国際政治経済論八代ゼミサブゼミ A9751226 中嶋 綾
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ゼロ金利政策
Ⅰ.ゼロ金利政策とは
日本銀行が平成 11 年 2 月 12 日から続けている金融緩和策。
金融市場に豊富な資金供給を行うことによって短期市場金利(無担保翌日物金利)を実質的に
0%近傍(0.02%)まで低下させる。
Ⅱ.金融政策の影響
市場金利低下
信用リスク軽減
需要増加
円安
株高
【ゼロ金利政策導入の背景】
ゼロ金利政策を決定した平成 11 年2月当時、コールレートの誘導目標は 0.25%と、
既に非常に低い水準まで低下していた。追加的な金融緩和を行うため、コールレート
の下限を事実上取り払ってしまうかたちで、残る金利の低下余地を最大限活用しよう
という結論に至った。
日本の景気、つまり企業の活動や業績、あるいは私たち生活者の雇用や所得が悪化を
続け、かつてないような深刻な状況に陥っているから。
金利が下がる→金融機関の貸出金利が下がる→お金が借りやすくなる
(企業)→新事業や設備投資をしやすくなる
(個人)→住宅ローンの低下→住宅の購入・増改築
→経済の活発化
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金利の低下→預金金利の低下 でも景気回復を通して、多くの勤労者の雇用確保
がなされ、家計収入が回復すれば、総合的にはプラス。家計の収入に確かな見通しが
つけられるようになり、将来への漠然とした不安へも長期的な生活設計により対応で
きれば、節約ムード一辺倒から脱皮して、貯蓄と消費のバランスの取れた生活を取り
戻せるだろう。それが日本経済の牽引力となるだろう。
【当初の回復シナリオ】
① 企業収益の回復が設備投資など企業の支出活動の増加をもたらす。
② 企業の支出活動の増加が生産の一段の増加などマクロ経済全体に波及。
③ そのことが家計の所得の好転と個人消費の増加につながる。
【ゼロ金利政策の影響】
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コール市場→35 兆円規模から 20 兆円へ。約4割ほど規模減少。翌日物以外の取
引の減少。
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邦銀→資金確保に安心感・海外からの資金繰りに対する懸念の後退。預貸金利ザ
ヤの拡大
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機関投資家→より高い運用益を求めて期間の長い投資やある程度のリスクのある
債券(CP や社債)、株式への投資が積極化
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株価・長期金利・金融機関の預金・貸出金→この結果、下がる。
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企業→株価上昇とそれにともなう株式売却益の増大
【参考 量的緩和】
『量を増やすという形での金融緩和』
マネーサプライとかマネタリーベースといった「量」。
通常のモノやサービスにおいてその供給量と価格が密接に関連しているのと同様に、
カネの量と金利も無関係ではない。
「金利を低下させる・低位に安定させる」ためにはそれだけたくさんの資金を常時供
給しなければならない。
<量的緩和が行われている具体的な例>
①支払い準備 金融機関が日銀に対する預金という形で保有を義務付けられている
支払準備の額が全体で4兆円弱だが、それを1兆円ほど上回るような大量の資金供給
を行うことによってコールレートをゼロにしている。
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②オペの札割れ 11 年夏頃からオペの「札割れ」と呼ばれる現象が頻発。札割
れとは日銀が資金供給のオペのオファーをしたときに金融機関から申し込まれた金額
がオファー額に達しない状況。これは日銀がゼロ金利で資金を供給しようとしても、
既に資金が十分行き渡っているため、金融機関はそれに全額応じようとしない。
「量的ターゲティング」→何らかの量的指標に目標値を設ける。
金融システム危機の最中に金融の量的指標を一定にコントロールするのは難しい
マネタリーベースは主に経済成長に反比例する形だが、金融システム不安が鎮静化す
るにつれ、タンス預金の積み増しが鈍ってきたことを反映したりで、成長率の改善と
必ずしも???
ターム物金利の決まり方は、「今どれだけ多くの」資金を供給するか、ということよ
りも、「いつまで」続けるのか、の方が重要。→「量」よりも「時間軸」の方が大事。
【参考 長期金利】
「日銀が資金の供給量をもっと増やせば、3か月物や6か月物など、もっと長いター
ム物金利を下げることができるのではないか」という疑問。
ターム物金利の決まり方は、日銀が「今どれだけ多く」の資金を供給するかよりも、
現在のような資金供給を「いつまで」続けるか、の方が重要。
【継続すべきか、打ち切るべきか】
日銀の金融政策の目的は「物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資すること」、
言い換えれば、「インフレでもデフレでもない物価安定を目指す」。
日本銀行法
(通貨及び金融の調節の理念)
第 2 条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当っては、物価の安定を図ること
を通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。
【継続すべきか、打ち切るべきか】
解除の条件 ①設備投資 設備投資計画がどの程度上向き修正されるか
②個人消費 個人消費が夏場にかけてどの程度改善するか
×十分景気回復感が出る前に政策の方向転換をするのは 97 年時の景気腰折れと同様
になる可能性。
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×金利が下がったにもかかわらず、債務の圧縮を進める企業は設備投資に慎重で、資
金需要は低迷している。短期金融市場では運用益がとぼしい。家計の利子所得低下の
副作用。
×株価が軟調なままでの解除は望ましくない。
○デフレスパイラルに陥るリスクは十分小さくなった。
○経済の改善とともにゼロ金利のメリットは薄まり、デメリットが目立つようになっ
た。
○個人消費は 90 年代の高めの労働分配率の修正過程という要因をうけているので、
現状程度の展開を十分と見るべき。
○市場はゼロ金利政策を「緊急避難措置」の解消と受け止めるので、それによって長
期金利が大きく上昇することはありえない。
□解除の目処が抽象的で不明確なのでこれを改め、1,2年先の物価などの予測を数
値で示してアカウンタビリティーを高めるべき。
□「地ならし作業」長期金利や円相場の急上昇といった無用のショックを起さないた
めには、市場にとってのサプライズにならないような状況を設定すること。
Qいずれ解除されたときの収益源をどこに求めるかが不明瞭。
企業は輸出増・一時的リストラ効果・ゼロ金利
【日銀の大勢の意見】
① 景気は持ち直しの動きが明確化
② 民間需要面では、設備投資が緩やかながら増加に転じるなど、一部に回復の動き
③ 金融面では緩和感が浸透しているが、一部にゼロ金利政策の解除を織り込む動き
④ 民間需要の自立回復力については、なお点検すべき点が残っている。
⑤ 需要の弱さに由来する潜在的な物価低下圧力は、ひところに比べて後退しているが
引き続き留意は必要。
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