GFD セミナー分科会, 2012 年 8 月 20 日
無限領域のスペクトル法を用いた
山岳波の安直計算について
石岡圭一 (京大院・理)
E-mail: [email protected]
動機
• 研究室配属になった 4 回生が Lee Vortices をやりたいと言い出した.
• 4 回生からやるならできあいのモデルを使うのではなく, やはりモデル
を作るとこからやらせたい.
• といっても, 私自身今まで地形の無い世界に住んでいたので, 地形入り
の計算やったこと無かった.
• 隣の研究室では急峻地形に拘った計算手法開発をやっているので, つね
づね自分でも山岳波の計算くらいはやってみたいと思っていた.
• ということで, 学生にやらせる前に, 自分で書いたらどんな感じになる
かやってみることにした.
やりたいこと
• 方程式はブシネスクで良い. ただし, 静水圧平衡は仮定しない.
• とりあえず 2 次元で山岳波の計算くらいができるとこくらいまで.
• ただし, 将来的にはもちろん 3 次元の Lee Vortices の計算はできる
ように.
• 山岳波が励起されて伝播していくので, 無限領域のスペクトル法を使え
ると嬉しい.
解くべき問題
基礎方程式:
Dζ
∂b
=
,
Dt
∂x
Db
= 0.
Dt
ここに, ζ: 渦度, b: 浮力, で,
D
∂
∂
∂
=
+u
+v ,
Dt
∂t
∂x
∂y
∂ψ
∂ψ
u=− ,
v=
,
ζ = ∇2ψ.
∂y
∂x
なお, x は水平座標, y は鉛直上向き座標.
境界条件:
下端境界で ψ = 0, 遠方で ψ と b の擾乱成分 → 0.
さて, どう解くか?
• 地形に合わせて一般曲線座標を導入するのが一番まっとうだが, 格子生
成だけでも結構面倒.
• 気象の業界で使われるいわゆる z ∗ 座標
z − h(x)
∗
z =H
H − h(x)
(H は計算領域上端, h(x) は山の高さ) を使うにしても, 座標系が歪むの
で, ポアソン方程式解くのが楽ではない (気象の普通のモデルのように, 音
波入れて解いちゃうならその必要ないけど..). 歪んだ座標系でもマルチ
グリッドとか使えばポアソン方程式もそれなりのスピードで解けるだろう
が, それはそれでチューニングとか面倒.
• 座標系を歪めない解法として, 埋め込み境界法 (Immersed Boundary Method = IBM) がある. そこでは, 固体境界を porous media のように扱って, 境界条件を境界で仮想的な外力をかけることによっ
て満すように強制する (最適化問題におけるペナルティ関数法のような感
じ). スペクトル法と IBM の組み合わせの例も過去にそこそこある.
• ただ, 実際プログラムを組んでみると, 粘着境界条件の場合のように,
境界で渦度が発生しても構わないような場合はそこそこちゃんと解けてい
るように見えるが, スリップ境界条件を課すような場合, IBM ではどうし
ても境界で本来ありえない渦度生成が起きてしまう. Lee Vortices を
扱う場合, どこでどのように渦度生成されるかをちゃんと把えることが重
要なので, sprious な渦度生成は避けたい.
• 結局, 山岳波の計算において重要なのは, 山を迂回する流れをちゃんと
計算すること. 流れ場が与えられれば, 渦度場の時間発展はできるので,
渦度場から境界条件を満すように流線関数場をいかに計算するかが問題.
• スペクトル法を使うので, 地形が無い場合は, 渦度場から流線関数場を
求めるポアソン方程式は簡単に解ける. ただ, それではもちろん地形のと
ころでの境界条件 ψ = 0 を満すことはできない.
• 渦度場を変えることなく流線関数場を修正して, 境界条件を満すことが
できれば良い. → 調和関数を適当に加えればよい.
• ただし, 流線関数の擾乱成分が遠方で → 0 という条件があるので, 地中
に特異点を埋め込んで r −m sin(mθ) 型の調和関数を適当に重ね合わせる.
← 代用電荷法的なアイディア.
計算の流れ
1. 与えられた渦度場から, 地形を考慮せずに流線関数場を求める.
2.
地形上での流線関数値を与えて, 最小二乗法で調和関数の係数を決
める.
3. 1 で求められた流線関数から 2 で求められた分を引いて境界条件を満
す流線関数を得る.
4. 3 で求められた流線関数から流れ場を計算し, 渦度と浮力の移流計算
を行い, 時間発展する.
計算例
山の形状:
h0
h(x) =
,
2
1 + (x/a)
h0 = 100m, a = 5km.
基本流: U =10m/s.
成層: N =0.01/s.
切断波数: 水平 85, 鉛直 85.
射影に使う円半径: 水平 30km, 鉛直 10km.
格子点数: 水平 256, 鉛直 128.
最小格子間隔: 水平 736m, 鉛直 245m.
時間刻み: ∆t =1min.
時間発展結果 (鉛直流速場)
まとめ
• 安直な計算法だが, 線形理論解などと比較してもとりあえず精度良く計
算できているようだ.
• 非線形性が強い場合について, Miles の非線形理論解などと比較してど
の程度合うかなどチェックする必要あり.
• 3 次元化は将来の課題.
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