海 外 メ
広 デ
報 ィ
事 ア
情 事 情
海 外 メ
海 デ
外 ィ
広 ア
報 事 情
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙と
ダウ・ジョーンズの日本における変化と拡大
―外国メディアを積極活用してグローバルなニュース発信を―
た、インターネットやモバイルアプリケーションな
どの電子メディア市場も拡大しており、外国企業が
参入しやすくなっている。例えば、「WSJ日本版」
は大変成功していて1カ月500万ページビューを誇
る。当初、外国のニュースの翻訳記事に付加価値が
あると想定していたが、日本についての取材記事も
人気がある。
ジェイコブ・スレシンジャー
ここで強調しておきたいのは、日本企業がWSJ
ウォール・ストリート・ジャーナル、ダウ・ジョーンズ経済通信 日本総局長
を通してニュースを発信する場合、日本のみならず
グローバルな読者にも届けられるということだ。英
経済広報センターは2月23日、ウォール・ストリート・ジャーナル、ダウ・ジョーンズ経済通信のジェ
イコブ・スレシンジャー日本総局長を招き、外国特派員と当センターの会員企業の広報担当者を対象とする
懇談会を開催した。スレシンジャー氏は、1989 ~ 94年に東京支局特派員を務め、2010年に再来日し
て現職。今回は、なぜ今日本で事業を積極的に展開しているか、日本企業がグローバルなニュースを発信す
るためには何が必要かなどについて話を聞いた。
語サイトと日本語サイトでは人気のある記事の種類
が異なっており、興味の方向が違う多様な読者層へ
日本メディアに有利な条件を与えたり、日本市場と
アピールができる。
グローバル市場とで公表するものを区別したりする
新しいメディアへの取り組み
新しいメディアへの取り組み
ソーシャルメディアの重要性や影響が再認識さ
れ、それらの活用も視野に入れている。
ニューズ・コーポレーションによる買収が変化の
日本企業の人に理解してほしいのは、企業の重
要なニュースが発表されたなら、日本語であっても
それは必ずグローバルなニュースとして伝わると
ニューズ・コーポレーションによる
買収が変化の始まり
プリがそのひとつだ。FX取引に関係する企業活動
当初、ソーシャルメディアはニュースとは関係な
いうことである。そのため、「いいとこどり」ができ
や経済政策など、広範囲にわたる情報をカバーする
いと思っていた。だが次第に、情報はあらゆる形で
るWSJをぜひ活用してほしい。
「WSJ日本版」や
ため、人員を増やして財務省や日銀、企業への取材
発信されるということが分かり、有利な形で利用し
“Japan Real Time”は、日本と世界へ同時にニュー
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙(WS
を強化している。為替が企業の戦略に及ぼす影響、
ていかなければと考えるようになった。かつては、
J)の発行元であるダウ・ジョーンズ社(DJ)は、
企業の為替戦略などについて、CFO
(最高財務責
WSJのページにアクセスしないと記事が読めな
独占的な情報が常に有益であることも付け加え
2007年、 ル パ ー ト・ マ ー ド ッ ク 氏 の ニ ュ ー ズ・
任者)や財務担当者から興味深い話を聞く機会があ
かったが、現在ではブログ、アグリゲーター、フェ
ておく。通常なら取材しないレベルの情報であって
コーポレーションに買収された。そこから、変化と
れば、ぜひ取材させてほしい。
イスブックなどを通してWSJの記事を読む人が増
も、独占取材させてくれるなら取り上げる、という
えている。
ケースがある。常に日経が先で外国メディアは後回
始まり
拡大が始まった。買収前のDJは、ニュースメディ
アとしては優秀な組織であったが、ビジネス面は
さんたん
なぜ今日本なのか
なぜ今日本なのか
ツイッターの活用には課題も多い。ジャーナリス
スを発信できるメリットがある。
しという日本企業が多いが、それではグローバルに
惨憺たるものだった。買収によって豊富な資金を確
日本における外国メディアの縮小、支社の閉鎖が
トが、情報提供や注意喚起にツイッターを使うのは
保できるようになり、リスクを取らない保守的な組
相次ぐ中、DJでは日本での取材を増やし、スタッ
いいが、一線を越えて不適切な意見を発信すること
織から、柔軟性と独創性が求められる組織へと企業
フも増強している。WSJは、日本の取材をさらに
がないよう、注意が必要だ。とはいえ、新聞になじ
インタビューを記事にしてもらうには
インタビューを記事にしてもらうには
風土ががらりと変わった。
拡大して総合紙を目指している。ウェブなどでの活
みがない若者など、幅広い聴衆に訴求する効果は非
企業幹部へのインタビューが記事として掲載され
常に高いと思う。
中でも最大の変化は、WSJとダウ・ジョーンズ
動の推進を図り、ここ1年間で、日本に特化した英
経済通信(DJNW)の統合だ。2009年、北京支局
語のブログ
“Japan Real Time”
と、日本語サイト
「W
と東京支局で実験的に統合が行われた。第1の目的
SJ日本版」
を立ち上げた。
は、効率化である。以前はWSJとDJNWそれぞ
れに記者がおり、同じ分野の記事も別々に書いてい
このような話をすると、特に日本人から
「なぜ今
日本で事業を拡大するのか」
と必ず聞かれる。
情報発信する機会を逃してしまうことにもなる。
るかどうかは、情報の質にかかっている。広報担当
これらはまったく新しいチャレンジであり、ブラン
者は、メディアが注目しそうな話題、ニュース価値
ドイメージが悪化しないように努めつつ、今後も積極
がありそうな情報を1つ、2つ、インタビューを受
的に利用していかなければならないと思っている。
ける前に幹部に伝えておくといいと思う。ワシント
企業がニュースを発信する際の
アドバイス
ンでは、政治的なニュースを発信する戦略に非常に
た。統合後は、1人の記者がWSJとDJNW両方
理由の1つに、日本の出来事は日本だけでなく世
の記事を担当することになり、その結果、効率化が
界的にも重要であることが挙げられる。日本は世界
企業がニュースを発信する際のアドバイス
ビのトークショーに出演する場合、当日夜のニュー
進み日本全体へ取材を拡大させることができた。第
3位の経済大国であり、世界最大の市場のひとつで
WSJとDJNWは、日本での取材記事を世界に
ス番組や月曜日の新聞で取り上げてほしいニュース
2に、24時間止まることのないニュースビジネス
あり、世界的大企業の本拠地でもある。中国やイン
向けて発信していきたいと考えている。グローバル
ポイントを必ず用意している。インタビューは、話
に、より良く対応するためだ。新聞と通信社を統
ドの方が重要だと考えるメディアもあるが、アジア
な情報発信という枠組みでとらえ、企業としてどう
し手はもちろん、内容にニュース価値があるかどう
合することで、インターネットにリアルタイムで
を理解するには、まず日本を理解しなければ始まら
いうニュースを提供できるかを考えてほしい。
かも重要だと承知しているからである。
ニュースを発信するための緊急意識が生まれ、同時
ない。
長けている。例えば、政治家が日曜日午前中のテレ
世界に向けて情報発信したいと考える日本企業が
また、数回のインタビューをまとめて1つの記
2つ目の理由は、日本の市場にビジネスチャン
増えており、以前より外国メディアの取材を受けて
事にすることもあるので、1回だけのインタビュー
スがあると見ているからだ。経済成長が低迷してい
くれるようにはなった。しかし、日本の報道陣と外
が記事になるかどうかで判断せず、継続的にインタ
日本でビジネスを拡大するため、積極的に新製品
るとはいえ、日本は貯蓄額約17兆ドル、アジアの
国の報道陣に対する態度が依然として違うなど、実
ビューさせてもらえるとありがたい。 を投入している。
「DJ FX Trader」
というiPhone用ア
富裕層の過半分を抱えており、圧倒的に裕福だ。ま
際には変化していない側面もある。企業の中には、
に報道内容をどれだけ深められるかも重要視される
時代に対応できるようになった。
24
ところがある。
〔経済広報〕2011年5月号
k
(文責:国際広報部 本多由紀)
2011年5月号〔経済広報〕
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