中央アジアのエネルギー事情
2006年12月25日
中央アジア・コーカサス研究所
(財)国際開発センター 須藤繁
報告の視点
中央アジアやコーカサスで起きたエネルギー関連トピックス
(2006年)
①旧ソ連親米欧派連合「GUAM」設立(5月23日)
②BTCパイプラインの本格稼働開始、第1船出航(6月4日)
③日本・中央アジア外相会議(6月5日、東京)
④上海協力機構、エネルギー分野での協力強化を打ち出す(7
月14~15日、上海)
⑤G8エネルギーサミット開催(7月15~17日、サンクトペテルブ
ルグ)
⑥参議院議員団(団長:阿部正俊(自民)、岸信夫(自民)、津田
弥太郎(民主)、松井孝治(民主)、谷合正明(公明)、近藤
正道(社民))が、8月16~25日、カザフスタン、ウズベキス
タンを訪問。ODA関連事業の評価を目的。
⑦小泉首相のカザフスタン、ウズベキスタン訪問(8月28~29
日)
⑧ブッシュ大統領、カザフスタン・ナザルバエフ大統領と会談(9
月30日、ワシントン)
⑨ 独自外交路線の継続を再確認したトルクメニスタン(11月
23日、斉藤大使信任状奉呈時の報道)
⑩ アゼルバイジャン、対ロシア石油供給削減を表明(12月3
日)
報告の視点
●中央アジアのエネルギー資源の位置
●原油パイプライン敷設ルートの地政学的影響
●上海協力会議の活動とG8サミット
●「中央アジア+日本」対話行動計画
中央アジア・コーカサスのエネルギー概要
国内エネルギー生産
アルメニア
アゼルバイジャン
グルジア
カザフスタン
キルギスタン
タジキスタン
トルクメニスタン
ウズベキスタン
ロシア
米国
日本
世界計
一次エネルギー供給
純エネルギー輸入
人口(万人) GDP(億ドル) (石油換算百万トン) (石油換算百万トン) (石油換算百万トン)
303
28.8
75
213
138
831
78.5
2,005
1,295
-707
452
39.9
129
283
154
1,499
272.6
11,860
5,482
-6,376
509
16.5
148
278
129
643
14.4
152
333
182
477
49.6
5,815
1,556
-4,259
2,621
167.4
5,687
5,399
-285
14,385
3,288.1
115,846
64,153
-51,101
29,395 107,039.0
164,104
232,589
71,451
12,769
49,325.0
9,676
53,320
44,075
635,200 350,250.0
1,121,300
1,122,300
-
中央アジア・コーカサス諸国のエネルギー事情概観
アルメニア
アゼルバイジャン
人
口
(万
人
)
グルジア
カザフスタン
キルギスタン
ル
)
タジキスタン
DP
(千
万
ド
トルクメニスタン
-6,000
-5,000
-4,000
出所:IEA
-3,000
-2,000
純
エ
-7,000
ネ
ル
ギ
ー
輸
入
一
次
国
エ
内
エ
ネ
ル
ギ
ネ
ル
ギ
ー
供
給
ー
生
産
(石
油
換
算
百
万
トン
)
G
ウズベキスタン
-1,000
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
10,000
11,000
12,000
中央アジアと中央アジア(1)
原油確認埋蔵量
億バレル
アゼルバイジャン
カザフスタン
シェア
R/P(年)
兆m3
シェア
R/P(年)
42.4
1.37
0.8
-
3.3%
79.6
3.00
1.7
-
70 0.6%
396
天然ガス埋蔵量
トルクメニスタン
5
-
7.8
2.90
1.6
49.3
ウズベクスタン
6
-
12.9
1.85
1.0
33.2
744
6.2%
21.4
47.82
26.6
80.0
7,427
61.9
%
81.0
72.13
40.1
100<
12,007 100.0
40.6
179.83
100.0
65.1
ロシア
中東
世界計
出所:BP統計(2006年版)
中央アジアとエネルギー(2)
(エネルギー消費構成、石油換算百万トン)
石油
ガス
石炭
水力
合計
対世界
シェア
アゼルバイジャン
14.2
9.0
2.5
(41.0) (26.0) (7.2%)
9.0
(26.0)
34.6
(100.0)
0.1%
カザフスタン
10.0
16.0
(18.1) (29.0)
27.2
(49.3)
2.0
(3.6)
55.2
(100.0)
0.5%
トルクメニスタン
4.9
14.9
(24.7) (75.3)
‐
‐
19.8
(100.0)
0.2%
ウズベキスタン
7.8
39.6
(15.6) (79.0)
1.1
(2.2)
1.6
(3.2)
50.1
(100.0)
0.5%
出所:BP統計(2006年版)
19
90
19
91
19
92
19
93
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
ロシア・その他CISの原油生産量の推移
万B/ D
1 ,2 0 0
ロシア
その他CIS
1 ,0 0 0
800
600
400
200
0
旧ソ連の原油輸出量(ルート別)の推移
万B/D
700
100%
90%
600
80%
500
70%
その他経由
ドルージバ経由
400
内,BTC経由
60%
50%
北極海・極東
300
バルト海渡し
黒海渡し
200
40%
30%
20%
100
10%
0
年平均
年平均
2004
2005
1Q
2Q
3Q
8月
2006年
9月
10月
0%
年平均
年平均
2004
2005
1Q
2Q
3Q
8月
2006年
9月
10月
カスピ海周辺パイプライン
出所:「石油天然ガスレビュー」(2006年3月号)
最近の原油情勢主要トピックス
(1)BTCパイプランの本格稼働
○アゼリ原油の第一船(60万バレル)は6月4日、BP
のタンカーによりジェイハンターミナルを出港。BP
はBTCパイプラインの権益の30.1%を保有。
○BTCパイプラインの通油量は、年内に30万B/Dに
達する見込み。
○BPは第2船の積取りを6月28日~7月2日に行ったが、
BTCパイプラインが設計能力一杯(100万
B/D)に達すると、BPは5日毎にほぼVLCC一杯分の
積荷を確保できる計算(500万B/Dx5日x30.1%)。
最近の原油情勢主要トピックス
(2)アゼルバイジャン、対ロシア石油供給を削減
○アゼルバイジャン・アリエフ大統領は12月1日、同国のロシア経由の原
油輸出を削減すると発表。同措置の背景には、グルジア問題を契機に、
対ロシア対抗措置をとる必要があったこと、及びグルジアに対し強硬姿
勢をとるロシアと周辺諸国との対立の先鋭化。
○外電によると、アリエフ大統領は現在5万B/Dに達したロシア・ノボロ
シースク経由の原油輸出を完全に止める可能性も示唆。アゼルバイ
ジャンは本年既に欧米企業主導でBTCパイプラインを開通させており、
ロシア経由石油への依存度を低下させている。
○グルジアとロシアの関係の悪化を、国際経済誌はロシアで台頭しつつ
ある国粋主義と関連付けて報道。
最近の原油情勢主要トピックス
(3)カシャガン油田開発の進行
○北カスピ海に位置するカシャガン油田は、過去30年間で世
界最大級の油田と評価。
○FT(2006年11月27日)によれば、最近埋蔵量は10%上方修
正、産油量は25%上方修正され150万B/Dに。
○生産開始は2008年。
○投資額は当初見込み(290億ドル)より、氷海対策、硫化水素
対策のため、300億ドル台半ばに上方修正。
○カシャガン油田開発には、ENI(参加比率16.67%)をオペレー
ターとし、ブリティッシュ・ガス(16.67%)、エクソンモービル
(16.67%)、シェル(16.67%)、トタール(16.67%)、コノコフィリップ
ス(8.33%)とINPEX(8.33%)が参加。
最近の原油情勢主要トピックス
(4)カシャガン原油の販路(パイプラインルートの選定)
①ロシアルート(サマラに通じる北方ルート)
② CPCルート(黒海に抜けるルート)として2001年10 月稼働。
③ イランルート。
④ トルコ・地中海沿岸を経由するトルコルート(BTCパイプライ
ンの利用) :有力視。BTC輸送能力は140万B/Dまで拡充
が期待(現有100万B/D)。
⑤AGUルート:カシャガン原油をアゼルバイジャンまで運び、グ
ルジア経由黒海側からウクライナに輸送。さらにウクライナ
領のオデッサ・ブロディ・パイプラインを利用して、「ドルジバ
パイプライン」に繋ぐという構想。
最近の原油情勢主要トピックス
(5)中国ルート・原油パイプライン建設事業の進捗
○カザフスタン西部と中国西部の新疆ウイグル自治区を結ぶ全長3,000kmのパイプライン
建設のうち、第一段階(ケニキヤク→アティラウ)は2003年稼働開始)。
○第2段階(アタス→アラシャンコウ:阿拉山口)は2004年8月着工、2005年末完工(総延長
1,300km)。
○第3段階(ケニキヤク→クルコル)が完成すればカシャガン原油の中国ルートは完成。カザ
フスタンにとって中国向けパイプラインは、ロシアからの輸入原油に依存する同国東部に
自国産原油の供給が可能となるという利点を確保。中国ルートの整備は一進一退。
○CNPC等のカザフスタンへの接近:
①1996年Aktobemunaigazの株式60%を取得。
②2003年Buzachi North油田権益の50%を取得
③2004年Arysskoye油田権益取得
④2003年カシャガン油田権益の取得の試み(Sinopec、CNOOC)は不調に終
わる。
⑤新疆・独山子石油化工分公司/CNPC:製油所拡張(2005年2月に許可。2008年)
⑥新疆・カラマイ製油所/CNPC(12万B/D→20万B/D。内、6万B/Dはカザフ原油を処理)
上海協力機構と中央アジア
●2001年に創設された上海協力機構(SCO)は、1995年に創設された
上海ファイブ(上海5ヶ国会議)の後継組織。2001年のサミットにお
いて同機構は、加盟国を拡大し、正式な憲章を採択。
●上海ファイブの当初の数年間において、中国は各国間との信頼醸成の
確立に加え、国境問題の解決と三悪(原理主義、テロリズム、分離運
動)への対応に関する合意の実現を模索。その間、ロシアは、政治・
経済システムの崩壊に起因する固有の問題に忙殺され、当該期間にお
いては積極的な役割を果たさなかった。しかしながら、こうしたスタ
ンスは、2001年9月11日同時多発テロの勃発により変更。9・11に対
する米国の対応、域内各国(ウズベキスタン、キルギスタンなど)に
おける米軍事基地の開設、及びプレゼンスの増大は、ロシアのスタン
スを一変させた。
●その一方で、中国は中央アジア諸国との関係を強化。中国はカザフス
タンにおいて広範な経済的影響力を有し、東方向けパイプラインを含
む油田開発への投資を行っている。中国は、中央アジア地域における
エネルギー開発に多額の投資を行っており、域内政府が三悪に対応で
きるように、軍事設備を提供。中国はまた、低金利の借款及び中国で
の奨学金制度と訓練を提供し、上海協力機構に加盟する中央アジア
4ヶ国すべてを結ぶ新たな道路及び鉄道の建設にも多額の投資を実施。
我が国の中央アジアに対する援助方針(1)
●ソ連解体後の新たな国際情勢下での中央アジア地域の重要
性に鑑み、中央アジア諸国の民主化・市場経済化努力を積
極的に支援する方針。
●91年から研修員受入れ、専門家派遣などを実施し、92年10
月の旧ソ連支援東京会議で表明したNIS諸国に対する1億ド
ルの緊急人道支援の一部を中央アジア諸国にも配分。
●04年8月、川口外相が中央アジア4カ国を歴訪し、域内協力
推進のため、「中央アジア+日本」という対話の枠組みを提
唱、民主化・市場経済化・制度改革の必要性を提起。
我が国の中央アジアに対する援助方針(2)
‐「シルクロード地域」外交行動計画‐
1997年7月、橋本首相が提唱した「ユーラシア外交」
政策の中で、「シルクロード地域(中央アジア5カ国及
びコーカサス3カ国)」に対して、以下の方針を確認。
①信頼と相互理解強化のための政治対話促進
②繁栄に協力するための経済協力や資源開発協力
③核不拡散や民主化、安定化による平和のための協力
→②に関して、ODAを実施。
プロジェクト所在図(中央アジア)
日本・中央アジア諸国との連携強化の必要性
(2006年6月1日、麻生外相発言)
●第一点は、世界経済における弱い環の克服。日本は、世界が全体として
安全・平和なことに、自らの繁栄を託している。その点からは世界経済とい
う「鎖」全体の強度を上げていくことが国益につながること。
●第二点は中央アジアがカスピ海沿岸を中心として、地下資源の豊富な場
所だという点に関連する。同地域の原油生産量は、現在世界全体の2%強
を占めるが、今後パイプラインなど輸送設備が整備されれば、生産量は倍
増する。因に、同地域の現在の原油生産量は約160~170万B/D、天然
ガスの生産量は年間約1300億立方メートルに達していること。
●第三点には、中央アジアと日本の間には、引き合うものがあること。戦後
日本の復興モデルは、「経済的繁栄と民主主義を通じて平和と幸福を実現
する」というものであったが、同地域には日本の経験から、何かを吸収した
いと思っている人が少なくないこと。
●第四点としては、日本が中央アジアに積極的な関わりをもとうとしているこ
とは、世界で知られてきており、日本が主要国と何か協議をするとき、中央
アジアのことに触れるのは当たり前になっている。日本は中央アジア諸国
にとって無視できない存在であるという雰囲気を醸成していくことは、我が
国外交に一段の幅や奥行きをもたせる結果につながっていること。
中央アジア外交の基本的指針(6月1日、麻生外相演説要旨)
基 本 方
針
「地域」を「広域」か
ら見ること
第一に、日本の中央アジア外交は、これからより広域的
視点を獲得する。その理由は、中央アジアの安定・発展
は、周辺諸国の安定・発展と一体不可分であるからであ
る。アフガニスタンの安定は、中央アジアの安定があって
はじめて実現される。
「開かれた地域協
力」を後押し
中央アジア諸国は、地理的条件に恵まれないうえ、ソ連
時代には分業経済体制の下、割り振られた分野に特化
せざるを得なかったといったことが依然尾を引いていろ。
各国は独立した経済単位として脆弱、地域協力なしでは
未来を開くことはできない。日本は、各国協力の触媒役
を果たすべく、 ODAでは主要援助国や国際機関と協調。
「普遍的価値」の共
有に基づくパート
ナーシップを実現す
ること
法律分野の専門家が市場経済を成り立たせるのに絶対
必要なインフラを整備すべく、新しい倒産法が法律実務
家に行きわたるよう、解釈に役立つ注釈書を作る手助け
をしている。
日本・中央アジア外相会議
(行動計画の骨子ー地域内協力)
地域内協力
内容
テロ・麻薬対策
各国の国境管理能力向上のための支援(機材供与、人材育成)。
地雷除去
対人地雷除去:地雷対策支援、地雷被害者支援。
貧困削減
フェルガナ盆地やアラル海周辺地域への支援。日本センターによる
小規模起業セミナー。
保健医療
保健医療:HIV/AIDs等感染症対策への支援。
環境保護
国際河川の水質モニタリングに関する技術協力。アラル海旧湖底・周
辺への植林への支援。
防災
タジキスタンでの自然災害予防計画調査、アルマティの地震対策、ウ
ズベキスタンでの地滑り対策等の支援と、その成果の域内での共有。
エネルギー/水
水資源利用節約に関する研修(水利組合育成、上下水道システム改
善等)。電力専門家の研修。電力システムの安定性・信頼性向上支
援。
貿易・投資
「開発イニシアティブ」の下での協力。WTO加盟支援。税関システム
近代化のための支援。ASEANの経験を紹介するセミナー。
小泉首相のカザフスタン、ウズベキスタン訪問
(2006年8月28‐29日)
1. カザフスタン
○小泉首相は28日、首都アスタナの大統領宮殿でナザルバエフ大統領と会談。首相は、今後の両国関係について経
済交流のみならず地域間の政治対話、人的交流の拡大に努めたいと表明、ロシア、中国にはさまれながら欧州、米
国とも良好な関係を築いていることに敬意を表する」と述べた。大統領は「両国の協力関係を継続したい」と応じた。
○両首脳は同国のウラン鉱山開発などエネルギー資源分野を中心に協力強化をうたった共同声明を発表すると共に、
両政府は原子力の平和的利用を目的とした協力協定の交渉開始を盛り込んだ覚書を交わした。
○カザフスタンは世界第2位のウラン埋蔵量を有し、原子力発電用のウラン燃料について将来的な供給不足を懸念す
る日本側が関係強化を働きかけてきた経緯がある。首相は会談において「ウラン鉱山開発など原子力分野の協力は
有望だ」と強調、大統領も「日本の直接投資の誘致に関心を持っており、日本企業に協力する準備がある」と応じ、日
本からの投資に期待する考えを示した。
○首相はまた、中央アジア諸国から今後3年間で合計2,000名の研修生・留学生を受け入れる方針を表明。
2.ウズベキスタン
○小泉首相は、8月29日引き続きウズベキスタンを訪問。今回訪問はウズベキスタン・カリモフ大統領の招待により、
実現したもの。両首脳は29日、タシケントにおいて首脳会談を行い、二国間関係及び国際問題に関し広範な意見交
換を実施。
○共同プレス声明(29日、タシケント)の要旨
・双方は、2002年の首脳会談時に署名された「日本国とウズベキスタン共和国との間における友好、戦略的パート
ナーシップと協力に関する共同声明」に基づき、引き続き二国間関係の発展に努力することを確認。
・双方は、「中央アジア+日本」対話が中央アジア地域の安定及び発展に寄与するとの認識で一致し、6月に東京で
開催された同対話第2回外相会合において採択された行動計画の実施のために協力を活発化させていく意向を表明
した。
・双方は、社会の民主的発展、市場経済、国民の社会保障水準の向上、並びに人権擁護の諸原則に忠実であること
が政治的安定と経済的繁栄のために極めて重要であることを確認。
・本声明には、さらに、国際問題に関する広範な事項が含まれるが、エネルギー・環境関連事項としては、双方は、①
京都議定書に基づくクリーン開発メカニズムを活用した民間企業を含めた協力の発展の可能性を指摘し、②ウズベ
キスタンにおけるウランの開発及び取引が両国間協力の有望な分野となり得ることから、今後ウラン開発で両国官
民の関係者の情報交換を促進する必要があるとの認識で一致。
「日本国とカザフスタン共和国との間の友好、パートナーシップと協力の一層
の発展に関する共同声明」の概要(1)
分野
内容
二国間政治
関係
○双方は、定期的な政治対話を継続、様々なレベルにおける協議を実施すると共に、議員間の交流を強
化する用意があることを確認。
○双方は、両国首脳が定期的に会談することは、日本国とカザフスタン共和国との間の政治、経済及び
投資の分野における協力を長期的に発展させる上で大きな意義を有すると認識。
○カザフ側は、社会の民主化及び市場経済化の推進並びに人権擁護に向けた努力を継続することを確認。
日本側は、カザフスタン共和国における社会・経済改革の成果を評価し、改革促進のため適切な支援
を継続。経済関係○双方は、貿易経済協力の強化は両国の長期的な利益に応えるものと認識し、それ
ぞれの国の国内法令及び両国が締結する国際条約に従って、交流を活発化させるために必要な環境を
整備しつつ、経済分野における肯定的な傾向を強化する。双方は、エネルギー、輸送、科学技術、情
報通信及び金融分野における協力を向上させる用意があることを確認。
ODAによる
協力
○カザフ側は、日本政府が同国の経済・社会の近代化のため、種々の分野で実施してきた政府開発援助
(ODA)に対し謝意を表明。双方は、カザフ側の国家戦略の実現にとって重要な人材育成を中心としたODAに
よる協力継続の重要性を指摘。
○カザフ側は、2005年7月に発効した技術協力協定に基づき、技術協力の更なる円滑な実施のために適切な
措置をとる。また、カザフスタン側は、日本人材開発センターが、カザフスタンの行政官及び企業人の育成に
貢献していると認識。
人的交流の
促進
○双方は、両国間の人的交流の更なる発展が、相互理解の増進、相互信頼及び友好の強化にとって不可
欠であることを確認。
○日本側は、2004年8月に表明した中央アジア地域から3年間で約1000名の研修員を受け入れるとの方
針を2年間で達成したことを踏まえ、中央アジア地域からの研修員及び留学生を今後3年間で2000名
程度受け入れる。
「日本国とカザフスタン共和国との間の友好、パートナーシップ
と協力の一層の発展に関する共同声明」の概要(2)
分野
内容
「中央アジア+日本」対話
○双方は、「中央アジア+日本」対話の枠内における協力を、特にこの地域の国々の経済・技術
指標の平準化並びに地域共通のエネルギー、環境及び社会問題の共同解決に関する具体的な
案件を実現することによって、強化する意向を有する。
○双方は、「中央アジア+日本」対話の枠組みにおける協力は、地域の安定及び持続的な発展
に向けた中央アジア諸国の自主的な努力を促進させるとの認識を共有。
○双方は、2006年6月に東京で開催された「中央アジア+日本」対話第2回外相会合において
「行動計画」が採択されたことを歓迎し、今後「行動計画」に基づく協力を活発化する必要性につ
いて認識を共有。
国際場裡における協力
○双方は、安全保障、持続的な発展及びアジアを中心とする世界の平和と安定に対する新たな
脅威との闘いのため、両国が加盟する国連及びその他の国際機関における協力強化を確認。
○双方は、大量破壊兵器の拡散、国際テロリズム及び麻薬取引等、差し迫った脅威に共同で対
処するため、二国間及び多国間の協力を強化。
○双方は、アジア地域における対話の促進及び紛争予防を目的とし、国際政治における肯定的
な要因たるアジア信頼醸成措置会議(CICA)が重要な役割を果たしていることについて意見を共
有。
○日本は、欧州安全保障協力機構(OSCE)におけるアジアのパートナー国として、2009年に
OSCEの議長国となることについてのカザフスタン共和国の発意を歓迎し、OSCEがその活動を
通じて、OSCE域内全体、就中、中央アジア地域における安全保障及び安定の維持の面におい
て積極的役割を果たすことへの期待を表明。
○カザフスタン側は、ASEAN地域フォーラム(ARF)の正規参加国となることを志向することを確
認。
「日本・カザフスタン共同声明」中、エネルギー関係部分
エネルギー関連規定
石油・ウランの探鉱開発
双方は、カザフスタン共和国の石油、ウラン及びその他の天然資源の探鉱、開発及び加工分野
における日本の民間企業、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、国際協力銀行
(JBIC)及び日本貿易保険(NEXI)の積極的な関与を歓迎し、エネルギー資源分野における日
本国とカザフスタン共和国との協力が戦略的な展望を有するものであることを確認しつつ、これ
を更に発展させる意向を表明
カシャガン油田開発
双方は、カシャガン油田開発プロジェクトの進展を評価し、今後ともカザフスタン共和国における
石油、ウラン及びその他の天然資源の探鉱、開発及び加工の分野における大型案件の成功裏
の実現のため、効果的な措置をとる意向を確認
技術者研修
カザフスタン側は、日本における石油関係技術者の研修の実施等の石油分野における協力に
謝意を表明する。
原子力平和利用に関する
協力の促進
双方は、特にウラン鉱山開発、より高い加工レベルのカザフスタンのウラン製品及び核燃料加工
役務の日本市場への提供を含む原子力分野における協力の戦略的有望性に立脚しつつ、「原
子力の平和的利用の分野における協力の促進に関する日本国政府とカザフスタン共和国政府
との間の覚書」が署名されたことを歓迎するとともに、同覚書に基づき、カザフスタン共和国にお
けるウランの探鉱、開発及び加工における協力を強化する意向を共有
「日・ウズベキスタン共同プレス声明」
(2006年8月29日、タシケント)
1.小泉首相は、8月29日引き続きウズベキスタンを訪問。今回訪問はウズベキスタン・カリモフ大統領の招待
により、実現したもの。両首脳は29日、タシケントにおいて首脳会談を行い、二国間関係及び国際問題に
関し広範な意見交換を実施。
2.共同プレス声明(29日、タシケント)の要旨
○双方は、2002年の首脳会談時に署名された「日本国とウズベキスタン共和国との間における友好、戦略的
パートナーシップと協力に関する共同声明」に基づき、引き続き二国間関係の発展に努力することを確認
した。
○双方は、「中央アジア+日本」対話が中央アジア地域の安定及び発展に寄与するとの認識で一致し、6月
に東京で開催された同対話第2回外相会合において採択された行動計画の実施のために協力を活発化さ
せていく意向を表明した。
○双方は、社会の民主的発展、市場経済、国民の社会保障水準の向上、並びに人権擁護の諸原則に忠実
であることが政治的安定と経済的繁栄のために極めて重要であることを確認した。
○ウズベキスタン側は、日本が種々の分野で実施してきた政府開発援助が同国の経済プロジェクト及び社会
的・人道的プロジェクトの実現に大きく貢献してきたことに謝意を表明した。
3.本声明には、さらに、国際問題に関する広範な事項が含まれるが、エネルギー・環境関連事項としては、双
方は、①京都議定書に基づくクリーン開発メカニズムを活用した民間企業を含めた協力の発展の可能性
を指摘し、②ウズベキスタンにおけるウランの開発及び取引が両国間協力の有望な分野となり得ることか
ら、今後ウラン開発で両国官民の関係者の情報交換を促進する必要があるとの認識で一致した。
4.一連の会談で、首相は世界で有数のウラン資源国であるカザフスタンでは鉱山開発に協力して取り組んで
行くことを確認した他、ウズベキスタンに対しては人権擁護にとり組み欧米諸国との関係改善を促したこと、
及びウラン開発で両国官民の関係者の情報交換を促進する必要があるとの認識で一致したことが注目さ
れた。今回の両国訪問は、将来の総合エネルギー戦略の一環として資源の豊富な中央アジア諸国との関
係強化、及び日本からの投資機会拡大を基本目標とするものであったとされる。その点に関しては、関係
者は基本的な点を両国と確認できたとしている。
ブッシュ大統領、カザフスタン・ナザルバエフ大統領と会談
(2006年9月30日)
•
1.
カザフスタンは、莫大な天然資源を抱え、近年石油開発を背景に堅実な経済成長を続けてきた。また、中国・ロシ
アの間に位置するという地政学的位置のために、近年米国にとってはカザフスタンの持つ意義はますます高まっている。
カザフスタンは今日でも150万B/Dの原油生産を行っている。また、2015年の原油生産量は、250~350万B/Dに増加する
と予想される。
•
2.
関係者はカザフスタンの投資環境や西側企業との間で締結されている生産物分与協定(PS協定)は、ロシアより
も遥かに好条件であるとしている。米国メディアはまたカザフスタンは隣国のウズベキスタンやトルクメニスタンよりも、経
済改革進んでいると論評している。カザフスタンは2000年以来、9%の成長率を保持しており、一人当たりのGDPも3,000
ドルを達成、米国・カザフスタンの貿易量は2004年以来倍増した。カザフスタンは石油産業のみならず、人的資源にも大
きく投資している。同国は積極的な留学制度を持ち、現在3,000人の学生を、欧米や日本に留学させている。留学費用は
全て政府が負担する。
•
3.
ブッシュ大統領は、米国訪問中のカザフスタン・ナザルバエフ大統領と30日ホワイトハウスで会談した。米国紙は、
その際、両首脳は、民主化問題言及しなかったと報じた。ナザルバエフ政権には、その非民主的な独裁体制に対し国際
的批判が上がっているが、ブッシュ大統領は会談後、「ソ連の一部から自由な国家へと変わったこの重要な国の進展を、
注意深く見守っている」と述べるに止めた。同大統領は、カザフスタンが米国の民間活動団体(NGO)を弾圧しているとさ
れる問題に関しても非難を差し控えた。こうした対応に対し、人権団体からは、ブッシュ政権は世界への民主化拡大を掲
げているにも拘わらず、カザフスタンの豊富な天然資源を当てにして圧政を容認したとし、その二重基準に対し批判の声
が上がっている。なお、会談後に公表された共同声明は、両国が「民主的な発展の重要性を再確認」した上で、中立の報
道機関や地方自治、自由・公正な選挙、宗教の自由の実現に向け努力するとした。いずれにせよ、中央アジアに外交上
の布石を打とうとする場合、カザフスタンは米国にとり残された数少ない友好国の一つになった。
独自外交路線の継続を再確認したトルクメニスタン
(2006年11月23日)
1.日本は、中央アジアに対しては地域間協力を打ち出し、本年6月5日には東
京でキルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、及びカザフスタンの参
加により「中央アジア+日本」対話第2回外相会合を開催。同会議は2004年8
月の第1回外相会合で立ち上げられた新たな枠組みの下での協力の進捗を振
り返るとともに、今後の協力、特に地域内協力の推進について検討するもの。
同会議において各国代表は、中央アジア地域の安定及び発展がユーラシア大
陸、及び国際社会全体の平和及び繁栄にとって重要であるとの認識で一致。
2.こうした地域間協力が進行する中で、もう一つの中央アジア諸国形成国で
あるトルクメニスタンは、永世中立路線を掲げ独自の外交路線を推進。11月
23日、ニヤゾフ大統領は、「中央アジア諸国はそれぞれ固有の問題を抱えて
おり、一つの地域として協力することには多くの問題がある」と述べ、日本
との関係強化を重視しつつも、日本が提唱する「中央アジア+日本」という
地域間協力の枠組みに関しては改めて否定的な見解を示した。今回の大統領
の上記発言に関し、関係者は、同国は地域間協力よりも二国間関係を重視す
ることで、永世中立路線を追求する同国の外交政策に改めて自信を示したも
のと評価。
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資料①