重症児のケアについて
枚方療育園
リハビリテーション科
上原 隆浩
1.特徴
1)筋の緊張状態について
筋の緊張が過剰に強い場合:
手足の緊張が高く、関節の動きが少ない
反り返り全身の緊張を高める
筋の緊張が低い場合:
手、足、首、体の緊張が低く弛緩して
いる
2)運動について
運動が見られない、または動かせても
過剰な努力を必要とし狭い範囲のみの運動
なぜ?
動けない。
どう動かしていいかわからない。
動こうとしない。
常に仰向けでいることによって起こる障害
拘縮
便秘
変形 床ずれ
呼吸障害
3)二次的障害
呼吸障害:気道の閉塞障害
呼吸運動障害
摂食障害:筋緊張異常による咀嚼・嚥下
障害胃食道逆流症
変形・拘縮:脊柱変形
上下肢拘縮
排泄障害:便秘症、イレウス(腸閉塞)
循環障害:起立性低血圧、褥そう
4)骨折について
健常人の場合:
運動による筋肉の活動や立ったり、
座ったりすることによる重力の働き
により強い骨が作られる。
重症児の場合:
運動や座る・立つことが少なく、栄養
障害、抗痙攣剤の服用、日にあたる時
間が少ない等により骨の形成が不十分
で骨の強度が弱くなる。
重症児の場合、骨の強度が低い為
小さな力で骨折する。
骨折の起こりやすい部位
・大腿骨、上腕骨、脛骨、指
関わる際の注意
・抱く、座る、着替え等の際、手足を強く
曲げたり、伸ばしたりしない。
・腕、足の下に突起物があると、テコの原
理で骨折することがある。
・移動の際、物などに手足を当てたり
引っ掛からないように注意する。
5)発作について
全身を固くこわばらせる。手足をピク
ピクさせる。同じ動作をくり返す等、
様々なパターンがある。
家族にどのような発作で、時間がどの
くらい続くかなど、特徴を聞いておく。
発作が起こった時の対応
・慌てずに衣服を緩めた状態で見守りのみ
で対応する。
・唾液、吐物の誤飲の可能性がある場合は
顏、体を横に向ける。
医療的な処置が必要な場合
・いつもより長時間続く場合。
・呼吸状態が急激に悪くなる場合。
・短時間の間に頻回に起こる場合。
2.重症児との接し方
日常的に仰向けで寝ている場合が多い。
・急な環境の変化に対応できない
・動かされたり、触られたりすることに
対し過剰に緊張を高めてしまう
・動かない生活が多いので受け身になり
がち
・声かけをしながら優しく大きな面で触る
・強引な姿勢変換や移動をしない
・いろんな姿勢を取るようにし、また自発的な
運動を促す
3.ポジショニングについて
自分で姿勢を変えることや保つことが
出来ない
・活動が制限される
・二次的な障害が起こりやすくなる
クッション等を用いポジショニングを行う
ポジショニングのポイント
・基本的には左右対称的な姿勢が望ましい
が、変形が強いお子さんに対しては無理
に関節を伸ばし、真直ぐにしない。
・全身的に少し丸い姿勢を作るとリラックスしやす
い。
・短時間で姿勢を変えることが望ましい。
・ポジショニング後、呼吸状態、誤嚥、
一部の関節に負担がかかり過ぎていない
か確認する。
各姿勢の特徴
仰向け(背臥位):
・一番やりやすく、取ることが多い姿勢
であるが、重力の影響で動きにくい
・舌が喉に落ち込みやすく呼吸しにくい
・全身性の緊張性反射を誘発しやすい
・視界が天井のみになる
横向き(側臥位):
・上側の手を動かしやすい
・舌根沈下が軽減できる
・右向きでは胃からの食べ物の逆流が
起こりにくい(胃排出促通)
※注意
下側になる腕が圧迫され循環障害になら
ないようにする。
うつ伏せ(腹臥位):
・頭を上げたり、両手を動かしやすい
・緊張が強い子でもリラックスしやすい
・痰が出しやすい
・肺後面の機能改善
※注意
うつ伏せにする際、特に頭、肩、股関節に
負担がかかっていないか、ねじれたりして
いないか注意。
呼吸が浅い子供では、胸やお腹が圧迫され
呼吸しにくくなることもある。
座位:
・最も重力に抗した活動ができる
・視界が広くなる
・循環器や内臓の働きをよくする
・呼吸機能改善
・骨成長促通
4.重症児の抱き方・移動介助に
ついて
介助者の位置
・出来るだけ子供に近づく。
・低い所に子供がいる場合は腰を曲げる
のではなく、足をしっかり曲げる。
抱き方(一人介助)
・関節に無理な負担がかからない程度で
出来るだけ丸くなる姿勢を取る。
・頭をしっかりと支え、手足が伸びてい
ないか注意する。
・自分の体に子供を引き寄せる感じで抱
え込む。(前かがみになり過ぎない)
・足を伸ばし立ち上がる。
車椅子座位の調整
簡易的な調整の仕方
クッション・バスタオルなどを
使用する
5.まとめ
重症児とは重度な身体的な障害と精神的障害を合
わせ持った子供のことをいう
・運動や意思表示をうまく出来ない
・呼吸や内臓の障害を持っていることが多く、
また骨折、脱臼などの危険性もある
周りの人による関わり方がその子供の生活、
人生、生命の質を大きく変える。
子供の身体的な特徴や注意する点を踏まえ
よい環境を作ったり、よい刺激をあたえ、
よい反応を引き出してあげることが重要。
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