3.宮城県産材を利用した木造住宅の推進
(1) 宮城県の森林の現状
○県土の 57%(41 万 ha)が森林であり、全国で 22 位の森林
面積です。外国産材の輸入利用増大により、戦後植林された
杉、檜などの人工林は伐採される量が減り続け、木材として
利用できる量はどんどん増えています。さらに県産材の利用
減少は、間伐などの手入れが行き届かない森林の増大となっ
ています。このような現状から、森林の持つ二酸化炭素吸収
力の低下ばかりでなく、貯水能、土壌保持能、生物多様性維
持等の低下が各地で心配される状況になっています。
(2) 宮城県産材の現状
○製材分野については、震災前の住宅着工の低迷や輸入製材
品等の影響により、県内向けの出荷量が大きく減少していま
したが、震災復興需要により回復傾向にあります。今後、乾
燥施設の不足により、需要に対する供給不足が懸念されてい
ます。
○合板分野においては、国産材の価格高騰により入手が困難になる中、技術の改良により
小径材の利用が可能となり、県内の間伐事業の拡大や流通体制の整備を推進した結果、県
産材の合板利用が増加しています。
○業界においては、品質・性能が認証された製材品である「優良みやぎ材」の生産や、販
売拠点となる「みやぎ材利用センター」の設立、合法性木材の証明など県産製材品の販売
力強化に向けた取組が進められています。また、県産材利用の新たな動きとして、森林所
有者から林業・木材産業、建築関係者が一体となって住宅づくりを進める取組が増えてい
ます。
○杉、檜は植えられてから 50~60 年経過し、ちょうど伐期を迎えています。
(3) 宮城県産材利用のメリット
○森林の基本機能の改善
県土の約 6 割を占める森林は木材の生産のみならず、洪水や渇水を
防ぎ、水源の役割や、自然災害を防ぐ役割があります。さらに二酸化
炭素を吸収したり、県民のレクリエーションや教育の場を提供したり、
様々な野生生物の住処にもなっています。県産材利用促進により森林
の整備が進み、森林本来の持つこのような機能が強化されます。
○二酸化炭素削減
森林は、成長過程で二酸化炭素を光合成により吸収し、幹や枝等に炭素として貯蔵する
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ことから、地球温暖化防止の大きな力となっています。伐採、植林を繰り
返すことで二酸化炭素の吸収能と貯蔵能が高く維持されます。地球温暖化
を防止する機能を持っており、伐採しても植林を繰り返すことで二酸化炭
素の吸収と貯蔵が継続されます。また、伐採した木材を住宅部材等に使用
することで、木材が吸収した二酸化炭素を長期間にわたり貯蔵することが
できます。
○木材運搬のエネルギーの削減
県産材を利用することは木材の産地から消費地までの距離を少
なくすることになり、その結果エネルギーの削減になります。
○環境負荷の低減
木材は、自然素材として健康的な生活や快適な住環境の形成に寄与
しており、加工エネルギーも小さく、サーマルリサイクルも可能であ
り、環境負荷の低い素材です。
○地域への貢献
宮城県の産業の活性化に繋がり、各地域での技術・技能の伝承にも良
い影響を与え、地域の気候・風土に合った家づくり・街づくりができ、
宮城県の木の文化が維持されます。
(4) 宮城県の補助金
宮城県では、平成 24 年度県産材エコ住宅普及促進事業として主要構造材に県産材を一
定以上使用する住宅の建て主に対して、1 棟あたり最大 50 万円、予算額 2 億円、受付予
定件数約 400 件の補助金を交付し、県産材の利用拡大を推進しています。
(5) 提案
○県産材の更なる普及促進
県産材の利用のメリットを、各工務店、公共団体と連携をして、イベントなどで普及促
進するように努めること。
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○県産材利用事業者の拡大
企業が一定割合の県産材を使用する指導を行い、さらに一定割合以上の県産材を使用し
た企業に対し優遇措置を行うこと。
○宮城県の補助金制度(平成 24 年県産材利用エコ住宅普及促進事業)の継続
復興住宅の整備が完了するまで、県産材利用を推進する補助金制度を継続し、さらに予
算額や交付対象戸数を増大(10 億円以上、2,000 件以上)すること。
○生産施設整備の補助金の拡大
県産材製品の需要に対応した円滑な生産体制整備のため、製材所の乾燥施設等、木材生
産施設充実のための県の補助金の枠を拡大すること。
○県産材木造復興住宅試作棟の建設
県産材木造住宅の良さをアピールするために、沿岸
部を中心として、県産材木造住宅展示場(県産材
100%)を県が設置すること。可能なら、中越地震
(2004 年 10 月 23 日)の際の新潟県長岡市山古志
地域に建設されたような試作棟を、被災地の仮設住宅
の近くに整備し、被災者が自由に見学できるようにす
る。また、その際は、下記の章で MELON が提案す
る復興住宅の要素をできる限り採り入れた試作棟を
県が建設すること。
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