木材資源がこれからの日本に果たす役割
日本木材学会は、平成 22 年 4 月 1 日に一般社団法人日本木材学会に生まれ変わっ
てから 1 年が経過しました。
本学会は、定款第 3 条で「木材をはじめとする林産物に関する学術および科学技術
の振興を図り、社会の持続可能な発展に寄与することを目的とする。」と謳っており、
産官学連携のもと目的に向かって努力しています。
政府は、平成 21 年 12 月に農林水産省が公表した今後 10 年間で林業を再生し、木
材自給率を 50%以上にするための指針である「森林・林業再生プラン~コンクリート
社会から木の社会へ~」や、平成 22 年 5 月に成立した国が率先して木材利用に取り
組み、地方公共団体や民間にもその取組を促し、木材の需要拡大をねらう「公共建築
物等における木材の利用の促進に関する法律」等をはじめとして、木材を取り巻く環
境を大きく改善する政策を打ち出してきました。
この流れの中で東日本大震災が発生し、未曾有の被害が出ると共に、原子力発電所
は安全であるとの主張があっけなく崩れ、安定したエネルギー確保のために、木材へ
の期待は、マテリアル利用に加えて、バイオマスエネルギーとしてもこれまでになく
大きくなっています。
木材は、太陽光、空気、水、土壌の力で育つ樹木から得られ、原材料調達から使用
までに投入される化石資源由来のエネルギーが少ない、環境負荷の低い材料です。そ
れ故、木材は、まずはマテリアル利用を優先させ、その過程で排出される端材やおが
屑等はマテリアル利用とその生産のためのエネルギーとして、さらには、木材産業を
支える地域のエネルギー自立化のために活用すべきです。そして、マテリアルとして
使えない木材、あるいは使い終わった木材は、単に埋立や投棄に回すのではなく、エ
ネルギー回収を経て処分すべきと考えます。これらを持続的な森林経営と組み合わせ
ることで、森林資源の確保と国土の保全はもとより、温室効果ガス排出削減にも貢献
することが期待できます。
本日の公開シンポジウムを総括すると、「森林資源は、用材であれチップであれ、
生産してくれた自然に感謝し、持続的な再生産を未来永劫続かせるために、マテリア
ル利用を基本としつつ、エネルギー利用も視野に入れて、適切なバランスでもって利
用していくべきである。日本木材学会はそのために貢献する。」となります。
平成 23 年 6 月 25 日
一般社団法人 日本木材学会 会長 服部順昭
(東京農工大学 農学研究院)
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