福祉住環境コーディネーター勉強会
第5章
福祉住環境整備の基本技術と
実践に伴う知識
内容とプレゼンの進め方
• 第5章
• 1節 福祉住環境整備の共通基本技術
総論
• 2節
各論
(住環境整備を効果的に行うための
基本的考えと対応方法を理解する)
生活行為別福祉住環境整備の手法
(部屋や場所ごとの整理ができるように、
具体的な手法を理解する)
傾
向
と
対
策
予想重要度
章と節
項
目
○
5.1
段差の解消
5.1
床材の選択
○
5.1
手すりの取り付け
○
5.1
建具の配慮
○
5.1
スペースの配慮
5.1
家具・収納への配慮
5.1
色彩・照明計画、インテリアへの配慮
5.1
冷暖房への配慮
5.1
非常時の対応(緊急通報装置の考え方)
5.1
経費、維持管理(メンテナンス)への配慮
◎
5.2
外出
◎
5.2
屋内移動
◎
5.2
排泄
○
5.2
入浴
○
5.2
更衣(着脱衣)・洗面・整容
○
5.2
調理と食事、団らん
5.2
就寝
5.2
頻出用語と高齢者等への配慮に関する評価基準
5.補
建築関連法規
傾向と対策(つづき)
・建築の専門的用語を覚え、意味を理解する
・太さや高さなどの数値を覚える
第1節
・「段差の解消」「手すりの取り付け」については、
屋内外での相違点について。
・手すりは、場所ごとの取り付け位置や太さに注意する
第2章
・「外出」「屋内移動」の応用力を試す問題
・「排泄」の細かい知識として、トイレ内のスペース、
手すり、出入り口についての理解
もんだい 1
• 「福祉住環境整備として設置する手すりのう
ち、からだの位置を移動させるときに手を滑
らせながら使用する手すりのことを
【
】という。
①ハンドレール
②サイドレール
③グラブバー
④サポートバー
もんだい 2
•
住宅内の段差に関する記述の中で、
最も不適切なものを一つだけ選びなさい。
①畳床とフローリング床との厚さが異なるために生じる10~40mm程度
の
段差を解消する場合に、最も簡便な方法はすりつけ板を設置する方法
である。ただし、新築の場合には床束の長さを調整して、あらかじめ
段差を解消することも可能である。
②「住宅の品質確保の促進などに関する法律」(品確法)による日本住
宅性能表示基準では、等級2以上は原則的にすべての床面について
「段差なし」としているが、ここでいう「段差なし」の場合であって
も5mm以下の段差は許容している。
③通常、G.L.から1F.L.までの450mmの高低差をスロープで上がろうと
す
ると、1/12の勾配のスロープで水平距離5.4m、1/15の勾配のスロープ
で水平距離6.75mを必要とする。
④アプローチにスロープを設ける場合には、道路境界線から直接スロー
プの傾斜面を設けると、車いすが傾斜面で停止できず道路に飛び出す
危険性があるので、道路から1.5m四方以上の水平面を設けてからス
ロープを設置する。
⑤アプローチに階段を設ける際には、スムーズな動作で昇降できるよう
に、蹴上げ160~200mm、踏面250~300mmが望ましい。
⑤アプローチに階段を設ける際には、スムーズな動作で昇降できる
ように、蹴上げ160~200mm、踏面250~300mmが望ましい。
正解は
蹴上げ110~160mm、踏面300~330mmが望ま
しい
❶ 段差をなくす
• 種類と特徴
我が国の住宅内の段差・・・
門扉周辺から玄関までのアプローチ、
玄関ポーチ、玄関戸の下枠(くつず
り)、上がりかまち、敷居、浴室など
さまざまな場所に存在する。
段差には理由がある
 門扉周辺から玄関床周辺までの段差は
「建築基準法」の制約がある。
 和洋室間床段差・・たたみの厚さと洋室の床仕上げ
材の厚さが異なるため生じる
 建具下枠段差・・・床仕上げ材の違いを納める
(見切る)すきま風を防ぐため
 浴室出入りの段差・・湯水が洗面・浴室に流れ出な
いようにするため
建築基準法では・・
• 地面からの湿気を床下の通気を図って防ぐた
めに、1階居室の木造床面は原則として直下
の地面から450mm以上高くするように定め
られている。
• 段差はそれぞれの意味を持つが、高齢者の身
体機能の低下を考慮すると解消すべきである。
• 近年の住宅部品の性能向上により段差の解消
は可能になりつつある。
和洋室の床段差解消方法
• 和室の床面は洋室の床面より10~40mm程
度高くなっている
• すりつけ板の設置
• 洋室床を合板でかさ上げする
• 根太(ねだ)で高さを調整する
床束(ゆかつか)で高さを調整する
新築時などに採用される
屋外との段差解消方法
 スロープで対応する場合
 勾配は1/12~1/15程度を目安に設置
図挿入
留意点
P266テ
上下端には車いすでの安全な停止や、
玄関ドア開閉のためのスペースとして、
1.5m四方以上の水平面を設ける。
階段を残す場合の対応
• アプローチ部分に設ける
• 踏面(ふみづら)300~330mm程度
• 蹴上げ(けあげ)110~160mm程度
段差解消機で対応
床高さを下げる
 1階の床高さそのものを下げてしまう
 床下部分に湿気を遮断するための防湿土間コンクリート
を敷設する
給排水配管などの床下でのメンテナンス上の問題が生じ
やすいので、配管経路や方法などについて十分な事前検
討が必要である
建具の敷居段差
• 住宅の品質確保の促進などに関する法律
(住宅品確法)「日本住宅性能表示基準」
5mm以下の段差は許容している。この寸法は段
差がないとみなしてよい範囲である。
V溝レール・・V溝レールを引き戸の下枠に埋め
込み、下枠上端と床面を同じにし、引き戸の敷
居段差を解消する
その他の用語
• エアタイト・・敷居の段差を解消すると建
具下部と床面の隙間から、光やすきま風な
どが漏れやすくなる場合に取り付ける
• スキップフロア・・上下空間を分割また
は結合するために設けられ、半階ずらし
た床。敷地が傾斜している場合や、建物
の一部に車庫がくみこまれているばあい
に多くみられる。
• 留意点→移動では段差が多くなる
手すりを付ける
• ハンドレール・・階段や廊下などを移動する際に
手を滑らせながら使用する。直径は32~36mm程
度
図テp272
• グラブバー・・浴室やトイレなどで体の上下移動
を行う際に、しっかり握って使用する。
直径は28~32mm程度
取り付け位置
• 横手すり・・高さは対象者の大腿骨大転子の高さに
合わせることを基本とするが、一般的
に床面から750~800mm程度となる。
 しっかり握れない場合は、ひじから先の前腕を乗せて
使用するため、床面から1000mm程度になる。
 縦手すり・・上端を対象者の肩より100mm程度上方
で
下端は床面から750~800mm程度とする。
取り付け
• 壁下地の補強は広範囲に・・
間柱(まばしら)には取り
つけない
床材の選択
• 滑りにくさと強さ・・乾いた状態では滑らな
くても、水に濡れると滑りやすくなる材質も
あるので注意する。
• 車いす使用の場合・・フローリング仕上げの
場合には、無垢材を使用するか、合板の上に
木目の仕上げ板が張り付いてある床材の場合
には、張り付けた仕上げ板の厚さが1mm以
上あるものを選択する。
• 重歩行用の床材・・電動車いすを使用する場
合には、重歩行用(車両・台車など)の床材
を使用する方法もある。
建具への配慮
• 建具の種類
 握手の種類
 ドアクローザー・・開き戸にドアクローザーを用
いると、戸の閉まる速さをゆるやかに調整できる
建具の構造
• かまち戸・・重厚で反りにくい建具にな
る
• フラッシュ戸・・芯材の強度や表裏に張
り付ける面積の種類によっては、反って
しまう可能性がある。
図P276
建具の幅員
• 扉部分の有効幅員・・建具幅は枠の内法で700~720mm
程度になる。建具の厚み、丁番の出っ張りを考慮すると
有効幅員は700mm以下になる。
有効幅員を確保する手段として、建具を取り外す。
その時は丁番も合わせて取り外す配慮が必要である。
建具回りのスペース
• 袖壁・・
開き戸の把手側に300mm以上の袖壁を設
けると開閉時に体をよけるスペースがと
れる。
車いす使用時は450mm以上の袖壁が必要。
スペースの配慮
• 標準モジュール・・建築設計の基準となる寸法を指し、
日本では柱芯-芯を910mm(3尺)とするのが標準的と
なっている。設計の効率化、施工の単純化により工期の
短縮や工費の軽減につながる。
• モジュールをずらす・・910mmを1000mmにするなど、
一部を広げて廊下などの有効幅員を確保する方法。
• 壁・柱を取り外す・・トイレと洗面など間仕切りしてい
る壁を撤去することで広いスペースを確保できる。
留意点→構造的に取り外せない壁・柱・筋かいが入った
耐力壁があるので設計者、施工者に確認が必要である。
加えて、プライバシーなど生活者の視点に立った総合判
断に基づく計画が必要になる。
家具への配慮
• 立ち座りのしやすさ・・椅子の選択では、第
一に立ち上がりのしやすさに配慮する。ひじ
掛けに手が掛けやすいか検討する。
• 生活動作のしやすさ・・机や椅子などは食事、
読書など目的を考慮する。円形テーブルは体
の右、左に隙間ができ物が落ちやすい。
• メンテナンスのしやすさ・・座面が汚れた場
合などのメンテナンス性も考慮する。
• ユニバーサルデザインの視点
冷暖房への配慮
 対流暖房・・温風により室内を暖める(エア
コン、ファンヒーター)
特徴・・短時間で室内が暖まりやすい。天井
と床面での温度差が大きい。
 輻射暖房・・床や天井を加熱し、そこから周
りへ放射することによって熱を伝える(床暖
房、パネルヒーター)
特徴・・温まるのに時間がかかる。空気の対
流を起こさないのでほこりも立たず、天井付
近と床面での温度差も小さく快適である。
経費への配慮
• 介護保険制度による住宅改修費の支給、
自治体や公共団体による住宅改修費への
助成や融資制度もあるのであわせて検討
する。
• 介護保険制度では、「住宅改修費」とし
て20万円を限度として支給される(自己
負担は経費の1割)
• また、福祉用具は貸与または購入の支給
がなされる。
維持管理(メンテナンス)への配慮
• 住宅改造がうまく身体機能に適応していても、
維持管理費が高かったり、維持方法が面倒で
あれば、適切な住宅改修とはいえない。
• イニシャルコスト・・機器を設置するための
機器本体の費用や必要な工事費用をいう
• ランニングコスト・・電気代など実際の利用
に必要となる費用をいう。
第2節:生活行為別福祉住環境
整備の手法
【外出】:
1.外出における住環境整備への配慮
・高齢者や障害者を閉じこもりにしないためにも、気軽に
外出できる環境整備は大切。
課題となるのは・・・
・住宅から道路までの段差 である。
・寒冷地では、雪・路面の凍結等も障害となりうる。
段差については・・・
・ 道路から玄関までの段差は、スロープまたは緩やかな階段を設置する。
・ 外出に最も影響があるものとして、地面から床までの高さは、
「建築基準法」で450mm以上と決められている。
☆覚え方:「よっこらしょと床に上がる」
450mm
寒冷地対策としては・・・
【建設計画による工夫】
「無落雪屋根」:屋根を水平、又は内側に流れる勾配にし、雪が建物
外側に落ちるのを防止。
「玄関風除湿」:玄関入り口に設けた小部屋。戸を二重にし、外気を
内部に直接入れない。
「雁木(がんぎ)やフードによるカバード空間の設置」:
多雪地の家の軒下に設けた連続庇。
【設備的対応】
融雪→「ロードヒーティング」「融雪槽」がある。
2.アプローチ・外構の住環境整備の留意点
道路から敷地内の出入りについて・・・
道路境界線と敷地の境界線に設けられたL字溝の立ち上がり部分に段差
があり、車椅子での通行が妨げられやすい。
3.玄関へのアプローチ
・道路面から玄関ポーチまでに高低差があ
る場合、スロープの設置か緩やかな階段
での対応が必要。
・どちらを採用するかは、現状及び対象者
の将来の身体状況を含め、慎重な判断が
必要。
・スロープの設置が難しい場合には、段差
昇降機の設置を検討する。
玄関までの通路について
・通路は、雨などで濡れていても滑りにくい素材・仕上げを選ぶ。
石貼りのときは、ジェットバーナー仕上げやサンドブラスト仕
上げなど粗い仕上げとする。
玄関へのアプローチ階段、スロープの設置について
※スロープ距離が長くなり、折り返しの水平面(踊り場)が必要な場合は、
1.5m四方の大きさが標準とされる。
4.玄関の住環境整備
・玄関ドアは引き戸が望ましい。
・玄関ポーチ(外部)、玄関有効幅員は広めにとる。
・開き戸の場合はレバーハンドルまたはプッシュ・プル式の取っ手にす
ると開閉がスムーズになる。
玄関戸下枠とポーチ
・玄関戸下枠の段差は、すきま風やほこり、雨水の浸入を防ぐためのもの。
・玄関戸下枠とポーチの段差は20mm以下、下枠と玄関土間との
段差は5mm以下が望ましい。
玄関土間について
・自立歩行の場合:玄関戸の有効寸法750mm程度、
間口有効寸法1200mm程度。
・車椅子の場合:
上がり框(かまち)について
比較的新しい住宅:上がり框の段差は180mm以下が多い。
古い住宅:300mm程度の段差があることも多い。
・式台設置は、上がり框段差が180mm以上の場合。
上がり框(かまち)について
・スロープの設置、玄関土間のかさ上げ、段差解消機設置も場合により検討。
【屋内移動】:
1.廊下移動のための住環境整備
・日本の住宅に多く見られる3尺(910mm)モジュールの場合、廊下
の有効幅員は、最大で780mmになる。
・移動方法を考慮して、廊下や開口部の有効幅員を広げる工夫が
必要。
・JISの照度を基準に、75ルクス以上の明るさを確保する。
居室への段差は解消し、出入り口の幅員は十分に広くとる。
歩行する場合
・伝い歩き・介助歩行では、廊下の有効幅員が750~780mm程度
で通行可能。介助歩行の場合、介助者が前方確認しやすいよう、
より広いことが望ましい。
・手すりは床から750~800mmの高さが基本(太さ32~36mm)。
手すりを不連続で設置する場合には手すり間の端部距離を900
mm以内にする。
・床は弾力性があり、滑りにくい仕上げとし(例えばタイルカーペット)、
毛足の長いカーペット等は使用しない。
車椅子の場合・・・
・自走用車椅子はの全幅は620~630mm程度、介助用車椅子
の全幅は530~570mm程度である。廊下を直進するためには、
それぞれの全幅に100~150mmを加えた有効幅員が必要。
・車椅子の場合、廊下を直角に曲がることも考え、最低でも有効
幅員850~900mmを確保する(車椅子操作が不得意なものに
は、これ以上の有効幅員を確保する)。
・車椅子の場合にはフットサポート(フットレスト)、車輪が
壁に当たりやすいので、高さ350mmを基本として幅木
を設置する。
2.階段移動のための住環境整備
階段の位置について
※生活空間は基本、できるだけ1階にする。
階段の形状と安全性
2.階段移動のための住環境整備
・「建築基準法」では、階段の蹴上げは230mm以下、踏面は150mm以上
と規定されているが、高齢者や障害者が昇降する場合はこれでは危険。
・昇降しやすい踏面と蹴上げの理想的な勾配は7/11であるが、非現実的。
蹴込みへの配慮
階段手すりについて
・階段手すりは両側に設置することが望ましいが、片側ならば降りる際に
利き手で握れる位置にする。手すりは連続して設置したいが、やむを得
ない場合は手すり間の端部距離は400mm以内とする。手すり端部は下
または壁側に折り込む。手すりの太さは32~36mm、
高さは段鼻から750~800mmが良い。
踏面に設置するノンスリップについて
・踏面段鼻にノンスリップを突出しないように設置すると
安全性が増す。
・照明は廊下同様、75ルクス以上を確保し、床、階
段、壁等のカラーリングにコントラストをつけ、識別し
やすくする工夫も大切である。
・段差昇降機、ホームエレベーター設置をケースに
合わせて検討する。
【排泄】
トイレは自立生活への第一歩を実現するた
めに、介助者にとっては介助軽減のために、
改修希望が多い場所の一つ。
また、排泄行為が自立する・しないは人間
の尊厳にも関り、重要。
トイレへの移動について
・高齢者は、一般的にトイレの使用頻度が高くなるため、ト
イレと寝室距離をできるだけ短くして、移動や移動介助を
容易にすることが大切。
距離の目安としては一般的に、4m以内が良いとされてい
る。
・ドアについては、引き戸が望ましいが、開き戸の場合は
外開きとする。
・廊下との段差は解消する。
※寝室にトイレを隣接させる場合、排水音や臭いが気にな
ることもあるので、消音型便座や換気・消臭機能の付いた
便座にしたり、換気扇を設置する等の対応が必要。
トイレ内について
排泄動作自立の場合
・間口910mm×奥行き1365mm(壁芯-芯距離)の
広さでよいとされている。
・身体状況を考慮すると、奥行きが1820mm (壁芯
-芯距離)あれば、立ち座り動作がゆったりとでき、
間口を1515mm (壁芯-芯距離)に広げると、介助
が必要となった場合にも対応できる。
排泄動作要介助の場合
・介助を考慮した場合、奥行きが1820mmあれば、前方介助
しやすい。
自走用車椅子の場合
・便座から側方のアプローチでは、便座先端から前方の壁
までの距離を最低550mm以上確保。
・斜め前からのアプローチでは、最低1000mm以上の距
離を確保する。
自走用車椅子の場合
介助用車椅子の場合
・車椅子スペースに介助者のスペース
を加えた広さが必要。そのため、間口、
奥行きともに1650mm( 壁芯ー芯距
離で1820mm)必要になる。
便座について ‐洋式便座(一般)‐
・立ち座り動作は座面高さが若干高いほうが行いやすい。
関節リウマチなどで膝の屈伸が困難な場合も同様。
便座について‐洋式便座(車椅子使用)‐
・便座の高さは立ち上がり能力が低い場合、車椅子座面と高さ
をそろえる。
・歩行が可能な場合には、座ってから足(踵)が床に着き、 座位
姿勢が安定するかどうかを優先し、高さを決める。
手すりと建具について
手すりの種類:立ち座り用の縦手すり、座位保持用の横手すり、
双方を合わせたL字手すり、車椅子使用者に適した
可動式手すりなどが使われる。
可動式手すり
手すり材質
感触の良い樹脂被覆製や木製にする。
引き戸
出入り口段差は解消し、建具は引き戸とする(開
き戸の場合は外開きにする)。
【入浴】
1.入浴行為における住環境整備への配慮
入浴行為は、ADLの中でも最も難しい。
環境面
・浴室は通常、狭く、濡れて滑りやすい環境下にある。
動作面
・戸の開閉、浴室内の移動、浴槽への出入り、洗体、水洗金
具の操作など。
・それぞれの動作にかなりの能力が求められる。
そのため、慎重に環境整備を検討する必要がある。
2.浴室への出入り
・引き戸・折り戸が望ましい。
・開口幅員は600mm程度が多いが、介助・車椅子利用を考える
と、1000mm以上の開口有効幅員が望ましい。
この場合、3枚引き戸が望ましい(浴室開口部の有効幅員1600
mm程度の確保が必要)。
3.出入り口
段差について
・段差なしを原則とする。
・自立歩行または介助の場合は、段差を20
mm以下とする。
・介助用車椅子やシャワー用車椅子を使う
場合は5mm以下にする。
4.出入り口の段差解消
段差解消工事、洗い場床面のかさ上げ(補助的な排水溝の
グレーチングが必要)、すのこの設置などにより、段差を解消できる。
段差解消工事の場合
洗い場床面のかさ上げ(排水溝のグレーチング
の場合)
すのこの設置
・出入り口の段差は、すのこを敷くと簡単に解消できる。
浴槽縁高さ・エプロン部分の厚みへの配慮
浴槽に厚みがあるとまたぐ時に不安定になり易いので、なるべくエプロン部分
は薄くする。座位でまたいで入る場合、バスボード、移乗台の導入を検討
5.浴室スペース
・高齢者等配慮対策等級5、4(住宅品格法)では、内方寸法の
短辺が1400mm以上、面積が2.5m2以上が基準とされている。
・出入り口と動線、浴槽、シャワー水栓の位置等、十分に検討が必要。
・洗い場を広く確保したい場合、壁芯-芯距離で間口1820mm×奥行き
2275mm程度のスペースがあると、介助の十分なスペースとなる。
6.浴槽
・和式、洋式、和洋折衷(わようせっちゅう)式浴槽がある。
7.手すり
工事の必要がない簡易的なはめ込み式手すりもある。浴槽内での姿勢保持に
用いることが可能。ただし、全体重をかけるとずれる危険あり、注意が必要。
8.照明・暖房
・浴室内の照明は、JISでは75~150ルクスとしている。
・暖房機器の設置は、室内の急激な温度変化による身
体的負担を軽減するために、浴室、洗面・脱衣室にも
必要。
・浴室用ヒーターは身体を直接温めるので効果的。
更衣(着脱衣)・洗面・整容
【脱衣室スペース】
高齢者・障害者の利用を考慮
すると、椅子に腰掛けながら
洗面および着脱衣動作ができ
る広さを確保する必要がある。
壁芯-芯距離で
間口1820mm×奥行き
1820mm
のスペースを確保したい。
【洗面台】
・洗面カウンター形式にすると洗面流し周囲に物を置ける
スペースが出来、片麻痺の場合なども寄りかかりながら
片手で動作が行いやすい
・車椅子用のものはいす座使用にも十分に便利なので採用
・洗面カウンターの取り付け高さは床面より760mmを基準
・鏡は椅子に座った状態でも胸から上がすべて映り、立位
でも姿が映るもの(800~1750mm)
・水栓器具は片手で吐水や止水ができ、水温調整ができる
シングルレバーの混合水栓が適している。
調理と食事、団らん
《キッチンの配置》
ハッチやカウンターで仕切れば、コミュニケーションが
図りやすいだけでなく、立位で長時間の作業が困難な
対象者など、椅子に座ったままでの調理が可能な点も
利点として上げられる。
ハッチ・・・キッチンと食堂を仕切る壁に、
両側から物の受け渡しができる
ように設けられた開口部。
Ⅰ型配置:調理機器を一直線
上に配置する形式
移動動線が左右方向に限ら
れるので、小規模のキッチン
の場合には移動距離が短く、
高齢者には適している 。
L型配置:調理機器を直角に
配置する形式
車椅子の移動に適している。
ただし室形状が四角く面積も
大きくなるので、家具配置等
を十分検討する必要がある。
車椅子の場合は、回転や移動スペースを確保します。
I型プランの場合
L型プランの場合
車椅子による左右移動に配 前後移動や回転をするために、
慮して1300~1500mm程度の I型よりもさらに広いスペース
が必要になります。
スペースを確保します。
※調理機器の配置は、移動距離を短くし、無駄な
動きがないように、実際の使用手順に合わせた
配置をする。
調理台やシンク、コンロなど、市販されているものは概ね高
さが800mmと850mmの2種類があります。
ただ、これらが高齢者や障害を持つ人の使いやすい高さに
合わない場合、足元の台輪(だいわ)部分(調理機器の下の
ほうにある収納部分の下にある10cmほどの下枠)で高さの
調整ができます。
収納棚の高さの上限は、
作業者の目線の高さまで
とする。 これは立位の場
合であれば、一般的に
1400mm~1500mm
程度の高さになる。
【車椅子対応のキッチン】
キッチンカウンターの高さは740~800mm程度が一般的で
あるが、膝の高さ・アームサポートの高さを考慮し、膝入れの
スペースの奥行きや高さなどを設定する。
・膝や車椅子が入りやすい
ように、シンクの深さは
120~150mm程度
(通常は180~200mm)
と浅めにつくられているので、
水栓金具は水がはねるのを
防ぐために泡沫水栓にする
とよい。
足が不自由で立位姿勢での調理など、長時間の立ち作
業が難しい場合は、調理台に寄りかかって作業するのに
便利な「サポートバー」を取り付ける場合もあります。
電気調理器・電磁調理器
《電気調理器》
電気で熱くなるヒーターがつ
いていて、鍋底に密接させて
調理するもの。直火のガスの
ように、煮えこぼれによる立ち
消えの心配がなく、部屋の空
気も汚れない。
《電磁調理器》
磁力線を使って鍋底を発熱さ
せるもの。電気調理器と同じ
メリットを持つが、プレート自
体は熱くならない。「IHヒーター」
として話題になっている。
鍋の種類が限定される。
【 寝室 】
《寝室を独立させる》
自分自身の生活を侵さ
れたくないという考え方
が強い場合に適用。
日当たりや外出の仕方、
家族とのコミュニケー
ションのとり方、トイレや
浴室などとの位置関係
に留意する。
《寝室と居間を隣接させる》
1人で生活するよりも、誰か
と一緒にいることを望む場
合や、家族が目を離せない
心身の状況の場合に適用。
☆家族とのコミュニケーションが
図りやすくなるよう、寝室と居
間の間の開口部は有効幅員
1600mm以上確保できるよ
う引き分け戸などにする。
☆同居家族との生活時間が異
なる場合、寝室と居間の間は
遮音性の高い建具にする。
引き戸の形式
《スペースのとり方》
ベッドでの就寝を基本にする場合
1人用:最低でも6~8畳
2人用:最低でも8~12畳
車椅子を利用する場合は1人用
の寝室で8畳程度は必要である
《床仕上げ》
洋室の場合はフローリングが主流になっているが、断熱性・弾
力性の高いコルク床も選択肢の一つである。
カーペット敷きとする場合には、汚れた際に張り替えて洗浄で
きるタイルカーペットも選択肢の一つである。
車椅子や床走行式リフトを使用する場合は、床はフローリング
仕上げが望ましい。
建築図面のルールと読み方
建物や住宅改造の計画内容は、適切に建築
主や施行者に伝達されなければならない。
そのためには、建築図面の約束ごとである
図面の読み方や表示記号などの基礎知識
を身につけておくことが必要である。
《配置図》
建物と敷地・道路の位置
関係が示されている
《平面図》
各階ごとの間取り図・柱や
筋交いの位置が示される。
全体像を把握するのに最も
有効な図面。
《立面図》
建物の外観を横から見た
壁面の姿を示します
(東西南北の4面の図がある)
《断面図》
建物を垂直に切り、切り
口を横から見た姿を示す
(通常2方向を表現する)
外構図 :敷地内の門扉、フェンス、通路、駐車スペース、テラスなどの形状や
仕上げ材料、門灯、庭園灯、植栽などの位置や種類などを示している。
屋根伏図 :建物の外観を上空から見た屋根の姿を示している。
展開図
:各部屋の内観を横から見た壁面の姿を示している。
室内の壁仕上げや開口部、壁面に取り付ける部品や、そのための
補強下地についても描かれている。
天井伏図 :内部空間の天井面を上から透過した向きの内観の姿を示している。
天井仕上げの意匠性や、照明器具の取り付け位置などが描かれている。
平面図とあわせて見ることで、プランとの関係性が把握できる。
構造図
:建物の構造が示されている。
木造の在来軸組構法や枠組壁工法、鉄筋コンクリート造、鉄骨造な
ど、構造の違いにより、構造図はまったく異なる図面になる。
設備図 :電気設備図、給排水・衛生設備図、換気設備図、空気調和設備図と、
設備分野ごとに分けて作成される。
建築関係法規
【建築基準法】
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・
設備・構造・用途についてその最低基準を定めた法律
建築基準法を構成する三要素
総括的規定・・・法令運用上、目的や用語の定義などを明文化
したもの、手続きや罰則等に関する規定
単体規定・・・建築物自体を安全で快適なものとするため、建物
の内容や技術的性能など、建築物に対して、全国一
律に適用される規定
集団規定・・・建築物を取り巻く周辺地域の環境を良好に保つ
ために、建物の用途や高さ、容積など、その建築物
に制限を加える規定
【単体規定】
○建築物の敷地は周囲の道の境より,また建築物の地盤面は
これに接する周囲の土地より高くなければならない。
○高さ13m,軒の高さ9m又は延べ面積3,000㎡を超える建築
物は,その主要構造物を木造としてはならない。
○住宅,学校,病院,下宿等には,採光及び換気のための窓
その他の開口部を設けなければならない。
○下水道処理区域内では,便所は水洗便所とする。
○高さ20mを超える建築物には避雷設備を設け,高さ31mを超
える建築物には非常用の昇降機を設けること。
○延べ面積が1,000㎡を超える木造建築物については,その
外壁及び軒裏で延焼の恐れのある部分を防火構造とし,
その屋根を不燃材料で造らなければならない。
【集団規定】
「接道義務」
建物を建築する場合、敷地は「建築基準法上の道路
(幅員4m以上のもの)に2m以上面すること。
※建築物の敷地は道路に
2m以上接していなければ
なりません。つまり、接道
義務を満たしていない土地
には、住宅等の建築物を建
てることはできません。
ただし、大型ショッピングモール等の大規模建築物の接道
の長さは規模に応じて異なります。
※道路の幅員が4m未満の場合でも、昔から建築物が建ち並
んでいる1.8m以上4m未満の道路については、道路の中
心線 から2m後退したところを道路の境界線とみなして、建
築することができます。(セットバック)
~セットバックとは~
4m未満の道路に接している敷地に
おいて、道路の境界線を後退させる
ことをいいます。
セットバックした部分は自分の敷地
であっても道路とみなされるので、
建物を建築することはできません。
また、建ぺい率、容積率の基本に
なる敷地面積に含めることもできません。
【建ぺい率】
敷地面積に対する
建築面積(通常は1階の床面積)の割合。
*防火や避難路、通風、
採光などを確保するため、
建築基準法によって限度
が定められている。
*都市計画区域内では、
用途地域の種別に応じて、
限度が決められている。
【容積率】
延べ床面積の敷地面積に対する割合。
*都市計画で用途地域と
合わせて容積率を定めて
いる場合は、原則として、
これを上回る容積率の
建物を建ててはならない。
【用途地域】
良好な市街地環境の形成や、都市における
住居、商業、工業などの適正な配置による機
能的な都市活動の確保を目的として、建築物
の用途、容積率、建ぺい率、高さなどを規制
する地域。
用途地域は大きくは「住居系」「商業系」「工
業系」に分かれており、それぞれが細分化さ
れて現在は全部で12の地域となっています。
問題例1
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」における高齢者等配慮対策等級
に関する次の①~⑤の記述の中で、その内容が最も不適切なものを一つだ
け選びなさい。
①高齢者等配慮対策等級とは、「移乗等」に伴う転倒、転落等の防止の
ための措置、介助用車椅子の通行の補助、浴室における浴槽への出
入りおよび身体の洗浄、寝室における介助用車椅子からベッドへの移
乗ならびに便器への移乗、衣服の着脱および排泄後の処理の各動作
の「介助行為」に関わる安全性に配慮した度合いを表したものである。
②高齢者等配慮対策等級は、1~5級の5段階等級となっている
③原則として、住宅内床面の段差は、すべての等級において5mmまで
は許容されている。
④等級1については、「建築基準法」に準じたものであれば、よいとされる。
⑤階段の手すり設置については、すべての等級において、階段の両側に
設置することが求められている。
問題例1
解説
高齢者等配慮対策等級
①
②
③
④
⑤
○
○
○
○
×
⇒ P342~343
高齢者等配慮対策等級によれば、
1等級:階段の両側に側壁がない場合
は手すりを設置する
2~4等級:片側に手すりを設置する
5等級:両側に手すりを設置する
問題例2
片麻痺者を対象とした浴槽の改造例で以下の( )の
入る適切な語句を選びなさい。
*A~Cの手すりのうち、L字形手すり
を取り付ける位置は(①)である。
*ア~エのうち、水勾配は(②)の
方向である。
*Dには(③)を設置する。
(1.すのこ 2.グレーチング 3.スロープ 4.式台)
解答164 ①-C、 ②-ア、 ③-2
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