安全で有効な血糖管理
スライディングスケールをやめよう!
-院内糖尿病患者の血糖管理方法-
2008年5月19日 18:00教育棟3階 研修室
亀田メディカルセンター
院内レクチャー
糖尿病内分泌内科
http://www.kameda-diabetes.com
松田 昌文
血糖値の調節
膵臓
脂肪組織
インスリン
↑
200 g/日
血糖
Plasma Glucose
Blood Glucose
グリコーゲン
肝臓
尿糖
120g/日
脳
(食事)
乳
酸
グリコーゲン
筋肉
日本における糖尿病患者数の増加
(万人)
1,200
1,080万人
1,000
*
糖
尿
病
患
者
数
800
690万人
740万人
600
400
200
0
1997年1)
2002年2)
* 糖尿病が強く疑われる人(1997年,2002年)
糖尿病有病者(2010年)
2010年3)
1)平成9年度糖尿病実態調査
2)平成14年度糖尿病実態調査
3)岡山明.健康日本21糖尿病分科会; 1999
糖尿病とはどんな病気か?
診断的には
血糖が慢性的に上昇する病気です
放置すると合併症が進行します
(糖尿病の診断基準の血糖値は合併症発症で決めている!)
治療する立場からは
インスリンさえ充分分泌できれば血糖は上昇しないのに
病棟血糖管理マニュアル
理論編
1.糖尿病とは
2.血糖管理の目標
3.病状に応じた血糖管理
4.インスリン分泌能とインスリン抵抗性
5.治療時インスリン投与抵抗性(IRI-abs)と治療時インスリン投与
感受性(ISI-delta)
6.インスリン投与(作用)と血糖降下(結果)の関係
7.輸液に変化のある場合の考え方
8.ブドウ糖の注入率を変化させる方法
9.緊急の場合/シリンジポンプからのインスリン注入が難しい場合
10.Kの補充
11.スライディングスケールは止めよう(で,どうしますか?)
12.人工膵臓,CGMとCSII
練習問題
病棟血糖管理マニュアル
実践編
医師指示
術前,術中,術後
食事の開始,絶食状態が続く場合
低血糖を避けるために
急性期血糖管理インスリン注入アルゴリズム(Graphic Protocolを使
う)
糖尿病性ケトアシドーシス(これが治療できねばプロでない)
急性膵炎(多量のインスリン注入が一時的に必要)
消化器外科手術(術後絶食が続く)
心血管外科手術(術後の輸液は少なめだが一時的インスリン調節が必
要)
整形外科手術(疼痛により高血糖)
整形外科手術(腎不全患者の壊疽による下肢切断)
糖尿病妊娠(ブドウ糖入り輸液が急増)
重症終末期の患者(急速な血糖低下)
ステロイド使用の患者(血糖乱高下)
教育入院
減量目的入院
病棟血糖管理マニュアル
資料
インスリン注入プロトコール(参考)
CSIIの装着方法(例)
インスリン自己注射の説明
教育入院クリティカルパス
ブドウ糖・炭水化物含有量
ブドウ糖とインスリンの投与法と投与量計算式
練習問題の答
略語一覧と補足説明
30版 2001年
31版 2004年
32版 2007年
30版 2001年 → 31版 2004年
スライディングスケールの表がなくなりました
31版 2004年 → 32版 2007年
経管栄養の場合の管理の記述に変化
2006年 → 2007年
Using correction dose or
“supplemental” insulin to
correct premeal hyperglycemia
in addition to scheduled
prandial and basal insulin is
recommended.
血糖を改善したい場合
• 急性合併症(感染,ケトーシス,脱水)を起こし
ている
• 手術をする
• 化学療法で白血球が低下,ステロイドを使用す
る場合
• 感染症を起こしている
• 妊娠中
しかし
• 低血糖を起こすと困る
(網膜症が悪化するかも,etc.)
血糖管理の目標
周術期血糖管理目標は現在のところ
90から140mg/dl
(理想は80から120mg/dl,
許容可能は100から150mg/dl)
とするのが妥当であろう。
周産期は食後でも上限が120mg/dl未満
を目標とする。
それ以外でも 悪くても尿糖が出ない程度
<180mg/dl
まず低血糖の指示
医師指示----------------------------------------------------------------------●低血糖症状時
血糖測定し血糖69mg/dl以下であれば、ブドウ糖10g内服。30分後に
80mg/dl以上を確認。血糖上昇しなければ再度ブドウ糖10g内服させ
Dr.CALL
内服できない時:50%ブドウ糖液20cc静注。
-----------------------------------------------------------------------------------
◆ 10gのブドウ糖は血糖値を約50mg/dl上昇させると考えてください。
◆ 救急外来などブドウ糖処方できるようになりましたが静注用を飲
ませるのもありです。
◆ ブドウ糖の体内分布は体重の20%から25%程度です。インスリン
の使用量が少ない場合(1時間あたり1単位投与)でも,消化管からの
ブドウ糖吸収や肝・腎臓からのブドウ糖産生(EGP)が0となり得ます
ので,1分に約1mg/dl程度血糖は低下します。1時間放置すれば約
50mg/dl以上の血糖低下となります。ICUなどで血糖は体の状態が急
変している場合には1時間毎にチェックするのが鉄則です。
◆持続的補充はEGPの分です。(8g/hr,10%ブドウ糖80ml/hr)
患者が糖尿病の場合の血糖管理方法の選択
対象の特徴
代謝状態
栄養介入
処置
妊婦か? 感染は?
患者の余命は?
これまでの病態と治療は何か?
血糖は目標値に達しているか?
尿ケトン体が陽性か?
食事が一定に食べれるか?
経管栄養は?
輸液中にブドウ糖は?
手術は?
腎不全は? 透析中か?
ステロイドの使用は?
スライディングスケール法
インスリン「補充」でなく血糖「補正」です。食事が規則的にとれないと
きあるいは血糖の推移の予測が難しいとき暫定的処置として使うのが
基本です!また,食事をする場合には食事の分は別に「補充」として
指示する。点滴にブドウ糖が入る場合も「補充」としてインスリン混注を
まず行います。補充と補正を有効かつ安全に行うにはYale大学プロト
コール(Diabetes Care 27:461,2004)やGraphicプロトコール(病棟血
糖管理マニュアル,金原出版, 2008年)などを用いるべき。
使用を考量する場合
●シックデイ
●救急外来やICUでの高血糖時の対応
●外科的手術前後(空腹時血糖値が140mg/dl未満で手術を行うの
が原則)
●中心静脈栄養管理中(血糖が200mg/dl以上では高カロリー輸液
は行わない)
●ステロイド療法や化学療法時(血糖が200mg/dl未満になるまで治
療は行わない)
シリンジポンプからのインスリン注入の場合
シリンジポンプからのインスリン投与時の注射処方
注射---------------------------------------------------------------------------------------------------------RP01 ヒュ-マリンR100U/ml瓶
50 U
▲生理食塩液50ml
49.5 ml
DIV 一日1回
シリンジポンプより医師指示で
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------生理食塩液を50mlとせず49.5mlとします。上記ではインスリンが0.5ml加わることが強調
される。(実際に生食50mlとした指示でインスリンを5ml入れた例がありました。)
インスリン量の調節は以前にintra-martでYale大学プロトコールを配布しました。1時間毎
に血糖が測定可能ならそれでもよいかもしれません。糖尿病内分泌内科では計算によりか
なり精密にインスリン流量と次回の血糖測定時刻を指示していますが,この手技は医師の
ピリビレッジに入っており少なくとも糖尿病内分泌内科の医師でもプリビレッジのある医師
の指導の元でしか行わないことにしています。
病棟からの血糖報告に対応しインスリン投与を医師が指示する場合,ミスを防ぐ為に,
必ず,「一度電話を置いてから,かけ直す」。
看護師さんもインスリン投与の指示をすぐに受けないようにします。
皮下注射のインスリンの指示の場合も「一度電話を置いてから,かけ直す」ようにします。
(低血糖でブドウ糖を投与する指示はもともと書いてあるはずですが,ブドウ糖投与の指示
はそのまま切らずにすることはアリです。)
この「一度電話を置いてから,かけ直す」を既に2000回以上行い実績のある方法です。
Yale 大学プロトコールの実施例
67 y.o. male, injury
Glucose IR
Insulin IR
30
12.0
25
20
g/hr
8.0
6.0
15
4.0
10
2.0
5
0.0
0
YP
SS
SS:スライディングスケールで高血糖となりYPに変更。基本
的に1時間毎の血糖測定が必要で期間中数回低血糖でイ
ンスリン注入が0となっている。
5/18
5/17
5/16
5/15
5/14
5/13
5/12
5/11
5/10
5/9
5/8
5/7
5/6
5/5
5/4
5/3
5/2
5/1
4/30
4/29
4/28
4/27
4/25
4/24
400
350
300
250
200
150
100
50
4/23
mg/dl
PG
4/26
U/hr
10.0
Kameda Medical Center
Graphic Protocol
IRI-abs
Y: 血糖変化 (mg/dl per hr)
A
A
XB
0
XA
XB
0
XB
0
XN
XA
B
B
B
血糖変化を
0とするた
めのXN(イン
スリン注入
率)
A
XN
XA
X: インスリン注入率 (U/hr)
YG
ISI-delta
インスリン注入率を増やすと血糖は低下する。
ISI-delta:用量依存直線の傾き
IRI-abs:用量依存直線のX軸との交点
A
Y: 血糖変化 (mg/dl per hr)
血糖変化を
0とするため
のXN(インス
リン注入率)
XB
0
XN
実際はインスリン感受性:ISI-delta と共に
インスリン抵抗性IRI-abs が動くと考えられる。
血糖変化を
YNとするた
めのXN(イン
スリン注入
率)
0
XNa
XNm
YG= - G × 1000 ÷ (DV × BW)
G[g/hr],DV(distribution volume)[L/kg], BW[kg]
ブドウ糖が輸液や経管栄養に入っている場合は血糖が上昇
するので,Y軸下方向に基線がずれると考える。
XNb
XA
YN
B
YG
YN
さらに血糖値を上昇あるいは低下させたい場合は,Y軸方
向をずらすべく目標のYをYNにずらすように考える。
IRI-absが移動した場合を考え血糖変化を予測する。
グラフ上で用量依存直線(赤)を動かしXNを決定する。
または,以上のステップをEXCELのような表計算テンプレートに設定して
おき症例ごとに予測血糖値の上限と下限の間でインスリン注入率XNを
決定する。
Graphicプロトコールの例
34 y.o. female, acute pancreatitis
Glucose IR
6
5.0
5
4.0
4
g/hr
6.0
3.0
2.0
3
2
1.0
1
0.0
0
GP
4/10
4/9
4/8
4/7
4/5
4/4
4/3
300
250
200
150
100
50
4/2
mg/dl
PG
4/6
U/hr
Insulin IR
最初半日は1時間毎の測定であったが,安定期は4~6時
間ごとの血糖測定が可能となり血糖値を安定化しやすい。
Kameda Medical Center
混注の場合
ブドウ糖の入った輸液内にインスリンを混和する。
次の計算で初期のインスリン投与量を決めてもよ
い。ブドウ糖 0.13 × 体重(kg) gあたり1単位で
す。(日本人はやせた人はインスリン分泌が低い
ので)およそ8gに1単位となります。1日ごとに血
糖を見て調節します。
これは基礎インスリン分泌分も含めた補充と考え
少な目のスタートと考えます。中間型,混合型,持
効型のインスリン皮下注射を併用してはいけませ
ん。
例:東京大学医学部附属病院の安全マニュアルで用いられているスライディングスケール
には3種類の強度があり,それぞれをほぼ相当する医師指示に変更すると次のようになる。
スケールA
医師指示-------------------------------------------------ヒューマリンR)
血糖値により皮下注射
注入前血糖値(血糖値が200mg/dl以上のとき。)
(現在の血糖値-175)÷25 の 整数部分の単位数
---------------------------------------------------------スケールB
医師指示-------------------------------------------------ヒューマリンR)
血糖値により皮下注射
注入前血糖値(血糖値が150mg/dl以上のとき。)
(現在の血糖値-125)÷25 の 整数部分の単位数
---------------------------------------------------------スケールC
医師指示-------------------------------------------------ヒューマリンR)
血糖値により皮下注射
注入前血糖値(血糖値が100mg/dl以上のとき。)
(現在の血糖値-75)÷25 の 整数部分の単位数
----------------------------------------------------------
医師指示---------------------------------------------------------------------------------------------------------<インスリン皮下注射> 可能なら自己注射で
X/XX 朝より
●血糖測定:毎食前、眠前
ノボラピッド)
食事量・食前血糖値みて、食直後に皮下注射。
(全量摂食が可能なら食直前でもよいです)
流動2
3分粥
5分粥
全粥/軟菜 心臓病食
A)食事量
0-3割未満
0
0
0
0
0単位
3割以上-7割未満
2
2
3
3
3単位
7割以上-
3
4
5
7
6単位
B)食前血糖値(血糖値が150mg/dl以上のとき。)
(現在の血糖値-100)÷50 の 整数部分の単位数
[目標血糖値 100mg/dl, インスリン1単位で50mg/dl血糖低下]
A)+B)を合わせたインスリン量を皮下注射。
血糖値が、150未満の時は、A)のみのインスリン量を皮下注射。
(ただし A)+B) が1単位の場合ノボラピッドは打ちません。)
ノボリンN)
食事量にかかわらず、朝食時9単位,夕食時9単位皮下注射してください。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
医師指示---------------------------------------------------------------------------------------------------------<インスリン皮下注射> 可能なら自己注射で
X/XX 朝より
●血糖測定:毎食前、眠前
ノボラピッド)
食事量・食前血糖値みて、食直後に皮下注射。
(全量摂食が可能なら食直前でもよいです)
流動2
3分粥
5分粥
全粥/軟菜 心臓病食
A)食事量
0-3割未満
0
0
0
0
0単位
3割以上-7割未満
2
2
3
3
3単位
7割以上-
3
4
5
7
6単位
B)食前血糖値(血糖値が150mg/dl以上のとき。)
(現在の血糖値-100)÷50 の 整数部分の単位数
[目標血糖値 100mg/dl, インスリン1単位で50mg/dl血糖低下]
A)+B)を合わせたインスリン量を皮下注射。
血糖値が、150未満の時は、A)のみのインスリン量を皮下注射。
(ただし A)+B) が1単位の場合ノボラピッドは打ちません。)
ノボリンN)
食事量にかかわらず、朝食時9単位,夕食時9単位皮下注射してください。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------血糖は食前256mg/dlだった。心臓食を5割食べた。
食直後に何単位インスリンを皮下注射するか?
医師指示---------------------------------------------------------------------------------------------------------<インスリン皮下注射> 可能なら自己注射で
X/XX 朝より
●血糖測定:毎食前、眠前
ノボラピッド)
食事量・食前血糖値みて、食直後に皮下注射。
(全量摂食が可能なら食直前でもよいです)
流動2
3分粥
5分粥
全粥/軟菜 心臓病食
A)食事量
0-3割未満
0
0
0
0
0単位
3割以上-7割未満
2
2
3
3
3単位
7割以上-
3
4
5
7
6単位
B)食前血糖値(血糖値が150mg/dl以上のとき。)
(現在の血糖値-100)÷50 の 整数部分の単位数
[目標血糖値 100mg/dl, インスリン1単位で50mg/dl血糖低下]
A)+B)を合わせたインスリン量を皮下注射。
血糖値が、150未満の時は、A)のみのインスリン量を皮下注射。
(ただし A)+B) が1単位の場合ノボラピッドは打ちません。)
ノボリンN)
食事量にかかわらず、朝食時9単位,夕食時9単位皮下注射してください。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------血糖は食前256mg/dlだった。心臓食を5割食べた。
食直後に何単位インスリンを皮下注射するか?
医師指示---------------------------------------------------------------------------------------------------------<インスリン皮下注射> 可能なら自己注射で
X/XX 朝より
●血糖測定:毎食前、眠前
ノボラピッド)
食事量・食前血糖値みて、食直後に皮下注射。
(全量摂食が可能なら食直前でもよいです)
流動2
3分粥
5分粥
全粥/軟菜 心臓病食
A)食事量
0-3割未満
0
0
0
0
0単位
3割以上-7割未満
2
2
3
3
3単位
7割以上-
3
4
5
7
6単位
B)食前血糖値(血糖値が150mg/dl以上のとき。)
(現在の血糖値-100)÷50 の 整数部分の単位数
[目標血糖値 100mg/dl, インスリン1単位で50mg/dl血糖低下]
A)+B)を合わせたインスリン量を皮下注射。
血糖値が、150未満の時は、A)のみのインスリン量を皮下注射。
(ただし A)+B) が1単位の場合ノボラピッドは打ちません。)
ノボリンN)
食事量にかかわらず、朝食時9単位,夕食時9単位皮下注射してください。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------血糖は食前256mg/dlだった。心臓食を5割食べた。
食直後に何単位インスリンを皮下注射するか?
医師指示---------------------------------------------------------------------------------------------------------<インスリン皮下注射> 可能なら自己注射で
X/XX 朝より
●血糖測定:毎食前、眠前
ノボラピッド)
食事量・食前血糖値みて、食直後に皮下注射。
(全量摂食が可能なら食直前でもよいです)
流動2
3分粥
5分粥
全粥/軟菜 心臓病食
A)食事量
0-3割未満
0
0
0
0
0単位
3割以上-7割未満
2
2
3
3
3単位
7割以上-
3
4
5
7
6単位
B)食前血糖値(血糖値が150mg/dl以上のとき。)
(現在の血糖値-100)÷50 の 整数部分の単位数
[目標血糖値 100mg/dl, インスリン1単位で50mg/dl血糖低下]
A)+B)を合わせたインスリン量を皮下注射。
血糖値が、150未満の時は、A)のみのインスリン量を皮下注射。
(ただし A)+B) が1単位の場合ノボラピッドは打ちません。)
ノボリンN)
食事量にかかわらず、朝食時9単位,夕食時9単位皮下注射してください。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------血糖は食前256mg/dlだった。心臓食を5割食べた。
食直後に何単位インスリンを皮下注射するか?
6単位
食事量が変化する場合にはノボリンNは朝食時と夕食時に打つよう
にし,食事量によるスケーリングを行います。
外科手術の術後のような場合を想定し上記の指示をしています。食
前の血糖値による補正が必要なくなれば指示から外します。また,
インスリン必要量は「責任インスリン」の考え方で量を変化させてゆ
きます。
背景と目的
糖尿病患者の周術期,周産期の
血糖管理目標は80-120mg/dlが
理想とされる。グルコースクランプ
法を応用しインスリン効果を評価
しながら血糖管理を行い血糖到達
レベルの評価を行った。
対象
n
Age (y.o.)
Duration of Diabetes
(years)
Height (cm)
Weight (kg)
BMI (kg/m 2 )
HbA 1C (%)
104
(M/F=61/43)
58.2 ± 16.0
9.7 ± 10.2
160.6 ± 9.0
61.5 ± 13.4
23.7 ± 4.5
7.3
± 1.6
Mean ± SD
対象は2006年12月から2007年11月までの1年間に血糖管理を依頼さ
れた入院糖尿病患者のうちインスリンをシリンジポンプより注入した104
名(一般外科19名,血管外科26名,整形外科16名,周産期12名,その
他31名)。処置前治療はインスリン54名(1日36.2±21.5単位),経口血糖
降下薬25名,食事療法のみ25名であった。
方法
血糖は動脈血か皮膚採血の血液を用いPCx(アボット
社:GDH電極)により測定した。シリンジポンプは病院
でルーチンにキャリブレーションされた物を使用し,ヒ
トインスリン製剤を生食で希釈し1U/mlとし最小設定
0.1U/mlきざみとして静脈より持続注入を行った。
EXCEL表を利用しインスリン効果を図で評価した。次
回血糖測定時刻は予測血糖値が70-180mg/dl以内と
なるような範囲でかつ6時間以内となるような時間間
隔でインスリン流量を決定した。
血糖は70-180mg/dlを血糖可,80-120mg/dlを血糖良
とし,70mg/dl未満を血糖低値,180mg/dl以上は血糖
高値とした。また50mg/dl未満を重篤な低血糖とした。
臨床的インスリン効果の評価
上図の1時間あたりの血糖変化(Y)をインスリン流量(X)との用
量依存関係を直線で評価し,その傾きの絶対値をISI-delta
[mg/dl per hr],X軸との交点をIRI-absolute [U/hr] とした。
EXCELによるインスリン作用評価(例)
グラフによるインスリン作用評価(例)
EXCELによるインスリン作用評価(例)
血糖管理状況
運用時間 (時間)
平均ブドウ糖注入率 (g/hr)
平均インスリン注入率 (U/hr)
平均開始時血糖値 (mg/dl)
平均血糖値 (mg/dl)
平均到達血糖値 (mg/dl) 全例
平均到達血糖値 (mg/dl) 循環器疾患
ISI-delta P (mg/dl per hr per U)
IRI-absolute [最終] (U/hr)
血糖良 [80-120mg/dl] (時間,%)
血糖可 [70-180mg/dl] (時間,%)
血糖高値 [180mg/dl以上] (時間,%)
血糖低値 [70mg/dl未満] (時間,%)
重篤な低血糖 [50mg/dl未満]
11615
5.2 ± 6.4
1.91 ± 1.86
251 ± 116
136 ± 56
125 ± 39
113 ± 15
48 ± 17
0.7 ± 1.8
4588 ,
39.5
9848 ,
84.8
1620 ,
13.9
149 ,
1.3
4回
まとめ
のべ11615時間運用し,平均ブドウ糖注入率
5.2±6.4 g/hr,平均インスリン注入率
1.91±1.86U/hr,平均血糖値136±59mg/dl,採
血間隔平均2.45±1.05時間であった。平均到達
血糖値は125±39mg/dlであり,ISI-deltaPは平
均47.5±16.5mg/dl per Uであった。
血糖可は9848時間(85%)でそのうち血糖良は
4588時間(40%)であった。低血糖は149時間
(1.3%),高血糖は1620時間(14%)であり,重篤な
低血糖は4回あり,そのうち2回はインシデント,他
2回は膵臓腫瘍によるものであった。
結論
グルコースクランプ法を応用し
たシリンジポンプによるインス
リン注入を糖尿病患者の周術期,
周産期の血糖管理に用い安全性
と有効性を確認した。
糖尿病内分泌内科
カンファレンス & リソース
外来・(入院併診) 新患カンファレンス
月,火,水,金 午後4時から5時
入院患者カンファレンス
木 午後3時から
抄読会
木 朝 8時20分から8時50分
サーバー名:hdlm01
アクセス名:
diabetesk2
ID:junior
パスワード:diabetes
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