野球選手のための
セルフストレッチングガイド
<はじめに>
投手に限らず野球選手は、投球動作を繰り返します。同一動作の繰り返しは、身体の一
部分に過剰な負荷が加わることが多く、コンディションの維持はケガを予防するうえで非
常に重要です。特にストレッチは、野球に求められる可動域の維持・改善に役立ち、
ウォームアップやクールダウンで実施される必要があります。これから解説するストレッ
チは野球の動作によって生じる筋の固さに対応したものです。注意事項をよく読んで、ケ
ガの防止に役立ててください。
● 投球動作と動作に影響を与える要素
身体全体を使って
しならせる
ボールを投げるためには左の写真のように身
体全体を大きくしならせる事が必要で、全身の
柔軟性を必要とします。
またフォロースルー時には肩の後方
に体重と同じ位の牽引力がかかりま
体重と同じ位の力
で引っ張られる
す。このため、後方の筋肉は損傷しや
すく、固くなりやすい事が分かってい
固くなりやすい
ます。
下半身、特に股関節の柔軟性は骨盤の
回転に大きく関わります。固い股関節は、
投球時の膝われや、腰痛の原因になる可
ステップ足の股関節を
軸に骨盤が回転する
能性があります。
ストレッチングの効果
ストレッチングを実施することによって、各筋肉の
疲労回復、投球時の良いしなりの維持が期待できる。
逆に疲労の蓄積、筋肉の伸張性低下、関節の可動域
低下はスポーツ障害の発生原因、パフォーマンスの低下
につながる可能性があります。
日々のコンディショニングがケガの予防、パフォーマンスの
維持、向上につながります。
ストレッチングのポイント



実施する際は20秒から30秒かけてゆっくり時間を
かけて伸ばす。1部位につき2~3セット実施する
筋肉の伸張感がある範囲の強さで伸ばし、痛みが
出ない範囲で実施する。特に肩の場合は関節に痛
みが出やすいので注意する
ストレッチング直後の激しい運動は筋の損傷につ
ながりやすいので、徐々に運動レベルをあげていく
肩前面と胸部のストレッチング
<方法>
手を頭の後ろにおき、できるだけ肘、
腕が床についた状態を保持する。
体幹を回旋させ肩から胸の前を伸ば
す。
<方法>
バットや棒を肘にかけ、肩のしなりをだす。
*肘の内側、肩に痛みがある場合は行わ
ない。
<方法>
<方法>
バスタオルやクッションを肩甲骨の
壁に手から肘をあて胸の前を
下に引き、両手広げた状態で保持
広げる。
する。
バスタオルでロール
<伸びる部位>
を作る
胸の前面
*長時間行うと腕にしびれや脱力感が
でることがあるので注意する。2分程度
を数回行うと良い
肩後面ストレッチ
<方法>
肘を壁にあて、胸を張るように伸ばす
肘はできるだけ曲げて行う。
<伸びる部位>
肘の後面
わきの下
胸
*肩に痛みがある場合は無理をしない。
<方法>
上のストレッチングと同じ方法で、肘を曲げる
ことを追加する。肘の裏にある上腕三頭筋を
強調して伸ばすことができる。
<伸びる部位>
肘後面
別法
<方法>
肘をしっかりおさえる。肘の高さを
変えて一番伸張感のある位置で行う。
<伸びる部位>
肩後面
別法
<方法>
肘と腕を壁にあてる。親指は下を
向ける。
ゆっくり矢印の方向に手首を押す。
<伸びる部位>
肩後面
*肩の上、前に痛みがある場合は
無理をしない。
<方法>
横向きに寝て、手を床に近づける
ように行う。
<伸びる部位>
肩後方
*肩に痛みがある場合は無理をしない。
首のストレッチング
肩甲骨が挙が
らないようにつ
かんでおく
<方法>
伸ばす側の手はイスやベッドを
持つようにする。もう一方の手で
頭の斜後ろをつかみ、ゆっくり
首を伸ばす。
<伸びる部位>
首から肩
指、肘周囲のストレッチング
<方法>
人差し指と中指をそらす
手の平は上向き
<方法>
指全体、手首をそらす。
手首がやや外を向くように
する。
<伸びる部位>
肘の内側
手首周囲
<方法>
薬指と小指を伸ばす
手のひらは下向き
<方法>
変化球のシュートを投げる方向に
手首をまわす。
<伸びる部位>
肘外側
体幹~股関節のストレッチング①
<方法>
手を横に広げるもしくは、頭の後ろで
組んだ状態で片側の足をクロスさせ
る。できるだけ肘は浮かないようにす
る。
<伸びる部位>
わきの下から、胸部
お尻の外側
<方法>
手首を足のつま先に近づける
ように行う。
<伸びる部位>
腰から肩後方
逆側のもも裏
別法
<方法>
膝を真っ直ぐにして、タオルを
足の裏にかける。ゆっくりともも
裏からふくらはぎが伸びるように
足を持ち上げる。
<伸びる部位>
ももの裏
ふくらはぎ
体幹~股関節のストレッチング②
<方法>
足を組んだ状態で膝と胸を近づける
ように行う。壁によりかかって行うと
よく伸びる。
<伸びる部位>
お尻から股関節外側
<方法>
片方の膝を内側に倒し、もう片方の足
で内側に押し込む。
この時お尻が浮かないように注意する。
お尻が浮か
ないように!
<伸びる部位>
股関節外側
*特に股関節が硬くて投球中膝が割れ
たり、腰の回転が悪い人には有効。
<方法>
足を前後に開き、お尻を前に突き
出すようにする。
<伸びる部位>
股関節の前面
肩甲骨エクササイズ
<準備>
①バスタオルを2枚~3枚使用しロール
を作る。(バットや棒を芯にして巻いて
もいい)
②頭から骨盤までロールを敷く。
1
2
<方法>
①胸を張り親指を下にする。肩甲骨は内側によせる。
②できるだけ腕は床をするようにして、手の甲を合わせるように(シュートを
投げる方向にひねり)腕を真っ直ぐ挙げる。
ゆっくり繰り返して行う。10回を3~5セット程度おこなう。
胸の張り、肩甲骨を内側に引く動作を獲得する。
1
2
3
<方法>
①肘と手のひらを合わせる。
②胸を張ながら肩甲骨を内側によせるようにして手を横に広げる。
③手の甲を合わせるように(シュートを投げる方向にひねり)腕を真っ直ぐ
挙げる。
①→②→③→②→①とリズムよく行う。10回を3セット行う。
体幹の伸展と回旋
2
1
<方法>
①両手をついてうつ伏せになる。
②肘を伸ばしながら体全体をそらす。そらしきったところで息を吐いて
もとの位置にもどる。
10回を3~5セット行う。
できるだけ体全体でそることを意識する。特に胸の張りが出ることを意識
する。
1
2
<方法>
①四つ這いになり、投球側の手を頭におく。
②肘が上を向くように肩甲骨を内側によせ、体を捻る。
10回を3~5セット行う。
編集・執筆者
渡邊 裕之(北里大学 医療衛生学部)
石井 斉 (日本鋼管病院 リハビリテーション科)
発行責任
社団法人 神奈川県理学療法士会
スポーツ支援・健康増進部
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