平成23年度税制改正について
平成23年9月23日
公認会計士・税理士 鈴木 一正
(日本公認会計士協会近畿会 近畿税理士会 所属)
平成23年度税制改正の経緯
• 「所得税等の一部を改正する法律案」(平成23年1月25日国会提出)
• 3月11日の発生した東日本大震災による混乱から、国会審議進まず、
「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法」(ブリッジ法)
で6月末まで単純延長、及び「東日本大震災の被災者等に係る国税関係
法律の臨時特例に関する法律」(震災特例法)が4月27日に成立、公布
• 「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等
の一部を改正する法律案」(平成23年6月10日修正)
• 「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るため
の所得税法等の一部を改正する法律案」(平成23年6月10日国会提出)
• 後者が実質的な平成23年度税制改正法の確定版として、6月30日に成立、
公布
• 平成23年度税制改正の主内容を扱う前者は、継続審議中(平成23年8月末
現在:本年度中に成立するのか未定)
1
平成23年度税制改正大綱の主な改正案1
(単位:億円)
税 目
基本的考え方
•
•
•
法人税
•
消費税
課税ベースの拡大等により
財源確保を図りつつ、法人
税実効税率について、引下
げを行う。
厳しい環境に置かれている
中小法人に適用される軽減
税率も引き下げる。
雇用を増加させて企業を支
援するための税制、成長分
野である環境分野への投資
を促進するための税制、国
際的な企業立地競争の中で
我が国の魅力を向上させる
税制を講じる。
消費税を含む抜本改革に政
府は一刻も早く着手すべき
である。
主な改正ポイント
改正結果
•
1.法人税率の引き下げ
継続審議
•
2.減価償却制度の見直し
継続審議
•
3.欠損金の繰越控除制度の改正
継続審議
•
4.貸倒引当金制度の改正
継続審議
•
5.寄附金の損金算入限度額の引下げ
継続審議
•
6.会計上の変更及び誤謬の訂正に関
する制度への対応
改正
•
7.100%グループ内法人の税制見直し
改正
•
8.棚卸資産の切放し低下法の廃止
改正
•
9.法人税中間納付制度の改正
改正
•
10.雇用促進税制
改正
•
11.グリーン投資促進税制
改正
•
12.法人税の特別控除制度の廃止
改正
•
13.地球温暖化対策のための課税
継続審議
•
14.消費税の改正
税収の
流れ
改正
2
平成23年度税制改正大綱の主な改正案2
(単位:億円)
税 目
基本的考え方
•
•
所得税
高所得者有利の所得控除
の見直し等による課税ベー
スの拡大、さらには所得控
除から税額控除、給付付き
税額控除・手当への改革を
進める。
金融証券税制については、
金融資産の流動化や個人
金融資産の有効活用による
経済活性化の必要性から、
可能なところから金融所得
課税の一体化への取組みを
進める。
主な改正ポイント
改正結果
•
15.給与所得控除の縮減
継続審議
•
16.役員給与所得控除の縮減
継続審議
•
17.退職所得控除の見直し
継続審議
•
18.成年扶養控除の見直し
継続審議
•
19.金融証券税制
改正
•
20.既存住宅の改修工事に係る所得
税額控除の見直し
改正
•
21.e-Tax所得税額控除の見直し
改正
•
22.日本版プラント・ギビング信託の創
設
改正
•
23.年金所得者の申告手続の簡素化
改正
•
24.所得税の還付確定申告書の提出
期限の改正
改正
•
25.事業所等の移転があった場合の
源泉所得税の納税地の見直し
改正
•
26.金地金等の譲渡対価に係る支払
調書制度の創設
改正
•
27.一時所得の計算上控除する保険
料の明確化
改正
税収の
流れ
3
平成23年度税制改正大綱の主な改正案3
(単位:億円)
税 目
基本的考え方
28.相続税の課税ベース及び税率構
造の見直し
継続審議
•
29.死亡保険金非課税枠、未成年者
控除及び障害者控除の引上げ
継続審議
•
30.相続時精算課税制度の適用条件
の見直し
継続審議
•
31.相続税の連帯納付義務履行の延
滞税見直し
改正
•
32.非上場株式等に係る相続税・贈与
税の納税猶予制度の見直し
改正
高齢者層が保有する資産を
より早期に現役世代へ移転
させ、有効活用を通じて経
済社会の活性化を図る。
•
33.一般贈与について税率構造の見
直し
継続審議
•
34.住宅取得等資金の贈与に係る贈
与税の非課税措置
改正
納税環境の整備
•
•
•
•
•
•
•
•
35.納税者権利憲章の制定
36.税務調査手続の明確化
37.更正の請求
38.理由附記の明確化
39.市民公益税制
40.国際課税
41.震災特例法
42.その他
相続税
贈与税
•
その他
改正結果
•
課税ベースの拡大を図るととも
に、税率構造について見直しを
図ることで、再配分機能を回復
し、格差の固定化を防止する。
•
主な改正ポイント
税収の
流れ
継続審議
乃至改正
4
1.法人税 法人税率の引き下げ
現
改 正 案
行
年800万円超
年800万円以下
年800万円超
年800万円以下
普通法人
30%
―
25.5%
―
中小法人
30%
22%
(18%)
25.5%
19%
(15%)
※カッコ内は、租税特別措置法による時限措置としての軽減税率です。
なお、中小法人等で平成23年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了
する事業年度については、経過措置として現行の税率を適用します。
(実効税率の計算例)
法人税25.5%、法人住民税20.7%、法人事業税7.5%として
法人税率+(法人税率×法人住民税)+事業税
1+事業税
25.5%+(25.5%×20.7%)+7.5%
1+7.5%
= 35.6%(現行は40.7%)
ちなみに中小法人等の場合、利益800万円までは23.8%(現行は27.1%)
5
2.法人税 減価償却制度の見直し
現行:定率法の償却率=定額法の償却率(1/耐用年数)×2.5
改正:定率法の償却率=定額法の償却率(1/耐用年数)×2
【償却率表】
法定耐用年数
2年
3年
4年
5年
6年
7年
8年
9年
10年
11年
12年
定額法
0.500
0.334
0.250
0.200
0.167
0.143
0.125
0.112
0.100
0.091
0.084
定率法(改正前)
1.00
0.833
0.625
0.500
0.417
0.357
0.313
0.278
0.250
0.227
0.208
定率法(改正後)
1.00
0.667
0.500
0.400
0.333
0.286
0.250
0.222
0,200
0.182
0.167
(経過措置)
平成23年4月1日前開始事業年度については、当該事業年度中に取得した資産については、
250%定率法(現行の率)による償却ができます。
6
3.法人税 欠損金の繰越控除の見直し
(改正内容)
(1)控除額の制限
繰越控除をする事業年度の控除前所得の80%となります。
但し、中小法人は、現行通り、この所得制限はありません。
(2)控除期間の延長
繰越控除期間が現行の7年から9年に延長されます。
(適用対象)平成20年4月1日以後終了事業年度で生じた欠損金
中小法人には、デメリットはありません!
※中小法人等:資本金の額が1億円以下である会社等
7
4.法人税 貸倒引当金制度の改正
(改正内容)
(1)適用対象の制限
貸倒引当金制度について、適用法人を銀行、保険会社その他これらに
類する法人及び中小法人等に限定します。
中小法人は、現行通りです。
(2)経過措置
適用対象法人の平成23年度から平成25年度までの間に開始する各事業年
度については、現行法による損金算入限度額に対し、平成23年度は4分の3
、平成24年度は4分の2、平成25年度は4分の1の引当が認められます。
中小法人には、デメリットはありません!
※中小法人等:資本金の額が1億円以下である会社等
8
5.法人税 寄附金の損金算入限度額の引下げ
(改正内容)
(1)引下げ内容
一般の寄附金の損金算入限度額について、資本金等の額の1000分の2.5相
当額と所得の金額の100分の2.5相当額との合計の4分の1(現行2分の1)に、
資本等を有しない法人の場合には、所得の金額の100分の1.25(現行100分
の2.5)相当額に、それぞれ引き下げられます。
(2)特例
特定公益増進法人等に対する寄附金の別枠の損金算入限度額について、
一般の寄附金の損金算入限度額の縮減額と同額の拡充を行います。
特定公益増進法人への寄附では、損金算入額はかわりません。
※特定公益増進法人等:独立行政法人、日本赤十字社、
公益社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人、認定
NPO法人等
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6.法人税 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する
制度への対応
(改正内容)
会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の導入に伴い、次の措置
を講じます。
(1)陳腐化償却制度を廃止します。
(2)耐用年数の短縮特例について、国税局長の承認を受けた未経過使用可
能期間をもって耐用年数とみなすことにより、その承認後は未経過使用可能
期間で償却できる制度とします。
(3)確定申告書等の添付書類に過年度事項の修正の内容を記載した書類を
追加します。
過年度事項に誤謬があった場合、単純に前期損益修正とするだけではな
く、修正の内容を記載した書類作成が必要となり、事務処理が煩雑になり
ます。
平成23年度改正済みです。
10
7.法人税 100%グループ内の法人に係る税制見
直し
(改正内容)
平成22年度に導入されたグループ法人税制の円滑な遂行に向けての見直し
(1)100%グループ内の子法人が清算中もしくは解散予定の場合、あるいは
適格合併により解散予定の場合、その子法人の株式の評価損は認められま
せん。
(2)解散の場合に期限切れ欠損金の損金算入制度において、マイナスの資
本金等の額を期限切れ欠損金と同様に扱います。
(3)適格合併等の場合の欠損金の制限措置について、適格現物分配資産が
被現物分配法人の自己株式の場合には、制限の適用対象から除外されます
。
(4)外国法人が行う現物出資に関する税制適格要件が緩和されました。
(5)複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人に限って、中
小法人の特例を適用できなくなりました。
平成23年度改正済みです。
11
8.法人税 棚卸資産の切放し低価法の廃止
(改正内容)
棚卸資産の期末評価方法のうち、低価法については、時価が回復しても戻入
益を計上しない「切放し低価法」を廃止し、翌期首に戻入益を計上する「洗替
え低価法」のみとなります。
(経過措置)
平成23年4月1日以後に開始する各事業年度においては、同日以後最初に
開始する事業年度の前事業年度末の評価額をもって取得価額とする経過措
置が講じられます。
平成23年度改正済みです。
12
9.法人税 中間納付制度の改正
(改正内容)
法人税の中間納付制度について、仮決算による中間税額が全事業年度の確
定法人税額の12分の6を超える場合には、仮決算による中間申告書を提出で
きないこととします。
仮決算による中間申告書を提出し、予定以上の法人税を支払うことにより
、本決算時に還付加算金を受けようとすることを防止するための制度改正
と考えられます。
平成23年度改正済みです。
13
10.法人税 雇用促進税制(税額控除制度)
区
分
資本金1億円超の法人等
中小企業者等
対象法人
青色申告法人で、公共職業安定所長に雇用促進計画の届出を行った法人
適用要件
雇用保険一般被保険者数が対前年度比で下記①かつ②及び③の全ての要件を満たす
こと等の公共職業安定所長の確認を受けた場合
①10%以上増加
①10%以上増加
②5人以上増加
②2人以上増加
前事業年度及び等事業年度中に事業主都合による離職者がいないこと
当該企業の当該事業年度における支払給与額が、前事業年度における支払給与額より
も、以下の算式で算定された額以上に増加すること
給与増加額≧前事業年度の給与額×雇用者増加率×30%
税額控除額
増加一般保険者数×20万円
控除限度額
法人税額×10%
適用期間
平成23年4月1日~平成26年3月31日の開始事業年度
※ハローワークにより確認を受け交付される雇用促進計画等の書類を、法人税確定申告書に添付する必要があ
ります。
平成23年度改正済みです。
14
10(2).法人税 雇用促進税制(割増償却制度)
(創設内容)
次世代育成支援対策推進法の認定を受けた一定の青色申告法人は、その
有する建物等のうち一定のものについて普通償却限度額の32%の割増償却
ができる制度が新設されました。
(適用対象)
当該認定の日を含む事業年度及び当該認定に係る一般事業主行動計画の
期間内に新築をし、または増築もしくは改築をしたもの
自生代育成支援対策推進法とは、急速な少子化の流れを変えるため、地方
公共団体が地域行動計画を策定・公表するとともに、企業においても、従業
員数に応じて、従業員の仕事と子育ての両立を支援するための一般事業主
計画を策定し、都道府県労働局にその旨を届け出ることを義務付けるもので
す。
行動計画を策定実施し、一定の要件を満たすと、厚生労働大臣の認可を受
けることができ、企業のイメージアップや優秀な人材の確保が期待できるとさ
れています。
平成23年度改正済みです。
15
11.法人税 グリーン投資促進税制
(創設内容)
高効率な省エネ・低炭素設備や、再生可能エネルギーの設備投資を重点的に
支援する、グリーン投資税制が創設されました。
平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に、エネルギー起源CO2排
出削減または再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込まれる
設備等を取得し、1年以内に国内事業に供した場合、特別償却または税額控
除が認められます。
特別償却
税額控除
適用対象法人 青色申告書を提出する法人
青色申告書を提出する中小
企業者等
控除額
取得価額の7%(但し、当期の
法人税額の20%限度とし、控
除限度超過額については、1
年間繰越ができます)
取得価額の30%
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12.法人税 特別控除制度の廃止
(廃止内容)
(1)試験研究を行った場合の特別控除制度
(2)エネルギー需給構造改革推進投資促進税制の廃止
(3)中小企業等基盤強化税制の廃止
廃止対象
廃止内容
試験研究の特別控除
試験研究を行った場合の特別控除の制度につい
て、当該事業年度の所得に対する法人税額から控
除する限度額が、法人税額の30%とされていまし
たが、20%になります。
エネルギー需給構造改革 この制度は平成24年3月31日をもって廃止され、
推進投資促進税制
グリーン投資促進税制が創設されます。
中小企業基盤強化税制
この制度(事業基盤強化設備を取得した場合の特
別償却または税額控除制度、及び中小企業者等
の教育訓練費の総額に係る税額控除制度)が平
成24年3月31日をもって廃止され、中小企業投資
促進税制の対象として、ソフトウエアが加わります。
17
13.消費税 地球温暖化対策のための課税
(制度の創設)
地球温暖化対策のため、石油石炭税に上乗せ税率が創設されます。
(経緯)
平成22年6月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、地球温暖化対策
等を強力かつ十分に推進することにより、エネルギー期限CO2を平成42年まで
に30%削減もしくはそれ以上の削減を目指しています。その実現に向けて、税
制においても対策を強化すべく、上乗せ税率特例が創設されます。
具体的には、石油石炭税に、「地球温暖化のための課税の特例」を設け、CO2
排出量に応じた税率が上乗せされます。税率引き上げは、平成23年10月から3
段階で実施されます。
18
14.消費税 免税事業者の要件見直し
前々期
売上900万
前期
当期
翌期
売上3000万
売上3000万
← 免税 →
← 免税 →
← 課税 →
■適用時期:平成24年10月1日以降開始する
事業年度から適用。(改正済み)
前々期
売上900万
前期
当期
売上3000万
売上3000万
← 免税 →
← 課税 →
翌期
← 課税 →
課税売上が、上半期で1,000万円を超える場合には、翌
期から課税事業者とする。
19
14(2).消費税 95%ルールの見直し
(現行)法人の規模を問わず、課税売上割合が95%以上の場合に、課税仕入
に係る消費税額の全額仕入税額控除が可能であった。
(改正)その課税期間の課税売上高が5億円以下の事業者に限り適用。
課税売上高が5億円を超える事業者は、非課税売上に係る課税仕入
については、仕入税額控除ができない。
■適用時期:平成24年4月1日以降開始する課税期間から適用される(改正済
み)。
(個人事業者の場合、25年12月期から)
(対策)課税売上高を5億円以下に抑える。超えそうな場合には、分割を図る。
20
15.所得税 給与所得控除の見直し①
1. 給与所得控除の上限設定
年収1,500万円超 → 給与所得控除245万円を上限
<現行>
給与収入
給与所得控除額
1,000万円
220万円
1,500万円
245万円
2,000万円
270万円
3,000万円
320万円
245万円で打ち止め
2. 役員給与に係る給与所得控除の見直し
年収2,000万円超の役員 → 給与所得控除を減額
<改正>
役員給与等の収入金額 [A]
給与所得控除額
1500万円超、2000万円以下
245万円
2,000万円超2,500万円以下
245万円-([A]-2,000万円)×12%
2,500万円超3,500万円以下
185万円
3,500万円超4,000万円以下
185万円-([A]-3,500万円)×12%
4,000万円超
125万円
21
16.所得税 給与所得控除の見直し②
■給与所得者(一般従業員)の増税額
■負担税額の増加
給与収入額(千円)
給与所得控除額(千円) 給与所得控除額(千円)
改正前
改正後
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
※所得税40%+市民税10%として試算
2,450
2,700
2,950
3,200
3,450
3,700
2,450
2,450
2,450
2,450
2,450
2,450
増税額(円)
0
107,500
250,000
375,000
500,000
625,000
■役員給与所得者の増税額
■負担税額の増加
給与所得控除額(千円) 給与所得控除額(千円)
改正前
改正後
15,000
2,450
2,450
20,000
2,700
2,450
25,000
2,950
1,850
30,000
3,200
1,850
35,000
3,450
1,850
40,000
3,700
1,250
※所得税40%+市民税10%として試算
給与収入額(千円)
増税額(円)
0
107,500
550,000
675,000
800,000
1,225,000
22
16(2).所得税 給与所得控除の見直し③
いわゆる、個人事業主との課税の不均衡を是正し、二重控除を解消するための抜本的措置として労入されました。
給与所得控除については、「勤務費用の概算控除」と「他の所得との負担調整のための特別控除」の二つの性格を
有しています。しかし、給与所得者が就業者に占める割合が9割となり、他の所得との調整が求められる必要性は薄
れています。また、現在の給与所得では、概括して、給与収入総額の3割程度が控除されている一方で、給与所得
者の必要経費は給与収入の6%程度との試算もあり、主要国比較でも高い水準となっています。このため、格差是正
・所得再配分機能回復の観点から、過大となっている控除を適正化するための見直しが行われました。
具体的には、給与所得控除について、給与所得者の必要経費が収入の増加に応じて増加するとは考えられないこ
とから、給与収入1500万円超の場合には、上限額を設けました。法人役員については、勤務態様が必ずしも従属的
ではなく、給与の自己決定程度も高いことから、高額な役員給与については、他の所得との調整部分が課題と考えら
れることから、4000万円超という給与収入の場合には、勤務費用の概算部分である、給与所得控除額の二分の一が
上限とされました。
(節税の対策ポイント!)
①1500万円以上の給与水準の場合、同じ給与額であっても、従業員と役員では、役員のほうが給与所得控除額が
少なく設定されています。(増税幅が大きく設定されています。)
②特定支出控除の範囲の拡大が行われたので、その部分を活用します。通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰
宅旅費に加え、図書費、衣服費、交際費及び職業上の団体の経費(勤務必要経費)も、特定支出の範囲に追加され
ました。勤務必要経費は65万円の上限がありますが、特定支出の適用判定基準が、給与所得控除額の二分の一と
なります。
①従業員成りをすることで、給与所得控除額を増やすことが可能です。
②特定支出控除額を活用し、控除額全体を増やすことが可能です。
③会社を2つ以上、作ります。
23
17.所得税 退職所得課税の見直し
■現行の退職所得の概要
(収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額
※退職所得控除額
勤続年数
退職所得控除額
20年まで
1年につき40万円
20年超
1年につき70万円
勤続30年の場合 40万円×20年+70万円×10年=1,500万円
※最高税率25%
■改正案
勤続期間5年以下の役員退職手当等は2分の1課税を廃止
24
17(2).所得税 退職所得課税の見直し②
退職給与所得は、長期間にわたる勤務の対価が一時的に纏めて後払いされるものであり、退職後
の生活保障的な所得であることから、退職所得控除額を控除した残額の二分の一を所得金額とす
る累進緩和措置が取られています。しかし、勤労者の就労形態は多様化し、二分の一課税を前提
に、短期間のみ在職することが当初から予定されている法人役員等が、給与の受取を繰延べて高
額な退職金を受取ることにより、税負担等を回避する事例が指摘されていました。そこで、改正が行
われました。
(節税の対策ポイント!)
①退職所得課税が見直されたのは、役員等に係る退職所得です。ここでいう役員等とは、法人税法
第2条15号に規定する役員、国会議員及び地方議会議員、国家公務員及び地方公務員です。
②役員等に対し、在任5年以内に支払われる退職金には2分の1課税が適用されません。
③死亡退職金の形式を取ることにより、みなし相続財産の枠の中で、退職所得と扱わないことができ
ます。
①役員から外れることで、退職所得に対し2分の1課税適用を免れます。
②在任期間を5年超にするよう、早めに役員に就任します。
③死亡退職金の形式をとります。
25
18.所得税 成年扶養控除の見直し
(現行)扶養親族のうち、年齢23歳以上70歳未満の1人につ
き一律38万円の所得控除
・合計所得金額400万円超の居住者が有する成年扶養親族
(特定成年扶養親族以外)は原則、控除対象外
<負担調整措置>
38万円-(合計所得金額-400万円)×38%
・特定成年扶養親族は控除対象
① 年齢65歳以上70歳未満の者
② 心身の障害等の事情のある者
③ 勤労学生
26
18(2).所得税 成年扶養控除の見直し②
扶養控除については、平成22年改正により、以下の二つについては既に廃止されています。
①扶養親族のうち、16歳未満の年少扶養親族に係る所得税38万円と住民税33万円の年少扶養控
除
②特定扶養親族のうち、16歳以上19歳未満の者に係る扶養控除の所得税25万円、住民税12万円
の上乗せ部分
扶養親族とは、その年の12月31日現在で、以下の要件のすべてに当てはまる人です。23歳から69
歳までの成年扶養親族も、この要件を満たせば、扶養控除の対象となります。
(要件)配偶者以外の親族等から用語を委託された老人である。納税者と生計を一にしている。年間
の合計所得金額が38万円以下である。青色申告者または白色申告者の事業専従者として、給与支
払い受けていないこと。
居住者が次に掲げる成年扶養親族(扶養親族中、23歳以上70歳未満の者)を有する場合には、居
住者のその年の総所得から、成年扶養親族一人につき、所得税38万円、住民税33万円を控除しま
す。
(要件)特定成年扶養親族、特定成年扶養親族以外の成年扶養親族
特定成年扶養親族とは、成年扶養親族中、次に掲げる者を言います。
(要件)年齢65歳上70歳未満の者、心身の障害等の事情を抱える者、勤労学生控除の対象となる学
校等の学生、生徒等
(節税の対策ポイント!)
①居住者が抱える成年扶養親族を有する場合、居住者の所得が400万円以下の場合には、被
扶養者に係る成年扶養控除が受け続けられます。
27
19.所得税 金融証券税制
改正項目
改正点(平成23年度改正済み)
上場株式等の軽減税率延
長
上場株式等の配当・譲渡所得に係る10%軽減税率(所得税7%、
住民税3%)の適用期限が2年延長されます。
日本版ISAの延長
非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得
等の非課税について施行を2年延長し、対象株式等の範囲が拡
大されます。
先物取引の損失繰越控除
の拡大
店頭金融デリバティブ取引に係る所得については、市場金融デ
リバティブ取引に係る所得と同様に申告分離課税(20%)としたう
えで、通算及び損失額の3年間の繰越控除が可能になります。
分離課税の対象とならない
大口株主の改正
上場株式等に係る配当所得の分離課税等の対象とならない大
口株主等の発行済株式の保有割合の要件が、5%から3%に引
き下げられます。
特定口座へ受け入れができ
る上場株式等の範囲の改正
特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例
等について、特定口座に受け入れることが出来る上場株式等の
範囲が拡充されました。
28
19(2).所得税 金融証券税制 上場株式
(背景)
金融証券税制については、個人金融資産を有効に活用し、我が国経済を活
性化させるためにも、金融所得間の課税方式の均衡化と損益通算の範囲拡
大を柱とする金融所得課税の一本化に向けた取り組みを進めるとされていま
す。
しかし、景気回復に万全を期すため上場株式等の配当・譲渡所得に係る10
%軽減税率の適用期限が2年間延長されました。
(節税のポイント!)
平成26年度からの本則課税までは、上場株式の配当等の10%軽減税率
が利用できます。この場合、所得税率との兼ね合いで、総合課税で配当
控除を申告する場合と、申告分離課税のままで配当を別途申告しない場
合とでは、損得が分かれます。
課税総所得の合計が、330万円以上であれば、申告しない方が得です。
29
19(3).所得税 金融証券税制 日本版ISA
(背景)
当初、平成24年度から実施予定の上場株式等に係る税率の20%本則課税
にあわせ、非課税口座内の少額上場株式等に係る配当・譲渡所得等に非課
税措置が導入されるはずでした。
①配当所得等の非課税措置、②譲渡所得等の非課税措置、③非課税口座
開設届出書の提出、④非課税口座年間取引報告書の提出
ところが、上場株式の配当・譲渡等所得に係る税率の本則課税の延期に合わ
せ、日本版ISAの導入も延期されました。
(節税のポイント!)
導入までは、上場株式の軽減税率を活用しましょう。
日本版ISAは非課税投資額の上限が、口座開設年に新規投資額で100
万円で、最大3年間で300万円です。
30
19(4).所得税 金融証券税制 先物取引
(背景)
市場デリバティブ取引は、申告分離課税であるのに対し、店頭デリバティブ取
引等は総合課税となっていることから、同一の経済的性質の取引には、同一
の課税が行われるべきという考え方により、店頭デリバティブ取引に係る所得
にも20%申告分離課税としたうえで、通算及び損失額の3年間繰越控除を認
めました。
①従来からの先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び先物取引の差金
等決済に係る損失の繰越控除の対象に、②商品先物取引法に規定する店
頭デリバティブ取引の差金等決済、金融商品取引法に規定する店頭デリバ
ティブ取引の差金等決済、等が追加されました。
(節税のポイント!)
先物だけではなく、いわゆるOTC物のデリバティブによる取引についても
、申告分離課税と損失の繰越控除が認められましたので、従来に比べ、
課税所得の算出に与える裁量の余地が大きくなっています。
31
19(4).所得税 金融証券税制 大口株主
(背景)
上場株式による配当については、会社法の少数株主権の制度との整合性及
び所得再配分機能の回復の観点から、会社経営に参画する持分としての事
業参加的側面が強いことを勘案し、金融所得として分離課税することは必ず
しも適当ではなく、事業所得とのバランスを踏まえ、総合課税の上、配当税額
控除により法人税との負担調整を行うこととしました。
その結果、上場株式等に係る配当所得の分離課税の対象とならない大口株
主等の要件が、持株比率5%以上から3%以上へと引き下げられることになり
ました。
(節税のポイント!)
従来の分離課税(20%)から総合課税(最高税率50%)へ変更されること
に伴い、高額配当所得者の税負担が増加します。これを抑えるためには
、個人持株比率の減少か、発行済株式総数の増加を図ることが考えられ
ます。
32
19(5).所得税 金融証券税制 特定口座
特定口座は、個人投資家の納税手続の負担を軽減するために設けられた制度ですが、一部の上場
株式等については、特定口座へ受け入れることが出来ないため、個人投資家は自ら確定申告をす
る必要がありました。今般の改正で、特定口座内保管上場株式等について、
株式で金融商品取引所に上場されているもの、店頭売買登録銘柄株式、店頭転換社債型新株予
約権付社債、外国金融商品市場において売買されている株式等、のほかに、以下が追加されまし
た。
①相互会社の株式化に伴い発生した上場株式
②株式無償割当により取得した上場株式
③新株予約権無償割当により取得した上場新株予約権
④特定口座内保管上場株式等である新株予約権の行使による取得した上場株式
⑤非適格ストックオプションの権利行使により取得した上場株式
⑥被相続人等の持株会口座から相続等により取得した状況株式等
(節税のポイント!)
確定申告の事務負担が減少しますので、特定口座の利用が増えやすく
なるでしょう。
33
20.所得税 既存住宅の改修工事に係る所得税額
の控除等の見直し
(改正内容)
既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除等については、バイアフリー改
修工事の証明のある工事費用が30万円を超える等の一定の要件を満たす工事の場合、または省エ
ネ改修工事の証明のある工事費用が30万円を超える等の一定の要件を満たす工事の場合、バイア
フリー改修工事費用額と標準的工事費用額のいずれか少ない額(200万円が限度)の10%相当額、
または省エネ改修工事と標準的工事費用のいずれか少ない額(200万円が限度、太陽光発電装置
の設置の場合、300万円が限度)の10%相当額の税額控除が受けられますが、この控除額について
見直しが行われたうえで、適用期限が2年延長されます。
(1)バイアフリー改修工事
税額控除額の上限額(現行20万円)について、平成23年は20万円とし、平成24年は15万円とされま
す。
(2)省エネ改修工事・住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等
税額控除額の計算の基礎となる省エネ改修費用の額について、補助金等の交付がある場合は、当
該補助金等の額を控除した後の額とされます。
(3)既存住宅の耐震改修工事
対象となる地域の要件を廃止するとともに、補助金の交付がある場合は、当該補助金等の額と控除
した後の金額とされます。
平成23年改正済み。ポイントは、合計所得金額が3000万円を超える年の分、及び前年度の所
得税についてこの控除を適用している場合については、税額控除が受けられない点です。
34
21.所得税 e-Tax所得税額控除の見直し
(改正内容)
電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の
特別控除について、税額控除額(現行:5,000円)を、平成23年分は4,000円、
平成24年分は、3,000円に引き下げた上で、その適用が2年間延長されます。
e-Taxを利用し、税額控除の適用を受けるためには、事前に以下の作業
が必要となります。
・電子証明書の取得、ICカードリーダーライターの取得、電子申告・納税
等開始届出書の提出、e-Taxソフトのインストール
平成23年改正済み。
35
22.所得税 日本版プランド・ギビング信託の創設
(創設内容)
個人の寄附者と学校法人、公益社団・財団法人等の非営利団体との間を繋
ぐ寄附仲介機能を強化する観点から、これらの非営利団体に対しての寄附を
目的とする、一定の要件を満たした信託(特定寄附信託)について、信託財
産から生じる利子所得を非課税とする制度が創設されました。
特定寄附信託契約とは、居住者等が信託業務を営む金融機関等と締結
した、当該居住者等を受益者とする信託契約で、特定寄附金の対象とな
る公益社団法人、公益財団法人又は認定NPO法人等(公益法人等)へ
の寄附を行うことを主たる目的とするものをいいます。
所定の適用要件及び非課税申告書の提出、信託契約書の提出が必要
です。
平成23年改正済み。
36
22(2).所得税 日本版プランド・ギビング信託
全体図
寄
附
者
(
委
託
者
兼
受
益
者
)
金銭を信託
⇒運用による利子は非課税
金銭交付(3割が限度)
受
託
者
(
信
託
銀
行
)
毎年、一定割合
で金銭を交付
⇒寄附金控除の対象
寄
附
先
(
非
営
利
団
体
)
活動実績を報告
個人寄附者と非営利団体との間を繋ぐ寄附仲介機能を強化する
観点から、非営利団体に対する寄附を目的とする『信託』につい
て、寄附金控除の適用をします。
(ポイント!)信託財産のみならず、財産の運用から生じる利子・
配当等の果実も非課税になります。
37
22(3).所得税 日本版プランド・ギビング信託
①信託財産からの寄附は、公益法人等に対してのみ行うものであること。
②信託契約期間中の各年に信託財産から寄付される金額は、当初信託元本額を信託契約期間の
年数で除した金額と当該寄附をする日までの間に生じた利子の合計額とされていること。
③信託契約期間中に信託財産から委託者に金銭の交付をする場合には、その交付される金銭の
額は当初信託元本額の30%を限度とし、かつ、信託契約期間に渡って各年均等に交付されるもの
であること。
④信託の受託者がその信託財産として受け入れる財産は、金銭に限られるものであること。
⑤信託の信託財産の運用は、次に掲げられるものであること。
•
預貯金
•
国債、地方債、特別の法律により法人の発行する債券または貸付信託の受益権の取得
•
合同運用信託の信託
⑥信託財産を寄附する日の前日までに、信託の受託者がその寄附を受ける法人等との間で寄附に
関する契約を締結していること。
⑦信託は、合意による終了ができないものであること。
⑧信託の受益権は、譲渡または担保提供ができないこと。
⑨委託者が死亡した場合には信託は終了し、その信託財産はすべてを公益法人等に寄附すること
とされていること。
⑩信託の計算期間は、1月1日から12月31日までとされていること。
38
23.所得税 年金所得者の申告手続の簡素化
(改正内容)
年金所得者の申告手続が次のとおり改正されます。
(1)確定申告不要制度の創設
年金収入が400万円以下で、かつ、年金以外の他の所得が20万円以下の者
について、申告不要制度が創設されます。
(2)控除対象の範囲の拡充
年金所得者に係る源泉徴収税額の計算における控除対象として、人的控除
の範囲に寡婦(寡夫)控除が追加されます。
高齢化社会に対処するための、申告手続の簡素化に係る課税の適正化
措置。年金所得者には年末調整制度が無いことから、確定申告により税
額の精算を行う必要があり、大きな事務負担となっていましたが、給与所
得者とのバランスを考え、今回の改正となりました。
(ポイント!)仮に、納税額が発生したとしても、非課税になります。
平成23年改正済み。
39
23(2).所得税 年金所得者の申告手続の簡素化
①年金所得者に係る源泉徴収税額の計算
源泉徴収税額=(公的年金の支給金額‐控除額)×5%
②控除額は、次の算式により計算した金額となります。
控除額=(基礎的控除額+人的控除額)×月数(その支給金額の計算の基礎となった期間の
月数)
基礎控除額
受給者区分
控除額
65歳以上
公的年金等の支給金額の月割額×25%+65,000円(135,000円以下の場合には、
135,000円)
65歳未満
公的年期等の支給金額の月割額×25%+65,000円
(90,000円以下の場合には90,000円)
人的控除額
区分
内容
本人に関するもの
(a)障害者に該当
一般の障害者
22,500円
同上
特別障害者
35,000円
(b)控除対象配偶者がいる場合
一般の控除対象配偶者
32,500円
同上
老人控除対象配偶者
40,000円
(c)扶養親族がいる場合
一般の扶養親族1人につき
32,500円
同上
老人扶養親族1人につき
40,000円
同上
特定扶養親族1人につき
52,500円
(d) (b)及び(c)の者が障害者
一般の障害者1人につき
22,500円
同上
特別障害者1人につき
35,000円
控除対象配偶者
及び扶養親族に
関するもの
控除額
40
24.所得税 還付確定申告書の提出期間の改正
(改正内容)
所得税の申告義務のある者の還付申告については、その提出期間の始期が
翌年の1月1日とされます(現行:2月15日)。
納税者にとっては早期の還付手続が可能となり、実務家にとっては確定
申告の繁忙期を避けた申告業務が可能になります。
(ポイント!)還付金そのものも、早期に入金されることが期待できます。
平成23年改正済み。
41
24(2).所得税 還付確定申告書の提出期間の改
正
申告義務☆
申告類型
提出期間
有
納付申告
翌年2月16日~3
月15日
有
還付申告
翌年2月16日~3
月15日
翌年1月1日~3月
15日
無
還付申告
なし
(翌年1月1日から
提出可能)
☆年末調整を行っている給与所得者を除き、その年分の所得
税額のある者は、納付申告・還付申告に関わらず原則として、
確定申告書を提出しなければなりません。
42
25.所得税 事業所等の移転があった場合の源泉
所得税の納税地の見直し
(改正内容)
事業所等の移転があった場合には、移転後の事務所等の所在地の所轄税
務署が課税処理を行うこととなります
(現行:源泉所得税の納税地は、給与等を支払った事務所等の所在地とされ
ています。移転前に支払われた給与等に係る調査・納税告知等の課税処理
は、移転前の事務所等の所在地の税務署が行うこととされていました)。
納税者の利便性や、税務署の事務迅速性が増します。
(ポイント!)わざわざ移転前の税務署に、資料を提出するなどの煩雑な
手続きが不要となります。
平成23年改正済み。
43
26.所得税 金地金等の譲渡対価に係る支払調書
制度創設
(創設内容)
金地金及び白金地金の譲渡対価(200万円超)の支払いをする者に対し、所
轄税務署長へ支払調書を提出する義務が課せられることになります。
平成24年1月以降、貴金属商及び古物商等に該当する事業者は、犯罪
収益移転防止法だけでなく、税法によっても、1回の取引における譲渡対
価が200万円を超えるものについては本人確認及び支払調書の提出が
義務化されます。
(ポイント!)一回の取引額を200万円未満に抑えれば、税務署に把握さ
れることはありません。
平成23年改正済み。
44
26(2).所得税 金地金等の譲渡対価に係る支払
調書制度創設
①対象となる商品
金地金及び白金地金(金貨、白金貨を含む。)
地金とは、金属を貯蔵し易いような形で固めたもの。金属塊。インゴッド、バー
ともいわれています。
②提出義務者
個人に対して金地金又は白金地金の譲渡対価の支払いをする者(貴金属商
、古物商など)
③提出基準
一回の取引における金地金及び白金地金の譲渡対価が200万円を超える者
居住者または国内に恒久的設備を有する非居住者に対して、金地金等
の譲渡対価の支払いをする者は、その支払金額等を記載した支払調書
を、その支払いの確定した日の属する翌月末日までに、その支払をする
者の所在地の税務署長に提出しなければなりません。
45
27.所得税 一時所得の計算上控除する保険料の
明確化
(創設内容)
満期保険金に係る一時所得の計算上、その支払を受けた金額から控除でき
る事業主が負担した保険料は、給与所得課税が行われたものに限られること
が明確化されます。
養老保険を利用して関係法人から役員に資金移転する租税回避が行わ
れていることを踏まえ、これを適正化するため、満期保険金に係る一時所
得の計算上、その支払を受けた金額から控除できる事業主負担保険料は
、給与所得課税が行われたものに限られることが明確化されました。
平成23年改正済み。
46
27(2).所得税 一時所得の計算上控除する保険
料の明確化
満期保険金の支払いを受けた場合の一時所得の計算では、その支払を受けた金額か
ら、その保険契約に係る保険料の総額を控除することとされています。控除される保険
料は、満期保険金を取得した者本人が負担したものに限られるべきですが、それ以外
の者が負担していたものも含まれるのか、法令上は明らかでありませんでした。
福岡地裁・福岡高裁は、満期保険金を取得した者以外の者が負担した保険料も一時
所得の計算において控除されると判断しましたが、国税不服審判所では、満期保険金
を取得した者が負担した保険料に限り控除されると判断したことから、現在のところ、裁
判所と審判所とでは見解が異なっています。
今回の税制改正では、個人が支払を受けた生命保険契約に基づく一時金に係る
一時所得の金額の計算上、その支払を受けた金額から控除することが出来る事業
主が負担した保険料は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限られるこ
とが法令に規定されます。
47
28.相続税 基礎控除引き下げと税率構造見直し
(1)基礎控除の引き下げ
5,000万円+1,000万円×法定相続人
⇒ 3,000万円+600万円×法定相続人
(2)相続税の最高税率の引き上げ
(3)相続税の税率構造の見直し
法定相続分の各相続人の取得価額
1,000万円以下
現
行
改正案
10%
10%
1,000万円超
3,000万円以下
15% - 50万円
15% - 50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20% - 200万円
20% - 200万円
5,000万円超
1億円以下
30% - 700万円
30% - 700万円
1億円超
2億円以下
2億円超
3億円以下
3億円超
6億円以下
6億円超
40% - 1,700万円
50% - 4,700万円
40% - 1,700万円
45% - 2,700万円
50% - 4,200万円
55% - 7,200万円
48
28(2).相続税 改正前後の相続税の試算
• 一次相続
(相続人は配偶者と子2人で、法定相続分により相続したものとして相続税額を計算)
相続税の
課税価格
現
行
改正案
増加額
1億円
100万円
315万円
+215万円
3億円
2,300万円
2,860万円
+560万円
5億円
5,850万円
6,555万円
+705万円
10億円
1億6,650万円
1億7,810万円
+1,160万円
49
28(3).相続税 改正前後の相続税の試算
• 二次相続
(子2人・配偶者が相続した一次相続分がそのまま二次相続されると仮定)
相続税の
課税価格
現
行
改正案
増加額
5,000万円
0円
80万円
+80万円
1億5,000万円
1,200万円
1,840万円
+640万円
2億5,000万円
4,000万円
4,920万円
+920万円
5億円
1億3,800万円
1億5,210万円
+1,410万円
50
28(4).相続税 改正前後の相続税の試算
• 一次相続・二次相続合計
(前記設例の合計額)
相続税の
課税価格
現
行
改正案
増加額
1億円
100万円
395万円
+295万円
3億円
3,500万円
4,700万円
+1,200万円
5億円
9,850万円
1億1,475万円
+1,625万円
10億円
3億450万円
3億3,020万円
+2,570万円
51
28(5).相続税 対策
(政府税調)
格差是正の観点から、相続税の課税ベース、税率構造の見直しを目指す。見直しに当っては、我が
国社会の安定や活力に不可欠な中堅資産家層の育成や事業の円滑な承継等に配慮しつつ、本人
の努力とは関係ない大きな格差が固定化しない社会の構築や課税の公平性に配慮すべきです。
(大綱の考え方)
相続税は格差税制・富の再配分の観点から重要です。即属税の基礎控除は、バブル期の地価高
騰による相続財産の価格上昇に対応した負担調整を行うために引上げられてきました。しかし、その
後、地価は下落を続けているにも拘わらず、基礎控除の水準は据え置かれたため、相続税は亡くな
った人の数に対する課税件数の割合が4%程度に低下してしまいました。最高税率の引下げを含む
税率構造の緩和も行われてきた結果、相続税の再分配機能が低下しています。地価動向等を踏ま
えた基礎控除の水準調整を始めとする課税ベースの拡大を図るとともに、税率構造の見直しを図る
ことで、相続税の再分配機能を回復し、格差の固定化を防止する必要があります。
相続税の増税は早晩避けられないとみるべきです。特に、法人税減税の肩代わりとしての富裕
層課税は、避けられません。現政権では、資産再配分の観点から、極めて高い高額の遺産を
取得する層を中心に負担を求める、及び、相続税の課税対象となる資産保有層全般に渡って
幅広く負担を求める、との考え方が支配的であり、その方向に沿った改正が今後も続きます。
(節税ポイント!)相続税は、政権の考え方が反映され、相続時の税制を見極めることが困難で
す。相続時という確定できない時期の税制を想定するのではなく、確定した現時点での税制に
基づき、生前贈与を行うことが最も効果的です。その際、贈与税の非課税枠にとらわれることな
く、想定される相続税率との比較して低い贈与税率に収まる範囲で積極的に贈与をしましょう。
52
29.相続税 死亡保険金 未成年者・障害者控除
死亡保険金の非課税限度の対象者限定
×
500万円
法定相続人
の“数”
非課税限度額
“数”に加える対象者を限定
未成年者・障害者又は相続
開始直前に被相続人と生計
を一にしていた者に限る
未成年者控除・障害者控除の引き上げ
・未成年者控除
現 行
20歳までの1年につき6万円
改 正 案
20歳までの1年につき10万円
・障害者控除
現 行
85歳までの1年につき6万円
改 正 案
85歳までの1年につき10万円
53
29(2).相続税 死亡保険金 未成年者・障害者控除
(大綱の考え方)
死亡保険金の相続税非課税制度は、昭和26年制定されました。しかし、死亡保険金の非課税措置
については、「相続人の生活安定」という制度趣旨の徹底の必要性や他の金融商品との間の課税の
中立性確保の要請を踏まえ、算定の基礎となる法定相続人の範囲を縮減されることとなりました。税
制調査会では、「相続人の生活の安定」という制度趣旨に照らせば、未成年者や障害者といった真
に配慮が必要な相続人に係る相続事案のみを対象とする方向で見直しを行うことが考えられるとの
議論が行われました。この結果、法定相続人の数への算入は、未成年者・障害者・相続開始以前に
被相続人と生計を一にしていた者とされました。
また、相続税額から一定額を差し引く未成年者控除・障害者控除については、控除額が長年にわた
って据え置かれており、物価動向や今般の相続税の基礎控除額等の見直しを踏まえ、引き上げるこ
ととされました。
(節税ポイント!)
従来、相続税対策の大きな柱であった死亡保険金の非課税制度が大きく変わりました。今後は
、非課税という枠の点からはあまり大きなメリットは享受できなくなりますが、相続財産を構成しな
いという点からは、従来通りのメリットが享受できます。保険を利用した節税対策を練る場合には
、まずその相続財産除外のメリットを使いましょう。
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30.相続税 相続時精算課税制度の要件緩和
(1) 贈与者の年齢の引き下げ
贈与年元日で65歳以上の親 → 60歳以上の父母または祖父母
(2) 受贈者の範囲の追加
贈与年元日で20歳以上の子供 →20歳以上の孫を追加
(注) 相続時に相続財産として加算
孫は2割加算の適用がある。
一度選択すると贈与者が亡くなるまで暦年の贈与制度
に戻れない。
【相続時精算課税制度】
贈与時に、累計2500万円超について20%の贈与税を納め、その贈与者が亡
くなった時に、先行贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した
金額を基に計算した相続税額から、既に納めた贈与税相当額を控除するこ
とにより、贈与税・相続税を通じた納税を行うもの
55
30(2).相続時精算課税制度の使い方
(大綱の考え方)
子や孫などが受贈者となる場合の贈与税の税率構造の緩和、受贈者に孫を加えるなど相続時精算
課税制度の対象範囲の拡大を行い、高齢者の保有資産の若年世代への早期移転を促し、消費拡
大や経済活性化を図ります。暦年贈与での税率軽減だけでなく、相続時精算課税での受贈者に孫
を加えることでの若年世代への早期移転を促進します。
相続時精算課税贈与は、課税価額2500万円まで非課税で、超えても20%の税率で贈与が可
能です。よって、相続財産が基礎控除額以下の場合、無税で贈与可能です。また、相続時に
相続在の課税対象となるのは、贈与時の価格です。よって、将来値上がりする資産、収益を生
む資産を先行して贈与することのより、将来の相続財産を軽減することが可能です。
さらに、若い世代に資産を早期に承継させることにより、その運営や経営について、早期に訓
練教育することもできるでしょう。
(節税のポイント!)
①孫は、受贈者として相続税の納税義務者になります。つまり共同相続人になります。
②孫の相続税は、2割加算がされます。つまり通常より多い相続税を負担します。
③孫への相続時精算課税贈与は、納税資金や収益資産をセットにして行います。納税資金に
ついては、贈与後、管理が必要となるでしょうし、収益資産からの収益の蓄積から納税資金を
捻出する戦略も必要となるでしょう。
56
31.相続税 連帯納付義務履行の延滞税見直し
(改正内容)
相続税の連絡納付義務者が連帯納付義務を履行する場合に負担する延滞
税については、一定の要件の下、利子税に代える等の措置を講じます。
相続税の連帯納付義務者が連帯納付義務を履行する場合に負担する延滞
税は、2か月間は「4%+日銀基準金利」が適用されるものの、2か月経過後は
14.6%となり、連帯納付義務として自分の責によらない納付を行う共同相続人
にとって極めて過酷であったが、従来の行政訴訟では納税者敗訴とされまし
た。今後は、履行にあたり、利子税=4%+基準金利とされます。
相続時精算課税制度の改正により、受贈者が孫世代まで拡充され、相続
権を持たない孫が相続税申告に登場する可能性が、従前に比し、高くな
ることが予想されます。また、納税資金不足の可能性も考慮すると、当制
度の適正な運用がますます必要となります。
平成23年改正済み。
57
31(2).相続税連帯納付義務履行の延滞税
(日税連の建議)
連来納付義務には、当初の申告時に納税義務者が連来納付義務を十分に認識しておらず、また、
共同相続人の納税義務の履行状況が分からないという問題があります。また、延納の許可を受けて
いる場合には、行政庁が担保を徴収しているにもかかわらず、共同相続人は、長期間にわたって連
来納付義務を負う事になります。
未分割財産がある場合などを除き、相続税の連来納付義務は廃止すべきであり、少なくとも一定の
期間制限を設ける必要があります。また、延納の許可があった場合にはその時点で連来納付義務を
免除するべきです。
過去に多くの租税訴訟において、連来納付義務について争われてきましたが、判決は一貫し
て、連来納付義務は相続税法が予定していた事態というべきであり、法の不知は考慮に値しな
いとのスタンスでした。
(ポイント!)
今回の改正で、連帯納付義務そのものの廃止はされませんでしたが、連来納付時における延
滞税については、実質的に軽減される措置がとられました。
58
32.相続税 非上場株式等に係る相続税・贈与税の
納税猶予制度の見直し
(改正内容)
従来、非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予の特定を受けるための認定
承継会社の要件上、代表者の親族、即ち6親等以内の血族及び3親等以内
の姻族が上場会社の支配株主、ないし風俗営業会社の支配株主等である場
合には、要件不適格とされていました。
親族の範囲が広く、制度適用のリスクであったため、親族の範囲を、生計同一
親族と、特別関係者に限定しました。
実務上も、全親族の確認等の手間が省けることになりました。
平成23年改正済み。
59
32(2).非上場株式等に係る相続税・贈与税
の納税猶予制度の見直し
経営承継相続人が、相続により非上場会社の株式を取得し、本制度の要件を満たす場合には、相
続人が相続前から既に保有していた議決権株式を含めて、発行済完全議決件株式総数の3分の2
に達するまでの部分について、課税価格の80%に対応する相続税の課税が猶予されます。
また、後継者である受贈者が、贈与により、経営承継円滑化法に基づき、経済産業大臣の認定を受
ける非上場会社の株式を先代経営者から全部または一定以上取得し、その会社を経営していく場
合には、その後継者が納付すべき贈与税のうち、その株式に対応する贈与税の全額の納税が猶予
されます。
①中小企業基本法の中小企業であること。
②非上場会社であること。
③風俗営業会社に該当しないこと。
④②~③には、特別関係会社も含みます。特別関係会社とは、次の者が50%超の議決権を有
する他の会社を言います。当該会社、代表者、代表者の親族、代表者と事実上婚姻関係にあ
る者、代表者の使用人、その他代表者からの資金で生活する者、上記と生計を一にするその
親族
⑤総収入額がゼロ超、資産管理会社に該当しないこと、従業員数が1名以上であること、等。
(ポイント!)
従来は、非上場会社要件、風俗営業会社要件につき、代表者の親族が支配株主である会社も
含まれていましたが、親族を対象とするとあまりに対象が広いので、その範囲を生計一親族と、
特別関係者に限定することにしましたので、顔も知らない六親等以内の全ての族の事業の種類
まで気に掛ける必要はなくなりました。
60
33.贈与税 税率構造の見直し
1. 贈与税の税率構造に係る見直し
直系尊属からの贈与に係る贈与税率は特別に緩和
2. 贈与税の最高税率引き上げ
贈与税の速算表
改正案
基礎控除後の課税価格
200万円以下
現
行
10%
一般
10%
20歳以上の者への
直系尊属からの贈与
10%
200万円超
300万円以下 15%-10万円
15%-10万円
300万円超
400万円以下 20%-25万円
20%-25万円
400万円超
600万円以下 30%-65万円
30%-65万円
20% - 30万円
600万円超
1,000万円以下 40%-125万円
40%-125万円
30% - 90万円
1,000万円超
1,500万円以下
45%-175万円
40% - 190万円
1,500万円超
3,000万円以下
50%-250万円
45% - 265万円
3,000万円超
4,500万円以下
4,500万円超
50%-225万円
55%-400万円
15% - 10万円
50% - 415万円
55% - 640万円
61
33(2).贈与税 暦年贈与の改正後の違い
改正案
贈与財産
の価額
(基礎控除前)
現 行
贈与税額
一
贈与税額
20歳以上の者への
直系尊属からの贈与
般
増減額
贈与税額
増減額
実効税率
200万円
9万円
9万円
±0
9万円
±0
4.5%
400万円
33.5万円
33.5万円
±0
33.5万円
±0
8.4%
500万円
53万円
53万円
±0
48.5万円
△4.5万円
9.7%
1,000万円
231万円
231万円
±0
177万円
△5.4万円
17.7%
2,000万円
720万円
695万円
△25万円
585.5万円
△134.5万円
29.3%
3,000万円
1,220万円
1,195万円
△25万円
1,035.5万円
△184.5万円
74.5%
5,000万円
2,220万円
2,289.5万円
△69.5万円
2,049.5万円
△170.5万円
41.0%
※ 20歳以上の子供1人に毎年500万円を10年間贈与
5,000万円に対して贈与税合計 改正前530万円、手取額4,470万円。
改正案485万円、手取額4,515万円に増える。
62
33(3).贈与税 対策
(大綱の考え)
贈与税は、相続税と同様、贈与という無償の資産取得に担税力を見出して課税するものであり、相
続税の回避を防止するという意味で、相続税を補完する役割を果たしています。過去累次の相続税
・贈与税改正においては、こうした「相続税の回避防止」の観点から、相続税に比べ贈与税の税率
構造は相対的に厳しいものとされてきました。加えて、被相続人のみならず、相続人自身の高齢化
が進んでいることも相まって、若年世代への資産移転が進みにくい状況となっています。贈与税の
見直しを通じ、高齢者層が保有する資産をより早期に現役世代に移転させ、その有効活用を通じて
経済社会の活性化を図ることが必要です。一方において、見直しに当っては、資産格差が世代を超
えて固定化してしまうという懸念にも配慮する必要があります。
年齢階級別資産残高によれば、日本の資産の約8割を50歳以上の高齢世代が保有しており、偏っ
ているのがわかります。この高齢世代の資産を、消費意欲の高い若年世代へと移転を図る必要があ
りました。相続税について課税ベースの拡大・税率構造の見直しを図れば、死亡時点まで資産を保
有することに伴う税負担が増えるため、そのこと自体によっても生前贈与を促す効果があります。こう
した相続税の負担の適正化を併せて贈与税を緩和すれば、生前贈与は一層促進されることになり
ます。
(節税のポイント!)
①一般贈与の税率見直しと最高税率引上げ
②直系尊属から受けた贈与の税率の新設と最高税率引上げ
税率が引き下げられた財産の範囲(一般贈与で3,000万円以下、直系尊属贈与で4,500万円以下)
において、相続税率より低くなる財産額を暦年贈与すれば、相続税よりも安く財産移転可能です。
63
34.贈与税 住宅取得等資金の贈与に係る贈与税
非課税措置
(改正内容)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
について、適用対象となる住宅取得等資金の範囲に、住宅の新築等に先行
してその敷地の用に供される土地等を取得する場合におけるその土地等の
取得のための資金を追加します。
贈与税の申告が適用要件です。
特例は、住宅取得資金の贈与に限られ、住宅そのものの贈与には適用されません。
直系尊属からの贈与に限られ、配偶者の親からの贈与には適用されません。
父と祖父からの贈与であっても、受贈者の合計1,000万円までが非課税限度額です。
住宅ローンの返済のための贈与資金については適用できません。
贈与者に3年以内に相続が起きた場合にも、非課税の適用を受けた贈与資金の価額
は、生前贈与加算の適用は受けません。
平成23年改正済み。
64
34(2).贈与税 住宅取得等資金の贈与に
係る贈与税非課税措置
平成23年1月1日から、父母や祖父母などの直系親族から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者
が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する一定の
家屋の新築もしくは取得または一定の増改築等の対価に充てて親族など特別関係者以外の者との
契約その他により、新築もしくは取得または増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用
に供したとき、または同日以後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき
には、住宅取得等資金のうち、1,000万円について贈与税が非課税となります。(22年度は1,500万
円について非課税でした。)23年度の贈与については、贈与を受ける子や孫は贈与年1月1日で20
歳以上であること、その年の合計所得金額が2,000万円以下であることが条件です。
住宅取得資金とは、受贈者が自己の居住の用に供する家屋を新築もしくは取得または自己の
居住の用に供している家屋の一定の増改築等の対価に充てるための金銭をいい、その家屋の
新築または増改築等とともにするその家屋の敷地の用に供されることとなる土地や借地権など
の取得も含まれます。また、23年度より先行取得土地等も対象とされることになります。
(節税のポイント!)
平成23年度は、贈与税の暦年贈与の控除額110万円を併せて、年間1,110万円まで非課税扱
いとなります。
65
35.納税環境 納税者権利憲章の制定
(創設内容)
今まで納税者の立場に立って権利と義務を謳ったものはありませんでした。
今回制定が予定されている納税者権利憲章は、税務行政において納税者の
権利利益の保護を図る趣旨を明確にし、複雑な税制を分かり易い言葉で要
約・説明して周知させることを目的とした憲章です。
①納税者に提供されるサービス
②納税者が求めることのできる内容
③納税者に求められる内容
④納税者に気を付けて頂きたいこと
を一連の税務手続に沿って、一覧性のある形で、平易な言葉で簡潔・明瞭に
示す予定です。
66
36.納税環境 税務調査手続の明確化
(創設内容)
調査手続の透明性を高めるために、税務調査に際して調査開始日時、調査
対象帳簿等について事前通知を文書で行い、調査終了時においても同様に
納税者に対して調査内容を説明し、調査終了通知を文書で行うことが明確化
・法制化されました。
①調査の開始の際の事前通知:各段階の課税庁の処理が納税者にも分かり
易くなり、不安がある程度軽減されます。
②調査終了時の手続:文書で通知され、不明朗な終了がなくなります。
③借用書類の返還:紛失等の危険性がなくなります。
67
37.納税環境 更正の請求
(創設内容)
更正の請求を行うことができる期間は、法定申告期限から1年以内となってお
り、現行制度では1年を超えると救済手段がないため、減額更正のためには
嘆願という形式でしか課税庁に伝えられませんでした。
改正により、更正の請求を行うことができる期間を5年と大幅に延長することに
なり、納税者にとっては権利救済の期間が広がったことになります。
更正請求期間の5年の拡大は、納税者にとって非常に活用効果のある改正
ですが、課税庁が更正処分できる期間も5年間に延びることになりました。本
来適正な申告を行うのは納税者の義務でもあるので、申告に必要な原資料
の確実な保管と管理がますます求められることになります。
今般の更正請求に関する改正趣旨を踏まえ、過年度分についても、運用上、
増額更正の期間と合わせ、納税者からの請求を受けて減額更正を行うことと
なっています。
68
37(2).納税環境 更正の請求の範囲拡大
(創設内容)
当初申告時に選択適用した場合に限り、適用を認められている特例等につ
いて、「当初申告要件」を外し、更正の請求によっても認められる範囲が拡大
されることになりました。
当初申告要件が除外されるという特例等であっても、本来は当初申告におい
て適正に選択適用すべきものです。申告の際の慎重な判断が要求されること
には変わりありません。
後日更正の請求を行う場合でも、適切な証拠資料の添付が必要となります。
書類の保存整理の重要性は増すことになります。
69
38.納税環境 理由附記の明確化
(創設内容)
処分の適正化と納税者の予見可能性の確保の観点から、すべての処分につ
いて、その処分の理由が附記されます。
個人の白色申告者に対する更正等に係る理由附記については、記帳・帳簿
等保存義務化が行われることに併せて実施されます。
課税庁の処分に関しては、ほとんどの場合処分前に説明がありますが、処分
の理由を明示されることにより、その処分に対する異議等の反論態勢を速や
かに整えることができます。
70
39.市民公益税制
(創設内容)
新しい公共によって支え合う社会の実現に向けて、特定非営利活動法人(
NPO法人)を初めとする、市民が参画する様々な「新しい公共」の担い手を支
える環境を税制面から支援します。
①所得税については、従来の所得控除制度に加え、認定NPO法人への寄附を促進す
るため、新たに税額控除の制度を導入し、所得控除との選択制にします。その際、寄附
がチャリティの精神に基づくものである点に留意しつつ、寄附者と政府とが合わせて支
援する考え方のもと、所得税と個人住民税で合わせて50%までの税額控除を可能とす
ることとされます。
一定の公益法人等についても、公共の担い手として、所得控除に加え、税額控除の対
象とされます。
②また、認定NPO法人制度そのものの見直しも行われます。認定NPO法人になるため
のパブリック・サポート・テスト要件が一部、見直されます。また、NPO法人のみなし寄附
金について、認定取消しがあった場合の取戻し課税が設けられます。
平成23年改正済み。
71
40.国際課税
(創設内容)
国際的租税回避を防止して我が国の適切な課税権を確保すると同時に、投
資交流の促進等により我が国経済を活性化する観点から、制度・執行の両面
において見直しがされました。(平成23年改正済み。)
(1)外国税額控除制度の見直し
•
外国税額控除の対象から除外される高率な外国法人税の水準を35%超(現行50%)に引上げ
•
控除限度額の計算の基礎となる国外所得から非課税国外所得の全額(現行3分の2)を除外。
但し、経過措置として2年間は6分の5を除外。
•
控除限度額の計算の基礎となる国外所得の90%制限に係る特例は廃止。
•
複数税率の中から納税者と税務当局との合意により税率が決定される税について、最も低い税
率を上回る部分は、外国子会社合算税制上、外国税に該当しない。
•
控除限度額の計算で、租税条約の規定により条約相手国等において租税を課することが出来
るとされる所得で当該条約相手国等において外国税を課されるものは、国外所得に該当する。
(2)移転価格税制の見直し
•
独立企業間価格の算定方法の適用順位の見直し
•
独立企業間価格幅(レンジ)の取り扱いの明確化
•
シークレットコンパラブルの運用の明確化
72
41.震災特例法
• 申告・納付等の期限の延長等、納税の猶予
所得税:
•
雑損控除の特例及び雑損失の繰越控除の特例
•
災害減免法による所得税の減免の特例
•
被災事業用資産の損失の必要経費算入に関する特例及び純損失の繰越控除等の特例
•
震災関連寄附金を支出した場合の寄附金控除の特例又は所得税額の控除
•
財産形成住宅貯蓄契約等の要件に該当しない事実が生じた場合の課税の特例
•
被災代替資産等の特別償却
•
特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例
•
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用期間に係る特例
法人税:
•
震災災害の繰戻しによる法人税の還付
•
利子・配当等に係る源泉所得税額の還付
•
中間申告の特例
•
被災地代替資産等の特別償却
•
特定の資産の買換えの場合等の課税の特例
•
代替資産の取得期間等の延長の特例
平成23年改正済み
73
42.その他
(創設内容)
①事前照会に対する文書回答手続の見直し
②還付加算金の計算期間の見直し
③保険年金に係る最高裁判決を受けた対応
①事前照会者から照会文書が受付窓口に到達した日から概ね1ヵ月以内に、それまでの検討状況
からみた文書回答の可能性、処理時期の見通し等につき、照会者に口頭で説明をします。また照
会内容の公表を延長できる期間が最長1年以内に延長されます。
②更正による法人税の中間納付額等の還付加算金を計算する場合、確定申告書の提出期限の翌
日から更正の日の翌日以降1ヵ月を経過する日までの日数は還付加算金の計算期間に算入しない
ことになりました。
③相続または贈与による生命保険金を受け取っている場合、相続税の課税対象になった部分につ
いては所得税の課税対象にはならないという最高裁判決を受けて、平成22年10月より過去5年分の
納め過ぎになっている所得税の還付請求を行っています。現行税法上、還付できない平成16年以
前分については、特例措置として所得税の特別還付を行うことになりました。平成12年以降の分が
還付対象となります。
74
ご清聴頂き、ありがとうございました
•
•
最後までご清聴頂きまして、ありがとうございました。
不明な点、詳しくお知りになりたい点等ございましたら、下記までご連絡下さ
い。
•
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•
•
•
•
〒567-0884
大阪府茨木市新庄町10番6-403号
鈴木一正公認会計士税理士事務所
営業時間:午前10時~午後5時
電話:072-601-0260
メールアドレス:[email protected]
75
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平成23年度税制改正について - 資産家の資産防衛|株式会社 ファミリー