第7週目: 周波数伝達関数とボード線図
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周波数伝達関数
ボード線図
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今週の授業の目的
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今週の大きな目的
周波数伝達関数,ボード線図について学ぶ.周波数伝達関
数から正弦波入力を与えたときの定常状態での出力を求め
ることができる.ボード線図は制御系を設計する際に利用す
る.今週の授業内容は,制御系の応答を確認する際や制御
系を設計する際に重要なものである.
 周波数伝達関数を学ぶ
 ボード線図の概念を学ぶ
 積分要素のボード線図を学ぶ
 微分要素のボード線図を学ぶ
 1次遅れ要素のボード線図を学ぶ
 2次遅れ要素のボード線図を学ぶ
 むだ時間要素のボード線図を学ぶ
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周波数伝達関数(1)
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伝達関数G(s)で表される安定なシステムに,周波数w0の正弦波入力
u (t )  sin w0t
を加えると,十分長い時間がたった後,すなわち,定常状態において
出力は,
y (t )  G ( jw0 ) sinw0t  G ( jw0 )
となる.このように,出力は入力と同じ周波数w0をもつ正弦波になる.
ただし,その振幅は|G(jw0)|倍され,位相は∠G(jw0)だけ遅れる.
|G(jw0)|を周波数w0におけるゲイン,∠G(jw0)を位相角と呼ぶ.
w0をさまざまな値に変化させたときの入力u(t)と,出力y(t)の伝達関
数G(s) (0<w<∞)を周波数伝達関数,あるいは周波数応答と呼ぶ.こ
れは伝達関数G(s)においてs=jwとおいて得られるものである.
|G(jw)|をゲイン特性,∠G(jw)を位相特性と呼ぶ.
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周波数伝達関数(2)
例1:周波数1Hzの正弦波入力で,ゲインは0.5,位相角は0degの出力波形
y(t )  0.5 sin2t 
u(t )  sin2t 
例2:周波数1Hzの正弦波入力で,ゲインは1,位相角は180degの出力波形
u(t )  sin2t 
例1
1.5
y(t )  sin2t   
例2
位相角
0[deg]
位相角
180[deg]
ゲイン:1
1
ゲイン:0.5
1
0.5
0
0
-0.5
-1
-1.5
0.5
1
1.5
u(t)
y(t)
t
0
0
t
0.5
1
1.5
-1
u(t)
y(t)
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周波数伝達関数(3)
ここで入力u(t)から出力y(t)を導出しておく.入力u(t),出力y(t)のラプ
ラス変換をそれぞれU(s),Y(s)とおく.定常状態を考えると,
w0
K1
K2
Y ( s )  G ( s )U ( s )  G ( s ) 2


2
s  jw 0 s  jw 0
s  w0
が得られる.ただし,

w0 
G (  jw 0 )
K1  s  jw0 G ( s ) 2

2
2j
s  w 0  s   jw 0


w0 
G ( jw 0 )
K 2  s  jw0 G ( s ) 2

2
2j
s

w

0  s  jw 0
である.
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周波数伝達関数(4)
G(jw0)とG(-jw0)が,互いに共役な複素数であることに注意すれば,
K1
K2
j  G (  j w 0 ) G ( jw 0 ) 
Y (s) 

 

s  jw0 s  jw0 2  s  jw0 s  jw0 
G ( jw 0 )  G (  jw 0 ) 
1
 G ( jw 0 )  G (  jw 0 )
 2
w
 js
2  0

2
2
s  w0 

1
w0 ReG ( jw0 )  s ImG ( jw0 )
2
2
s  w0
となる.
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周波数伝達関数(5)
1
Y ( s)  2
w0 ReG ( jw0 )  s ImG ( jw0 )
2
s  w0
逆ラプラス変換すれば,
y (t )  ReG ( jw0 )sin w0t  ImG ( jw0 )cos w0t
ここで下記の公式を用いると,出力y(t)が得られる.
 sin    cos   2   2 sin   tan 1  /  
ただし,以下の関係を用いる.
ReG( jw0 )2  ImG( jw0 )2
1  ImG ( jw0 ) 

G ( jw0 )  tan 
 ReG ( jw0 ) 
G ( jw0 ) 
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周波数伝達関数(6)
例:1+s
s=jwと代入したとき,実部と虚部は,Re[G(jw)]=1,Im[G(jw)]=wとな
る.このとき,先の公式から,
G ( jw0 )  1  w 2
G ( jw0 )  tan 1 w
の関係を得る.
w=0.01のとき
G ( jw0 )  1  0.012
1
G ( jw0 )  tan 1 0.01
 0.57 deg
w=1のとき
w=10のとき
G ( j w0 )  1  1
 1.4
G ( jw0 )  1  102
 10
G ( jw0 )  tan 1 1
G ( jw0 )  tan 1 10
 45 deg
 84.3 deg
定常状態の出力は,このように明らかにできる.また,これらの関
係をグラフで表わしたものをボード線図と呼び,続けて説明する.
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ボード線図
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周波数伝達関数G(jw)のゲイン特性|G(jw)|と位相特性∠G(jw)を,周
波数wの関数として別々のグラフに図示したものをボード線図という.
横軸に角周波数wを対数目盛でとり,縦軸にゲインの対数量
g(w)=20log10|G(jw)| dBで表わしたものをゲイン曲線,また,別のグ
ラフに縦軸に位相角をf(w)=∠G(jw) degとして表わしたものを位相曲
線と呼ぶ.ボード線図は,広い範囲で詳細な特性を表わすことがで
きることから,フィードバック制御系の解析や設計において広く用い
られている.
積分要素,微分要素,1次遅れ要素,2次遅れ要素,むだ時間要素
のゲイン特性と位相特性の式,ボード線図を説明する.また,次回
予定でボード線図の折線近似,1次遅れ要素,2次遅れ要素のパラ
メータによるボード線図の違いや応答の違いを紹介する.
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ボード線図(積分要素)
積分要素G(s)=1/sに対してs=jwとおくことで,周波数伝達関数は,
G ( jw ) 
1
1
j
jw
w
となる.このとき,ゲイン特性と位相特性は以下のように求まる.
g (w )  20 log 10 G ( jw )  20 log 10
1
w
 20 log 10 w
 1/ w 
1
  tan     90 deg
 0 
位相[deg]
ゲイン[dB]
f (w )  G ( jw )  tan 1 
40
20
0
-20
-40 -2
10
0
-20dB/dec
10-1
100
101
-45
-90
10-2
-90[deg]
10-1
100
101
角周波数[rad/s]
つまり,ゲインはw=1のとき0であり,w
が10倍されるとき20dBだけ減少する.
102 通常,ゲイン特性の直線の傾きを表
わすために,[dB/dec]という単位を用
いる.よって,積分要素のゲイン特性
の傾きは-20dB/decである.一方,位
相は全体にわたって-90degである.
102
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ボード線図(微分要素)
積分要素G(s)=sに対してs=jwとおくことで,周波数伝達関数は,
G( jw )  jw
となる.このとき,ゲイン特性と位相特性は以下のように求まる.
g (w )  20 log 10 G ( jw )  20 log 10 w
1/ w 
1
  tan    90 deg
 0 
位相[deg]
ゲイン[dB]
f (w )  G ( jw )  tan 1 
40
20
0
-20
-40 -2
10
20dB/dec
10-1
100
101
つまり,ゲインはw=1のとき0であり,
傾きは20dB/decである.また,位相は
全体にわたって90degである.
102
90
90[deg]
45
0 -2
10
10-1
100
101
角周波数[rad/s]
102
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ボード線図(1次遅れ要素)
1次遅れ要素G(s)=1/(1+Ts)に対する周波数伝達関数は,
G ( jw ) 
1
1  j wT

1  jwT 1  wT 2
となる.Tを時定数と呼ぶ.このとき,ゲイン特性と位相特性は以下のように求まる.
g (w )  20 log 10
1
 20 log 10 1  wT 
2
1  wT 
2
位相[deg]
ゲイン[dB]
f (w )   tan 1 wT 
0
-10
-20
-30
-40 -2
10
0
T =1
-20dB/dec
10-1
100
101
wT<<1のときは,ゲインは0であり,w
に関係なく一定値となる.逆にwT>>1
のときには,g(w)=-20log10(wT)となり,
102
傾きは-20dB/decである.また,位相角
はw0のとき0degとなり, w∞のとき90degである. wT =1のとき-45degとな
る.
-45
-90 -2
10
10-1
100
101
角周波数[rad/s]
102
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ボード線図(2次遅れ要素)(1)
2次遅れ要素G(s)=wn2/(s2+2wn+wn2)に対する周波数伝達関数は,
G( jw ) 
w
n
wn
2

2
 w 2  j 2wnw

1
 j 2 w / wn 
1  w / w  
2
n
f (w )   tan 1
2 w / wn 
2
1  w / wn 
  2 w / w 
2 2
2
n
周波数が増加するにつれて,ゲイン曲
線は0dBの直線から-40dB/decの傾き
に,位相曲線は0degから-180degに変
化する.
位相[deg]

g (w )  20 log 10 1  w / wn 
ゲイン[dB]
となる.wnを固有角周波数,を減衰係数と呼ぶ.このとき,ゲイン特性と位相特性
は以下のように求まる.
0
-20
-40
-60
-80 -2
10
0
wn =1, =1
-40dB/dec
10-1
100
101
102
10-1
100
101
角周波数[rad/s]
102
-90
-180 -2
10
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位相[deg]
減衰係数の変化に対するボード線
図を下記に示す.減衰係数が小さい
とき固有角周波数のゲインにピーク
が現れる.
ゲイン[dB]
ボード線図(2次遅れ要素)(2)
40
0
-40
-80 -2
10
0
-40dB/dec
10-1
100
101
=0.01
=0.1
=0.5
=1
=2
102
=0.01
2次遅れ要素の例として,自動車の
=0.1
=0.5
-90
ショックアブソーバがある(2回目,3
=1
=2
回目資料参照).分子の係数は異な
-180 -2
るがゲイン曲線の形状は同じである
10
10-1
100
101
102
ことに注意する.
角周波数[rad/s]
自動車が走行する道路として,①細かいでこぼこ道と②ゆっくりとしたでこぼこ道
を考える.でこぼこ道から受ける力は外乱f=sinwtと考えることができ,①はwが大
きいことに,②はwが小さいことに対応する.が小さく,f(t)にw=wnの成分が含ま
れると,その成分の振動が増幅されるため,乗り心地が悪くなってしまう.そこで,
自動車の振動をやわらげるためには,車体重量に合わせて,バネ,ダンパ係数
を調整して,ゲイン特性に現れるピークを抑える必要がある.方法としては,望ま
しいバネ,ダンパ係数を持つアブソーバを使う方法(パッシブ制御)のほか,路面
の状況に合わせて,バネ,ダンパ係数を油圧や空気圧の力によって変化させる
方法(アクティブ制御)などがある.
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ボード線図(むだ時間要素)
むだ時間Lのむだ時間要素G(s)=e-sLにする周波数伝達関数は,
G( jw )  e jwL  cos wL  j sin wL
となる.このとき,ゲイン特性と位相特性は以下のように求まる.
g (w )  20 log 10
cos wL 2  sin wL 2
 0db
 sin wL 
  wL  (180 /  ) deg
cos
w
L


位相[deg]
ゲイン[dB]
f (w )  tan 1 
20
10
0
-10
-20 -2
10
0
L =1
10-1
100
101
L=1とした場合のボード線図を示す.
ゲインは常に0dBであり,位相はwに
比例して遅れる.
102
-90
-180 -2
10
10-1
100
101
角周波数[rad/s]
102
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課題
下記のシステムにu(t) =asinwt の入力を加えたときの時間応答y(t) を
求めよ.
G( s) 
1
1  5s
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周波数応答、ボード線図