算数的活動の内面化を図る授業づくり
~操作の「イメージ」を「言葉」につなげる指導 ②~
岡山大学教育学部附属小学校
算数部
片
山
元
める。・・・・・・・・・【本時】
5 単元名と単元目標
(1)単元名
第3時
「たしざん(2):繰り上がりのあるた
繰り上がりのあるたし算の計算
の仕方を数式により形式化する。
し算」
第二次
(2)単元目標
被加数が6以上及び5以下の場合
の繰り上がりのあるたし算の計算の
○繰り上がりのある計算に興味をもち,
「1
定着・・・・・・・・・・・2時間
0の補数」という考えのよさに気付き,
進んで計算しようとする。
第三次
(関心・意欲・態度)
繰り上がりのあるたし算の問題づ
くりと習熟・・・・・・・・4時間
○10の補数を意識して,加数を分解して
たすことを考えることができる。
(数学的な考え方)
本実践は,平成23年度岡山大学教育学
部附属小学校第1学年は組児童(男子18
名,女子18名)の協力による。
○(1位数)+(1位数)の繰り上がりの
7
あるたし算の計算を手際よく計算するこ
とができる。
(技能)
○繰り上がりのあるたし算の計算の仕方が
わかる。
6
(知識・理解)
単元計画と本時の位置付け
第一次
操作による繰り上がりのあるたし
算の計算の仕方・・・・・・3時間
第1時
繰り上がりのあるたし算の課題
をつかみ,数図ブロックの操作を
通して,10の補数を利用した計
算の仕方を見出す。
第2時
10の補数を利用した考えをイ
メージ化し,言葉による計算に高
-1-
授業の実際
学習活動1
7+5のブロック操作をし,本時の
めあてをつかむ
【問題場面に合わせて数図ブロックを操作す
る子ども】
問 題
くるまが 7だい とまっています。
5だい くると なんだいに なりま
すか。
【数図ブロックを操作しながら,友達と答えの
だし方を伝え合う子ども】
上記の様な問題を提示し,車が5台増え
るので「7+5」の式になることを確かめ,
まずは前時と同じように,数図ブロックを
動かしながら答えの出し方を説明させるよ
うにした。
(前略)
T 数図ブロックを動かしたら答えがわか
るようになったようだけど,数図ブロッ
クを動かさなくても答えがわかるかな?
C 数図ブロックを動かさなくてもわかる
よ。
C 数図ブロックを見るだけでも答えがわ
かるよ。
「本時のめあて」を,次の様に導いた。
子どもが頭の中で数図ブロックの操作
「イメージ」をもちやすくするために,動
かす数図ブロックの色だけ青色に変えて,
7+5の答えのだし方を口々に言わせるよ
うにした。
いきなり「言葉」で説明しにくい子ども
には,実際に手元の数図ブロックを動かし
てから,数図ブロックを元に戻して説明さ
せるようにした。また,自分なりの「言葉」
で説明できるようになった子どもには,
「ま
ず,~」「次に,~」「最後に,~」とい
った順序を表す話形を用いて,3段構成で
筋道立てた説明になりやすいようにした。
(前略)
C 数図ブロックを動かしたときにも,数
図ブロック盤の3つあいているところに
3つ数図ブロックを動かしたね。そうし
たら,「10のまとまり」ができて,数
がはっきりとしたよ。
C だから,最初に「10のまとまり」を
つくるために7にあといくつあわせたら
いいのか考えるといいね。
C そうしたら,5を3と2にわけると,
(7とあわせる)3ができるね。7と3
で10。あと,のこった2で12となる
ね。最初に数図ブロックを動かしたとき
と同じように説明できたね。
(中略)
T みんなの説明をつなげて言うと…?
C まず,7はあと3で10になります。
ブロックをみながら,7+5のこた
えのだしかたをせつめいしよう
学習活動2
自分の数図ブロックを見ながら,頭
の中でブロックの動きを「イメージ」
して,答えのだし方を説明する
-2-
で「吹き出し」に整理する】
だから10をつくるために,次に,5を
3と2にわけて,7と3をあわせて10
にします。最後に,10とのこった2で
12です。
C ぼくも,同じように言えるよ。
(前略)
T みんなが教えてくれた計算の仕方を
「吹き出し」に簡単な言葉でまとめてみ
たら,数図ブロックを見ながら説明でき
そうだね。みんなで言ってみようか。
C まず,7はあと3で10になる。
C 次に,5を3と2にわける。
C 最後に,7と3で10。10と2で1
2です。
C 数図ブロックを動かさなくても,見た
だけで計算の仕方を説明できるね。
C (「吹き出し」に表すと)説明の仕方
も簡単になって,よくわかったよ。
学習活動3
「イメージ」した数図ブロックの操
作を話し合い,「吹き出し」に整理す
る
学習活動4
「7+5」や「9+4」などの数式
を見て,数図ブロックを「イメージ」
しながら,答えのだし方を「言葉」で
説明する
【操作したブロックを見ながら「言葉」で説明す
る子ども】
黒板の前で,掲示用の数図ブロックを動
かすまねをしながら,数名の子どもに「7
+5」の計算の仕方を説明させるようにし
た。その際に,数図ブロックの操作を2段
階に分けて提示し,子どもの説明の言葉に
出てくる数と数図ブロックを結び付けて,
キーワードを「吹き出し」を使って板書に
整理するようにした。
【数式を見て,数図ブロックを「イメージ」しな
がら,「言葉」で説明する子ども】
数図ブロックを動かさなくても答えのだ
し方が説明できるようになったところで,
「吹き出し」のキーワードを隠し,数図ブ
ロックの動きを「イメージ」しながら,3
段構成の「言葉」で筋道立てた説明ができ
【ブロックの操作「イメージ」と「言葉」をつない
-3-
るようにした。
【「言葉」を隠しても説明できるかな?】
また,「9+4」など他の数でも繰り上
がりのあるたし算の計算を取り上げ,加数
をわけて「10のまとまり」をつくる考え
のよさにふれ,これまでと同じように,数
図ブロックの操作を頭に描いて「言葉」で
説明できるように,繰り返し算数的活動の
内面化を図るようにした。
(前略)
T 今度は,「9+4」でも計算の仕方を
説明できるかな?
C 前と同じように考えたらできるよ。
C まず,9はあと1で10。次に,4を
1と3にわける。最後に,9と1で10。
10と3で13。
C ぼくも同じです。
学習活動5
本時のまとめをする
【参考文献】
(1)「小学校指導要領解説 算数編」
文部科学省(平成20年8月)
(2)「わくわく さんすう 1」
新興出版社啓林館(平成22年3月)
(3)「新算数指導のポイント Ⅰ 数と計
算 ~1・2年~」
東洋館出版(平成4年12月)
(4)「ブルーナー研究」広岡亮蔵
明治図書出版(昭和52年)
【授業後の板書】
数図ブロックを動かさなくても,繰り上
がりのあるたし算の計算の仕方が説明でき
るようになったことを,子どもの言葉を取
り上げまとめさせるようにした。
8
えのよさ」の定着のために,
「行動的把握」
と「記号的把握」の間に「映像的把握」の
段階を取り込み,ブロック操作と記号操作
との溝を埋めていくプロセスを大切にしな
がら,「算数的活動の内面化」を図った。
その結果,「7+5の答えは,7はあと
3で10だから,5を3と2にわけて,7
と3で10。10とのこった2で12。あ
といくつと考えると簡単なんだな」「繰り
上がりのあるたし算では1つ1つ数えてた
していくより,10のまとまりをつくって
いくと便利なんだな」「9+4の計算でも
簡単な方法がわかったから,これからもた
す数をわけて10のまとまりをつくって考
えていきたいな」というように,加数分解
をして「10のまとまり」をつくる考えの
よさを実感する子どもの姿が多く見られ
た。
このように,数図ブロックの操作を段階
的に指導し,その操作の「イメージ」を「言
葉」につなぐ,思考の内面化を図る指導を
重視することで,繰り上がりのあるたし算
の場面の意味理解を確かにしていくことに
つながるものと実感している。
今後も,本実践で取り組んだ様々な算数
的活動の工夫を基に,他の学年・単元にお
いても操作の「イメージ」を大切にし「言
葉」の思考へとつないでいく指導について,
実践を通して子どもの姿として具体化して
いきたい。
おわりに
本実践では「10のまとまりをつくる考
-4-
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