心身機能の加齢性変化と
日常生活への影響
老化の特徴(Strehler)
ストレイラー
・普遍性:老化は全ての生命体に認められ、決してさけて
通る事は出来ない。
・内在性:老化は環境因子によっても影響されるが、あらかじめ
遺伝的に規程されており、成熟後に発現する。
・進行性:老化過程は時間とともに進行し、しかも一度
おこったものは不可逆的である。
・有害性:老化の過程で出現する現象は機能の低下を伴い、
生体にとって有害なものばかり。
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老年期に体験される主なストレス現象
喪失:一過性の喪失、配偶者や友人との死別など様々な
喪失体験
侵襲:ちょっとした批判、家族や友人からの激しい敵意、疾病、
不快感、苦痛、外傷などによる心身への侵襲
抑制:本能的、生物的欲求の充足を妨げるような体力の低下、
身体的な疾患、障害、後遺症などによる制約
脅威:近い将来に起ころうとする喪失、侵襲、抑制などの
警告へのおびえ
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加齢による生体機能の一般的変化
・予備力(ストレス耐性)の低下
・恒常性維持機能の低下
・防御機能の低下
・回復力の低下
・適応力の低下
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加齢による身体的変化-脳神経系-
・脳重量の減少・大脳萎縮
・神経細胞・神経線維数の減少
・神経伝達物質の活性低下
・脳血流量の部分的低下
・脳代謝活性の低下・認知機能低下
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年齢階級別認知症出現割合
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妄想
抑うつ
気持ちが落ち込んで
やる気がない
不安・焦燥
落ち着かない
イライラ
しやすい
介護抵抗
入浴や着替え
を嫌がる
物を盗まれた
という
記憶障害
新しいことを
覚えられない
暴言・暴力
大きな声をあげる
手をあげよう
とする
いない人の声が
聞こえる
実際にないものが
見える
実行機能障害
睡眠障害
段取りが立てられない
計画出来ない
失行
服の着方が
わからない
道具が使え
ない
幻覚
昼と夜が
逆転する
失認
物がなにか
わから
ない
失語
物の名前が
でてこない
食行動異常
徘徊
なんでも
食べようと
する
無目的に歩き回る
外に出ようとする
http://dementia.seesaa.net/article/9909088.html より
加齢による身体的変化-心血管系-
・左室壁の肥厚⇒心肥大・高血圧
・運動時の最大心拍数低下⇒運動耐用能力の低下
・冠動脈硬化⇒狭心症・心筋梗塞
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加齢による身体的変化-呼吸器系-
◆肺の弾性低下
◆肺胞数の減少
・努力肺活量の低下
(できるだけ大きく吸った後、
ゆっくり息を吐く量)
・一秒量の低下
・残気量の増加
・PaO2の低下
・呼吸筋力低下
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加齢による身体的変化-消化器系-
・咀嚼・嚥下能力の低下
・消化管蠕動運動の低下⇒便秘
・腸管壁の脆弱化⇒憩室、便通異常
・腺分泌の減少
・腸からのカルシウム吸収の低下
・胃内容の食道への逆流(逆流性食道炎)、むねやけ
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加齢による身体的変化-腎泌尿器系-
・糸球体の喪失
・腎血流量の低下
夜間尿量の増加
・糸球体ろ過率の低下
・健常者では予備能力があるため、
水-電解質バラン スは維持される
・女性では腹圧性、男性では前立腺肥大による溢流性尿
失禁が生じやすい
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加齢による身体的変化-骨運動系-
⇒骨粗鬆症
(特に閉経後の女性)
・骨強度の低下
⇒骨折しやすい
・筋弾力、腱・靭帯の硬化
・関節液減少
⇒関節炎を生じやすい
・滑膜の弾力性低下
・筋萎縮
⇒筋力低下
・骨量の減少
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加齢による身体的変化-聴覚-
・聴力:高周波数の音が聞こえにくくなり、老人性難聴増加
・聴覚の鋭敏性:聴神経は50歳位から少しずつ低下しはじめる。
65歳以上では約30%に聴力障害
・伝音性難聴:音が外耳及び中耳を通りにくくなるために生じる。
補聴器の装用が有効。
・感音性難聴:内耳、聴神経、または脳の損傷に関連があるた
め、治療に反応する場合としない場合がある。
・耳の異常な雑音(耳鳴り):特に高齢者にはよくみられる症状
☆補聴器の早期装用・早期訓練が知的作業能力、認知能力、
情緒的感覚の活性化などに繋がり、日常のコミュニケーショ
ンに好影響をもたらす。
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加齢による身体的変化-視覚・視力-
・角膜:透明性は維持されるが、角膜内皮細胞は脱落するため、房水
が角膜に流入し、角膜は多少厚くなる⇒光が散乱し易い
・水晶体:黄変・混濁し、弾性が低下するため、屈折変化⇒調節障害
(老視)・色覚低下(色のコントラストがつきにくい)
・瞳孔:縮瞳する⇒眼内に入る光量減少。明暗順応低下
・硝子体:凝縮・虚脱する。
・網膜:神経細胞の減少⇒血管の硬化
・視力:45歳~50歳頃から低下(ロービジョン)⇒転倒リスク
60歳代0.51、70歳代0.39、80歳代0.31、90歳代0.26(80歳で視
力1.0以上は10%程度)
・視野:加齢により感度が低下し狭くなる。緑内障などではさらに狭く
なる。
・視力に影響する疾患:白内障・糖尿病性網膜症・緑内障・加齢黄斑
変性症等
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加齢による身体的変化-味覚・嗅覚-
・味覚:酸味・苦味・甘味・塩味を感じる味覚は
加齢性変化はないといわれている。
・嗅覚:加齢による影響を受けにくいが、副鼻腔炎等
では嗅覚障害を生じることがある。
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加齢による身体的変化-造血系-
・造血機能の低下⇒赤血球、ヘモグロビン生成不足、
鉄欠乏性貧血、二次的貧血
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加齢による身体的変化-免疫系-
・胸腺萎縮
・ヘルパーTリンパ球の割合減少
・自己免疫疾患の増加
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感染防御能の
低下
加齢による身体的変化-皮膚-
・皮膚弾力の低下
・皮膚表在感覚の低下
・皮膚深部感覚の低下
・汗腺数の低下⇒外気温への反応性低下
・皮膚膜の薄化⇒バリア機能低下、ドライスキン
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加齢に伴う精神心理機能の変化
1.性格特性の変化
60歳以上の人に多く認められる性格
保守性
あきらめ
義理堅さ
依存的
75歳以上の人に多い性格
活動性の減退・身体的不自由に関する不安、不満、
短気などの訴えが多い
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加齢に伴う精神心理機能の変化
2.知能の生涯発達
・言語の流暢さ、数的処理能力は若い世代よりも
優れてる。
・新たなことを学習したり、新しい環境に順応する
流動性知能は低下。
・老年期の一般的な知能の低下はそれほど大きくな
い。低下が目立つのは80歳以降といわれている。
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加齢に伴う精神心理機能の変化
3.創造性・拡散的思考
・ミステリー小説での犯人推理、数学の問題を
解くこと、1つの問題に対して主々の異なった
めずらしい答えを出すことなど独創性には他の
年齢群との差はない。
・作曲家の室内楽の生産のピークは30代後半と
70代前半にあった。
・画家の85%は、創造性は老年期が最高の状態とした。
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加齢に伴う精神心理機能の変化
4.自己概念(意識化された自己像を高齢者がどう評価するか)
・加齢と共に上昇するという者と
低下するという者の両者がある。
5.不安特性
・喪失と円熟の時期であり、ストレスのほうが
大きければ不安も高くなる。
・急性不安よりも低いレベルの慢性不安がある
のが通常
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身体的な機能低下による心理的影響
・活動空間の狭まり
・直接的な対人交流や物事への接触低下
・日常生活での感動、喜びが乏しくなりがち
・事故に遭う危険性の増大
・新たな活動への不安感により、活動から遠ざかる
★抑うつ反応
★軽い怪我であっても心理的ショックが大
★死が近づきつつあることの自覚をよびおこす
★同年代の親しい人の死がその不安をかきたてる
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感覚機能(聴力・聴覚)の衰えによる
心理的影響
・聴力の低下⇒言葉を介した日常のコミュニケーションに影
響
★猜疑心を生じやすい
★他人の話しかけに対する理解力の低下
★自閉的な状況に追い込まれる
★知的能力低下
★記憶力を必要とする作業から遠ざかる
⇒消極的な姿勢へと変化
★新しい課題への挑戦をためらう
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社会環境の変化による心理的影響
・定年や家庭内役割などの社会的役割の喪失
・自己の無用感をうえつけられる(行動意欲の減退)
・人間関係から離脱(孤独感を生む)
★自己中心的になる
★役割喪失や周囲の老人扱い
=「不当なもの」として認識される
★役割への固執
★頑固老人扱いされることへの拒否
⇒意地を張る・自己主張する
★かたくなな態度
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高齢者の身体・精神・生活機能の
相互関係
身体状態
精神状態
26
社会生活
機能
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