災害の心理と倫理
早川由紀夫
1月23日
広瀬弘忠
• 認知バイアス
– 正常性バイアス
– 同調性バイアス
– 確証バイアス
• パニック神話
広瀬弘忠(3-16分)
バイアス(bias)とは何か
• 先入観、偏見、偏り
正常性バイアス
• 危機的な状況に立たされたとき、人はそれを
日常の延長としてとらえて、それほど危険で
はないと歪めて認知したいと思いがち。
• 同じ災害でも、原子力発電所や化学工場な
どで起こる科学技術の事故すなわち人為災
害では正常性バイアスが少なく、むしろ過剰
なリスク認知が起こる。人々は自然災害の発
生頻度を実際のそれより低く見積る一方で、
人為災害の発生頻度を実際のそれより高く
見積る傾向にある。
同調圧力
• 独創性 vs 協調性
• 個人 vs 地域社会
• 配慮不足
• 不適切
• 不謹慎
噴火災害へ
の行動心得
宮崎県消防防災課の
ページより
確証バイアス
• 大予言者は、自分の予言が当たった証拠を
強調する.
• ひとはふつう,予言がはずれた証拠を探すよ
りも,予言が当たった証拠を探す性質がある.
• この確証バイアスを利用して,はずれた証拠
から目を遠ざけさせる.
パニック神話
• パニックはそう簡単には起こらない。
• パニックを心配して情報伝達を控えてはなら
ない。
• 2011年3月事故直後にそう判断した為政者は、
エリートパニックだと批判された。
これらの推論に共通するものは何か。
1. 赤土(ローム)をひとかたまり取って水洗いする
と火山灰を構成する鉱物がみつかるから、赤土
は火山噴火で降り積もった火山灰だと結論する。
2. コケのセシウム含有量を測ると高いから、コケ
にはセシウムを集める能力があると結論する。
3. 福島で小児甲状腺がんがたくさんみつかってい
るから、原発事故がもたらした被ばくによって生
じたと結論する。
4. 二酸化炭素に温室効果があるから、大気中に
それが増えることによって地球温暖化が起きる
と結論する。
素朴概念
• 人は日常生活の中で、経験的に自然発生的
に、思い込みによって概念形成を行っている。
この思い込みを素朴概念もしくは誤概念とい
う。
• 天動説の素朴概念をもつ子どもに、地動説を
どう教えるかは、理科教育のひとつの課題で
ある。
クリティカルシンキング(批判的思考)
• が必要。
減災のテトラヘドロン(岡田弘)
住民
学者
行政
マスメディア
学者・マスメディア・行政が協力して、住民を支えるモデル。
減災のテトラヘドロン
じつは利害が対立。緊張関係が必要。
観光客が来なくなる。
観光業者・一般住民・
観光客の利害対立。
住民
生活も大事。
生命の安全が第一。
研究成果を役立てたい。
学者は他人と違う
意見を発表するの
が仕事。
学者
火山噴火の推移予測
は本質的にあいまい。
研究費を獲得したい。
行政
雑音は聞きたくない。
学者からは統一され
た見解がほしい。
学者は、確実なこと
だけを言ってほしい。
マスメディア
国・都道府県・市町村に
よる責任の押し付け合い。
報道したい。視聴率が大事。
他社を出し抜いてスクープしたい。
集団浅慮
• 「三人よれば文殊の知恵」ということわざがあるが、
• 集団の意思決定は、その集団の中の有能な個人
の決定より優れたものに必ずしもならない。
• 集団が意思決定するときに、メンバー個人が持つ
批判的な思考能力が集団の話し合いの中で失わ
れてしまい、過度に危険な決定を集団が下してしま
う集団浅慮(groupthink)という現象が起こる。
• 伝えるべきリスクがあると判断する個人が組織の
中にいても、その個人の行動が組織の中で評価さ
れないならば、その個人はリスクを伝えることを控
えてしまう。
研究における利益相反
大学教員が企業と協力して研究を行うとき、教
員・大学・企業の間に利益と責任が衝突する場
合がある。これを利益相反という。
衝突
1. 教員の利益 ⇔ 大学における責任
2. 大学の利益 ⇔ 大学の社会的使命
3. 教員の社会的責任 ⇔ 大学における責任
偏見と差別
• 福島県ナンバーの車
• 津波がれき
• 福島の桃
差別のレッテルは、反論を封じる効果がある。
中学生人権作文コンテスト(法務省)内閣総理大臣賞、2013年
• 未知のものへの警戒心を取り去ろうとする
意志は、正常性バイアスに他ならない。
• そんなことをしたら、すぐ死んでしまう。
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