土質力学Ⅰ及び演習(B班:小高担当) 配付資料 No.8 (2004.5.31)
【圧密方程式の初期条件,境界条件と等時曲線】
順番が前後するが,圧密方程式の解法がわかったところで,もう一度,初期条件,境界条件について復習
する。
(1)圧密方程式の初期条件,境界条件(圧密方程式と言えば暗黙に Terzaghi の圧密方程式である)
両面排水条件でも,排水距離が半分の片面排水条件と同じ解であることがわかったので,ここでは層厚
H の粘土層の片面排水条件の問題について考える。また,境界条件,初期条件と言っているが,解くべ
きものは過剰間隙水圧(静水圧からの変動分の水圧)なので,当然過剰間隙水圧に関する境界条件と初
期条件である。
p0
砂層は伝統的に,排水条件(すなわち過剰間隙水圧 u = 0 )
を表すために用いられる。
厚い砂層でなければ※,上載荷重がそのまま粘土層に伝わる
と考えて良く,粘土層の圧密現象を考える上では,排水の境
界条件を与える役割だけであり,事実上無視する。
また,砂の圧縮量は粘土の圧密変形に比べて非常に小さいの
で無視することも暗黙の了解になっている。
砂層
0
粘土層
岩盤は伝統的に,非排水条件(すなわち流速 v = 0 )を表す
ために用いられる。
また,非常に硬いので,それ以下の層は圧縮変形しない(す
なわち粘土の圧密変形=地表面沈下)という,暗黙の了解を
含んでいる。
H
岩盤
圧密方程式
∂u
∂ 2u
= cv 2
∂t
∂z
を解くために,境界条件を設定するが,境界は粘土層の上下端に
2 つの境界があるため,2 つ設定することができる。
上端: u (0, t ) = 0 ,上端は砂層に接しているために,時間に無関係に過剰間隙水圧は常にゼロと
する。
∂u ( z , t )
∂z
下端:
= 0 ,下端は岩盤に接しており,岩盤は暗黙に不透水と仮定されるため,
z =H
時間に無関係にその境界においては,常に流速 v = 0 とする。
すなわち, v = ki = −k
∂h
k ∂u
=−
= 0 より,冒頭の境界条件を得る。
γ w ∂z
∂z
次に初期条件を設定する。
Terzaghi の圧密方程式の大きな仮定は,
「圧密荷重は瞬間的に載荷されて,ずっとその載荷重が一
定のまま継続される」というものである。何度も例題で仮定したように,載荷直後は粘土から排
水されないために,荷重の増分(すなわち全応力の増分)はすべて間隙水圧が増加することによ
り受け持つことになる。間隙水圧は,荷重増分 p 0 と同じだけ増加するが,その増加分が「過剰
間隙水圧」に他ならない。すなわち,過剰間隙水圧の初期条件は,粘土層全体で同一であり,
u ( z ,0) = p0
となる。
問題を極端に表現すれば,載荷完了までは粘土層から水の出入りがないように,粘土層上端に遮
水性のゴム膜を張っておき(初期条件),圧密開始と同時に,荷重を載せたまま,
「いち,にい,
のさん」でゴム膜を瞬間的にはずす(境界条件)ようなイメージである。
まとめると,
「前ページのように片面排水条件が仮定できる層厚 H の粘土層に,上載荷重 p 0 が瞬間的
に載荷されて,そのまま維持されたときの圧密現象の初期値・境界値問題」は,
∂u
∂ 2u
= cv 2
圧密方程式:
∂t
∂z
境界条件式: u (0, t ) = 0 および
∂u ( z , t )
∂z
=0
z =H
初期条件式: u ( z ,0) = p0
となる。
これを解くと,
u ( z, t ) =
∞
2 P0
sin MZ exp(− M 2Tv )
n =0 M
∑
(ただし, M =
c ⋅t
( 2n + 1)
z
π , Tv = v 2 , Z = )
2
H
H
が得られる。(層厚 2H の両面排水条件での解と全く同じ)
(2)過剰間隙水圧の等時曲線
以上の結果を, u / p 0 を横軸に, Z = z / H を縦軸に,適当な時間係数 Tv の間隔で図示する。
0
1.0
Tv = 0.1
0.8 0.6
0.9 0.7 0.5
0.15
0.2
0.4 0.3
u / p0
Tv = 0.02
Tv = 0 (初期条件)
1.0
層厚 H における不透水岩盤
との境界面,あるいは層厚
2H の両面排水条件における
粘土層の中心線
2.0
Z = z/H
注:上図は精密に計算した結果ではなく,イメージ図なので,多少
本物よりズレがあります。詳細は他の専門書で見ること。
上のような図を,等時曲線(Isochrones:英語読みはアイソクローン)と言う。
前ページ※
粘土層の上の砂層が厚い場合は,上載荷重が砂層において分散すると仮定して計
算する場合もある。分散の度合いは場合によって異なるので,その都度仮定する。
普通は,分散されて直接粘土層上端に加わる載荷重を別途計算して,圧密の沈下
量の計算を行う。(右図は分散して載荷面積が増えるために,粘土層に直接作用
する圧力は,砂層に載荷される圧力より小さくなるという仮定。2 次元的な仮定
もあれば,3 次元的な仮定もあるので注意する。
)
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圧密方程式の初期条件