水島処分場排水問題検討会報告書
(概要版)
平成 27 年 3 月
公益財団法人岡山県環境保全事業団
目
次
第1.高アルカリ水排出問題への対応について .......................................... 1
1
問題の発端及び対応措置 ........................................................ 1
(1)問題の発端 ............................................................... 1
(2)対応措置 ................................................................. 1
2
検討会の設置 .................................................................. 2
第2.高アルカリ水排出の原因の究明 .................................................. 2
1
調査内容 ...................................................................... 2
(1)開削調査 ................................................................. 2
(2)保有水の水位調査 ......................................................... 3
(3)保有水の集水対策 ......................................................... 3
(4)排出水と内部保有水の水質調査 ............................................. 3
2
高アルカリ水排出の推定された原因 .............................................. 3
第3.再発防止のための恒久対策について .............................................. 3
1
恒久対策としての設備対策 ...................................................... 3
(1)護岸道路及び雨水排水構造物の改修 ......................................... 3
(2)取水設備の恒久化 ......................................................... 4
(3)観測井戸の追加設置 ....................................................... 4
2
管理水位と排水処理水量 ........................................................ 4
3
その他の維持管理 .............................................................. 4
(1)環境調査 ................................................................. 4
(2)構造物の維持管理の強化 ................................................... 4
第4.まとめ ........................................................................ 5
第1.高アルカリ水排出問題への対応について
1
問題の発端及び対応措置
(1)問題の発端
・ 平成 26 年8月6日、当事業団水島管理事務所職員が台風の接近に伴い水島埋立処分場内を
巡回中に、降雨がないにも関わらず第1処分場の高梁川沿い西護岸の雨水排水管からの排水
を確認した。
・
直ちに、7箇所の排水の水質分析を行ったところ、5箇所の排水が高いアルカリ性である
ことが判明したことから、倉敷市及び岡山県に報告するとともに、8月 22 日に公表した。
・
この雨水排水管は、第1処分場外周護岸として整備された幅員約 16mのアスファルト舗装
道路の雨水を海域に排除する目的で設置されたもので、処分場側の集水桝と海側の集水桝を
接続する排水管で暗渠構造となっている。
第1処分場(第1・第2・第3工区)
<第1処分場の概要>
第1処分場は、当事業団が倉敷市水島川崎通地先に設置した公共関与の管理型最終処分場(埋
立容量:約 1,300 万 m3)であり、平成 26 年度現在、第1及び第2工区の大部分はゴルフ場(水
島ゴルフリンクス)として利用されており、その管理・運営はゴルフ場管理会社が行っている。
また、処分場内の保有水については、排水処理施設で適正に処理した後、海域に放流している。
(2)対応措置
本事案の確認後、直ちに次の取り組みを実施した。
①止水措置
・
西護岸及び南護岸において、排水が確認されたすべての雨水排水管について、止水プラグ
を用いて止水を実施し、海域への流出を防止した。
1
・ ゴルフ場西側の池(1号池)及びクラブハウス東側の池(4号池)からの排水については、
ゴルフ場管理会社と協議し、排水口である護岸のフラップゲートを海側から固定し、流出を
防止した。
②周辺海域への環境影響調査
・
本事案の発生直後から、第1工区西側及び南側、第2工区南側、第3工区南側の4箇所で
護岸直近の海水を採取し、現在まで継続して水質調査を行っている。
なお、本事案による周辺海域への影響は認められていない。
③原因究明のための調査
・
第1工区西護岸及び第2工区南護岸の各1箇所の雨水排水構造物並びに第1工区南護岸フ
ラップゲート部のボックスカルバート1箇所を開削し、集水桝や横断管などの雨水排水施設
や湧水の状況を確認した。
・
本事案と第1処分場内の保有水の水位及び保有水の水質との関係を明らかにするため、保
有水の水位、観測井戸の水質等についての調査を実施した。
④緊急的な水位低下措置
・
第3工区南西端に1箇所及び第1工区の西護岸と南護岸のそれぞれに2箇所(護岸内と処
分場内)の計5箇所に仮設の取水設備を設け、既設排水処理施設まで送水を行った。
この仮設取水設備の稼働以降、M.P.+3.0m 前後まで水位が低下した。
※M.P.:水島港工事用基準面、M.P.+1.73mが T.P.(東京湾中等潮位)±0に相当する。
⑤雨水排水構造物の改修等の検討
・
第1処分場の西護岸及び南護岸にある集水桝や横断管等のすべての雨水排水構造物の改修
並びに処分場内水位の適切な管理方策等について検討を行った。
2
検討会の設置
原因の究明や講じた措置の検証等に当たり、専門的観点から技術的な助言をいただくため、学
識経験者等を加えた「水島処分場排水問題検討会」を設置し、現地調査を含め計5回検討会を開
催した。
第2.高アルカリ水排出の原因の究明
本事案の原因究明に当たり、排水が見られた雨水排水構造物の開削調査、処分場内の保有水の水位
調査、排出水と保有水の水質調査等を実施し、検討を行った。
1
調査内容
(1)開削調査
・
第1工区西護岸及び第2工区南護岸の各1箇所の雨水排水構造物には、集水桝、集水桝と
横断管の接続部に亀裂やすき間が生じていた。また、横断管自体にも亀裂が入っている箇所
があることが確認された。
・
第1工区南護岸フラップゲート部は、集水桝、ボックスカルバートと鋼管矢板上部コンク
リートの接続部に亀裂やすき間が生じていた。ただし、ボックスカルバート本体は健全な状
態であった。
2
(2)保有水の水位調査
・ 平成 20 年度以降断続的に M.P.+3.5m を超え、最近では M.P.+4.0m を超えるような状況が発
生していた。
・ この原因としては、第2処分場建設に伴う大規模修繕やダイオキシン類対策で排水処理施設
を停止することがあったこと、また、第3工区の竣工(平成 25 年5月)のため取水ポンドの
埋立を行い、保有水の取水を立坑に変更したこと等が考えられる。
(3)保有水の集水対策
・ 埋立の進捗に伴う集水量の減少や保有水水位の上昇に対処するため、平成 19 年度以降第3
工区において順次暗渠管を敷設するなどの集水対策に取り組んできた。こうした対策により、
効果が得られたものもあったが、抜本的な対策には至らなかった。
(4)排出水と内部保有水の水質調査
・ 本事案の確認後、7箇所で採取した排出水、第1処分場護岸に設置されている集水桝の水、
開削調査時に確認された湧水、これらと第1処分場内の水位観測井戸から採取した水の pH 等
の水質が同様の値を示したことから、排出水の起源は処分場内の保有水と考えられた。
・
保有水が高アルカリ性を呈していることについては、処分場内の埋立廃棄物を用いた試験
や元素組成分析、文献調査により、過去に鉱さい等アルカリ性を示す廃棄物を埋立している
ことが原因と推測された。
2
高アルカリ水排出の推定された原因
・
第3工区の埋立の進捗に伴う集水量の減少や排水処理施設の改修等による処理水量の減少
等により保有水水位が上昇し、これに雨水排水構造物等の破損や亀裂等の要因が重なり、保
有水が破損箇所等から横断管等に流入し、海域に流出したものと考えられる。
・
保有水水位については、平成 12 年度の埋立計画変更時に計画していた M.P.+2.0m~
M.P.+3.5m で管理できていれば、例え雨水排水構造物等に破損や亀裂等が生じたとしても、
流出は防ぐことができたものと考えられる。
・
雨水排水構造物への過信に加え、水位管理が徹底されていなかったこと、さらには抜本的
な集水対策の遅れが今回の事案を招いた主たる要因と考えられる。
第3.再発防止のための恒久対策について
緊急対策及び原因究明調査等を踏まえ、再発を防止するための恒久対策について検討を行った。
1
恒久対策としての設備対策
(1)護岸道路及び雨水排水構造物の改修
雨水排水構造物の破損のリスクを最小限に抑え、暗渠管を極力減らす等維持管理の容易性
も考慮した構造とすることが有効であることから、護岸道路を現在の雨水を左右に排水する
両勾配構造から海側への片勾配とし、処分場側の雨水側溝、集水桝及び横断管を廃止し、清
掃や構造物の確認が容易に行える構造に改修する。
3
(2)取水設備の恒久化
緊急対策で設置した計5箇所の仮設取水設備が第1処分場全体の保有水を効果的かつ迅速
に集水できることが確認できたことから、これらの設備を恒久的な設備として今後も有効に
利用することとする。
また、今後、保有水水位の動向を見極めながら、必要によっては取水場所の追加等に取り
組むこととする。
(3)観測井戸の追加設置
今後、水位管理が最も重要となることから、第1処分場全体の保有水水位をバランスよく
的確に把握するため、既設観測井戸3箇所に加え、観測井戸の新設5箇所、仮設井戸の更新
6箇所、護岸内観測井戸の移設1箇所を行い、計 15 箇所において水位観測を行うこととす
る。
2
管理水位と排水処理水量
・ 過去の降雨量データ等を基に水収支計算を行ったところ、渇水期(11 月~4月) 1,200m3/
日、降雨期(5月~10 月) 1,700m3/日で排水処理を行えば、保有水水位を M.P.+2.0m~
M.P.+3.5m の範囲で管理することが可能であると予測できたことから、管理水位は M.P.+2.0m
~M.P.+3.5m とし、当面の間渇水期(11 月~4月) 1,200m3/日、降雨期(5月~10 月) 1,700m3/
日を基準として処理を行うこととする。
・ 異常降雨等で第1処分場全体の保有水水位が M.P.+3.0m を超えるような場合には、2,500m3/
日の範囲内で処理量を増加させる等の対策を講じることとする。
・
今後、観測データを蓄積し、年間を通しての水位変動や梅雨時期、台風襲来時等の大雨時
における降雨量と水位の関係を明確化し、より適切な管理水位の設定等を行っていくことと
する。
3
その他の維持管理
(1)環境調査
雨水排水構造物の全面改修や第1処分場全体の保有水水位を低下させるなど対策を進めて
いるが、当面の間、現在の緊急対策として実施している水質調査を継続しながら、恒久対策
の効果を検証し、適切な環境調査計画を策定することとする。
(2)構造物の維持管理の強化
護岸の健全性等については、以前から定期的に実施している年1回の測量や海側からの目
視調査に加え、2ヶ月に1回海側からの目視調査を実施することとする。
また、雨水排水構造物については、通常の管理に加え毎月1回陸上からの点検を実施し、
維持管理の強化に努める。
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第4.まとめ
学識経験者等を加えた検討会を設置し、原因の究明や緊急的に講じた対応策について調査、検
証するとともに、再発防止のための恒久対策等についての検討を行った。
その結果、本事案は、処分場内の保有水水位の上昇と雨水排水構造物の劣化等の要因が重なり
発生したものであり、水位管理が徹底されていなかったこと、さらには抜本的な集水対策の遅れ
が今回の事案を招いた主たる要因と考えられた。
本事案に対しては、倉敷市からも廃棄物の処理及び清掃に関する法律に抵触するとして、改善
措置を求められているところである。
本事案による周辺海域への影響については、事案発生直後及びその後の定期的な水質調査によ
り問題は認められていないが、公共関与の管理型最終処分場を管理運営する当事業団としては、
あってはならない事態であり、これを深刻に受け止めている。
今後、再発を防止するため、必要とされる恒久対策を早急に実施するなど、万全の対策を講じ
るとともに、注意意識、危機管理意識を持って予防保全を前提とした維持管理を行っていくこと
で、一刻も早い社会的信頼性の回復に努め、当事業団としての責務を果たしていく所存である。
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