大学生における心理教育的グルー
プワークの学習スタイルの違いによ
るストレス予防効果の比較
研究の動機
心理教育的グループワークは個人や集団の問題に対
する適切な対処法を学ぶ目的で行われている。(自己
開発グループ、ストレス・マネジメント、アサーション・ト
レーニングなど)
心理教育プログラムはグループの自主性を促すような
プログラムを中心に構成されてはいるが、専門家による
教授は必ずそこに含まれている。
グループワークに参加し、そこにいるということにこそ
意味があると考え、全く専門家(指導者)を介さない心理
教育的グループワークの効果を測定したいと考えた。
問題1
・地域精神保健。
・人的資源の活用。
・大学生の抑うつ傾向。
精神医学における予防の定義
(Caplan,1964)
第一次予防・・・精神異常の発生予防
第二次予防・・・精神異常の早期発見・早期治療
第三次予防・・・機能の障害程度の軽減
心理教育の定義(岡林,1997)
心理教育とは、治療教育・予防・発達を目的とし
た広義のカウンセリングのアプローチである。
問題2
①心理教育、グループワークに関する実践研究はいく
つかあるが(宮崎・松原,2001;坂本・西河,2002;白
石,2005)、いずれも第二次予防としての効果を測定し
たものであり、第一次予防の効果を測定した実証的な
研究は少ない。よって、本研究では心理教育的グルー
プワークの第一次予防の効果について、介入後のスト
レス実験を行うことによって明らかにすることを第一の
研究目的とする。
②なんらかのリスクファクターを抱えた者への第二次、第三次予防
を目的とした心理教育的グループワークは、なんらかの形で専門
家の援助を必要とすると考えられる。しかし、第二次、第三次予防
を行っていると考えられるセルフヘルプグループ(全日本断酒会連
盟、がんの子どもを守る会など)のように、ほとんどを当事者の自
主性にまかせて運営し、成功をおさめている例もある。第一次予防
を目的とした心理教育的グループワークにも、自主性を促すセッ
ションは含まれてはいるものの、プログラムの中には専門家による
直接的な指導が必ず含まれている(①に記載の論文)。指導者を
全く介さない心理教育的グループワークの効果研究は行われてい
ない(はず)。よって、純粋な能動的な学習グループの効果を測定
するため、受動的な学習グループを設定し比較することによってこ
れを検討することを第二の研究目的とする。なお、専門家への連絡
をいつでもとれることを明示し、被験者の心理的安全を確保する。
研究の流れ
実験1
大学生における心理教育的グループワークの抑うつ軽
減効果を検討する。(第二次予防)
実験2
大学生における心理教育的グループワークの抑うつ予
防効果を検討する。(第一次予防)
予備調査
被験者の属する大学であるR大学の大学生の一番のス
トレスが何かについて調査する。実験2で利用。
予備実験
目的
実際に実験を実施し問題点を挙げておき、本実験に生かす。効
果が出そうかを検討する。
方法
被験者 R大学大学生10名。教示学習群5名、講義学習群5名
にランダムに振り分ける。
手続き 本実験でも用いる中野の『ストレス・マネジメント入門』
(2005)をテキストにして、グループワークを行う。どの箇所を用
いるかは、予備調査の結果を参考にして決める。教示学習群に
は学習箇所だけを教え、その他はグループの自主性にまかせる
ことを教示し、グループごとで学習をすすめてもらう。講義学習群
については、実験者が同じ箇所のレジュメをまとめておき、講義形
式で行う。
実施期間 6月に週に一回のペースで3週連続で行う。4週目に
ストレス実験を行う。
実験1
目的
心理教育的グループワークの第二次予防とし
ての抑うつ軽減効果を検討する。また、学習
スタイルの違いによる(教示学習群と講義学
習群)効果の比較も行う。
方法
被験者 R大学大学生30名。R大学の授業中に参加希望者を募り、
参加を希望した大学生を被験者とする。被験者の個人内特性の統
制には、自己記入式抑うつ尺度 (SDS; Zung,1965)、SelfControl Schedule (SCS; Rosenbaum,1980)、ストレス尺度
などを考えている。学習の動機づけについては、自主的に参加を
希望する者を被験者とするため統制されたものと考える。被験者
30名のうち、10名を教示学習群(5人×2グループ)、10名を講義
学習群(5人×2グループ)、10名を統制群とする。統制群につい
ては、ストレス研究という名目で別の授業で参加希望者を募る。
手続き
独立変数 中野の『ストレス・マネジメント入門』(2005)
をテキストとして用い、ストレス対処法を学ぶ。学習箇所
は予備調査、予備実験の結果を参考にして決める。教
示学習群、講義学習群の学習スタイルについては、予備
実験と基本は同じ予定だが、予備実験の結果を基に細
部を変更する。
従属変数 自己記入式抑うつ尺度(SDS;Zung,1965)、
ストレス尺度の得点。
実験期間と実験状況
実験期間 両学習群とも1~3ヶ月の間で、この学習自体がストレ
スにならないよう4回程度の学習を考えている。
実験状況 両学習群ともR大学学内の心理学実験室内において行
う。プレテストは被験者募集の時に授業教室内で行い、ポストテス
トは心理学実験室内で行う。統制群については、心理教育介入を
行わない以外は両学習群と査定時期・場所は同じである。
実験計画
群(教示学習群・講義学習群・統制群)を
被験者間要因、テスト時点(介入前・介
入後)を被験者内要因とする2要因混合
計画。
SDS平均得点(点)
結果予測
42
41
40
39
38
37
36
35
能動群
受動群
統制群
pre
post
Figure1 プレとポストテストにおけるSDS
平均得点の推移(予測)
研究2
目的
心理教育的グループワークの第一次予防とし
ての抑うつ予防効果を検討する。また、学習
スタイルの違いによる(教示学習群と講義学
習群)効果の比較も行う。
方法
被験者 実験1に参加してもらったR大学大学生30名。
手続き
独立変数 実験1の学習スタイル。
従属変数 未定。ストレス対処によって現れる変数。
実験期間 実験1の予後に当たると思われる時期に、1回。
実験状況 R大学学内の心理学実験室で行う。
実験計画 未定。
なんらかの平均値
結果予測
60
50
40
30
20
10
0
能動群
受動群
統制群
Figure2 なんらかの平均値
問題点
教示学習群に実験者としてファシリテーターと
して参加するのはよいにしても、講義学習群の
専門家役として指導に当たるのが同じ人物で
よいのか?質の問題。
被験者数。何人くらいならグループとしてうま
く機能するか。各群2グループ必要か。
参考文献
Caplan,G. 1964 Principles of prevensive psychiatry.
New York: Basic Books
福田和彦・小林重雄 1973 自己記入式抑うつ性尺度の研究 精神
神経学雑誌 75,673-679
宮崎圭子,松原達哉 2001 専門学校生のストレス緩和に対する心
理教育的グループの試みー生活分析的カウンセリングの適用ー
22,308-319
中野敬子 2005 ストレス・マネジメント入門 金剛出版
岡林春雄 1997 心理教育 金子書房
Rosenbaum,M. 1980 A schedule for assessing selfcontrol behaviors: Preliminary findings. Behavior
Research Therapy 11,109-121
白石 智子 2005 大学生の抑うつ傾向に対する心理的介入の実
践研究―認知療法による抑うつ感軽減・予防プログラムの効果
に関する一考察―教育心理学研究 53,252-262
坂本 真士,西河 正行 2002 大学生における抑うつ気分のコント
ロールに関する予防的取り組み―グループワークを利用した心
理教育プログラムの開発―人間関係研究 社会学社会心理学人
間福祉学 大妻女子大学人間関係学部紀要 3,227-242
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