次期宇宙X線衛星ASTRO-Hの概要
JAXA宇宙科学研究所(ISAS)
高橋忠幸
ASTRO-H チーム
宇宙航空研究開発機構(JAXA)/NASA/青山学院大学/ESA/Yale U./Wisconsin U./STScI/SRON/愛媛大学/MIT/MPI-K/大阪市立大学/大
阪大学/金沢大学/京都大学/Cambridge U./県立ぐんま天文台/工学院大学/神戸大学/Columbia U./埼玉大学/CEA-DSM-IRFU/CfA/
Harvard/芝浦工業大学/首都大学東京/KIPAC-Stanford U./Saint Mary s U./Durham U./Dublin Institute for Advanced Studies/中央大学/
中部大学/筑波大学/東京工業大学/東京大学/東京理科大学/東邦大学/名古屋大学/奈良女子大学/日本大学/日本福祉大学/広島大学/物
質材料機構/Michigan U./宮崎大学/U. Geneva/U. Maryland
1. X線で探る宇宙
2. 次期X線衛星ASTRO-H
3. ASTRO-H搭載観測装置
4. ASTRO-H衛星のアーキテクチャ
5. 期待される性能
6. 開発体制
7. 協調
8. まとめ
1. X線で探る宇宙
宇宙望遠鏡を用いたX線観測は、人類が予想もしていなかった、宇宙が数千万度、数億度とい
う超高温の現象の宝庫であることをあきらかにした。そして、 宇宙が静的なものではなく、
動的な、ダイナミックなものであることを明らかにして、人類の宇宙観を変えたといえる。
✦Gas at temperatures of 1 - 100 million degrees.
✦Remnants of exploded stars
✦Matter falling into black holes and neutron stars
✦Stellar coronae
✦Winds from star-forming galaxies
✦Electrons accelerated in strong magnetic fields
(~1012 - 1014 Gauss).
✦Electronic transitions in partially ionized atoms of
atomic number greater than or equal to 4 (Be).
宇宙で我々が観測できる物質の80パーセントはX線で
しか観測できない高温状態にあるとされている
(Fukugita & Peebles 2004, Read & Trentham 2005)。
宇宙の全貌を知る上で、X線観測は地上からの光学・
電波観測などと並び不可欠の手段である。
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
3
1. X線で探る宇宙
銀河団
数百万光年の広がりを持つ、ダークマターの塊であり、その重力により、銀河の数
倍もの「X線でしかみえない」高温ガスをたたえる。
ハッブル望遠鏡による可視光画像
チャンドラ衛星によるX線画像
銀河団RXJ1347
3億度という最も高温の銀河団
図の一辺は110秒角で、約200万光年
N. Ota et al. (2009)
銀河団中の高温ガスが数100km/sもの
速度で激しく運動していると言われ
ているが過去に直接測定を行なった
例はない。
銀河団は宇宙最大の天体であり、それを研究し、その進化を探ることが宇宙の構造がどのよ
うにでき、進化してきたかを知ることにつながる。その際、銀河団の構成要素である銀河、
あるいはその中のブラックホールが、どのように共に進化し、銀河団形成にどのような役割
を果たすかを知る事が重要である。
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
4
1. X線で見る宇宙
宇宙の加速器
Emax = 460
�
V
104 km/s
��
B
10µG
��
R
10pc
�
η−1 TeV
TeV電子は、磁場中でX線シンクロトロン放射
X線
Suzaku XIS
H.E.S.S.
-39d30m
-39d30m
-40d00m
-40d00m
17h16m
17h14m
17h12m
Tanaka+ 2008
17h16m
TeVガンマ線
17h14m
17h12m
Aharonian+ 200
シンクロトロンX線は高エネルギー電子の加速の現場を描き出す。
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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2. 次期X線衛星ASTRO-H (第26号科学衛星)
2002年 ワーキンググループ発足(NeXT衛星)
2005年 NeXT計画提案
2006年 宇宙研 理学委員会審査
2008年 宇宙開発委員会にて第26号科学衛星ASTRO-Hとして
開発研究移行に妥当の評価
2010年1月 宇宙開発委員会にて開発移行に妥当の評価
現在基本設計進行中
本格的な「建設フェーズ」までにあと一歩
• 打ち上げ予定 2013年度(2014)
• 打ち上げ場 種子島宇宙センター
• 全長: 14 メートル
• 打ち上げロケット: JAXA H-IIA ロケット
• 重量: <2.6 トン
• 軌道高度: 550km
• 電力: <3500 W
• 軌道 略円軌道
• テレメトリ: > 8 Mbps (X-band)
• 軌道 傾斜角: 約31 度
• 記録容量: > 12 Gbits
• 軌道 周期 96 minutes
Suzaku (6m, 1.7t)
• 寿命 : > 3 年 (目標 5年)
ASTRO-Hは、合計25校に達する日本の国公私立大学の研究グループの支持と協力で検討、開発が進められている。
「すざく」で果たせなかったマイクロカロリメータによるサイエンスを復活
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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2. 次期X線衛星ASTRO-H - 目的 ○ 「宇宙の大規模構造と、その進化の解明」のため
1. 銀河団という宇宙最大の天体における熱、銀河団物質の運動エネルギー、非熱 的
エネルギーの全体像を明らかにし、ダイナミックな銀河団の成長を直接観測 する。
○ 「宇宙の極限状態の理解」のため
2. 厚い周辺物質に隠された遠方(過去)の巨大ブラックホールを「すざく」の 約100倍
の感度で観測し、その進化と銀河形成に果たす役割を解明する。
○ 「多様性にとんだ非熱的エネルギー宇宙の探求」のため
3. ブラックホールの極近傍の物質の運動を測定することで重力のゆがみを把握し、
相対論的時空の構造を明らかにする。
4. 宇宙に存在する高エネルギー粒子(宇宙線)がエネルギーを獲得する現場の物理 状
態を測定し、重力や衝突・爆発のエネルギーが宇宙線を生み出す過程を解明 する。
○ 「ダークマター・暗黒エネルギーの探求」のため
5. 距離(年齢)の異なる銀河団内のダークマターの分布と総質量を測定し、銀河団 の
進化に果たすダークマターと暗黒エネルギーの役割を探求する。
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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2. 次期X線衛星ASTRO-H - サクセスクライテリア ASTRO-Hは国のプロジェクトであり、サクセスクライテリアがきちんと定義されている
目的
ミニマムサクセス
フルサクセス
エクストラサクセス
1) 10個程度の代表的な銀河団において、熱エネルギーを測定
銀河団の成長の直
銀河団からの鉄輝線の観測を、軟
接観測
X線分光システムで行う。
し、鉄輝線のエネルギー領域(6キロ電子ボルト)で300km/sの
速度分解能の分光性能を実現し、銀河団物質の運動エネルギー
を測定する。
―
硬X線帯域で「すざく」の約100倍の感度(*)で
分光観測することで非熱的エネルギーを測定する。
巨大ブラックホー
ルの進化とその銀
河形成に果たす役
割
100キロ秒の観測で2から10キロ
電子ボルトでのX線強度(**)がかに 2) 遠方にある10個程度の隠された巨大ブラックホールの候補
星雲の10万分の1程度の、隠され 天体を、硬X線帯域で「すざく」の約100倍の感度(*)で分光観
たブラックホールを硬X線撮像シ
測し、母銀河との関係を明らかにする。
ステムで観測する。
たブラックホールの寄与を全体の
40-50% まで解明し、銀河進化との関係
を明らかにする。
3) 代表的な数個の活動銀河中心の巨大ブラックホールを、数
ブラックホール極
近傍での相対論的
宇宙硬X線背景放射の正体とされる隠され
―
時空の構造の理解
10キロ電子ボルト程度までの範囲で連続スペクトルを取得
―
し、同時に輝線や吸収線を7電子ボルト程度の分解能で分光
測定する。
4) 数個の若い超新星残骸を、硬X線帯域で「すざく」の約
100倍の感度(*)で分光観測して硬X線放射を測定し、電子の
重力や衝突・爆発
のエネルギーが宇
宙線を生み出す過
エネルギー分布を決定する。巨大ブラックホールにおいては、
―
2から10キロ電子ボルトでのX線強度がかに星雲の1000分の
1程度で、べき1.7を持つ巨大ブラックホールのスペクトル
程を解明
はじめてガンマ線で天体の偏光を観測し、
ガンマ線の放射環境に制限を加える。
を、600 キロ電子ボルトまでの帯域で観測可能な感度で、10
個以上取得する。
5) 目標1)を達成した後、さらに10倍程度
ダークマターと暗
黒エネルギーが宇
宙の構造形成に果
の天体の観測を行って約80億光年までの宇
―
たした役割の探求
(*) 点源と見なせる天体を観測した場合に達成される検出感度を表す
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
―
宙(赤方偏移<1)で銀河団内のダークマター
の総質量を測定し、総質量と銀河団数の関
係を年代ごとに決定する。
(**) 厚い周辺物質による吸収を補正した強度
宇宙開発委員会開発移行評価資料(平成21年10月) 8
2. 次期X線衛星ASTRO-H - 特徴 ASTRO-Hは、高い分光能力を持つマイクロカロリメータと広帯域に感度を持つX線・ガンマ
線検出器を備え、高温ガスの運動を初めて捉え、超広帯域の観測とも合わせることで、ダイ
ナミックな宇宙の進化の真の姿を得ることをめざす。
分光性能という観点で、分解能、感度、ダイナミックレンジの全てに圧倒的な特徴を持つ。
ASTRO-H
XMM-Newton
世界に公開される観測装置と
して、機能面で諸外国が計画
する小規模衛星計画(NuSTAR,
eROSITA, GEMSなど)を大きく
上回り、2020年以降の国際大
Suzaku
Chandra
型計画に向けた重要なプリ
カーサーミッションとして世
界をリードする内容をもつ。
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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2. 次期X線衛星ASTRO-H - 特徴 -
ASTRO-Hの戦略
www.scitech.ac.ukより
高分解能イメージング
<チャンドラ>
ASTRO-H
大面積イメージング
<ニュートン>
ASTRO-H
超高分解能スペクトル
硬X線イメージング
超広帯域スペクトル (電子陽電子消滅線のエネルギーまで)
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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2. 次期X線衛星ASTRO-H - 観測搭載装置の構成 観測範囲 0.3 keV - 600 keV
観測エネルギー
(eV: 電子ボルト)
硬X線撮像システム
HXT
(望遠鏡)
軟X線分光システム
SXT-S
(望遠鏡)
軟X線撮像システム
SXT-I
(望遠鏡)
HXI
SXS
国産ナノ技術を駆使し、世界に先駆けて開発した硬X線望遠鏡と、
ASTRO-Hをめざして開発した新しい高効率CdTe半導体素子に基づ
く硬X線撮像検出器を組み合わせて、硬X線帯で初めての集光撮像を
実現し、飛躍的な高感度を実現。
大面積かつ軽量な軟X線望遠鏡と、50ミリ度という極低温技術によっ
て超高分解能分光を実現する軟X線分光検出器を組み合わせて、超精密
X線分光を実現(高信頼性冷却系で、復活の責務を果たす)
軟X線望遠鏡と、大面積低雑音X線CCD素子を用いた軟X線撮像検出
SXI
器を組み合わせ、広い視野を持ち観測の基本となるX線撮像を実現。
独自のアイディアである狭視野半導体コンプトンカメラに基づいた超
軟ガンマ線検出器
SGD
低雑音軟ガンマ線検出器により、一桁以上の感度の向上と、
ガンマ線偏光観測能力を実現。
これら4種類の観測システムが同時に機能することで、3桁にもおよぶ広帯域において、「すざく」
より10倍から100倍高感度の観測を実現して、最大限の科学的成果を引き出すことが可能となる。
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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3. ASTRO-H 搭載観測装置
Sunshades
X-rays Fixed
Optical
Bench
Hard X-ray Telescopes
(HXT)
Soft X-ray Telescopes
(SXT-S, SXT-I)
Focal Length = 12m
Focal Length = 5.6 m
SXT-I
HXT1
HXT2
Solar power
Microcalorimater
(SXS)
Radiator
X-ray CCD
(SXI)
SXT-S
Hard X-ray Imagers
(HXI)
Deployable
Optical Bench
Soft γ-ray detectors
(SGD)
Radiator
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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3. ASTRO-H 搭載観測装置 - Core Technology X. 硬X線望遠鏡(HXT):硬X線集光撮像のための多層膜技術
Pt/C多層膜スーパーミラーの技術を用いて開発する。必要
な有効面積を確保するために多重薄板積層光学系を採用。
ブラッグ反射を用い、焦点距離12mによって約80キロ電
子ボルトまで集光。
Bragg Reflection
Incident X-ray (λ)
nλ= 2d sinθ
θ
Heavy Material (Pt)
Light Material (C)
gap (d)
300 cm2 (@30 keV)
HXT
SXT
名古屋/愛媛/ISAS/神戸/中央大 他
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
名古屋大学にて
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3. ASTRO-H 搭載観測装置 - Core Technology X. 硬X線撮像検出器
高エネルギーのX線やガンマ線の撮像を可能にす
る も の と して 開 発 し た 、 テルル 化 カ ド ミ ウム
100
Absorption Efficiency (%)
Absorption Efficiency (%)
(CdTe)半導体素子を用いた日本独自の新型検出
器。
40 keV
CdTe
80
60
Ge
40
20
0
0.1
Si
0.2
0.5
1.0
2.0
5.0 10.0
Thickness (mm)
100 keV
100
80
高効率
CdTe
60
Ge
40
20
Si
0
0.1
0.2
0.5
1.0
2.0
5.0 10.0
高エネルギー分解能
Thickness (mm)
34 mm x 34 mm
0.75 mm thick
250 μm strip pitch
高位置分解能(ピクセル/ストリップ化)
新開発のストリップ検出器
CdTe
260 eV @ 6 keV
underfill
ISAS/東大/
早稲田/埼玉/
Stanford/
広島/CEA他
ASIC
50 micron
Takahashi et al. 2005
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3. ASTRO-H 搭載観測装置 - Core Technology X. 軟X線分光検出器(SXS/XCS):X線マイクロカロリメター
Requirements (/Goal)
X線観測が従来いわば「64色カラー画像」
だったのに対し、ASTRO-Hは日米協力に
よるマイクロカロリメータという極低温技
術を用い「2048色総天然色画像」を実現す
るもので、これにより高温ガスの運動が初
めて測定可能となる。 ISAS/金沢/首都大/理研/
GSFC/SRON/Geneva U 他
AS T R O -H/SXS
マイクロカロリメータは、エネルギーを熱に変えて温度上
Preliminary Design Review, March 10-12, 2010
昇を精密に測定する(下図)。そのために、センサー部を
50ミリ度に冷却することが必要である。
X線エネルギー
温度計
55Fe
Energy
resolution
7 eV (FWHM)
(4 eV(FWHM) Goal)
Energy range
0.3 - 12 keV
Field of view
2.9 x 2.9 arcmin
Detector
array
6x6
Absorber size
800 µm
Effective area
160 / 210 cm2
(at 1 / 6 keV)
NASA Goddard Space Flight Center
放射線源に対するエネルギースペクトル
6
エネルギー分解能
3.8電子ボルト
赤: 実測データ
青: フィットモデル
緑: 55Feから放出される
特性X線のプロファイル
(理論値)
熱容量
熱伝導度
低温熱浴
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エネルギー (電子ボルト)
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3. ASTRO-H 搭載観測装置 - Core Technology X. 軟X線分光検出器(SXS/XCS):極低温デュワー
•
打ち上げの機械環境に耐えつつ、30
リットルの液体ヘリウムを3年以上
持たせる(=ヘリウムタンクへの侵
入熱を 数10マイクロW 以下に抑え
る)ということが要求される
X-rays
液体He+2段ST Cooler+JT Cooler+ADR
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3. ASTRO-H 搭載観測装置 - Core Technology X. SXS システム
(軟X線望遠鏡+マイクロカロリメータアレイ)
• 外側の反射鏡の基板の厚さを150μmから、230μmもし
くは300μmに厚くすることで、高精度の形状を実現。
• 反射鏡基板の成形に用いる金型の形状誤差を「すざく」の
5μmから2μmに高精度化。
• 用いる金型の数を、反射鏡の半径に合わせて「すざく」の
40セットから150セットに増加。
GSFC/MSFC/名古屋/愛媛/ISAS他
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3. ASTRO-H 搭載観測装置 - Core Technology X. 軟X線撮像検出器
これまでのX線衛星の中で最大の視野を誇
る。日本で開発したX線画像取得専用CCD。
宇宙での長期間動作に対応。
アナログ回路のLSI化による読み出しシステ
ムにより小型化、低消費電力化
阪大/京大/ISAS/宮崎/
工学院/立教 他
Energy resolution : 150 eV
Field of view : 38 arcmin @6 keV
4CCD chips/62x62mm2
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3. ASTRO-H 搭載観測装置 - Core Technology X. 軟ガンマ線検出器
入射ガンマ線
ASTRO-Hの為に発明された「狭視野
Si/CdTe半導体コンプトンカメラ」を
用いて軟ガンマ線領域での世界最高感
度観測を実現するとともに、コンプト
ン散乱を用いた偏光観測を行う。
コンプトン
散乱の運動学
から、開口角
アクティブ
Stanford/ISAS/広島/
方向から入射
シールドで除
東大/早稲田/埼玉/青山/金沢 他
したガンマ線
去されない
を選択
放射化ガンマ
5 cm
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
線などを区別
できる。
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4. ASTRO-H衛星のアーキテクチャ
X.全体アーキテクチャ
衛星の中央部にトラス構造のX線望遠鏡を搭載するた
め、中央に一次構造部材のないパネル構造様式。
側面パネル3
側面パネル2
回路等の機器を8 枚の側面パネルの内側に配置。パネ
ルを相互に結合一体化し、側面パネルの荷重をベースパ
ネル、アウトリガー、ロケット結合リングへ流す。
側面パネル1
上部連結金具
側面パネル4
衛星バスシステム
•構造
•衛星構体
•光学ベンチ
•電源
•熱制御
•通信
•データ処理
•姿勢制御
•推進
•アライメント計測
•展開モニタ
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
側面パネル8
側面パネル5
側面パネル6
Y
側面パネル7
側面パネル格子部
ベースパネル
Z
X
ASTRO-H座標系
アウトリガー
ロケット結合リング
HXIプレート
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4. ASTRO-H衛星とアーキテクチャ
X.光学ベンチ
固定式と伸展式の併用により、X線望遠
鏡に対して約6mと12 mの焦点距離を実
現する。長い焦点距離に対応して必要と
なる高い指向精度を、炭素繊維強化プラ
スチックと従来の科学衛星の技術継承に
よって実現。
• アルミフィッティングの熱膨張を計算に入れたチューブ内炭素繊維の配向の工夫により、トラス全体の線
膨張係数を2 10-7程度以下に抑制、アルミの約1/100を実現。
• 軌道上での温度変化(約20℃)に対してわずか数10μmの伸縮。
• CFRP製の衛星ベースプレート上の機器の熱ひずみがトラスを伝わってトッププレートの変位につながる
事のないように、キネマティックマウントの採用等、各機器の対衛星インターフェースを設計。
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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4. ASTRO-H衛星とアーキテクチャ
X.新しい衛星の作り方をめざして
1. 自らが開発したアナログVLSIを用いたセンサー小型化
32ch
概念図
Space Wire
SpW
(SpW)
I/F
センサー
+ASIC
5 mm
X線CCD
硬X線イメージャー
(阪大/ISAS)
(ISAS/Stanford)
7.8 mm
2.次世代型の宇宙用ネットワーク標準(SpaceWire)を基本としたアーキテク
チャの開発と標準化への展開
・モジュール化の徹底追及 ・宇宙用コンピュータSpace Cubeの開発 ・Space Wireと呼ばれる次世代衛星内ネットワークを用い、各機器をネットワーク機器
として定義、レジスタレベルのハードウェアまでネットワークでアクセス可能に(RMAP)。
・アクセス経路の冗長化など、柔軟なシステム設計を可能に。
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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4. ASTRO-H衛星とアーキテクチャ
X. ASTRO-Hで開発するネットワーク型衛星アーキテクチャ
バス/データ収集系ネットワーク
Space Wireネットワーク
を経由した検出器メモリ
へのダイレクトアクセス
(マルチホップ可)
科学観測器系ネットワーク
姿勢制御系ネットワーク
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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5. ASTRO-H衛星ー期待される性能ー
銀河団を例にして
低バックグランド広視野
銀河団ダイナミクス
X線CCD観測
(乱流、衝突)
非熱的放射
外縁部の放射(構造形成の現場)
重元素分布/温度分布
SXI FOV
To the virial radius, and beyond
M.R. George et al. 2009
引き起こされた乱流による線幅の広がり
「すざく」など従来衛
星のCCD。乱流速度が
「すざく」
区別できない
の乱流によるせん
の乱流による線幅
幅(モデル)と
(モデル 400 km/s) と
ASTRO-Hの観測予
ASTRO-H の観測予測
「Chandra」
など従来衛星の
CCD
測
エネルギー(キロ電子ボルト)
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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5. ASTRO-H衛星ー期待される性能ー
超新星残骸を例にして
ASTRO-H 10-40 keV (100ks)
SN1006 2-10 keV (Suzaku)
最大エネルギー宇宙線の加速現場
Emaxにいたるまでのスペクトル
RXJ1713
SN1006
by ASTRO-H
Suzaku at 40 keV
ASTRO-H at 40 keV
-39d30m
-40d00m
17h16m
17h14m
17h12m
by A.Bamba
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5. ASTRO-H衛星ー期待される性能ー
X. 感度
• 透過力の高い硬X線放射 (10 キロ電子ボルト以上) の集光、撮像により、 個々の天
体の微弱な放射を切り出すことが可能となる。
• 「すざく」の硬X線検出器(HXD)の100倍もの感度向上
• 厚い周辺物質によって隠された巨大ブラックホールからの放射を検出
隠された
超巨大ブラックホール
硬X線撮像システム
で発見、撮像
• 明るい活動銀河核については、数100
明るい
暗い
keVまでの正確なスペクトルを取得
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6. ASTRO-H衛星の開発体制ー国際協力ー
ミッション機器開発においては、これまでに築き上
NASA/ESA/JAXAのそれぞれで公募され、競争的に選出された
げた国際的なネットワークを通じ、我が国がリード
科学レビュー委員会メンバー
する強力な国際チームによって行われる。設計協力
ばかりではなく、製造やソフトウェア/較正実験を
分担する場合には責任範囲を明確にし、インター
ASTRO-H
衛星
フェースを定義する。
特にNASA/GSFCを中心としたグループはマイクロカ
ロリメータ素子、ADRなどを中心に大型の参加
観測機器
(NASA SMEX/MOO (Small Mission EXplore Program/
Felix Aharonian [ESA]
Dublin Advanced Institute/MPI
Mark Bautz [NASA]
MIT
Paolo Coppi [NASA]
Yale U.
Andy Fabian (Chair) [ESA]
Cambridge U.
Jack Hughes [NASA]
Rutgers U.
Jelle Kaastra [ESA]
SRON
Tetsu Kitayama [JAXA]
Toho U.
Knox Long [NASA]
STScI
Maxim Markevitch [NASA]
CfA
Jon Miller [NASA]
Michigan U.
Shin Mineshige [JAXA]
Kyoto U.
Frits Paerels [NASA]
Columbia U.
Christopher Reynold [NASA]
U. Maryland
Mission Of Opportunity))
軟X線分光検出器
硬X線撮像検出器
(SXS_XCS)
全体くみ上げ
マイクロカロリメータ素子
デュワー/冷凍機
ADR
デジタル信号処理回路
日本側担当
超低雑音アナログ回路
NASA/
GSFC他
(USA)
軟X線撮像検出器
(HXI)
フィルターホイール
X線較正装置
SRON
(オランダ)
全体くみ上げ
Si/CdTe素子
BGOシールド
電子回路
日本側担当
軟ガンマ線検出器
(SXI)
CdTe 較正実験
軌道上
バックグランド
シミュレーション
CEA/DSM/
IRFU
(フランス)
全体くみ上げ
CCDセンサー
電子回路
日本側担当
(SGD)
全体くみ上げ
CdTe素子
BGOシールド
電子回路
日本側担当
(スイス)
海外研究者、NASAエンジニアを含め
チーム合計で約150-180人、
大学院生総数 約150人)
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Si素子
ASIC &
FEC
Stanford
大学
(USA)
(XRT)
硬X線望遠鏡
(HXT)
日本側担当
軟X線望遠鏡
(SXT_SXI
SXT_SXS)
NASA/
GSFC
(USA)
望遠鏡アセンブリ
日本側担当
NASA/
ジュネーブ
大学
X線望遠鏡
ASTRO-H参加機関
MSFC
(USA)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)/NASA/青山学院大学/ESA/Yale U./Wisconsin U./STScI/SRON/愛媛大学/MIT/MPI-K/大阪市立大学/
大阪大学/金沢大学/京都大学/Cambridge U./県立ぐんま天文台/工学院大学/神戸大学/Columbia U./埼玉大学/CEA-DSM-IRFU/CfA/
Harvard/芝浦工業大学/首都大学東京/KIPAC-Stanford U./Saint Mary s U./Durham U./Dublin Institute for Advanced Studies/中央大学/
中部大学/筑波大学/東京工業大学/東京大学/東京理科大学/東邦大学/名古屋大学/奈良女子大学/日本大学/日本福祉大学/広島大学/物
質材料機構/Michigan U./宮崎大学/U. Geneva/U. Maryland
27
7. ASTRO-H衛星の協調
- 電波からGeV/TeVガンマ線まで -
ASTRO-Hは、2010年代半ばに「General Observatory」として機能する、唯一の衛星である。ASTRO-Hが世
界の基幹X線天文衛星として、ALMA(サブミリ波)、ハッブル宇宙望遠鏡の後継のJWST、GeVガンマ線衛星
Fermiなどと共に、観測を行うことで得られる科学的成果は極めて大きい。
(Energy)
テラ電子ボルト
(TeV:
1012
CTA/AGIS
HESS/MAGIC/VERITAS/Cangaroo3
eV)
Gamma-ray
Fermi
AGILE
ギガ電子ボルト
(GeV: 109 eV)
INTEGRAL
X-ray
キロ電子ボルト
(keV: 103 eV)
All-sky survey Gamma-ray satellite
Chandra, XMM-Newton
Suzaku
ASTRO-H
NuSTAR/eROSITA/GEMS
MAXI
Optical &
infrared
JWST
Herschel
ALMA
Radio
High-resolution interferometer
in the millimeter band.
2008
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
2010
2012
21
2014
(Year)
28
7. ASTRO-H衛星ー現状とまとめー
1. 日本のX線コミュニティの総力を結集し、 ASTRO-H実現に向けて
邁進している。
Science Task Force
2. 密接な国際協力を立ち上げ、世界の
期待を担って一刻も早い完成
をはかっている。
‒ Stars and WDs
‒ Compact objects
3. ASTRO-Hは、その優れた
‒ Particle acceleration
観測能力により、X線による
宇宙観測に新たな地平を拓く事 ‒ Supermassive black holes
が予想される。打ち上げ前に、 ‒ Cluster dynamics and evolution
広い範囲で科学的検討を行い、 ‒ Chemical evolution
打ち上げ後、ただちにその能力 ‒ Feedback phenomena
を最大限に発揮することが
‒ Cosmology and GRBs
求められている。
‒ Radiation processes
‒ Multi-wavelength follow‐up and transients
日本物理学会シンポジウム 2010年3月23日
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高橋忠幸 - ASTRO-H 次期X線国際天文衛星