2015太陽研連シンポジウム
国立天文台太陽観測所赤外ポラリメータ搭載
InGaAs 近赤外FPA 非線形応答ピクセル毎検定
森田 諭, 北川直優, 花岡庸一郎, 桜井 隆
(国立天文台)
国立天文台 太陽観測所 太陽フレア望遠鏡
 1988年~
対物口径 20cm x2, 15cm x2
現在の構成は
• T1 – Hα太陽全面観測
 6302.8Å/2.5Å Lyot filter
 20 cm 口径
 2k x 2k pix CCD, 4 fps.
• T2 - 赤外偏光分光へリオグラム
 He I – 10830Å (彩層)
 Si I – 10827Å (光球)
 Fe I − 15648Å (光球: high Zeeman
sensitive)
 15 cm 口径
 2 FLCs (λ/2, λ/4 at λ=1.3μm, ~kHz)
 640x512 pix InGaAs, 270 (50) fps.
• T3 - 観測休止(観測装置室をT2で使用)
• T4 – G-band(~4305Å) 及び 連続光(5300Å)
 20 cm 口径
 2k x 2k pix CMOS camera, 30(10) fps
太陽フレア望遠鏡 T2 近赤外偏光分光観測装置
Xenics社製 Xeva InGaAs 640 CL TE1
 InGaAs素子 近赤外 FPA (0.9~1.7μm)
 640 x 512 pixels, 20μm pixel pitch
 90Hz frame rate (full format, 4 register 時)
(カラム方向176pix でROIを切り260 fps で使用可能)
 7e6 Full well capacity
 Direct Injection 方式 input circuit
 14 bit A/D converter
 冷却 ペルチェ 1段 (250K-294K @299K)
 入射光に対し、低カウント側で非線形応答特性あり。
Quantum efficiency (赤線)
(Xenics社 ENG-2013-UMN002R002 より抜粋)
非線形受光感度特性線形化 Look up table (10ms, 260K, gain most)
•
•
Hanaoka et.al. (2011) にて提案された方法。全ピクセルで同一の補正曲線を使用。
左図は、前出実験 configuration によって取得されたデータを、試験光源光量毎にプロット
したもの。光源光量は任意だが、同じデータセット内での光量関係は直線偏光板二枚の間
の角度によりよく管理され既知であるとする。横軸は角度情報を相対光量に変換したもの。
•
デテクター上で同じカウントを与える入射光は同じ強度であったとして、試験光源の光量校
正をデータセット間で行う。右図は、求めた校正係数。
実験コンフィギュレーション
10830A フィルター
ディヒューザー
光源:電流制御
直線偏光板(固定、回転)
コリメーターレンズ
Hanaoka et al. (2011)のピクセル毎の校正への拡張
1. 光源に対し、カメラ位置9点にて、ピクセル毎に花岡(2011)の手法を適
用。ピクセル毎の受光非線応答カーブを9セット求める。
ピクセル間の入射光量のスケールの校正は出来ていないが、ここでは
気にしない。入射光量軸は線形化されている。以下の処理は全て、こ
の軸に対し行う。
2. カメラ中心位置を基準とし、受光非線形応答カーブを入射光軸に沿っ
て、ピクセル毎にカメラ位置間で線形フィッティングすることにより、係
数マップを9セット求める。
得られる9枚のマップは、それぞれ、
( F(x)_カメラの感度ムラ x F(x)_カバーガラスの透過ムラ x F(x)_各カメラ
位置でのカメラ直前での光源の形状 )
/ ( F(x)_カメラの感度ムラ x F(x)_カバーガラスの透過ムラ x F(x)_カメラ中心
位置でのカメラ直前での光源の形状 )
つまり
F(x)_各カメラ位置でのカメラ直前での光源の形状 / F(x)_カメラ中心位置
でのカメラ直前での光源の形状
Hanaoka et al. (2011)のピクセル毎の校正への拡張
3. 求めた9枚の係数マップにKuhn のアルゴリズムを適用。1枚のフ
ラットを求める。この作業で、
(i) ( 1/ F(x)_カメラ中心位置でのカメラ直前での光源の形状)
と
(ii) F(x)_各カメラ位置でのカメラ直前での光源の形状
が、分離される。
4. 上記 (ii) の9枚のマップを、(1)で求めたピクセル毎の受光感度非
線形応答カーブの入射光軸にそれぞれかけ算(ピクセル毎、9カ
メラ位置)。ピクセル間での感度校正が出来たピクセル毎受光非
線形応答カーブが9セット出来る。
5. 正しく求まっていれば、同一ピクセルではカメラポジションによら
ず同一カーブになる。確認の上、カメラポジション間で平均処理
をし、求めるピクセル毎の非線形応答補正曲線とする。
非線形受光感度特性補正 Look up table 作成 (10ms, 250K, gain most)
1. Hanaoka et.al. (2011) にて提案された方法をピクセル毎に使用する。上記2枚の図は得ら
れた非線形応答曲線のサンプル。左図と右図ではピクセル座標が違う。それぞれの図に
て、カーブの色の違いは、光源に対するカメラの位置の違いを示す。
2. 次に、ピクセル毎にて再度、同じカウントを与えた入射光は同じ強度であったという作業原
理にて、中心カメラ位置を基準とした、係数マップを作成する(次項)。
カメラ中心位置の各ピクセルを基準とした係数マップ
•
F(x)_各カメラ位置でのカメラ直前での光源の形状 / F(x)_カメラ中心位置でのカメラ直前での光源の形状
光源像の分離
前項9枚のマップに、Khun のアルゴリズムを適用。1枚のフラットを求める。この作業で、
(i) ( 1/ F(x)_カメラ中心位置でのカメラ直前での光源の形状) <- 上記フラット
と
(ii) F(x)_各カメラ位置でのカメラ直前での光源の形状
算
が、分離される。
<-上記フラットで前項マップを除
光源像の分離
•
(ii) F(x)_各カメラ位置でのカメラ直前での光源の形状 9枚
非線形応答特性カーブ:ピクセル間感度校正結果 (10ms, 250K)
•
上段はピクセル間校正前。下段は校正後。カメラ位置によらずカーブが重なっている。
非線形応答特性カーブ:ピクセル間感度校正結果 (10ms, 250K)
•
上段は、下段のそれぞれのグラフの低カウント側拡大。観測で使用するのはこのレンジ。
非線形受光感度特性。ピクセル Variation (10ms, 250K, gain most)
高感度
平均的
•
フルダイナミックレンジで見た様々なピクセル
高バイアス
ホットピクセル
非線形受光感度特性。ピクセル Variation (10ms, 250K, gain most)
高感度
平均的
•
高バイアス
ホットピクセル
ポラリメーターでは高速撮像を行うため上記範囲内で使用する。
カウント数を線形化した際の感度分布 (スケール: ±20%)
•
Dark+100DN
Dark+1500DN
Dark+3000DN
Dark+500DN
Dark+2000DN
Dark+3500DN
Dark+1000DN
Dark+2500DN
Dark+4000DN
観測では 3000 – 4000 DN 程度以下で使用する。
カメラ制御温度によるバイアスレベルとDark Noiseの振る舞い
•
•
左図は露光時間 5,10,20,50,100 ms にて取得したダークイメージメジアン値 (Dark level) の
カメラ制御温度による変化。Bias level は適切な温度コントロール化では再現性も高く、温
度に対して単調増加であり、制御可能。
右図は、各カメラ制御温度にて、42枚のダーク時系列データよりダークのランダムノイズを
計算したもの。露光時間 10ms 程度では、制御温度を 40度変えても、ランダムノイズ成分
は数DNしか変わらない。
Bias Level & NR-LUT 安定性(260K, 10ms)
•
•
前出試験光源光量校正済み全データを用いて求めた非線形受光感度特性補正曲線。
左図はフルレンジ。右図は低カウント(観測で使用)領域を拡大したもの。
•
室温が異なり、日付も一週間ほど異なる二つの実験にて、得られた非線形受光感度特性
補正曲線はの形状はほとんど同じものであった。再現性が高い。
目標温度を達成するために必要な I パラメータの値
• 温度制御パラメータ I がある大きさ以上であることが必要
• しかし、I が大きすぎるとカメラ温度が振動する
⇒冷却が達成される最小の I を知っておかなければならないT =294K (21C) の条件下
a
ダーク画像の
メディアン
246K
250K
254K
258K
262K
266K
標準偏差
Tc-Ta の関数としての適切な I パラメータ
Ta=294K (21C) の条件下
カメラ温度の自動制御
カメラ周囲の気温(Ta)
を取得
• フレア望遠鏡本体に
取り付けられた温度
センサーを利用
カメラの温度(Tc)を取
得
• カメラメーカーが構
築したC++関数群を
利用
前頁のグラフを参照し
て、Tc-Ta に適した I パ
ラメータを決定
• パラメータはカメラの
温度のみではなく、
周囲の気温にも依存
する
この手順を一定の時間間隔(現行 10 sec)で繰り返すことで、カメラ周囲の
気温変化にも対応してカメラ温度を制御する
• 観測開始時と日中ではカメラ周囲の気温が 10K 以上変動するので、自
動制御なしではカメラ温度を目標温度にまで冷却し続けることが難しい
• 10K の変動に対しては、適切な I パラメータの値が 50 程度違う
⇒実験の結果、自動制御が必要であることが(再)確認された
まとめ
• 国立天文台三鷹太陽フレア望遠鏡の口径15cm赤外偏光ポラリメーターで使
用する CMOS型エレキを持つ近赤外焦点面検出器 (Xeva InGaAs 640 CL
TE1) のピクセル毎の受光感度非線形応答特性の検定を行った。
• 同一ピクセルにて同一カウントを与えた入射光量は同一であるという作業原
理のみにて数学的に求めた。
• 導出はピクセル毎に受光感度非線形応答曲線を独立に求め、次に、得られ
たカーブ間でのスケール合わせを、フラット導出に利用される Kuhn のアルゴ
リズムを応用することにより行った。Hanaoka et.al. (2011) にて提案された方
法の、ピクセル間の感度比の導出へと拡張となる。CMOS型の非線形応答を
持つデテクターの検定に一般に使用出来ると思う。
• 求めた非線形応答カーブを精度良く使用するためには、Bias level の振る舞
いの理解と制御が必須となる。実験により、Bias level はカメラチップ温度の
制御で十分安定化出来ることがわかった。
• 雰囲気温度 -5K 〜 -45K まで安定冷却制御可能。
• 安定温度制御のために PID-I 制御の適正パラメターを求めた。適正な PID-I
は、(制御温度-室温) に依存し、制御可能。観測システムに組み込んだ。
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国立天文台太陽観測所赤外ポラリメータ搭載 InGaAs 近赤外 FPA