デジタル時代の
ビジネス・ト
G ランスフォーメーション
が今あらためてITで何が可能になるかを模索し
ています。私はこの流れを、ITにおけるルネサン
スと捉えています。
近年 IBM が実施した「グローバル経営層スタ
ディー」※においても、世界中の企業のCEOの最
大の関心事は、
「テクノロジーをどうビジネスに生
かすか」ということでした。これほどテクノロジー
が注目される時代は、これまでなかったと言える
でしょう。
デジタル化により、人々は常にモバイルから情
報を得るだけでなく、契約したり、購入したり、
他の人と情報を共有したりできるようになりまし
た。企業はそういった人々とのビジネス接点とし
てモバイルに期待を寄せ、Webサイトやモバイル・
アプリを充実させ、それを利用してもらうことが
ビジネスにおける最重要施策の一つとなっています。
そのため企業は、こうした接点でユーザーがより
魅力的な体験ができるように、頻繁に更新したり、
新しいキャンペーンを実施したり、他社の動向に
応じて迅速に変更する必要が生じています。つま
日本アイ・ビー・エム株式会社
取締役専務執行役員
グローバル・ビジネス・サービス担当
Cameron Art
り、デジタル化によりビジネス・スピードが飛躍
的に速くなっているのです。
このことは同時に、ワークスタイルの変化をも
たらしています。パソコンやインターネットが企
業の中に浸透していったときと似ていますが、そ
デジタル時代の到来
のときよりも時間や場所、年齢を問わず情報にア
クセスできるようになっています。私はこの流れ
これまで企業のビジネス・リーダーは、主に企
を「デジタルの実現」と呼んでいます。
業内のITシステムによる業務やサプライチェーン
の効率化を目指してきました。ところが、日本
スピードが勝負
の80%の人がスマートフォンなどのモバイル端末
― 新しいアプリケーションの開発スピードが課題
を保持していると言われる現在、企業を取り巻く
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ITシステム環境も大きく変化しています。このデ
速さを増すビジネス・スピードに対応するため
ジタル化された時代では、人々は常にソーシャル・
には、アプリケーション開発も従来の方式では追
ネットワークに接続でき、レストランを探したり、
いつきません。特に、Systems of Engagement
ショッピングをしたり、友人の情報を参照したり
(SoE)と呼ばれるデジタル化されたユーザーとの
できます。この大きな変化に呼応して、多くの人
接点では、新しい業務要件を考え始めてからサー
P ROVISION No.87 / Fall 2015
ビスを提供するまでに年単位の時間がかかってし
アナリティクスが勝者を生む
まうと、当初の業務要件が無意味なものになる可
― データは持つだけでなく、どう使うか
能性が高くなります。スマートフォン・アプリで、
画面が半年間変わらないものがあるでしょうか? デジタル化された時代のビジネスでもう一つ重
スピードが求められるため、アプリケーション開
要なことは、データの活用です。特にクラウドや
発のスピードも向上させる必要があるのです。
IoTの分野では、いかにデータを活用し、そこか
この傾向は、モバイルへの対応だけではありま
らインサイト(洞察)
を得るかが重要です。IBMで
せん。IoT(Internet of Things:モノのインター
はお客様の社内のデータはもちろん、ソーシャル・
ネット)
においては、車やデバイスのデータを集め
ネットワークなどの外部のデータから得られる知
て分析しビジネスに生かしますが、その分析のや
見の有効活用も推進しています。さまざまなソー
り方やデータの活用に関しては頻繁にアップデー
シャル・ネットワークと連携し、そこに蓄積され
トが求められます。
た過去の情報やリアルタイムで交わされる情報を
分析し、ビジネスに生かすことが重要となります。
シンプルがベスト
世の中を見ずに、自分たちの内部情報だけでディ
― それが使われるための秘訣
シジョンできる時代ではないからです。また、蓄
積された膨大なデータを「IBM Watson」で分析
このようなデジタル時代のアプリケーションで
することで、より多くの情報から新たな知見を見
は、迅速に更新を繰り返してもビジネス効果が出
いだし、ビジネスに生かすことも可能です。こう
ない場合があります。同様のシステムやアプリケー
いったデータを活用することで、次のアクション
ションが多数あり、差別化することが難しいため
のための予測をしたり、余分な出資を防ぐことが
です。既に多くの企業から、どのような方法でア
可能になります。
プリケーションを構築すればビジネス効果につな
がるかというご相談をいただいています。
われわれの役目は、お客様にこのデジタル時代
IBMは、
「デザイン思考」
(Design Thinking)
の
の勝者になっていただくことです。お客様のビジ
考え方を活用し、アプリケーションを使うユーザー
ネスが成功するか否かで、われわれの価値が決ま
の立場に立って、共感できる顧客体験を提供でき
ります。われわれが有言実行であることを、皆
るシステムの構築を実践しています。デザイン思
さんご存知でしょう。だからこそ私は、今回皆
考を活用することで、ユーザーがより直感的に使
さんとこのPROVISIONを共有できることを誇り
えるインターフェースはもちろん、ユーザーが本
に思っています。この新しいデジタル時代のテク
当に必要とする機能を提供することが可能になり
ノロジーとその活用方法によって、
「世界」
「社会」
ます。通常のデザイン思考に、グローバル、大企
業、アジャイル開発で活用するためのさまざまな
「環境」
「ビジネス」を皆さんと一緒により良くで
きると、心から信じています。
改善を加え、
「IBM デザイン思考」として確立し、
社内はもとよりお客様にも展開しています。この
動きをさらに加速するために、
「IBM Studio」を
※グローバル経営層スタディー
(C-suite Study)
http://www-935.ibm.com/services/jp/ja/c-suite/csuitestudy2013/
日本にも開設し、多くのお客様のイノベーション
のお手伝いをさせていただきます。
P ROVISION No.87 / Fall 2015
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