6. ラプラス変換
古典制御理論と現代制御理論
 線形制御理論には現代制御理論と古典制御理論がある。
 「現代」「古典」という言い方は、最初に提案された時期が違うからであって、ど
ちらが優れているという話ではない。
古典制御理論
現代制御理論
ラプラス変換に基づく方法
微分方程式に基づく方法
周波数領域
時間領域
通常、初期値を0として考える
初期値を陽に考慮できる
可制御・可観測な部分だけ
不可制御・不可観測な部分も考慮可能
状態は考えない (出力フィードバック)
状態フィードバックが基本 (出力フィード
バックのときはオブザーバを用いる)
 非線形システムの場合は現在制御理論しかない。
フーリエ変換
周波数の関数: F(w)
 時間の関数: f(t) (– < t <  )
 フーリエ変換:
(– < w <  )

F (w )  F[ f (t )]   f (t )e  jwt dt

 逆フーリエ変換:
1
f (t )  F [ F (w )] 
2
-1



F (w )e jwt dw
 元の関数 f(t) が実数ならば、F (w)  F (w)
 フーリエ変換の積分が発散してしまうことがある。
(フーリエ変換存在のための必要条件) f(t) が絶対可積分
(フーリエ変換存在のための十分条件) f(t) が二乗可積分






f (t ) dt  
f (t ) dt  
2
絶対可積分でないならば、…
 絶対可積分の条件



f (t ) dt   を満たさない
フーリエ変換できない
絶対可積分でない信号に対しても周波数領域に変換したい
 変数 t が”時間”なら、工学的には過去の信号を扱うことにそれほど意味は無い。
f(t) = 0 (t  0) と仮定する。
 大きい t に対して信号を減衰させる項を乗ずる。
つまり、

F (c, w )   {ect f (t )}e jwt dt
0
を考える。c が十分大きければ、ほとんどの場合に変換が存在する。
ここで、c と jw をいっしょにまとめて、

F (c  jw )   f (t )e( c jw )t dt
0
と書く。 (→ラプラス変換)
ラプラス変換
 (片側) ラプラス変換:

F (s)  L [ f (t )]   f (t )e st dt
0
 逆ラプラス変換:
1 c  jp
st
f (t )  L [ F ( s)]  lim
F
(
s
)
e
ds
p  2j c  jp
1
 変数 s は複素数である。一方、フーリエ変換のときの w は実数であった。
 s = c + jw とおくならば、c = 0 のときはフーリエ変換に一致する。つまり、ラプラ
ス変換はフーリエ変換の拡張である。
ラプラス変換の性質(1)
 線形性: L[af(t) + bg(t)] = aL[f(t)] + bL[g(t)]
 微分公式:
 df 
初期値が0なら、”微分” = “s を掛ける”
L    sL [ f ]  f (0)
 dt 
 積分公式:
t
1

L  f ( )d   L [ f (t )]
 0
 s
”積分” = “(1 / s) を掛ける”
 逆変換の微分公式:
L1[ F (s)]  tL1[ F (s)]
 逆変換の積分公式:
s
1
1 
L  F (r )dr   L 1[ F ( s )]
 0
 t
 畳み込み積分:
t

L [ f  g ]  L  f ( ) g (t   )d   L [ f (t )]  L [ g (t )]
 0

ラプラス変換の性質(2)
 時間軸の伸縮:
L [ f (at )] 
 s 軸上の平行移動:
1
F ( s / a) ただし、
F ( s )  L [ f (t )]
a
F (s  a)  L [eat f (t )] ただし、
F (s)  L [ f (t )]
 時間軸上の平行移動:
L [ f (t  a)u(t  a)]  eas L [ f (t )]
1 (t  0)
ただし、u(t) はヘヴィサイドの階段関数で、u (t )  
0 (t  0)
 ラプラス変換 F(s) が s = s0 で絶対収束すれば、 Re(s)  Re(s0) なる s の範囲で
一様収束する。もし、F(s) (s = s + wj) が、 s > s0 で収束し、 s < s0 で収束し
ないのであれば、 s0 を収束座標という。
 ラプラス変換 F(s) は、その収束域で正則関数である。
いろいろな関数に対するラプラス変換(1)
 インパルス関数 = ディラックのデルタ関数
積分範囲の端にデルタ関数のインパルスが入ってしまい厄介なので、積分範
囲内にインパルスが入るものとして扱い、そのインパルスの位置を0に近づけた
極限を考える。

L [ (t )]  lim   (t  p)est dt  lim esp  1
p0 0
p0
 定数 = ヘヴィサイドの階段関数
負の時間の信号は 0 として考えるので、定数のラプラス変換は実はヘヴィサイ
ドの階段関数のラプラス変換を考えているのに等しい。

a
a
L [a]   ae  st dt   (0  1) 
0
s
s
いろいろな関数に対するラプラス変換(2)
 べき乗関数:
 指数関数:
 t n  1  t n 1 
1
1
L   L



L
[
1
]


n
n 1
n
!
s
(
n

1
)!
s
s
 


L [e at ]  L [e at 1] 
1
sa
 指数関数×べき乗関数:
1
1

L  t n e at  
n
 n!
 ( s  a)
いろいろな関数に対するラプラス変換(3)
 三角関数:
s
w
L [cos( wt )]  2
, L [sin( wt )]  2
s w2
s w2
 三角関数×指数関数:
L [e at cos(wt )] 
sa
w
at
,
L
[
e
sin(
w
t
)]

( s  a) 2  w 2
( s  a) 2  w 2
 上記の公式にさらに逆変換の微分公式を組み合わせると、三角関数・指数関
数にべき乗を掛けた場合の式も得られる。
ラプラス変換表
 ラプラス変換の一覧表で、ラプラス逆変換にも使える。
 [注意] f(t) = 0 (t < 0) であり、表の f(t) は t  0 に対するものである。
f(t)
F(s) = L{f(t)}
(t)
1
1
s
1
1
n
t
n!
eat
sin wt
cos wt
s n 1
1
sa
w
s2  w 2
s
s2  w 2
F(s) = L{f(t)}
1
( s  a) n 1
f(t)
t n e at
n!
eatsin
wt
eatcos wt
eatsinh bt
eatcosh bt
w
( s  a) 2  w 2
sa
( s  a) 2  w 2
b
( s  a) 2  b 2
sa
( s  a) 2  b 2
ラプラス逆変換の方法

逆変換の公式 (Bromwich 積分)
1 c  jp
st
f (t )  L [ F ( s)]  lim
F
(
s
)
e
ds
p  2j c  jp
1

1.
2.
F(s) が有理式で、かつ(分子の次数)  (分母の次数)であれば以下の方法が
簡単である。
まず、 F(s) を部分分数展開する。たとえば、
s
1
2
2
F ( s) 




( s  1) 2 ( s  2)
( s  1) 2 s  1 s  2
各項別にラプラス変換表を元に逆ラプラス変換する。

1
2
2 
t
t
 2t
L 1 




te

2
e

2
e
2
s  1 s  2 
 (s  1)
ラプラス逆変換の例
 [例]
2. 分子の係数を未定定数として通分し、項別比
較して連立方程式を作る。→分子の係数決定


s
1
1
 1 ( s  1)
1 1 
1 
L 
L 





2
2
2
2
2
(
s

1
)
(
s

2
s

2
)
(
s

1
)
s

1
(
s

1
)

1
(
s

1
)

1




 te t  e t  e t cost  e t sin t
1
1. 分母の形は想像できる。
初期値定理
 時間関数 f(t) の初期値 f(+0) をラプラス変換から求める方法。
 [仮定1] 初期値 f(+0) が存在する (極限が発散したりしない)。
 [仮定2] 関数 f(t) は指数型、つまり適当な a, M に対して、|f(t)|  Meat となること。
初期値定理:
上記の仮定を満たすならば、
f (0)  lim sF ( s ), ただし、
F ( s )  L [ f (t )]
s 
 g(t) = (f(t) – f(+0))u(t) (u(t) はヘヴィサイドの階段関数) が t = 0 で連続であるこ
とに依存している。この仮定を満たさない場合、たとえばデルタ関数を含む f(t)
= (t) + e–t のような場合、上記の関係式は成り立たない。
f (0)  lim lim  (t   )  e  t  1
t      0
s ( s  2)

s 
s 1
lim sF ( s )  lim
s 
最終値定理
 時間関数 f(t) の最終値 f(+) をラプラス変換から求める方法。
 [仮定1] 任意の T > 0 に対して、f(t) は区間 [0, T] で積分可能。
 [仮定2] 最終値 f(+) が存在する (極限が発散したり、振動が残ったりしない)。
最終値定理:
上記の仮定を満たすならば、
f ( )  lim sF ( s ), ただし、
F ( s )  L [ f (t )]
s 0
 最終値が発散する場合、たとえば、f(t) = et のような場合、f(+) =  であるが、
s
lim sF ( s)  lim
1
s 0
s 0 s  1
となり、上記の関係式は成り立たない。
ラプラス変換で微分方程式を解く
 df 
 微分の公式 L    sL [ f ]  f (0) を使って、微分方程式を解こう。
 dt 
 微分の公式を繰り返し適用すると、
d k f  k
d k 1 f
df
L  k   s L [ f ]  k 1 (0)    s k 2 (0)  s k 1 f (0)
dt
dt
 dt 
 線形微分方程式:
d nz
d n 1 z
dz






 1 z  0
n 1
1
n
n 1
dt
dt
dt
d n1 f
df
 初期条件:
bn1  n1 (0),, b1 
(0), b0  f (0)
dt
dt
ラプラス変換
Z(s) について解いて
n 1  i
 n i 1
逆ラプラス変換
n
n 1

( s   n 1s    1s   0 ) Z ( s)     i  j b j s
0
↓
i 0  j 0

z(t)が求まる
ダウンロード

T - システム制御理論研究室