蒸気圧データベースの構築
(東理大・工) (正)大江 修造*
グラフ化: 実測値と計算値を示してデータが読みとれる
形にした.
登録: データベースプログラムに登録して,物質名およ
び化学式からデータ(図)を検索できる形にした.
C 6 HOF 5
Pentafluoro phenol
Temperature [ oF]
150
200
250
300
W. V. Steele, R. D. Chirico, S. E. Knipmeyer, A. Nguyent
J. C he m . E ng . D a ta 1 9 9 7 , 4 2 , 1 0 0 8 -1 0 2 0
A = 7 .1 0 78 7
B = 1399.921
C = 186.042
10
8
6
5
4
3
Error(| P|av. )
2
Antoine Constants
200
100
80
60
50
40
30
0.34 mmHg
20
Da ta R a nge
Co py right, 1 9 9 8 , by Shuzo Ohe
2
1
20
1
0.8
0.6
0.5
0.4
0.3
Temperature from 49.9 to 182.3[ o C ]
Pres sure from 15.0 to 2025.0 [mmHg]
10
8
6
5
4
3
30
40
50
60
70
80
90
3
300
2
200
1
0.8
0.6
0.5
0.4
0.3
100
80
60
50
40
30
0.2
20
0.1
0.08
0.06
0.05
0.04
0.03
10
8
6
5
4
3
0.02
2
0.01
0.008
0.006
0.005
0.004
0.003
1
0.8
0.6
0.5
0.4
0.3
0.002
0.2
20
0.2
0.1
0.08
0.06
0.05
0.04
0.03
0.02
100 110 120 130 140 150160170180190
o
Temperature [ C]
145.1
P [p s i a ]
1000
800
600
500
400
300
350
50
40
30
2000
P [kP a ]
100
3000
Vapor Pressure P [mmHg]
はじめに 蒸気圧データは蒸留操作などには必要不可欠な
物性であり、測定、推算法、表現式、実測値のデータベー
ス化など活発に研究がなされている 1-9)。大江は 1976 年に
2000 件の蒸気圧データを冊子体として発表した 2)。データ
の収集を継続した結果,約 3000 件に達し、蒸気圧データ
ベースを再構築したので報告したい。
1.基本方針 蒸気圧の実測値をデータベース化するにし
次の基本方針を採った。
(1)収集する実測値は主に有機
化合物とするが、代表的な無機化合物も収集する。
(2)
蒸気圧の表示式として Antoine 式を採用し、その定数を最
小二乗法で決定する。
(3)実測値と Antoine 式による計算
結果とをグラフの形で表示する。
蒸気圧の表示式には3定数の Antoine 式の他に4定数
の Riedel 式,Frost・Kalkwarf 式,Miller 式などが提唱され
ている。臨界定数を用いて4定数で表示する Wagner 式4)
も提案されているが、これら4定数式の精度は Wagner 式
を除いて Antoine 式と変わらない。 Wagner 式は臨界定数
を必要とするため臨界定数の測定されていない物質には
適用できない。以上の理由により Antoine 式を採用した。
3.特徴 本蒸気圧データベースの特徴を以下に示す.(1)
データ件数:公開されている蒸気圧データベースとしては
最大級のデータ件数を有している.(2) Antoine 定数:プロ
セスシミュレータなどで最も広く用いられている Antoine
式の定数を決定した.(3)グラフ化:データを蒸気圧線図の
形式で表現したので蒸気圧・温度関係を容易に知ることが
できる.図は Windows における最新の描画方式で作成し
たので,従来の描画形式の場合のように拡大縮小に伴う図
の劣化を生じない.
4.方法 データベースの作成は概ねデータの収集,処理,
コンピュータへの入力,データの検証,定数計算,並べ替
え,グラフ化,登録の順により行った.
データの収集 : 二次資料から文献情報を得て、該当論文を
入手した.データの掲載してある可能性のある雑誌は約5
0誌であるが,掲載件数の多い雑誌は Journal Chemical and
Engineering Data, Fluid Phase Equilibria, Journal Chemical
Thermodynamics などである.
前処理 : データは表形式で発表されているが形式や単位
はまちまちで一定ではない.処理可能な書式に統一した.
コンピュータへの入力 : 一定の書式によるデータは編集
の便を考慮してテキスト形式としてコンピュータに格納
した.ファイル名は情報源に対応したものとした.
データの検証 : データの印刷ミスなどデータの検討は目
視やグラフ化によった.
定数決定: 式定数を最小二乗法で決定した。誤差の大き
なデータは複数の計算法により最適な定数を決定した.
物質の配列: Chemical Abstracts の Hill 方式によった.
Fig.1 蒸気圧データベース: Pentafluoro phenol の場合
4.結果 収録したデータの件数は有機物,無機物併せて
3,000 件である.有機物の中で最も件数の多いのは炭素数 6
の物質である.炭素数 6 の物質の中では,水素数 12 の場
合が最多である.
データの検討結果を 1-Butanol を例にして示す.全測定
値から Antoine 式の定数を求めて計算した場合,測定者に
より,システム的な誤差がある。 Ambrose,Sprake や
Biddiscombe ら のデータは大きく,Susial, Ortega のデータ
は小さい.Dejoz らのデータはほぼ誤差ゼロである.個々
の測定者別に Antoine 定数を決定してそれぞれの誤差を求
めると、約 10 分の 1 となる。
引用文献
(1)大江修造,「相平衡データおよびデータベース」
,化学工学, 62 巻 8 号
436-439(1998) (2)大江修造,「電子計算機による蒸気圧データ」, データブック出
版社, 1976 (3)大江修造,「設計者のための物性定数推算法」, 日刊工業新聞社
(1985) (4)W.Wagner, “Eine mathematisch statistisch Methode zum Aufstellen
thermodynamischer Gleichungen - gezeigt am Beispiel de Dampf druckgleichung
reiner fluider Stoffe”, Fortschritt. Ber. VDI-Z Reihe 3, Nr.39,1974 (5)R. C. Wilhoit, B.
J. Zwolinski, " Handbook of Vapor Pressure and Heats of Vaporization of
Hydrocarbons and Related Compounds", TRC, Texas A&M University, 1971 (6)J.
Dykyi, et al., "The Vapor Pressure of Organic Compounds", Slovakian Academy of
Science, Bratislava, 1979 (7)T. Boublik, et al., "The Vapor Pressure of Pure
Substances", 2nd. Ed. Elsevier, New York, 1984 (8)R. C. Reid, et al., "The
Properties of Gases and Liquids", 4th ed., McGraw-Hill, New York, 1987 (9)
K.N.Marsh, et al. "TRC Data Bases for Chemistry and Engineering-Vapor Pressure",
Thermodynamics Research Center, Texas A&M University System, 1989
*) Fax. 03-3235-6479 E-mail [email protected]
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