エネ基準の
新築時義務化
次世代基準又は改次世代
基準の新築時義務化
ゼロエミ基準の新築時義
務化
高効率給湯器、創エネ機器(太陽光/熱・地中熱・バイオマス等)
◆トップランナー機器
原単位方式見直し(機器別総量基準など)
トップランナー機器制度(基準の継続的見直し)
CAFE(企業平均効率)
標準化・規格化
省エネ住宅・ゼロエミ住宅の普及支援
住宅性能向上
◆経済的措置
機器普及
行
流通・施工業
者への支援
程
表
省エネ住宅購入・改修の補助制度(継続),省エネ住宅促進税制
省エネパッケージ補助 ゼロエミ住宅補助
グリーン家電購入の補助制度など(継続)
税制・優遇融資等支援確立
非省エネ住宅に対するディスインセンティブ
太陽光発電の固定価格買取制度
許可・登録制度見直し
Webサイト開設
◆リフォーム推進支援
(信頼性確保)
◆中小工務店の技術力向上
支援
金利優遇等
ゼロエミ住宅の
自律的普及
住宅履歴情報・
診断情報の取得
評判情報提供制度
設計者・技術者研修
講習会・研修会等の開催
自治体による
地域省エネ住宅
建設の支援
地域を中心とした省エネ住宅モデル事業・ゼロエミ先進住宅事業
◆コスト削減
ゼロエミ住宅
講習会
地域特性に応じた住宅の普及
公共住宅や補助対象住宅等の省エネ住宅化・ゼロエミ住宅化(新築・改修)
公共施設の省エネ化における設備・機器等のコスト低減, 普及促進
住宅性能の見える化とCO2排出削減行動の推進
見える化効果の検証
◆見える化によるCO2排出
削減実績把握と開示
◆見える化によるCO2排出削
減行動の推進
機器設置
の標準化
住宅・GHG診断の
専門家育成計画
消費実態の測定・開示の推進 計測・検証・制御システム(HEMS、省エネナビ、スマートメータ等)の整備
[すべての世帯が自分の排出量を把握]
見える化機器の設置普及
住宅・GHG診断の専門家の育成
削減量に応じたインセンティブ付与
(非省エネ住宅に対するディスインセンティブ)
住宅・GHG診断制度普及
NEB(省エネの波及効果)
認知度向上策
ライフスタイルの低炭素化(地球温暖化対策税、環境教育、サマータイム検討等)
* 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
13
日々の暮らし(住宅・建築物分野) ~ロードマップ(建築物・業務部門)~
1990
導入目標
2010
2015
2012
既存建築物の
省エネ化推進
新築建築物で
H11基準85%
太陽光発電 115万kW
太陽熱温水器 34万m2
2030
2020
新築建築物で
H11基準50%
改H11基準50%
新築建築物で
改H11基準15%
新築建築物で
ゼロエミ建築100%
2050
ゼロエミ建築
ストックで100%
太陽光発電 2,500万kW
太陽熱温水器 196万m2
改修1%/年
建築物性能の向上
◆総合的な環境性能の
設定
◆ 環境性能表示の義務
付け
◆規制導入
(環境性能基準の義務化)
◆トップランナー機器
H5基準
改H11基準
H11基準
建築物環境性能ラベリング制度
簡易総合評価手法(CASBEE等)普及
ゼロエミ基準(創エネルギー必須化)
パッシブ考慮
ライフサイクルCO2改善
新築建築物
テナント契約時
既存建築物
表示義務付
表示義務付
流通時表示義務付
資産価値に反映させる仕組み
エネルギー面的利用(インセンティブ付与、規制見直し、スマートグリッド活用等)
建築物トップランナー制度
省エネ基準の
H11基準、又は改H11基準の
新築時義務化 省エネ基準の達成の義務化 新築時義務化
空調、創エネ機器(太陽光/熱・地中熱・バイオマス等)
原単位方式見直し
(機器別総量基準など)
トップランナー機器制度(基準の継続的見直し)
照明・機器
CAFE(企業平均効率)
標準化・規格化
省エネ建築・ゼロエミ建築の普及支援
行
ゼロエミ建築の自
律的普及
中小流通・施工業者等への支援
金利優遇等
程
表
省エネパッケージ補助 ゼロエミ建築補助
補助金等(新築/改修)
◆経済支援
税制・優遇融資等支援策
非省エネ建築に対するディスインセンティブ
太陽光発電の固定価格買取制度
◆中小建設業者の技術力
向上支援
自治体による
地域建設業の
支援
学校・庁舎
講習会・研修会等の開催
ゼロエミ建築
講習会
地域を中心とした省エネ建築モデル事業
公共施設の省エネ化・ゼロエミ化による機器等の普及促進
◆海外展開
ゼロエミ住宅、ゼロエミ建築の海外展開
業務部門の見える化とCO2排出削減行動の推進
◆事業者・事業所への
CO2排出削減取組の
促進
排出削減計画の策定義務化
◆モニタリングによる
CO2排出削減実績の
把握
見える化効果の検証
◆データ公表等による
省エネ行動の推進
地球温暖化対策税
排出抑制等指針の活用
機器設置
の標準化
キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度
計測・検証・制御システム(BEMS等)の整備 [すべての事業者・事業所が自分の排出量を把握]
見える化機器の設置普及
自律的普及
算定・報告公表制度の拡充(対象の拡大、公表データの拡充
等)
ワークスタイルの低炭素化(温暖化対策研修、サマータイム制検討
* 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
運用・管理の高度化(BEMS普及、
ESCO、コミッショニング)
等)
14
日々の暮らし(住宅・建築物分野) ~副次的効果、新産業の創出~
◆住宅・建築物対策から得られる副次的効果(Non-Energy Benefit等)
【建築物での評価イメージ】
 住宅・建築物の省エネ化・ゼロエ
ミ化は光熱費削減という直接的
便益(Energy Benefit: EB)以外
に様々な間接的便益が見込ま
れる。
 これらの便益は、経済効果や環
境保全上の便益等、対策を評価
する際に見落されがちであるが、
重 要 な 便 益 ( Non-Energy
Benefit:NEB)として評価すべき。
(出典)カーボンマイナス・ハイクオリティタウン調査委員
会中間とりまとめ、2009年11月、一般社団法人 日本サ
ステナブル・ビルディング・コンソーシアム
◆住宅・建築物対策の推進により成長が期待される新産業
 省エネ住宅・建築物、さらにはゼロエミ住宅・建築の市場を形成し、設計者・施工者等の育成・教育を実施するこ
とにより、地方を中心とした建築業の活性化、技術レベルの向上を図る。その結果、2020年以降、地方の基幹産
業、高い技術を持った持続可能な先端産業として生まれ変わる。
 住宅・建築物の省エネ性の診断、ラベリングの評価からライフスタイル・ワークスタイルの変革のアドバイスまで
行う診断士が地域や企業で活躍する。これらの診断の普及及び効果の認識により、不動産価値の向上を促し、
新たな需要創出を図る。
 省エネ住宅、ゼロエミ住宅の技術ベースに、都市の住宅需要の増加する国・地域での市場拡大を目指す。また、
15
高効率設備・機器において高い世界シェアを確保する。合わせて日本型のきめ細かいサービス市場を新興国等
に普及させる。
15
日々の暮らし(住宅・建築物分野)
~ロードマップ実行に当たっての視点・課題~
<対策・施策の基本的考え方や構造に関する視点>
 各種の普及率目標の設定は野心的なものが多く、容易でない。実現のためには、壁を破る新たな枠
組みが必要。
 住宅・建築物の新築・改修は長期的かつ計画的に行われるので、施策も単発でなく継続性が重要。
 気候・風土や立地条件などの地域性を考慮した住宅・建築物の省エネ・ゼロエミ対策の検討が必要。
 住宅・建築物ともに、性能の「見える化」が行われエネルギー消費実態が把握されていることが重要。
その実態を踏まえた、ラベリング制度、報告・開示制度など効果的な施策の組合せが必要。
 排出量を算定する際、給湯やOA機器等の建築物に起因しないエネルギー消費量、業種毎に多様なエ
ネルギー消費の状況など、より詳細なデータを収集し、対象や目的に応じた施策を検討する必要。
 家庭は家電、給湯、暖房、照明、業務は空調用熱源、照明、機器の排出量が多く、優先すべき。
<個別の技術・機器・設備等ごとの視点>
 自然光を利用した採光等、パッシブ的な設計の工夫の削減効果を定量的に評価することが必要。
 断熱・気密性能の向上は、単年での削減効果は必ずしも高くないが、長期間効果が期待できる。住
宅・建築物の基本性能であり、生活空間の質も向上することから、レベルアップが重要。誘導策では
十分でなく規制も必要。既存建築の断熱・気密性能改修は大きな削減ポテンシャルを有する。
 太陽光/熱、地中熱、バイオマス等の再生可能エネルギーの利用技術は、ゼロエミ住宅・建築物に必
要不可欠。
 単体の住宅・建築物のみを対象にした対策・施策の効果には限界あり。ゼロエミ化のためには、群とし
ての住宅・建築物を対象にした横断的かつ統合的な対策・施策が必要。
<対象範囲や関連主体ごとの視点>
 機器のトップランナー制度や高効率機器等の標準化など機器供給サイドへの対策は継続的に実施。
 中小の大工・工務店や設計者が地域の住宅・建築物の建設活動の中核を担っており、中小建設業者
の技術レベルの底上げが重要。また、地域での雇用創出や景気振興の効果に留意すべき。
16
日々の暮らし ~自動車分野~
17
日々の暮らし(自動車分野) ~現状と課題/キーコンセプト/目標~
◇現状と課題
運輸部門は、我が国のCO2排出量の2割を占め、 2008年度の排出量は、1990年か
ら8.5%増加している(環境省速報値)。この内の約9割は自動車から排出されており、十全
な対策が必要。
2009年には、「エコカー補助金」の効果もあり、HV専用車が国内新車販売のトップを
占め、2010年には、電気自動車の本格的販売が予定されるなど、環境対応車の市場は
広がりつつあるが、乗用車全212モデルの内、数モデルが市場に投入された段階。
自動車保有台数(約7,500万台)に占める環境対応車の割合は未だ1%程度(約100万台)に
留まっており、運輸部門からの大幅なCO2削減の為には、海外市場の動向等も踏まえ
つつ、環境対応車の更なる普及を図る必要がある。
◇低炭素社会構築に向けてのキーコンセプト
車両総重量、日当たり走行距離に応じた環境対応車の導入
投資の回収が十分に可能な環境対応車市場の構築
ハードの低炭素化、ソフトの低炭素化
◇長期・中期のための主要な対策の導入目標
2020年において全255モデルのうち、76モデルを次世代自動車化。新車販売約
490万台のうち、次世代自動車約250万台。
2050年までにすべての車格で環境対応車を選択可能に
※本ロードマップで「環境対応車」とある場合、次世代自動車に加え、E10対応車を含むものとする。
18
日々の暮らし(自動車分野) ~主要な対策と施策~
主要な対策
燃費改善
乗用車(従来車、保有ベース、2005年比)
電気自動車
ハイブリッド自動車
2020年の導入量
-
約13%向上
年間販売台数 約 70万台
年間販売台数 約120万台
2020年の削減効果※
2,340 万t-CO2
-
280 万t-CO2
660 万t-CO2
年間販売台数 約 40万台
(燃費改善効果10%)
150万t-CO2
500万t-CO2
(マイクロハイブリッドを含む)
プラグインハイブリッド自動車
一般ドライバーのエコドライブ実施
2020年技術固定ケースからの削減量
対
策
実
現
の
た
め
の
主
な
施
策
• 共通施策
自動車関連税制におけるCO2排出量等に応じた重課・軽課
燃費基準の強化
バイオ燃料比率の向上
• 電気自動車
電池の量産化、次世代電池の開発支援
EVカーシェアリング、電池二次利用等、関連ビジネスの支援
• ハイブリッド自動車
CO2エコドライブポイント、優先駐車場の設置等による日常的インセンティブの付与
• 電気自動車、天然ガス自動車、燃料電池自動車
関連インフラの先行的かつ適切な整備
• 自動車の使い方
エコドライブの促進、高度カーナビゲーションシステムの活用による燃費向上
19
日々の暮らし(自動車分野) ~ロードマップ~
1990
2010
2015
2012
2020
次世代自動車の
販売台数:250万台
導入目標
2030
大型トラックの
HV化
2050
燃料電池自動車の
普及
自動車の低炭素化を促進する共通施策
◆自動車関連税制の運用
CO2排出量等に応じた重課・軽課
段階的強化
◆燃費基準の設定
◆バイオ燃料比率の向上
供給・流通体制の整備促進
規格・基準等の
検討
E10対応車の
認証開始
乗用車の低炭素化
行
◆ハイブリッド自動車、
電気自動車等の普及
適切な配置の
在り方を検討
程
表
購入支援
◆次世代電池の開発
電池二次利用等普及拡大に資する
関連ビジネスモデルの確立
自立的普及
給電設備網の充実
高性能電池・次世代電池の開発支援
中・重量車の低炭素化
ポスト新長期規制・挑戦目標
◆ディーゼル代替NGV、
HVの開発・普及
NGV充填施設の整備
中長距離車開発
都市型車の購入支援
新技術の開発と普及
◆燃料電池車の開発・普及
実証実験
リース・購入支援
インフラ実証実験
CO2収支、経済性等評価
水素供給インフラ整備
ソフト(自動車使用方法)の低炭素化
エコドライブ支援装置等
導入支援
カーシェアリングの促進
エコドライブモード、
アイドリングストップ装置
標準装備化
* 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
20
車両総重量
25t
15t
大型路線バス(7モデル)
年間販売 7千台
保有台数 51千台
大型トラック(運送業)
大型トラック(自家用)
大型トラック(5モデル)
年間販売 営業用 17千台、自家用 2千台
保有台数 営業用320千台、自家用50千台
大型観光バス
大型路線バス
都市間高速バス
小型トラック(12モデル)
年間販売 290千台
保有台数5,540千台
大型観光・都市間高速バス(8モデル)
年間販売 観光 7千台、都市間高速1千台
保有台数 観光50千台、都市間高速9千台
10t
中型トラック
小型トラック
小型バス
小型バス(7モデル)
年間販売 9千台
保有台数120千台
中型トラック(4モデル)
年間販売 15千台
保有台数290千台
2t
乗用車( 170モデル)
年間販売 2,400千台
保有台数40,100千台
1t
小型乗用車
(コミュニティカー)
現状(2010年)
軽乗用・トラック
(50モデル)
年間販売2.000千台
保有台数26,200千
台
100
小型乗用車(1.5L未満)
70モデル
年間販売 1,000千台
保有台数13,000千台
200
300
400
500
1000
日当り走行距離(km) 21
車両総重量
25t
大型トラック(運送業)
大型トラック(自家用)
15t
大型観光バス
大型路線バス
都市間高速バス
ディーゼル車
10t
中型トラック
小型トラック
小型バス
2t
水素FCV
乗用車
1t
HV、PHV
小型乗用車
(コミュニティカー)
EV
2015年~2020年
ガソリン車
(E10対応)
軽乗用・トラック
100
都市内HV、
都市内NGV
200
300
400
500
1000
日当り走行距離(km)
22
日々の暮らし(自動車分野) ~新産業の創出、副次的効果~
◆環境対応車の普及によって得られる主要な副次的効果
CO2削減
大気汚染物質
削減
騒音低減
環境対応車の普及により、CO2だけでなく、
NOx、PMなどの大気汚染物質の削減や、
騒音の低減、ヒートアイランド現象の緩和
等が期待できる。
副次的効果の
波及可能性
ゼロエミッション道路
環境対応車の普及により、大気汚染に強いキョウチク
トウなどに限られている街路樹を、各地域の特性を活
かした植物とすることが可能
「静かな」ごみ収集車
EV用電池を利用し、架装部分の電動を図ることで、
「停車中にエンジンを作動させない=騒音を出さない」
ごみ収集が可能な電動パッカー車等の普及
◆環境対応車の普及によって成長が期待される新産業
電気自動車・電池関連ビジネス
新燃料の利用
大容量バッテリーの搭載
電池の二次利用ビジネス
EV用途には使えなくなった電池を別用途で再利用し、 新燃料(バイオ燃料・水素)関連ビジネス
車両価格を低減
インフラ情報関連ビジネス
電池のリースビジネス
インフラ施設の立地、使用状況等の情報を提供
EV用電池をリース化。ユーザーの負担感を軽減。
エネルギー関連ビジネス・地域電力グリッド
EVカーシェアリング
家庭用太陽電池発電との連携
変動型電源出力の平準化
23
日々の暮らし(自動車分野) ~ロードマップ実行に当たっての視点・課題~
日本市場における環境対応車の市場動向を考えるにあたっては、海外の自動車
市場、燃料市場の動向も念頭に置く必要がある。
 日当たり走行量、車両総重量に応じて、普及の見込まれる環境対応車の種類が
異なると予想される。それぞれの自動車の特性に応じた施策を講じることが重
要である。
自動車の燃費改善のためには、保有車両全体の燃費が改善することが必要であ
るため、新車の燃費が改善されてから効果の発現までに、一定程度の年数がか
かる。(乗用車の場合、13年で50%程度の代替)
環境対応車の普及のためには、相当数のモデルの市場投入が必要であるが、新
モデルの開発には、自動車メーカーによる多額の投資が必要であり、更に環境
対応車については、投資額が大きくなる。
24
日々の暮らし ~鉄道・船舶・航空分野~
25
日々の暮らし(鉄道・船舶・航空分野)
~現状と課題/キーコンセプト/目標~
◇現状と課題
 各分野からの温室効果ガス排出量は、いずれも年間1,000万t-CO2程度で推移。
(参考:自動車分野は2億t-CO2強。)
 国際海運・航空は京都議定書による国別割当量に含まれていないが、いずれも世界的に排出量
の大幅増加が予測される。(例えば、航空分野からの排出量は、2025年に世界全体で、日本の
現在の排出量に匹敵するレベルになるとの試算もある。)
※ 国際海運・航空は、専門の国際機関(国際海事機関 (IMO)、国際民間航空機関 (ICAO) )にて対策を検討。
◇低炭素社会構築に向けてのキーコンセプト
 省エネ型鉄道車両・船舶・航空機、低炭素燃料の導入加速
 鉄道分野: 可変電圧可変周波数(VVVF)制御・回生ブレーキ等による省エネルギー化、発電側対策
 船舶分野: 摩擦軽減・推進システム改良・軽量化・エネルギー源転換などの技術による低CO2化
 航空分野: 軽量化等による低燃費化、バイオ燃料、効率的な運航システム、地上動力装置(GPU)
活用促進
荷主が低CO2輸送業者を選ぶインセンティブの付与
 運航業者ごとの環境負荷「見える化」により、荷主の運航業者選定を誘導(船舶分野)
◇長期・中期のための主要な対策の導入目標
中期 (鉄道)
省エネ型車両(現時点でのトップランナーレベル)の導入完了
(船舶・航空)燃費基準の確立・エコシップ促進税制/エコプレーン促進税制の導入
を通じた、低燃費船(機)の導入、旧型船(機)との代替完了
長期 鉄道のさらなる省エネ化・燃料電池化(非電化区間)、ゼロエミッション船就航、
航空のさらなる低燃費化・バイオ燃料利用率100%
26
日々の暮らし(鉄道・船舶・航空分野) ~主要な対策と施策~
主要な対策
•鉄道車両のエネルギー効率改善
2020年の導入量
2005 年比 1~10 %向上
2020年の削減効果
可変電圧可変周波数(VVVF)制御・ 回生
ブレーキ等による省エネルギー化
•船舶のエネルギー効率改善
2005 年比 1~20 %向上
70~600万t-CO2
摩擦軽減・推進システム改良・軽量化など
の技術による省エネルギー化
•航空機のエネルギー効率改善
2005 年比 2~24 %向上
軽量化等による低燃費化、効率的な運航
システム、地上動力装置(GPU)活用促進
2020年技術固定ケースからの削減量
対 • 省エネ型鉄道車両・船舶・航空機の導入促進
策
‐トップランナー制度の利用、エコシップ促進税制/エコプレーン促進税制の導入等
主実
な 現 • 荷主が低CO2運航業者を選ぶインセンティブの付与(制度設計・運用)
施の
策 た ※ なお、発電側対策及びモーダルシフト促進(旅客・貨物)は、それぞれ「エネルギー供
め
給」及び「地域づくり」にて別途検討
の
排出削減効果以外の便益
• 新型車両等の導入に伴う静粛性、快適性、安全性の向上
(例:ボーイング787型機では、騒音低下、機内の与圧向上・加湿可能)
27
日々の暮らし(鉄道・船舶・航空分野) ~ロードマップ~
1990
2010
2012
導入目標
2015
省エネ型車両の導入完了、低燃費船
(機)の導入・旧型船(機)との代替完了
鉄道分野の低炭素化
◆車両(電車・気動車)
の省エネ化
2030
2020
2050
ゼロエミッション船就航
航空用バイオ燃料利用率100%
革新的な省エネ技術の実用化に向けた研究開発・海外展開への継続的な支援
省エネ車両の導入促進(トップランナー制度等)
◆発電側対策
(※「エネルギー供給」にて別途検討)
◆モーダルシフト促進
(※「地域づくり」にて別途検討)
船舶分野の低炭素化
◆低燃費船の開発・普及
行
◆運航業者ごとの環境
負荷の「見える化」
程
◆エネルギー源の転換
表
◆モーダルシフト促進
革新的な低炭素技術の実用化に向けた研究開発・海外展開への継続的な支援
燃費基準の確立
低燃費船への転換促進措置(エコシップ促進税制の導入等)
燃費基準の確立(再掲)
「見える化」
手法の確立
荷主が低CO2運航業者を選ぶインセンティブの付与(制度設計・運用)
低炭素燃料への段階的な転換に向けた継続的な支援(税制措置等)
(※「地域づくり」にて別途検討)
航空分野の低炭素化
◆低燃費機の開発・普及
革新的な低燃費機の開発・海外展開に対する継続的な支援
燃費基準の確立
◆バイオ燃料への転換
ジェット燃料としての規格認証
(バイオ燃料混合比率:50%)
低燃費機への転換促進措置(エコプレーン促進税制の導入等)
ジェット燃料としての規格認証(同:100%)
バイオ燃料生産・製造のための経済的支援
バイオ燃料の購入に係る支援(税制措置等)
◆効率的な運航システム
RNAV(広域航法)運航方式の展開等、ソフト面の整備の進展
◆地上動力装置の整備
主要空港への導入加速(エネルギー特別会計)
※2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用するとともに、キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度の導入により、上記の取組を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
28
日々の暮らし(鉄道・船舶・航空分野) ~副次的効果、新産業の創出~
海外市場への展開(例)
鉄道・船舶・航空分野は、我が国の優れた低炭素技術を活かした海外市場への展開が
期待される分野のひとつ。軌道に乗るまでは、政府の積極的な支援も必要。
例1: 高速鉄道(新幹線)
2010年1月、JR東海は、最新型高速鉄道シ
ステムと超電導リニアシステムの展開を図る
ため、米国をはじめとする諸外国での市場
でいくつかの高速鉄道路線プロジェクトに参
入することを表明。
例2: 民間旅客機
2008年3月、三菱重工業は、70-90席クラス
のジェット機(リージョナルジェット)の開発を
決定。我が国企業による民間旅客機の自主
開発は、YS-11以降、約半世紀ぶり。
2010年3月現在、国内航空会社のほか、米
国航空会社からも100機の受注を得ている。
このほか、機体の軽量化に必要な炭素繊維について、国内企業の
世界シェアは非常に高く、ボーイング787型機にも全面採用される。
29
日々の暮らし(鉄道・船舶・航空分野) ~ロードマップ実行に当たっての視点・課題~
 鉄道分野については、その利用促進(モーダルシフト)が地球温暖化対策につ
ながるという側面もあるが、鉄道車両自体の省エネ化は現状技術では限界に近
付きつつあり、さらなる低炭素化のためには新たな技術の開発が必要。なお、電
車については、エネルギー供給側(発電所)の対策も有効。
 船舶・航空分野については、運航各社の営業費用に占める燃油費の割合が非常
に大きいことから、低炭素船(機)の導入等に向けた各社の取組を後押しするよ
うな仕組みが必要。また、船舶分野に関しては、内航(国内)と外航(国際)で業
態が異なることから、これら両者の違いについて検討を進める必要がある。
 省エネ車両等の導入、広域航法(RNAV)の展開や地上動力装置(GPU)の導
入など、中期目標の達成に向けて速やかに実施すべき対策がある一方で、燃料
転換やバイオ燃料の導入推進など、それ以降も見据えながら、コスト等の課題を
乗り越えていくべきものも存在する。
30
地域づくり
31
地域づくり ~現状と課題/キーコンセプト/目標~
◇現状と課題
民生部門、運輸部門の温室効果ガスは、1990年以降大幅に増加している。これは、自動車での
移動を前提としたまちづくり等によって市街地が拡散し、移動距離の増加などの活動効率の低下を
招くことによって生み出されていると考えられる。住宅・建築物、自動車の各個別要素技術に係る中
長期的な対策に加えて、地域・市街地・地区・街区といった単位における体系的な対策を展開しな
ければ、中長期の削減目標を達成することは難しい。
目標達成に向けた取組は、既に各地域で始まっているが、市街地の形態や構造・基盤、地域の
持つ自然・エネルギー資源など、それぞれの地域の自然的社会的条件を踏まえ、地域が主役と
なって、参加する主体や活用する資源の裾野を広げ、生活の質や地域の競争力の向上を図りなが
ら低炭素社会の実現に向けた取組を加速することが求められている。
◇低炭素社会構築に向けてのキーコンセプト
 地域主体の計画策定の充実とその内容を「絵に描いた餅」としないための制度と財源の担保
 徒歩と自転車で暮らせるまちづくり、LRT・BRT等の積極的活用
 都市未利用熱の最大限の活用、様々な地域自然・エネルギー資源を組み合わせた低炭素街区
の整備、農山村のエネルギー資源の活用促進
 都市間交通(旅客・貨物)のモーダルシフトの促進
◇長期・中期のための主要な対策の導入目標
 活動や交通全体のサービスを落とさずに、旅客一人当たり自動車走行量を2020年に1割、2050
年に3~4割削減
 地域にある未利用エネルギーや再生可能エネルギーを最大限活用
 旅客輸送、貨物輸送における自動車輸送の分担率について、現状の約6割から、2020年に5~6
割、2050年には4~5割に削減
 生活の質と都市の経営効率を向上させるため、低炭素型・集約型都市構造へと転換
32
地域づくり ~主要な対策と施策~
主要な対策
旅客1人当たり自動車走行量を削減
DID(人口集中地区)人口密度の向上
旅客1人当たり公共交通分担比の向上
LRT(次世代型路面電車システム)・BRT(高速
輸送バスシステム)の整備延長
低炭素街区計画の整備推進
都市未利用熱の有効活用(地域熱供給)
自動車輸送分担率の削減
対
策
主実
な現
施の
策た
め
の
2020年の対策導入量
2005年比1割削減
2030年に 60~80人/ha
2005年比2倍増
2030年に1,500km
2050年の対策実施面積20万ha
2050年における削減可能性700万t-CO2
2020年に5~6割へ
2020年の削減効果
3,000万t-CO2
の内数
100万t-CO2
○温対法実行計画と都市計画をさらに統合・充実。実行財源は地球温暖化対策税収等で措置。これを共
通の基盤として、以下の施策を実施。
• 特区モデル事業実施と優良事例の全国展開支援
• 駅勢圏への公共施設・民間集客施設の配置、住み替え支援、事業所立地の促進
• 歩道・自転車走行空間の整備の推進
• LRT・BRTの延伸や計画路線の早期着工、高効率車両への更新・新駅設置の投資支援
• 公共交通の経営基盤強化、CO2排出量等と連動した公共交通利用促進のための経済インセンティブ
付与、モビリティマネジメント
• 低炭素街区計画制度の創設(その前提として自然資本・地域資源マップの作成)
• 都市未利用熱活用の導入検討の義務付けとインセンティブの強化
○物流・地域間旅客交通の低炭素化(モーダルシフトや省エネ更新の支援、CO2排出量ベースの料金設
定)
33
地域づくり・公共交通を骨格としたコンパクトシティの実現
1990
2010
導入 旅客一人当たり自動車年
間総走行量(人キロ、2005
目標 年比)
2015
2012
2020
±0
~ロードマップ~
2030
2050
3~4割減
1割減
地方分権を通じた計画実行力の強化
地域の温暖化実行計画の充実(全自治体で策定)
◆自治体への計画策定支援
とインセンティブ付与
実施財源は地球温暖化対策税収等で確保
地域特性別
自治体ごとの排出量算定・公表制度
ベンチマークの設定
(既に一部実施)
市民参加等による検証の仕組み、地区等より小さい単位での見える化
◆特区制度における優良
事例の全国展開
特区モデル事業実施
制度の改正・規制改革 成功事例の全国展開
自治体の環境部門と都市計画
部門等の連携促進と人材育成
地域協議会等への支援
◆まちづくりとの連携強化
◆地域の人材等の最大活用
地域の温暖化実行計画の検証、強化
都市計画との連携強化、合意形成の協力、すべての地域の計画の目的に低炭素化を組み込む
成功事例の全国展開
地域に根ざした低炭素計画実行者の育成
行政・事業者と連携した、市民参加型の計画策定、地域経営(資金支援含む)
徒歩と自転車で暮らせるまちづくり
公共施設利活用計画の策定
◆ 公共施設・民間集客
施設の徒歩圏での配置
行
歩道・自転車道ネット
ワークと施設計画の作成
◆ 徒歩・自転車利用の環
境整備
拠点地区への公共施設の移転
郊外幹線道路沿線等の立地規制の厳格化、拠点地区への税制等の立地インセンティブの付与
人口密度の目標設定 駅勢圏を中心とした居住の促進
程 ◆ 市街地人口密度の向上
表 ◆ 低密度地域の利活用と
駅勢圏人口密度
80人/ha
DID人口密度
住み替え支援、事業所立地の促進
40~60人/ha
コンパクト化による
メリットの見える化
市街化区域の縮小
空き地等の集約・整序による太陽光/熱利用等の導入
公共交通分担率
現状の約2倍
LRT、BRT等の積極的活用
整備計画策定
◆LRT、BRTの整備
◆既存公共交通の高効率
化・利用促進
DID人口密度
60~80人/ha
市街化区域
の見直し
(特に地方中核都市)
(地方都市圏トリップシェアベース) LRT、BRTの
既存路線の延伸や計画路線の早期着工、BRTの導入
整備・経営方式の検討
◆郊外駅等における乗り
換え、アクセスの強化
自転車レーン等
5万km
歩道・自転車走行空間の整備
新規路線の整備資金の供給
運行本数の増加、運賃値下げなど運行費用の行政負担
高効率車両への更新、新駅設置等の投資の支援
駅周辺の乗り換え・アクセス改善計画の策定
路線長
1,500km
(既整備都市分含む)
郊外駅の乗り換え機能、P&R、C&Rの整備と乗り換え割引による利用者の拡大
市民参加の公共交通利用促進
◆ 利用者から見た公共交
通体系の構築
公共交通の奨励等のモビリティマネジメント
モビリティマネジメントの制度化
公共交通エコポイント、モーダルシフトを考慮
EV優先レーン、LRTグリーン化など
した道路料金制度の導入、市民出資など
環境面からの総合的プライシング
市民利用促進策の導入
中心部への自動車の乗り入れ規制の実施
道路空間配分に関する計画策定 フリンジパーキングの整備
交通事業者や事業者、市民等
でのまちづくり協議機関の活動支援
* 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
34
地域づくり・地域資源を活用した低炭素街区の整備 ~ロードマップ~
1990
2010
2012
導入 自然資本・地域資源マップ作成率 (全自治体)
目標 低炭素街区計画に基づく対策実施面積
2015
2020
50%
100%
2万ha
2030
2050
4万ha
20万ha
地方分権を通じた計画実行力の強化
◆自治体への計画策定支援
とインセンティブ付与
◆特区制度における優良
事例の全国展開
◆まちづくりの連携強化
◆地域の人材等の最大活用
地域の温暖化実行計画の充実(全自治体で策定)
実施財源は地球温暖化対策税収等で確保
「公共交通を骨格としたコンパクトシティの実現」における「地方分権を通じた計画実行力の強化」と同じ
自治体の環境部門と都市計画
部門等の連携促進と人材育成
都市計画との連携強化、合意形成の協力、すべての地域の計画の目的に低炭素化を組み込む
街区におけるエネルギー資源の活用促進
◆地域資源を活用した低炭
素街区の整備
各自治体において、都市部、地区・街区、農山村域等、地域の特徴に応じた下位計画策定を推進
自然資本・地域資源等の需給マップの作成
低炭素街区計画の作成
低炭素都市街区整備モデル事業による効果の把握
行
表
社会情勢、技術動向の変化に応じた
定期的なマップや計画の見直し
(縮小街区における空間再利用計画を含む)
導入インセンティブの強化
コンパクト化による
メリットの見える化
程
導入検討義務付け
地域・街区単位での再生可能エネルギーの最大導入(太陽光、太陽熱、地中熱、小水力、バイオマス等)
空き地等の集約・整序による太陽光/熱利用等の導入
建物間エネルギー融通の面的拡大
都市未利用熱の最大限の活用
◆都市未利用熱の有効活用
自治体による
供給計画の作成
【カーボン・オフセット、
グリーン電源等による
農山村との連携等】
清掃工場等設備投資支援
未利用熱利用の
削減量:100万t-CO2
未利用熱利用の
削減量:700万t-CO2
幹線熱導管の整備資金の供給
都市未利用熱(排熱、地中熱、下水熱等)利用技術開発の促進
◆都市未利用熱を最大限 都市未利用熱活用の導入検討義務付け
街区単位の削減目標の設定
活用するための仕組み
モデル事業を通じた検討
成り行き供給(ベストエフォート型)での熱供給の導入
づくり
促進地区での開発を促進するインセンティブ導入
◆都市未利用熱の活用に合わ
せた清掃工場等の再配置
未利用熱の活用を促進する地区の指定
未利用熱活用に合わせた清掃工場等の再配置
都市・地域の自然資本の活用・再生
◆ 自然資本の活用・再生
◆ 都市気候を踏まえた
都市計画
自治体による
活用・再生計画
都市気候評価手法の開発
自然資本の再生事業に関する自治体の資金的支援
駐車場の減少など都市空間の再配分による緑化促進
都市計画での将来像の明示と建築規制のコントロール
* 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
35
地域づくり・物流・地域間旅客交通の低炭素化 ~ロードマップ~
1990
導入 旅客輸送、貨物輸送にお
目標 ける自動車輸送の分担率
2010
2015
2012
2020
約6割
2030
5~6割
2050
4~5割
物流の低炭素化
◆基本方針・戦略の策定
地域計画における低炭素化基本方針の策定
◆CO2排出量の見える化
とインセンティブ付与
◆SCM*1を通じた流通の
物流総合効率化法におけるモーダルシフト支援の強化
すべての輸送機関の排出量見える化
輸送事業者、荷主等の表彰制度
CO2排出量を反映した輸送料金の設定
荷主がCO2排出の少ない輸送方法を選択できるシステムの整備
中小企業も参画可能なSCMビジネスの展開を支援
SCM情報規格の標準化
効率化
◆都市内物流の効率化
◆物流幹線輸送強化方策
SCMの普及による輸送網の集約および共同配送の普及
荷捌き施設整備等都市内交通対策の促進支援 市街地のコンパクト化、物流施設配置の見直しによる輸送距離の削減
長期的な物流幹線輸送強化方策の検討
鉄道・船舶の固定資産税減免、車両更新に対する補助
公共施設としてインターモーダル施設、モーダル間のネットワークを整備
行
新線構築等を含む抜本的な物流幹線輸送網の再構築
程 ◆輸送機関(航空、船舶、鉄道、
トップランナー制度の継続的実施と範囲拡大
自動車等)の継続的効率改善
表
地域間旅客交通の低炭素化
◆CO2排出量の見える化と
インセンティブ付与
カーボンオフセット観光・出張等の商品開発支援
公共交通エコポイント導入
すべての輸送機関の排出量見える化
◆鉄道等の利便性向上
業務用移動によるCO2排出量の把握と公表を義務付け
鉄道等の利便性向上(高速化、輸送力拡大、定時制の確保、他機関とのシームレス化、
駅周辺の開発、全車両無線LAN等)
◆輸送機関(航空、船舶、鉄道、
自動車等)の継続的効率改善
トップランナー制度の継続的実施と範囲拡大
ライフスタイル・ワークスタイルの省エネ化・低炭素化
◆CO2排出量の見える化
等に伴う利用者側の行動
変革の推進
すべての輸送機関の排出量見える化
カーボンフットプリント等への反映による消費者行動変化
地球温暖化対策税の導入に伴う低炭素交通選択へのインセンティブの強化
省エネ法の強化・対象拡大
専門的アドバイザー資格の導入、地域、事業所等における継続的な環境教育の実施
*1:SCM(サプライチェーンマネジメント):商品供給につながる部門・企業間で、ITを活用して情報を相互に共有・管理し、ビジネスプロセスの全体最適を目指す戦略的経営手法。
※2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用するとともに、キャップ&トレード方式による国内排出量取引制度により、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
36
準備として実施すべき施策
地域づくり
~副次的効果、新産業の創出~
◆地域づくりから得られる副次的効果
<新しい都市の将来像のイメージ>
• 移動にかかる時間やエネルギーコストが
抑制され、代わりにエネルギー以外の
サービス・商品の購入が促される。
• 徒歩や自転車の利用増大、水や緑との
ふれあいの増大が健康を増進する。
• 移動手段が多様化し、自動車事故のリス
クが減り、安全で子供や高齢者も暮らし
やすい街になる。
• 地域が活性化され、地域の経営を担う新
たなコミュニティが形成されていく。
• 行政経営コストが小さく、社会的にも持続
可能な街になる。
• エネルギーや資源の域内供給が進み、
災害などの状況変化にも強くなる。
「身近な交通の見直しによる環境改善に関する研究」(国立環境研究所特別研究報告SR-79-2008)
出所:地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアル(第1版)2009年6月環境省
◆地域づくりの推進により成長が期待される新産業
• 公共交通の整備、居住・就業エリアの再配置のために新たな建設需要が発生する。あわせて個別の
住宅・建築物の低炭素化も進めるため、技術レベルが向上する。
• 地域の自然資本・地域資源を活用したり、(地域内)公共交通を立ち上げ管理したりする、地域内サー
ビスの事業形態が創出される。
• 地域の利便性が高まり、また化石燃料の移入額も抑制されることで、地域内での消費や上記産業への
投資が増大。その結果、地域内の資金循環が拡大し、あらゆる産業の活性化につながる。
37
地域づくり ~ロードマップ実行に当たっての視点・課題~
<本WGの特性など地域づくり全般の基本的視点>
 本WGのロードマップの対策・施策を全国津々浦々に広げながら実現していくには、特に長期間を
要するため、一定の柔軟性を持たせながら、粘り強く取り組む必要。
 それぞれの地域が持つ多様なポテンシャルを発揮するには、地域に密着した詳細な自然的社会
的情報に基づいて、きめ細かな対策・施策を検討・実施していく必要。
 中長期的な将来人口や年齢構成、ライフスタイルやワークスタイルの変化による影響を見据えた
対策・施策が必要。また、低炭素化のためには、住民のライフスタイルやワークスタイル自体を低
炭素型に変革させ、最大限対策の効果を発揮させる必要。
<土地利用変革や公共交通の整備・利用促進>
 自動車走行量の削減については、公共交通や道路網、地形、文化性などの特性に応じて地域ご
とに削減ポテンシャルが違うため、地域ごとの対策・施策のメリハリが必要。
 公共交通を軸とした市街地集約化は容易ではなく、より具体的な方法の検討が必要。
 公共交通の利用等の交通行動は、ガソリン等のエネルギーコスト負担による影響も大きく、自動
車・道路利用を含めた料金システムを通じたインセンティブの付与が有効。
 公共交通が地域の基幹交通になっていくことに鑑みれば、その整備・運営を支えて行くに当たって
は、利用者や市民等の参加を得るなど多様な手法があり得る。
<低炭素街区の整備>
 2050年までの地域の更新の可能性を考えると、新規の市街地・街区整備だけでなく、既成市街地
や既成街区における低炭素化を進めていくことが必要。
 再生可能エネルギーや都市未利用熱の利用など要素技術の最大限の活用とそのための条件整
備が必要。その際、必要とされる熱の質に応じた柔軟な対策(成り行き供給等)も含めて検討。
38
地域づくり ~参考資料~
コンパクトシティ理想像に向けた目標・指標の構造
最終目標:「旅客が車で移動する時に出るCO2排出量」は、どこまで抑えればよいか?
目標指標: 「旅客が車で移動する量(①×②×③)」は、どこまで抑えればよいか?
①年間移動回数
×
②一回当たり
の移動距離
×
③車の割合
×
移動のCO2
原単位
目標指標:旅客一人当たり自動車走行量=旅客が車で移動する量(①×②×③)
【自動車走行量削減目標の設定の際の注意点】
太陽光や風力などの低炭素電源もバイオ燃料も無限ではなく、その容量以上に自動
車を利用する場合には、CO2を排出する電気や燃料を使う必要が出てくる。
このため、自動車走行量の削減目標は、低炭素電源やバイオ燃料の使用量が容量を
超えて燃費(CO2原単位)のほうの目標が達成できなくなるならないようなレベルに設
定される必要がある。
39
地域づくり ~参考資料~
市街化区域人口密度と旅客一人当たりの自動車走行量
人口密度が高い都市は、旅客一人当たりの自動車走行量=CO2排出量が相対的に少ない。
CO2トン/人
市街化区域人口密度と運輸旅客(自動車)一人当たり排出量
<都道府県庁所在地+特例市以上>20 05年
1.60
1.40
いわき
太田
1.20
つくば
水戸
伊勢崎
津
豊田
宇都宮
前橋
新潟
富山
鹿児島
1.00
下関
青森
0.80
札幌
高知
y = 1.8563e -0.014x
R² = 0.7701
福岡
名古屋
松山
春日部
神戸
さいたま
奈良
0.60
岸和田
0.40
所沢
横浜
東大阪 川崎
枚方
0.20
大阪
東京
寝屋川
0.00
0
20
40
60
80
100
120
140
160
市街化区域密度(人/ha)
国立環境研究所・環境省資料、都市計画年報より作成
出所:地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアル(第1版) 2009年6月環境省
40
地域づくり ~参考資料~
道路のサービスレベルと旅客一人当たりの自動車走行量
道路延長の長さと、旅客一人当たりの自動車走行量=CO2排出量は比例する傾向にある。
走行速度の速さと、旅客一人当たりの自動車走行量=CO2排出量は比例する傾向にある。
公共交通(路面電車含む)が整備された都市は、これらがいずれも比較的小さい。
<走行速度と一人当たり自動車排出量(旅客)>
1.20
改良済都市計画道路延長と運輸旅客(自動車)CO2
排出量<2 005年、一人当たり、中核市>
豊田
旭川
宇都宮
岐阜
金沢 函館 大分
宮崎
富山
鹿児島
高松
岡山 豊橋
岡崎
熊本
下関
高知
長崎
川越
和歌山 姫路 青森
松山
柏
奈良
相模原
▲東京圏・大阪圏
西宮
y = 0.4595ln(x) + 1.3447
R² = 0.7149
1 .2 0
1 .0 0
0 .8 0
0 .6 0
豊田
1.00
-路面電車現存
◆路面電車一部廃止
●路面電車全線廃止
■その他
0 .4 0
東大阪
0 .2 0
水戸
いわき
一人あたり排出量(CO2t)
CO2㌧/人
1 .4 0
CO2排出量は、平均走行速度ごとの排出係数を用いて計算している。
宇都宮
市原
0.80
上越
つくば
静岡 高知
0.60
名古屋
那覇
春日井
長崎
松山
奈良
0.40
相模原
東大阪
0.20
神戸
東京
大阪
東京都市
圏
京阪神
中京
0 .0 0
0.00
0.10
0.20
0.30
0.40
0.50
0.60
0.70
0.80
0.90
道路延長m/ 人
0.00
15.0 17.0 19.0 21.0 23.0 25.0 27.0 29.0 31.0 33.0 35.0
速度(km/h)
国立環境研究所・環境省資料、都市計画年報より作成
出所:地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアル(第1版)2009年6月環境省
国立環境研究所資料
41
地域づくり(農山村地域)
42
地域づくり・農山村地域
~現状と課題/キーコンセプト/目標~
◇現状と課題
 農山村は、森林吸収や農業分野での排出削減等を通じて地球温暖化対策に貢献している。今
後さらにその貢献を効率的に拡げていくには、分析すべき基礎的データの不足の解消、農山
村が有する国土・自然環境保全等の多面的機能の評価を行っていく必要がある。
 農山村では、物的・制度的インフラの不足、過疎化・高齢化、域内産業の競争力の低下、労
働力不足が深刻化し、温暖化対策・施策推進の障壁にもなっているため、その振興(農林業
の復興)の観点が必要。
 農山村は吸収源として期待されるが、今後森林の成熟化に伴い吸収量は低下していく見込
み。バイオマスの有効利用は極めて重要であるが、回収の困難さや発生量の季節変動等に留
意が必要。太陽光や太陽熱、風力、小水力等、その他の再生可能エネルギーの供給源として
のポテンシャルが都市部と比較して大きく、その積極的な活用が必要。
◇低炭素社会構築に向けてのキーコンセプト
 農山村のゼロカーボン化(吸収源を含めるとカーボンマイナス)
 農山村の振興(農林業の復興)に伴うバイオマスの供給と利用の促進
 都市との連携による温暖化対策の推進(カーボン・オフセットや地産地消・旬産旬消等)
 農山村全体の「見える化」、国土・自然環境保全等の多様な価値の評価と最大化
◇長期・中期のための主要な対策の導入目標
 中期 すべての地域でゼロカーボン地域計画(社会システムの変革、排出削減の徹底、バイオ
マス資源・再生可能エネルギーの活用、吸収源の活用推進)を策定・公表。
 長期 すべての地域でゼロカーボン地域計画の達成及び多面的機能を含めた地域評価の公表。
43
地域づくり・農山村地域
主要な対策
• 未利用バイオマスのエネルギー化※1
• 土地の有効活用による再生
可能エネルギーの導入※1
• 森林経営活動(吸収源)
• 伐採木材製品( 〃 )
• 農地管理活動( 〃 )
~主要な対策と施策~
2020年の対策導入量
2020年の削減効果
• 林地残材や農作物残渣、家畜排泄物等のエネルギー利用
• 用水路での小水力発電や未利用地3万haへの太陽光
パネルの設置(住宅除く)
• 年間55万ha程度の間伐等
• 国産木材製品の増加
• 緑肥面積を9.8万haから21.6万haに拡大等
350万t-CO2※1
3,100万t-CO2※1
3,700万t-CO2
60万t-CO2
380万t-CO2
※1: エネルギー供給分野において別途検討されている対策及び削減量を含む。
※2:上記の他に、住宅への太陽光パネル設置に伴う排出削減効果(住宅・建築物分野において別途検討)や、木材製品の利用促進による金属等製品の代替効果
(製造エネルギーの削減効果)等も見込まれる。
対
策
主実
な現
施の
策た
め
の
•適切な森林経営の実施
•地域にとって最適なバイオマス回収・利用システムの検討
•バイオマスボイラーの普及及び効率改善
•地域における発電事業主体の育成と再生可能エネルギービ
ジネスの振興
•木材利用に関する方針策定と標準化
•住宅、中大規模建築物への国産材利用促進
•農地への堆肥すき込みの促進
•オフセットメカニズムの拡大/カーボンフットプリント評価手法の確立
 削減効果以外の便益
地域の経済的・社会的活性化、食料自給率の向上、地域住民の環境意識醸成
• 農山村地域とは、農林水産省の農業類型のうち「平地農業地域」「中間農業地域」「山間農業地域」に該当する自治体又は利用可能なバイオマス資
源が豊富に存在する自治体とした(面積:34.6万km2、人口:7,300万人[全体の58%])。
• 農山村地域の排出量は、化石燃料由来の排出量(民生家庭分野、運輸分野[自動車]、エネルギー分野[農林水産業])に農山村地域の人口比率
(58%)を乗じ、さらに農業活動に伴う非CO2排出量を加えることにより求めた。
• 森林吸収源等の削減効果は、農林水産省地球温暖化対策本部「農林水産分野における温室効果ガス排出削減・吸収効果等についての試算(中間整
理)」(2009年11月27日)を参考にした。
44
地域づくり・農山村地域
1990
2010
~ロードマップ~
2012
2015
2020
• 全地域においてゼロカーボン
地域計画を策定・公表
• 化石燃料由来排出量を平
均20~30%削減
導入目標
2030
• 化石燃料由
来排出量を
平均50~
60%削減
2050
• 全地域においてゼロカー
ボン地域計画達成
• 全地域において多面
的機能を含めた地域
評価を公表
社会システムの変革
◆地域の特性に応じたゼロカー
ボン地域計画の策定、実行及
び検証
地域全体における
GHG排出・吸収量の
評価・検証手法の検 地域計画ガイドラインの作成
討・確立
モデル地域の経験を踏
まえた制度の見直し
◆オフセットや低カーボンフッ 既存の森林カーボ
ン・オフセットの普
トプリント製品の普及拡大
及拡大
多面的機能を含めた地域評価・検証手法の検討・確立
地域計画の策定・実行・検証(モデル地域に集中投資)
地域計画の策定・実行・検証の全国展開
農地やHWPへのオフセットメカニズムの拡大
低カーボンフットプリント製品の評価・支援制度の実施(地産地消・旬産旬消の促進)
農林水産物のカーボ
ンフットプリント評
価手法の検討・確立
多面的機能を含めた評価手法の検討・確立
木材のライフサイクル評価(間接的な排
出削減効果を含む)の確立・基準化
◆建築物等への国産材利用推進 木材利用に関す
る方針策定と標
準化
行
程
表
多面的機能も考慮した評価・支援制度の実施
公共建築物等への率先利用(低コスト化の実現)
住宅、中大規模建築物への国産材利用促進
◆地産地消・旬産旬消の推進
流通コーディネーター育成
流通体制の構築
生産者と消費者のマッチング(情報交換)の実施
公共施設における推進強化(学校給食等)
地域全体における推進
排出削減の徹底
◆農林業における省エネ推進
山村・林業型
農村・農業型/農村・
畜産型
林業機器の低燃費化(高効率化)、製材工場設備(ボイラー等)の省エネ化
加温ハウスへのヒートポンプ及び多層被覆等の導入促進
農業機械の低燃費化、共同利用の推進
漁船の集魚灯のLED化、省エネ航法の推進
◆農林業における緩和対策
の推進
農村・農業型/農村・
畜産型
窒素施用量の削減、強制発酵への転換、中干し期間延長の推進等
* 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
45
地域づくり・農山村地域
1990
2010
~ロードマップ~
2012
2015
2020
2030
2050
バイオマス資源・再生可能エネルギーの活用
再生可能エネルギーの普及等に向けた新たなルールの検討・策定(環境に
配慮した施設設計、関連諸法規の要件・運用見直し、関連権利の調整等)
◆未利用バイオマスの堆肥化、
飼料化、エネルギー化推進及
山村・林業型/農村・
び再生可能エネルギーの利用 農業型
促進
木材乾燥設備や加温ハウス等へのバイオマスボイラー等の導入促進
地域にとって最適な回収・利用システムの検討
類型共通
堆肥化、飼料化、エネルギー化施設の整備・適正な立地
農村・
畜産型
堆肥センター等を活用した地域一括堆肥製造体制の構築
農村・農業型
水力発電事業主体の育成
用水路等における小水力発電の設置
程
未利用バイオマス、再生可能エネルギーの活用推進
類型共通
行
◆エネルギー供給源としての土
地の有効活用とビジネス化
土地の潜在的な利用価値を評価するためのデータ把握
地域特性に応じた再生可能エネルギービジネスモデルの
検討(未利用地への太陽光パネル設置等)
モデル事業の実施(モデル地域等を活用)
表
地域エネルギー事業主体の育成
モデル事業の経験を踏
まえた制度の見直し
◆藻類等の新たなエネルギー源
又は素材としての活用
地域エネルギービジネスの全国展開
研究開発、評価手法の開発・確立(吸収源としての活用可能性に関する研究を含む)
バイオエネルギー源又は素材としての活用
吸収源の活用促進
◆森林、木材製品、農地の活用
適切な森林経営の実施
山村・林業型
農村・農業型/農村・
畜産型
類型共通
農地への堆肥すき込みの促進、木炭等の土壌改良材利用
国産材の利用及びカスケード利用の促進
* 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
農山村地域
農業統計に用いる農業地域類型で、平地農業地域、中間農業地域、山間農業地域に該当する自治体、及び都市的地域に属するが豊富なバイオマス資源を有している自治体。
類型
木質バイオマス、農業系バイオマス、畜産系バイオマスの利用可能量が優占する地域をそれぞれ「山村・林業型」「農村・農業型」「農村・畜産型」とした。
ただし、単一の市町村が複数タイプのバイオマス資源を多量に有している場合は、耕畜連携等、複数の類型における対策の連携を推進することとする。
46
地域づくり・農山村地域 ~副次的効果、新産業の創出~
◆農山村地域での対策から得られる主要な副次的効果
• 公共建築等に積極的に国産材を使用することで、木材自給率の向上が見込まれる。また、林
業・木材産業の振興や雇用機会増加による地域経済の活性化、森林管理の充実による森林の
多面的機能の維持につながる。これらの恩恵は都市にももたらされる。
※森林の多面的機能:CO2吸収、化石燃料代替、表面侵食防止、表面崩壊防止、洪水緩和、水資源貯留、水質浄化、野生
鳥獣保護、保健休養
• 国産農畜産物への需要が高まり、食料自給率の向上が見込まれる。また、国内の農業・畜産
業・食品加工産業の振興や雇用機会の増加による地域経済の活性化。加えて、適切な農地管
理の充実による農地の多面的機能の維持につながる。これらの恩恵は都市にももたらされる。
※農地の多面的機能: 洪水防止、河川流況安定、地下水涵養、土壌侵食防止、土壌崩壊防止、有機性廃棄物処理、気候
緩和、保健休養・やすらぎ
• 遊休地等をエネルギー供給源として活用することで、エネルギー自給率の向上(エネルギー
の安全保障への寄与)が見込まれる。
◆農山村地域の低炭素化で成長が期待される新産業
• 森林経営活動によるCO2吸収と木材利用による排出削減の促進のため、林業と木材産業が
再興される。また、この木材調達・森林保全の需要拡大が、林業生産の効率化や、低コス
ト型で強靭な林業経営をもたらす。
• 地産地消が進むことにより、国産の農林産物の需要が全般的に増大していく。
• 多面的機能の評価やオフセットメカニズムの導入によって新たな資金が投入されることに
より、農林業の外部経済が内部化され、農林業がさらに活性化する。
• 再生可能エネルギーの供給事業が創出される。また、これに参加・出資した都市域にベネ
フィットが付与されるビジネスモデルにより、さらなる事業の拡大が見込まれる。
47
地域づくり・農山村地域
~ロードマップ実行に当たっての視点・課題~
<対策・施策の実施手順>
 農山村については、排出量評価に係わる基礎的なデータが不足しており、その緊急の整備
が対策・施策の詳細な検討の前提となる。
 まずはモデル地域に集中投資し、効果を検証しながら、全国にデモンストレーションして
拡大していく等、効率的に進める工夫が重要である。
 ゼロカーボンを達成するためには複数の市町村で連携した方が効率的なパターンもあるこ
とから、効果的な地域形成(市町村の連携)の方法について検討する必要がある。
<留意・配慮すべきポイント>
 低炭素化は地域振興や木材・食料自給率等とトレードオフになり得る(例えば、林業生産
を増やすと短期的には吸収量は低下)ことに留意し、最適な低炭素社会を目指すべき。
 森林・農業がもたらす炭素吸収以外の機能(多面的機能)の発揮が必要がある。
 農山村から再生可能エネルギーの供給増大による排出削減効果(エネルギー代替効果)
は、都市地域の産業部門や民生業務部門において主に現れる点に留意すべきである。
 地産地消については、消費地である近隣都市と連携して進めていく必要がある。
 再生可能エネルギーや地産地消・旬産旬消等に係る事業主体を育成することが必要であ
る。
 農山村の対策・施策については、気候変動への適応の観点も念頭に検討する必要がある。
 バイオマスの回収やボイラー等設備の導入・運用に係るコストが障壁になっているケース
が多いことから、費用対効果を考慮した上で、対策・施策の優先順位付けを行うべきであ
る。
 過疎化・高齢化への対処や地域振興の検討にあたっては、魅力ある農山村資源を活用した
地域づくりの視点も重要。
48
【参考】ゼロカーボン地域の定義
• 「ゼロカーボン地域」は、再生可能エネルギーの利用、省エネ対策の推進、農業分野の非CO2
対策によって地域内の排出量を削減し、かつ残りの排出量を地域外への再生可能エネルギー供給
に伴う排出削減効果によりオフセットした地域と定義。ここで、排出とは、化石燃料由来の排出
(暮らしや農林水産を含み、製造業は含まない)及び農業活動に伴う非CO2排出とする。
• 森林・農地の吸収量の活用や、地域外への再生可能エネルギー供給によって、ゼロカーボンを超
えて「マイナスカーボン地域」を目指す。
• ここでの「地域」とは必ずしも単一の市町村とは限らない。複数の市町村が連携して「地域」を
形成し、ゼロカーボン地域を目指すパターンもある(複数の市町村が連携することによって地産
地消・旬産旬消や耕畜連携等の取組が効率的に進むケースも数多くあると考えられる)。
対
策
前
省エネ
対策
対
策
後
農業活動に伴う非CO2排出量
(水田や家畜からのCH4排出等)
化石燃料由来の排出量
(暮らし、農林水産業)
再生可能
エネルギー利用
(域内利用)
化石燃料由来の排出量
(暮らし、農林水産業)
+
農業分野の非CO2対策
再生可能
エネルギー利用
(域外への供給)
農業活動に伴う非CO2排出量
(水田や家畜からのCH4排出等)
地域外への
再生可能エネルギー供給
に伴う排出削減量
-
≦0
※ただし、上式をそのまま適用すると地域間でダブルカウントが発生する点に留意しなければならない。
ここに示したのはあくまでも農山村地域の目指すべき方向性であり、方法論の詳細については今後検討する必要がある。
49
エネルギー供給
50
エネルギー供給
~現状と課題/キーコンセプト/目標~
◇現状と課題
 我が国では、一次エネルギー供給の85%を化石エネルギーに依存しているが、低炭素社会を実現
していくためには、再生可能エネルギーの導入拡大等によるエネルギーの低炭素化が必須。
 国産である再生可能エネルギーの普及によって、我が国の低いエネルギー自給率を向上させると
ともに、日本経済・地域経済の活性化を促し、雇用の創出を図ることが重要。
 多くの再生可能エネルギーは、将来的には化石エネルギーに対する競争力を獲得し得るが、その
ためには各種方策によって普及基盤を確立し、従来型のエネルギー供給を前提とする既存の法
規・慣習・インフラを、再生可能エネルギーの大幅拡大に対応させることが必要。
 CO2回収貯留(CCS)を2020年以降漸次本格導入するためには、早急に海底下貯留技術の大規模
実証実験を開始し、安全性評価・環境管理手法の高度化を推進し、併せて事業者の導入インセン
ティブを整えることが必要。
 原子力発電の稼働率が低迷しており、安全確保を大前提としつつ向上させることが必要。
◇低炭素社会に向けてのキーコンセプト
再生可能エネルギーがエネルギー供給の主役となる社会
再生可能エネルギーの普及段階に応じた社会システムの変革
低炭素社会を見据えた次世代のエネルギー供給インフラの構築
化石エネルギー利用のより一層の低炭素化、安全確保を大前提とした原子力利用の拡大
◇長期・中期のための主要な対策の導入目標
 再生可能エネルギーが一次エネルギー供給に占める割合を10%以上に拡大(2020年)
 CCSの大規模実証、関連法制度等の整備(~2020年)、本格導入(2020年~)
 スマートメーターの導入率80%以上(2020年)、スマートグリッドの普及率100%(2030年)
 再生可能エネルギー導入量を1.4~1.6億kLに拡大(2050年)
51
 ゼロカーボン電源の実現(2050年)
51
エネルギー供給
~主要な対策と施策~
主な対策と導入量及び削減効果
•太陽光発電
•風力発電
•水力発電(大規模)
•水力発電(中小規模)
•地熱発電
•太陽熱
•バイオマス発電
•バイオマス熱利用
計
(一次エネルギー供給比)
対
策
主実
な現
施の
策た
め
の
•
•
•
•
•
•
•
•
導入量(2005)
(万kW)
(万kL)
144
35
109
44
2,021
1,625
40
35
53
76
61
-
409
462
470
-
2,808
-
(5%)
(-)
導入量(2020)
(万kW)
3,700~5,000
1,131
2,156
165~600
171
-
761
-
-
(-)
(万kL)
928~1,222
465
1,784
195~744
244
131~178
860
887
5,494~6,383
(10~13%)
削減効果(2020)
(万t-CO2)
2,300~3,200
1,000
470~2,000
470
140~240
600
780
5,800~8,400
(-)
事業投資を促す水準での固定価格買取
再生可能熱(太陽熱、バイオマス熱)のグリーン証書化
太陽熱利用・太陽光発電など、大規模施設における導入検討の義務化
地域の人材、資源、市民資金などを活用した再生可能エネルギー事業体の設立と運営による地域活性化・地域振興
地域間連系線の増強、系統へのエネルギー貯蔵システム
安全の確保を大前提とした原子力発電の新増設、稼働率向上
キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度を通じたエネルギーの低炭素化等の促進
地球温暖化対策税の導入
削減効果以外の便益
•エネルギーの分散化による災害時危機管理対応能力の向上
•地域の特性に応じた再生可能エネルギーの導入による産業振興
•身近な発電施設の新設による環境教育・エネルギー教育教材の充実 など
52
エネルギー供給 ~ロードマップ(再生可能エネルギー)1/2~
1990
導
入
目
標
再生可能エネルギー
導入量
2005
2010
2012
2015
2020
2030
再生可能エネルギーの一次エネ
ルギー供給に占める割合を10%
以上に拡大
再生可能エネルギーの一次エネルギー供給に
占める割合は5%
再生可能エネルギー導入量2,900万kL
2050
再生可能エネルギー導入
量を1.4~1.6億kLに拡大
再生可能エネルギーの普及基盤を確立するための支援
◆固定価格買取制度など 電力
による経済的措置等
熱
制度設計
事業投資※を促す水準での固定価格買取
(※事業用発電に対してはIRR(内部収益率)8%の水準)
再生可能熱のグリーン証書化
熱計量技術の開発、最適な補助熱源との組合せを消費者が選択可能な仕組みの構築
燃料
共通
◆再生可能エネ事業の金
融リスク・負担の軽減
バイオ燃料に対する税制優遇などの経済的支援措置
太陽熱利用・太陽光発電など大規模施設における導入検討の義務化
導入の義務化(グリーンオブリゲーション)
公的機関による債務保証
開発適地調査・FS等への助成
地域金融機関等を活用した資金調達の検討 各地域のニーズに応じた資金調達方法の確立
行
プロジェクトファイナンス評価方法検討
程
表
再生可能エネルギー
の導入義務化
各地域の特性を踏まえた評価システムの確立
リース等による家庭・事業者の初期負担軽減
◆関連情報の整備
ポテンシャル・開発適地及び不適地(ゾーニング)情報の整備
再生可能エネルギー統計の整備
再生可能エネルギー普及に向けた行動計画の策定と進捗状況点検による見直し
◆再生可能エネルギー
技術の開発等
自然環境、地域環境・社会等に適した技術の開発
地熱坑井の傾斜掘削技術、環境に配慮した施設設計、風力発電のバードストライク防止技術、
第二世代バイオ燃料技術、地域社会に受け入れられるデザイン・意匠など
革新的技術・未利用エネルギー技術の開発、実証実験の実施、実用化の加速
洋上風力発電、波力発電、地中熱利用、温泉熱利用など
既築の住宅・建築物に容易に設置可能
なアタッチメントの規格の検討・統一
住宅・建築物の設計の確立、施工の人材育成
安定したバイオ燃料供給体制の確立
* 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
53
エネルギー供給 ~ロードマップ(再生可能エネルギー)2/2~
1990
2010
2012
2015
2020
2030
2050
再生可能エネルギーの普及段階に応じた社会システムの変革のための施策
普及啓発活動による国民の認知度向上
自主的導入の促進、利用への理解の醸成
利用への理解の醸成
制度設計
地域環境影響に関する情報開示制度
のための方策
地熱利用のモニタリングデータ開示、ゾーニング情報の公開等
自主的導入の促進の
施工業者の登録・資格制度の導入、維持管理の義務付け
ための方策
◆社会的受容性・認知
度の向上
住宅・建築物向け再生可能エネルギー利用機器の販路拡大支援
再生可能エネルギーと
親和的な社会システム
の構築
再生可能エネルギー 住宅新改築時のアドバイス実施
導入アドバイザーの
再生可能エネルギー機器・省エネ機器の最適組み合わせ等の情報提供
養成、ツール開発
行
程
◆地域の特性を生かし
た再生可能エネル
ギーの導入
地域の特性に応じたビジネスモデル検討
市民風車や大口需要家の地方誘致など
地域の再生可能エネルギー導入専門家の養成
表
地域の人材、資源、市民資金などを活用した
再生可能エネルギー事業体の設立と運営による
地域活性化・地域振興
太陽光発電等設置・運用事業者の公募等による公共施設への導入促進
◆関連法規の見直し等
都道府県、政令
指定都市など
再生可能エネルギーの率先導入、独自の支援策の実施、地域社会の仕組みづくり
市区町村など
まちづくりや地域振興のための再生可能エネルギー活用
総合特区活用によるモデル事業
中小水力発電、地熱・バイオマス、バイオ燃料利用など
関連諸法規の要件・運用見直し、新技術の早期規格化
電気事業法など、高濃度バイオ燃料の早期規格化など
関連権利の調整
水利権など
地球温暖化対策税の導入による再生可能エネルギーの普及促進
キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度を通じた再生可能エネルギーの普及促進
*2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
54
エネルギー供給 ~ロードマップ(エネルギー供給インフラ)~
1990
導
入
目
標
2010
2012
2015
2020
エネルギー供給
インフラ
スマートメーター
の導入率80%以上
2030
日本版スマートグ
リッド普及率100%
2050
ゼロカーボン電源
の実現
次世代のエネルギー供給インフラの整備の推進
電 ◆既存電力系統シス
テム上での対策
局所的対策の実施(配電トランスの設置、電圧調整装置の設置)
送電線、調整用電源等の新設計画
力
系
既存インフラ(揚水発電・地域間連系線等)運用の見直し
◆次世代送配電ネッ
トワークの検討
気象情報・再生可能電力
出力の多地点計測体制の確立
再生可能電力出力予測・
性能評価の確立
統
地域間連系線の新設・増強、エネルギー貯蔵システムの整備
既存インフラを最大限
利用した再生可能電力
大量導入への対応
「スマートグリッド」
の確立・展開
再生可能電力設備への集中制御型
エネルギー貯蔵システム整備
◆スマートグリッド
の整備、進化
スマートメーター・気象情報と連動したエネルギーマネジメント装置の導入、
需要家設備(ヒートポンプ、電気自動車等)への協調制御機能の導入
行
次世代送配電ネットワークの
イメージ検討・合意形成
程
表
◆再生可能エネル
ギーの大量導入に
向けた制度整備
◆水素供給インフラ
共
通
◆次世代供給インフ
ラ整備のためのイ
ンセンティブ付与
日本発スマートグリッドの海外展開
電力安定供給の担い手の多様化に応じた
制度設計
再生可能電力優先接続
に関する制度整備
需要家の省エネ支援に対する
電力会社へのインセンティブ付与
電 ◆バイオ燃料供給イ
力
ンフラ
系
統 ◆ガス供給インフラ
以
外
再生可能エネルギー・需要家と系統との
新たな協調制御の実現
低
炭
素
型
の
総
合
的
な
エ
ネ
ル
ギ
ー
需
給
シ
ス
テ
ム
の
確
立
電力料金による間接制御の導入
配電電圧の昇圧
電力のビジネスモデルの進化
(電力会社の売上・利益と電力販売量のデカップリング)
バイオ燃料生産・製造のための経済的支援
既存の燃料流通インフラの高濃度バイオ燃料対応化のための経済的支援
天然ガスパイプラインの整備、都市ガスインフラのバイオガス注入、熱と電気が有効活用できる
スマートエネルギーネットワークの活用のための支援、導入検討の義務化、導入の義務化
技術開発水準を考慮した水素供給構想の検討
地球温暖化対策税導入による次世代のエネルギー供給インフラの整備の促進
キャップ・アンド・トレード方式の導入による次世代のエネルギー供給インフラの整備
* 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
55
エネルギー供給 ~ロードマップ(化石燃料・原子力利用)~
1990
導
入
目
標
2010
2015
2012
2020
2030
2050
・900~5,000万t-C/年
(3,300~1億8,300万
t-CO2/年)の回収貯留
化石燃料・原子力
利用
化石エネルギー利用の低炭素化の実現、安全の確保を大前提とした原子力発電の利用拡大
◆火力発電低炭素化の
技術普及
火力発電への高効率発電技術の導入
高効率火力発電技術の海外展開
◆炭素回収貯蔵の導入
CCS関連法制度・技術の整備、大規模実証実験の実施、
導入インセンティブの整備、
CCS - ready (CCS後付け可能なプラント整備)の検討
CCSの導入
行
程
◆発電の建設・運用に
おける低炭素化
地球温暖化対策税を契機とした低炭素化の促進
キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度を通じた低炭素化の促進
表
炭素価格を考慮した電源計画(石炭、石油、天然ガスなど)
火力発電の設備容量・発電量の検討及び
電力システムの再構築
◆安全の確保を大前提
とした原子力発電の
利用拡大
運用体制・制度の見直し
安全の確保を大前提とした原子力発電の稼働率向上、
既存施設の高経年化・老朽化への対応
*2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
56
エネルギー供給 ~新産業の創出、副次的効果~
◆再生可能エネルギーの大量導入から得られる副次的効果
【経済波及効果・雇用創出効果】
【地域振興】
• EUのレポートでは再生可能エネルギー推進施策に
はGDPの増加、雇用創出等の経済効果があり、特
にGDPについては積極的な政策を打ち出すほどそ
の効果は大きくなることを示している。
• より積極的な再生可能エネルギー政策が展開され
たあるケースの試算で、以下の効果があると示され
ている。
• 山梨県都留市では水のまち都留市のシンボルとし
て小水力市民発電所を設置、環境教育を中心に据
えた街づくりを推進している。
GDP:
雇用:
最大約0.25%の増加効果
最大約430万人の新規創出
出典:“Employ RES Final report”,2009,フラウンホーファー研究所他
注:火力発電の規模縮小による減殺分があることに留意が必要。
◆再生可能エネルギーの大量導入により成長が期待される新産業(風力発電の例)
• メガワットクラスの風車の部品点数は約1万点。200社以上の国内産業が風車製造を支えている。これまでは、
海外市場が主要市場であったが、今後国内市場への拡大が期待される。
分野
大型風車
小型風車
ブレード
FRP
炭素繊維
発電機
変圧器
電気機器
大型軸受
歯車機器
油圧機器
機械装置
鉄鋼・鋳物
企業名
三菱重工業、日本製鋼所、富士重工業、駒井鉄工
シンフォニアテクノロジー(旧神鋼電機)、ゼファー、GHクラフト、那須電機鉄工、エフテックなど
三菱重工業、日本製鋼所、GHクラフト
日本ユピカ、昭和高分子、大日本インキ、日本冷熱、旭ガラス、日本電気硝子、東レなど
東レ、東邦テナックス(帝人)、三菱レイヨン
日立製作所、三菱電機、東芝、明電舎、シンフォニアテクノロジー(旧神鋼電機)など
富士電機、利昌工業など
日立製作所、三菱電機、東芝、富士電機、安川電機、明電舎、フジクラなど
NTN、ジェイテクト(旧光洋精工)、日本精工、コマツ、日本ロバロ
石橋製作所、大阪製鎖(住友重機械)、コマツ、オーネックス、ネツレン
カワサキプレシジョンマシナリ(川崎重工)、日本ムーグなど
ナブテスコ、住友重機械、豊興工業、曙ブレーキなど
日本製鋼所、日本鋳造など
注1:ガソリン自動車の部品点数
約3万点。電気自動車約1万点。
注2:我が国近海には遠浅の海が
少なく、着底式よりも浮体式に
適した海域が多いが浮体式の
方が技術的には難しい。
加えて、我が国では台風対策
も必要であり、洋上風力発電
の実用化には課題も多い。
出典:「風力発電の産業効果」、
電機・2009・7
57
エネルギー供給 ~ロードマップ実行に当たっての視点・課題~
費用負担のあり方の議論
• 固定価格買取制度等の費用や、電力系統等のインフラ対応費用、事業の金融リスク・
負担の軽減などの再生可能エネルギーの普及基盤を確立するための費用や、CCSの
整備費用などについて、誰がどのように費用を負担し、国内での前向きな投資として位
置づけていくかについての議論が必要。
• 将来的には十分な競争力を有する再生可能エネルギーのグリーン価値を適切に評価
した上で、評価に見合うインセンティブを付与することにより、その需要の拡大を図るこ
とが必要である。
生産・調達能力、施工能力の確保
• 短期間の大量導入に対応するため、生産・調達能力や施工能力の確保が必要。
長期の基幹エネルギー供給インフラに関する共通認識の形成
• スマートグリッドを含む長期の電力供給システムについては、個別技術の実証やアイ
ディアベースの検討はされているが、今後、共通認識の形成に向けて、利害関係者の
参加を得て、科学的知見を活用した議論を継続する必要。
• 熱・燃料等のインフラについても電力供給システムと整合的な検討を行うことが必要。
58
エネルギー供給 ~参考資料~
◇原油市場の見通し
 IEAのWorld Energy Outlook 2009に
よる原油市場の見通しは次の通り。
 原油供給に占める在来型石油のシェ
ア は 、 98 % ( 2008 年 ) か ら 93 %
(2030年)に低下し、非在来型石油
への依存が高まる。
 原油価格は2030年に向けて約2割上
昇。
◇再生可能エネルギー普及の意義
◇増大する枯渇性エネルギー輸入額
 我が国の化石燃料の輸入額は増加の一途。
 2008年の総輸入額(=国内資金流出額)は約23
兆円。輸入総額(約72兆円)の約3割、GDP比
で約5%相当。
25
20
15
10
5
 低炭素社会を構築するには、従来の
ストック切り崩し型の化石燃料エネ
ルギー利用を、永続的に利用できる
フロー型の再生可能エネルギー利用
に変革していくことが必要。
我が国がこの変革にいち早く着手す
ることには、以下の意義がある。
①世界全体での低炭素社会確立に寄与
②エネルギー安全保障の確保に寄与
③景気の回復に寄与
④雇用確保に寄与
⑤次世代に引き継げる社会資本ストッ
クの創出
4.6%
石炭、原油、LNGなどの化石燃料輸入額(兆円)
化石燃料輸入額がGDP(名目)に占める割合(%) 4.0%
3.3%
(財務省貿易統計より集計。
3.0%
ナフサ、潤滑油など、非エネルギー用途
と考えられる燃料は除く)
2.1%
23.1
1.7% 1.6% 1.7% 1.7%
20.6
1.3%
17.0
15.1
1.0%
10.3
8.6 8.0 8.3 8.4
5.1 6.5
0
5%
4%
3%
2%
1%
0%
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
◇低炭素社会に向けてのキーコンセプト
再生可能エネルギーの普及基盤の確立による大々
的な普及
普及段階に応じた社会システムの変革
 技術開発、社会的受容性・認知度向上、関連法規
の見直し等
次世代のエネルギー供給インフラの整備
 次世代送配電ネットワーク
 スマートグリッドの整備・進化等
59
ものづくり
60
ものづくりの低炭素化 ~現状と課題/キーコンセプト/目標~
◇現状と課題
1990年以降、製造業の温室効果ガス排出量は低下傾向。しかし、中長期目標を達成するに
は、確実な排出削減につながるより高いレベルの努力が必要となる。一方、現状の市場では排
出削減のインセンティブが不十分であり、排出削減に必要な資金の流動性も不足している。ま
た、長期的な大幅削減は、既存の低炭素技術だけでは実現できない。さらに、国内の削減努力
を国際貢献に結びつけていくことも必要である。
◇低炭素社会構築に向けてのキーコンセプト
 ものづくりトップランナー:排出削減と世界一の効率を両立、より少ない資源・エネルギー
でより高付加価値な“ものづくり“による原料調達から製造、輸送、使用、廃棄のすべての段階での
低炭素な製品・サービス・システムの世界市場展開、世界の低炭素社会構築に貢献
 市場のグリーン化:排出削減をした企業が報われる、公平かつ透明な仕組み
 金融のグリーン化:排出削減に取り組む企業に投融資等のファイナンスが円滑に提供される
仕組み
 見える化:企業活動や製品・サービス・システムの使用に伴う排出量・削減量の見える化の徹底
 研究開発:革新的技術の研究開発、実用化及び普及と人材育成
 脱フロン:脱フロンのさらなる推進
◇長期・中期のための主要な対策の導入目標
 2050年エネルギー消費 現状比3~4割削減
 低炭素なエネルギーへのシフト、大規模排出者のCO2回収貯留(CCS)設置
 革新的技術(水素還元製鉄、バイオリファイナリー、CCSなど)の実用化(2020~2030年)
及び普及(2040~2050年)を実現
61
 脱フロン社会の構築
61
ものづくりの低炭素化 ~主要な対策と施策~
主要な対策
既存の温暖化対策技術の更なる導入
鉄鋼:次世代コークス炉 など
セメント: 廃熱発電 など
化学: 熱併給発電の高効率化 など
紙パルプ: 高性能古紙パルプ装置など
業種横断的技術
(高性能工業炉,高性能ボイラ,産業用
ヒートポンプ,インバータ制御 など)
代替フロン等3ガス(Fガス)排出削減対策
半導体製造におけるFガス除去装置設置率
液晶製造におけるFガス除去装置設置率
2020年技術固定ケースからの削減量
対
策
実
現
の
た
め
の
主
な
施
策
2020年の導入量
現状1基 → 2020年6基
現状77% → 2020年88%
現状0% → 2020年100%
現状17% → 2020年71%
現状 24% → 2020年60%
現状 63% → 2020年100%
2020年の削減効果
(業種全体の削減量)
鉄鋼業
470万t-CO2
セメント業
40万t-CO2
化学業
410万t-CO2
製紙業
150万t-CO2
業種横断的技術による削減量
610~950万t-CO2
Fガス排出削減対策による削減量※
2,020万t-CO2
※製造時における代替フロン等3ガスの対策に加えて、使用時等の対策による削減量を含む
市場のグリーン化
• キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度、地
球温暖化対策税
• 企業・製品のLCA評価も加えた排出量・削減効果の算定・報
告・公表
• より少ない資源・エネルギーでより高付加価値なものづくり
による原料調達から製造、輸送、使用、廃棄のすべての段階
での低炭素な製品・サービス・システムの国内・世界市場展開
革新的技術・人材育成
• 3Rの推進によるレアメタル等の鉱物資源の使用量低減、使用
済み製品からの回収等の加速化
金融のグリーン化等
• 削減投資に対する利子補給・リース料助成
• 排出抑制等指針を活用した削減努力
• 中小企業GHG診断士の育成・派遣制度
• 有価証券報告書への地球温暖化に係るリ
スクとビジネスチャンスの記載徹底
脱フロンの更なる推進
• 代替フロン等3ガスの排出抑制の徹底
• ノンフロン製品等の技術開発・普及加速化
62
ものづくりの低炭素化 ~ロードマップ(1)~
1990
2010
2005
2012
2015
2020
2030
2050
エネルギー消費量 現状比3割~4割
低炭素エネルギーへのシフト
◆エネ効率・炭素効率改善
導
入
目 ◆市場のグリーン化
標
大規模発生源のCCS設置
削減した企業が報われる市場の創設
企業・製品の排出量・削減量の見える化
◆見える化
市場のグリーン化:排出削減をした企業が報われる市場づくり
◆経済的手法による
市場のグリーン化
◆"ものづくり"による排出
量・削減量の算定
地球温暖化対策税
キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度
温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の拡充(活動量の報告等)
企業・製品のLCA
評価に基づく算定
手法の検討
企業・製品のLCA評価も加えた排出量・削減効果の算定・報告・公表
報告・公表制度の検討
削減量・吸収量へ経済的価値の付与、カーボン・オフセット
行
◆地球環境貢献評価制度
優秀製品・企業表彰制度
程 ◆資源利用やGHG排出量
表
優秀製品・企業に対する経済的優遇制度の設立・運用
より少ない資源・エネルギーでより高付加価値なものづくりによる原料調達から製造、輸送、使用、廃棄のすべての段階での
低炭素な製品・サービス・システムの国内・世界市場展開国内市場展開
より少ない資源・エネルギーでより高付加価値なものづくりによる原料調達から製造、輸送、使用、廃棄のすべての段階での
低炭素な製品・サービス・システムのの世界市場展開
が世界一少ない製品・
サービス・システムの国
内外への展開
金融のグリーン化等:排出削減に取り組む企業に投融資等のファイナンスが円滑に提供される仕組みづくり
◆ 温室効果ガス削減投資
に対する利子補給によ
る支援
利子補給・リース料助成の実施(1つの設備投資に対し数年程度)
◆ 排出抑制等指針の活用
排出抑制等指針の活用による削減支援
◆ 中小企業GHG診断制度
「削減ポテンシャルの見え
る化」
◆ 企業活動の見える化
削減効果の検証
診断士制度の設計
定期診断の義務化
制度の設計
中小企業GHG診断士の育成
中小企業GHG診断士の派遣制度の維持管理
環境報告書の比較可能性向上・信頼性向上
有価証券報告書への地球温暖化に係るビジネスリスク・ビジネスチャンスの記載
※ 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
63
ものづくりの低炭素化 ~ロードマップ(2)~
1990
導
入
目
標
2005
2010
2012
2015
2020
2030
革新的技術の実用化
◆革新的技術
2050
革新的技術の普及
脱フロン社会の構築
◆脱フロン
革新的技術・人材育成
◆革新的技術の開発・普及
支援
革新的技術の開発支援
革新的技術の国内普及および国際貢献に対する支援
◆低炭素技術を支える鉱物
資源の安定的な確保支援
行
程
◆中小企業向け温暖化対策
研修制度
3Rの推進によるレアメタル等の鉱物資源の使用量低減、使用済製品からの回収等の加速化
レアメタル等の機能を代替する材料の開発支援
制度設計
講師の育成・確保
研修の実施・普及
企業による自主研修
表
◆人材育成
低炭素ものづくりの担い手となる人材育成
脱フロンのさらなる推進
◆ 代替フロン等3ガスの排
出抑制
機器使用時の冷媒フロン類
排出対策手法等の検討
代替フロン等3ガスの排出抑制の徹底
冷媒フロン類の回収促進・機器使用時排出対策等に係る関連事業者の取組の促進
ノンフロン製品等の技術開発促進
◆ ノンフロン化の推進
住宅用断熱材製品のノンフロン化の普及拡大
ノンフロン製品等の普及加速化
◆ 脱フロンによる国際貢献
日本の排出抑制に関する技術・知見の活用、ノンフロン製品等の普及による国際貢献
※ 2011年度から実施される地球温暖化対策税による税収等を活用し、上記の対策・施策を強化。
対策を推進する施策
準備として実施すべき施策
64
ものづくりの低炭素化 ~副次的効果、新産業の創出~
◆ものづくりの低炭素化によって得られる副次的効果
トップランナーを走る我が国の
"ものづくり"を、国内対策を整
備することで継続的に強化
国内市場創出で価格競争力強化
日本の“ものづくり“による低炭素な
製品・サービス・システムの世界市場
展開により世界の低炭素社会の構
築に貢献
日本 ▲80%
世界 ▲50%
日本
▲25%
高効率
家電製品
LED
ゼロエミ
住宅・建築物
高機能
ガラス
CCS
低炭素
都市
次世代
スマート
製造
次世代
グリッド
プロセス
自動車
高速
鉄道
炭素
繊維
高張力鋼
世界のグリーン市場
・・・・・・
日本のグリーン市場
二次
・・・・・・
電池
日本の高品質な素材・部品が低炭素製品の展開を下支え
日本のグリーン産業
世界トップランナーへ
雇用創出
日本ブランド
大きな収益獲得
集中的に低炭素投資を促進するしくみづくりを実施
資金
人材
インフラ
制度
65
ものづくりの低炭素化 ~目標達成のための課題~
製造業の更なる取組を誘引するためには、企業活動に伴う排出量の報告と検証の
仕組みを確立し、キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度や
地球温暖化対策税の導入などにより、排出削減に経済的インセンティブを付与
し、排出削減した企業が経済的に報われる市場を創出することが必要。
企業の排出量をライフサイクル視点から評価し、国外を含む他者の排出削減への
貢献度に応じて経済的便益を獲得できる仕組みの構築も必要。
これらの排出削減へのインセンティブ付与の仕組みの前提として、排出削減に貢
献した企業や製品が市場(需要家・投資家)で評価される「見える化」の手法を
確立することが必要。
 排出抑制等指針の拡充による技術的支援等により、ものづくり企業が円滑に排出
削減に取り組める体制を充実させていくことが必要。
排出削減投資への有利なファイナンスや、投資家の投資判断への地球温暖化関係情
報の織り込みを通じ、温暖化対策のための資金融通を円滑化することが必要。
 長期的に大幅削減を実現するため、革新的技術の研究開発・実用化の効果的な支
援が重要。低炭素ものづくりの担い手となる人材育成も必要。
我が国の低炭素ものづくり技術(革新的なものを含む)・製品・サービス・システム
の世界市場展開を通じた、日本発の温暖化対策技術の国際貢献を模索する。
代替フロン等3ガスの一層の排出抑制や、省エネ性能・安全性等といった課題も踏まえ
たノンフロン製品等の普及の加速化により、脱フロン社会を構築していくことが必要。
66
モデル分析による
社会・経済への効果・影響について
67
25%削減に伴う社会・経済への効果・影響
25%削減のための対策・施策の実施
対策の導入には費用が必要
価格上昇
所得の低下
経済の停滞
温暖化対策市場の
拡大・雇用の増加
所得の上昇
経済の活性化
• 日本発エコ技術の海外展開
• イノベーションの続伸
• 低炭素型産業構造へのシフト
温暖化対策技術の普及によ
るイノベーション・価格低下
• エコスタイルによる快適で豊か
な暮らしの実現
• 地域の活性化
• 自然災害時の被害の減少
社会・経済への効果・影響は?
68
中期目標検討及び
タスクフォースにおける
モデルの役割
<世界技術選択モデル>
削減ポテンシャル・衡平性指標
による各国比較
中長期ロードマップ
におけるモデルの役割
ロードマップを通じた
温暖化対策
温暖化対策
需要の増大
による
波及効果
イノベー
ションの
創出
<日本技術選択モデル>
温暖化対策メニューの提示と
温室効果ガス削減量の定量的評価
<日本経済モデル>
温暖化対策を実施した際の
経済影響の評価
<産業連関モデル> <応用一般均衡モデル>
温暖化対策関連の
市場規模の評価
イノベーション・価格低下
の効果の評価
温暖化対策導入時の
経済的便益の評価※
※ モデル間の整合性確保は今後の課題
69
分析に用いた経済モデル※
種類
特徴
(A)
応用
一般均衡
(CGE)
モデル
 通常のCGEモデルでは、家計・企業は1期間(1年)
内の経済状況のみを考慮して行動。改良型CGEモ
デル(フォワード・ルッキングモデル)では、目標年
(例えば2020年)までの全期間を通じて効用最大化・
利潤最大化が実現するよう、各年における消費・投
資を決定。
 このため、将来の排出規制の強化を見込んで、規制
開始前から省エネ投資を行う、といった投資行動を
見込むことが可能。
分析対象
 温暖化対策の実施
に伴い、イノベーショ
ンが促進された場合
の効果
主なアウト
プット指標
 実質GDP
 雇用者数
 国民可処分
所得
(B)
 イノベーションの促進による家計の効用の変化分を
「等価変分」(家電の効率向上等による光熱費の削
減によって新たに生じた家計上の余裕)により評価。
 その際、所得階層ごとに18分類し、所得階層に応じ
た家計の効用の変化分を評価。
産業連関モデル
 25%削減に必要な温暖化対策の国内需要のほか、
太陽光発電、次世代自動車等の主要技術について、
我が国からの輸出も含めて、波及効果を定量化。
 エコ製品、エコ設備
等の需要拡大に伴う、  市場規模
関連産業の市場・雇  雇用者数
用への波及効果
マクロモデル
(現在分析中)
 「均衡」を前提に資源配分する一般均衡モデルと異
なり、需給ギャップ(経済の供給力と現実の需要との
間の乖離)の変化を表現。
 炭素税の税額・税収
の使途に応じた影響
 所得
 実質GDP
 失業率
※各モデル間で必ずしも前提条件を揃えて分析していないため、全体の整合性について、別途検討する必要がある。
70
分析結果:応用一般均衡モデル(A)
【想定したケース】なりゆきケース:1990年比4%増加
対策ケース :1990年比15%削減、25%削減
それぞれイノベーションの加速が実現する場合、しない場合を想定
25%削減(イノベーション加速ケース)
15%削減(イノベーション加速ケース)
0.50
0.40
GDPの押し上げ
4%増加(なりゆきケース)
乖離率(%)
0.30
0.20
雇用の押し上げ
0.10
0.00
-0.10
15%削減(通常のケース)
25%削減(通常のケース)
-0.20
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
1.00
0.80
0.60
0.40
0.20
0.00
-0.20
-0.40
-0.60
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
乖離率(%)
 再生可能エネルギー等の低炭素投資を促進し、それに伴ってイノベーションが加速すると仮定し
た場合には、90年比15%、25%削減のいずれのケースにおいても、なりゆきケースと比べ、
GDP、雇用が増加。
 イノベーションの加速が実現するケースは、消費を低炭素投資にまわすことにより実現(消費を
減らして貯蓄を増やす)。当初、消費はなりゆきケースより小さくなるが、2020年の時点では、資
本ストックが十分に蓄積されることにより、なりゆきケースとほぼ同じ消費額にまで回復。
▼15%なりゆき
▼15%促進
▼15%なりゆき
▼15%促進
▼25%なりゆき
▼25%促進
▼25%なりゆき
▼25%促進
図 GDPの推移(なりゆきケースとの比較)
図 雇用の推移(なりゆきケースとの比較)
71
分析結果:応用一般均衡モデル(B)
【想定したケース】なりゆきケース: 温暖化対策を導入しない場合
対策ケース
:1990年比25%削減(うち、10%相当は海外クレジット)
次世代自動車、省エネ家電製品、太陽光発電等のエコ技術につ
いてイノベーション促進の効果を見込む場合、見込まない場合
 対策ケースのうち、イノベーションにより、家電製品、自動車、太陽光発電など、家庭に普及する
製品の効率向上、コスト低下を見込む場合には、全ての所得階層において、所得(等価変分で計
測)はなりゆきケースよりも向上。
なりゆきケースからの所得増加
次世代 省エネ 太陽光
自動車 家電 発電
なりゆきケースからの所得低下
価格低下がない場合、対策ケー
スの所得は、なりゆきケースの
所得を下回る。
イノベーションの促進がコスト
低下をもたらし、全所得階層で
対策ケースの所得が上回る
72
分析結果:産業連関モデル
【想定したケース】 1990年比25%削減
 25%削減のための対策導入及び日本のエコ技術の輸出を考慮すると、2020年の時点では45兆
円の需要・125万人の雇用が発生。
 45兆円の需要増に伴い、2020年の時点では、118兆円の市場規模、345万人の雇用規模の波及
効果を誘発※。電気機械、輸送機械、商業、対事業所サービス等の産業への波及効果が大きい。
※ 118兆円の市場、345万人の雇用が純粋に増加する訳ではないことに注意。実際には、新市場の創出の結果とし
て、ある程度、従来型の産業が縮小することが考えられるが、本モデルではこのようなマイナスの影響を評価してい
ない。
便
益
地域の
活性化
豊かな
居住空間
様
技
術
高断熱
住宅
様
個
別
産
業
経済指標では表せない
様々な便益も創出
低炭素社会の構築
素材産業
(鉄鋼、化学、
ガラス等)
々
な
次世代
自動車
々
な
機械産業
(電気機械、
輸送機械等)
エネルギー
安全保障
国際競争
力強化
便 益
創
を
高効率
給湯器
産
出
太陽光
発電
業
に
商業
波
・・・
風力
発電
・・・
及
サービス
・・・
(教育、研究等)
(合計)
72兆円
186兆円
107兆円
110兆円
・・・
592兆円
20万人
40万人
138万人
74万人
・・・
345万人
* 金額は2011~2020年の総額,就業者は年平均
2020年時点で
45兆円の需要
125万人の雇用が発生
温暖化対策の需要が
様々な産業に波及する
結果、2020年時点で、
118兆円 ※1の市場規模
345万人の雇用規模
※1:2020年にかけて低炭素技術の市
場規模が漸増すると想定して試
算。
※2:実際には、新市場創出の結果とし
て、ある程度、従来型の産業が縮小
することが考えられる。上記の値は、
このようなマイナスの影響を含んでい
ない。
73
(参考) 「新成長戦略」基本方針との関係
 25%削減のための温暖化対策により、2020年には33兆円の国内需要を喚起。
 太陽光発電、次世代自動車等の主要温暖化対策技術について、海外への輸出も考慮
すると、需要は45兆円・雇用は125万人に拡大。
 これは、「新成長戦略」基本方針で見込む、50兆円・140万人の約9割に相当。
「新成長戦略」による新市場・雇用
エコ技術・エコ製品
の輸出により、他国
のCO2削減に貢献
90年比25%削減を達成
するための国内での投資額
(2020年時点)
33兆円
※
輸出分(12兆円)を
考慮
環境分野全体で50兆円 140万人
温暖化対策で
45兆円 の新市場
125万人 の新雇用
を創出
※33兆円は、温暖化対策技術に対して投資が増加する際に、競争技術・代替技術の投資の減少分を考慮しない
場合の値である。例えば、高効率給湯器に対する従来型給湯器や、次世代自動車に対する従来車の減少分を
考慮していない。一方、競争技術・代替技術の投資の減少分を考慮する場合は、同投資額は20兆円となる。
74
経済モデル分析の結果
新たな産業や市場の創出、イノベーションの促進等の
プラスの効果に対する、モデル分析を実施。
 25%削減のために再生可能エネルギー等の低炭素投資を積
極的に行った場合には、イノベーションが実現されること
により、十分に温暖化対策を行わないなりゆきケースと比
べて、経済への影響はプラスになりうる。
 所得水準を維持しつつ低炭素社会を実現することは可能。
製品の効率向上やコスト低下が国民生活に与える経済効果
は大きく、積極的な研究開発のみならず、国による家電製
品、自動車、太陽光発電などのエコ製品、エコ設備の加速的
な導入の促進が必要。
 25%削減の実現に必要な対策の導入による正の側面とし
て、2020年には45兆円・125万人の需要を喚起。関連産業へ
の波及効果まで考慮すると、温暖化対策により118兆円の市
場規模、345万人の雇用規模を誘発。
75
今後の課題
プラスの効果について更に詳細な分析が必要な項目が存在。
経済モデルを用いた分析全般について、更なる検討が必要。
 今回、25%削減に伴うプラスの効果を加味して分析を行っ
たが、更なる改善の余地がある。例えば、温暖化対策を
行わなかった場合のコスト(地球温暖化対策によって回
避できる損害)や、エコスタイルによる快適で豊かな暮
らしの実現といった金銭換算が困難な効果に関する分析
については、未実施。
 また、経済モデルについては、各々のモデルの特性上、
様々な課題・制約が存在し、相互補完可能となるような
整合性の確保が必要。
 引き続き、経済モデルに関する研究を進め、25%達成の
際の効果・影響に関する検討が必要。
76
おわりに
温室効果ガスの1990年比2020年25%以下の国内削減は将来見通しのため種々の不確
実性はあるものの、技術的に可能である。
しかし、その道程は決して簡単なものではない。対策技術の普及や技術革新を進め、イン
フラの再整備を行い、従来とは異なる社会の仕組みを築いていくための様々な政策措置と
人々の心構えが必要である。低炭素社会構築のための国民負担は決して小さくはない。
だが、負担とは、裏を返せば投資である。いち早く新しい仕組みの構築を目指すことは、新
しい市場の拡大を呼ぶ。低炭素社会の構築は、我が国の強みを活かし国際競争力の向上に
つながるものである。早めにギアチェンジすれば、経済はついてくる。
そのためには、国全体としての取組だけではなく、地域によって異なる状況に応じたきめ細
かい取組を進めることも重要である。低炭素地域づくりのために、市民の積極的な参加、地
域づくりの能力開発、計画策定、必要資金の確保は必要不可欠である。
中長期目標の達成に向けては、従来のような縦割りの無駄な投資は出来ない。すぐにハー
ドウエア投資から入るのではなく、地域づくり、人づくりへの投資が重要であり、周到な計画に
基づき炭素税等の財政資金を効果的に利用していくことが必要である。
国民各界各層・各分野が整合性を持って低炭素社会作りを進めるためには、まず、政府の
強い意思表明が不可欠であり、更に長期を見据えた政策の継続性が重要となる。
本ロードマップは、低炭素社会構築に向けた道筋の一例を示したものであり、その
実現に向けて更なる検討を行っていく必要がある。
今後は、本資料を議論のたたき台として、広く国民的な議論がなされることを期待
したい。
77
ダウンロード

地域づくり