みどりの防潮堤を造ろう
ごみ・環境ビジョン 21 理事 江川美穂子
仙台市
震災復興計画より
5 月 26 日、宮城県岩沼市の岩沼空港南公園で、市主催の植樹祭が行われます。これは「千年希望の丘」
の創造の第一歩として、「みどりの防潮堤」を提唱する植物生態学の宮脇昭氏(横浜国立大学名誉教授)
が植樹指導を行い、市民 500 名が参加して実施されるそうです。
岩沼市では、他に先駆けて震災復興計画を策定しました。「千年希望の丘」は、東日本大震災で生じた
災害廃棄物の中から、有害廃棄物を含まないコンクリート殻、流木などを活用し、避難場所と多重防御
機能を有した 津波よけ を造り、後世の人々へ想いをつなごう、というものです。
岩沼市では、災害廃棄物を選別・破砕・焼却する中間処理施設と、再資源化する処理施設が 5 月中旬
から本格稼動していますが、このように一般的な処理を行う一方で、人々が生活してきた証である が
れき を地球資源として土と混ぜながら埋め、高さ 10 ∼ 20 mのマウンド(堤)を造成して、その上に
多品種のポット苗を植樹、生物の多様性を保つ いのちを守る森 にする「鎮魂」の意味も含めた有効
活用を行います。同様な取組みは、岩手県大槌町でも行われ、4 月 30 日、「千年の杜づくり」植樹会で
はブナなどの苗 3000 本が住民やボランティアによって、植樹されました。
また、仙台市でも、震災廃棄物を使える資材として加工し、海辺の交流再生ゾーンの中で活用、盛り
土をしてクロマツを主体とした海岸防災林を造る計画が、5 月中に動き出します。
3 月 20 日、細川元首相と野田総理の会談に宮脇氏が同席し、「がれきで鎮守の森を造りましょう、地
元雇用も作りましょう」という宮脇提案をしたとされ、4 月 23 日のTBS『ニュース 23 クロス』に野
田総理が出演し、青森から千葉県までの 140 kmの海岸線に、がれきを利用して海岸防災林を造る「『み
どりのきずな』再生プロジェクト」を発表しました(盛り土の高さ 3 ∼ 10 m、幅 50 ∼ 200 m)。今年度中に、
50 kmの整備を行う、としています。方針には、「がれきを分別・無害化し、安全が確認された再生資
材を盛土材等として積極的に活用する」と明記しています。ただし、再生資材として利用するのは、災
害廃棄物のうち、コンクリート片、堆積した土砂、かわら屑、陶磁器などの不燃物とされ、宮脇方式とは、
植樹する木の種類も含め微妙に異なっています。環境省の廃棄物対策課
の担当者に聞いたところ、「木材は、チップ化して木質ボードや熱回収な
どで有効活用し、塩分などで使えないものは、チップ化したものをマウ
ンドの表面に撒くなどの活用もします」とのことでした。
現在、岩手・宮城の災害廃棄物の総量の見直しが行われていますが、
「『み
どりのきずな』再生プロジェクト」では、木質系のがれきを埋め立て資
材としてもっと活用してほしいと思います。そうすることで、広域処理
よりはるかに安く、地元に雇用を生み、温暖化の防止にもつながるでしょ
う。また、焼却による汚染の拡大や広域処理を巡る対立も避けられます。
岩沼市の植樹には細野環境大臣も参加 何よりも、被災された方々の、心の復興に役立つに違いありません。
(写真:共同通信 )
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