産業組織論 入門
(10) 独占力と技術革新
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2014年1月16日
色々な市場

完全競争市場:
 産出量を増やしても市場全体への影響は軽微
 限界収入=価格,MR=p

独占:
 産出量が2倍ならば産業全体の産出量も2倍
 価格は下落

R=pQ 産出量増は価格は下落 Q(↑) →p(↓)

産出量が増加したときにどのくらい価格が
下落するかは市場構造(需要曲線)による
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産業組織論 10
2
需要曲線=支払い意欲曲線

最後の一個の支払い意欲と費用(価格)が同じときは
それを購入すると考えていく

支払い意欲を大きいほうから並べて価格と支払い意
欲が一致している支払い意欲の個数が需要量

価格=支払い意欲⇒購入量

これは需要曲線と同じ

価格に対して購入しようとする数量

支払い意欲曲線は各数量から1単位増えたときに支
払っても良い金額
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産業組織論 10
3
需要曲線から限界収入を求める

支払い意欲曲線は各数量から1単位増えたときに支
払っても良い金額であり需要曲線と同等の役割

限界収入を需要曲線から求めることができる

需要曲線と同様に曲線として数量ー価格平面に図
示する

限界収入曲線とは生産量を増加させたときの収入
の増額を曲線に表したもの
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産業組織論 10
4
需要曲線と限界収入曲線
縦軸との切片は需要曲線と限界
収入曲線で共通.しかし,生産量
が増えると需要曲線の高さよりも
限界収入曲線の高さは低くなる.
価格下落によって既存の消費者
からの売上げが落ちる
価格
A
需要曲線
E
価格 P
限界収入MR
限界収入曲線
数量
Q
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5
例
買い手
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支払意欲(円)
イチロー
10000
ダルビッシュ
9000
石川遼
8000
マー君
7000
香川真司
6000
産業組織論 10
6
需要量と価格として捉える
需要量
2014/1/16
価格
1
10000
2
9000
3
8000
4
7000
5
6000
産業組織論 10
7
企業の収入を求める

生産量が1の時の収入は10000円

生産量が2の時の収入は 2×9000=18000 円

生産量が3の時の収入は 3×8000=24000 円

生産量が4の時の収入は 4×7000=28000 円

生産量が5の時の収入は 5×6000=30000 円
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産業組織論 10
8
限界収入を求める

生産量が1の時の限界収入は 10000-0=10000 円

生産量が2の時の限界収入は 18000-10000=8000 円

生産量が3の時の限界収入は 24000-18000=6000 円

生産量が4の時の限界収入は 28000-24000=4000円

生産量が5の時の限界収入は 30000-28000=2000円
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産業組織論 10
9
支払い意欲から導いた需要曲線
イチローの支払い意欲
ダルビッシュの支払い意欲
石川遼の支払い意欲
マー君の支払い意欲
香川真司の支払い意欲
価格(円)
10000
9000
8000
7000
6000
・需要曲線を描く
・限界収入を描く
枚数
1
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2
3
4
5
産業組織論 10
10
需要曲線と限界収入曲線
価格(円)
需要曲線
限界収入曲線
10000
9000
8000
7000
6000
枚数
1
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2
3
4
5
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独占価格
限界費用は生産量を一単位増加した時の費
用の増加額をいう
 限界費用は一定の4000円とする

固定費用は生産量にかかわらず発生する費
用.この独占企業の固定費用は0円とする
 独占企業の最適な生産量はいくらか
 その時の利潤はいくらか

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産業組織論 10
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企業の費用を求める

生産量が0の時は費用はゼロ

生産量が1の時の費用は4000円

生産量が2の時の費用は 4000+4000=8000 円

生産量が3の時の費用は 4000+8000=12000 円

生産量が4の時の費用は

生産量が5の時の費用は
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産業組織論 10
円
円
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企業の利潤を求める

生産量が0の時は収入と費用はゼロ.利潤は0円

生産量が1の時の利潤は 10000-4000=6000円

生産量が2の時の利潤は 18000-8000=10000 円

生産量が3の時の利潤は
円

生産量が4の時の利潤は
円

生産量が5の時の利潤は
円
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産業組織論 10
14
限界収入曲線と限界費用曲線
価格(円)
需要曲線
限界収入曲線
10000
9000
8000
7000
6000
限界収入と限界
費用が一致する
この点で生産する
限界費用曲線
4000
枚数
1
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2
3
4
5
産業組織論 10
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最大利潤の点

利潤が最大化される生産量では,限界収入と限界
費用が等しくなっている

離散的なモデルではもう一つ生産が最大になる点
が出てくる
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産業組織論 10
16
独占企業の行動と社会的な評価
独占企業はプライスメーカー
 価格ではなく数量を選ぶ
 価格は需要曲線で決まる
 需要曲線から限界収入曲線を導く
 独占企業にとって最適な生産量を求める

限界収入=限界費用
となる水準を実際に求める

その時の経済的な損失を測る
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産業組織論 10
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ファスナーを独占的に生産しているYKKの例
ファスナー価格(円)
100
95
90
85
80
75
70
65
60
55
50
45
40
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ファスナー(個) 収入(円) 限界収入(円)
0
0
定義されない
1
95
95
2
180
85
3
255
75
4
320
65
5
375
55
6
420
45
7
455
35
8
480
25
9
495
15
10
500
5
11
495
-5
12
480
-15
産業組織論 10
18
独占企業の需要曲線と限界収入曲線
円
120
100
80
60
ファスナー価格(円)
40
限界収入(円)
20
0
-20
0 1
2 3
4 5
6 7
8 9 10 11 12
ファスナーの数量
-40
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独占価格
限界費用は一定の45円とする
 固定費用は0円
 MC=45
 MR=45の産出量は Q=6
 公式による利潤の最大化は Q=6 で達成

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産業組織論 10
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独占企業限界収入曲線と限界費用曲線
円
120
100
80
60
限界収入(円)
限界費用(円)
40
20
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
ファスナーの数量
-20
-40
2014/1/16
産業組織論 10
21
独占と市場価格
6単位の生産では
市場価格は70円になる
円
M
PM
C
限界費用曲線
P*
需要曲線
限界収入曲線
数量
QM
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Q*
産業組織論 10
22
ファスナー(個) 収入(円) 限界収入(円) 限界費用(円) 費用(円) 利潤
0
0
定義されない 定義されない
0
0
1
95
95
45
45
50
2
180
85
45
90
90
3
255
75
45
135
120
4
320
65
45
180
140
5
375
55
45
225
150
6
420
45
45
270
150
7
455
35
45
315
140
8
480
25
45
360
120
9
495
15
45
405
90
10
500
5
45
450
50
11
495
-5
45
495
0
12
480
-15
45
540
-60
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産業組織論 10
23
独占の弊害,死荷重
独占価格によって価格は引き上げられる
 限界費用と価格が等しい時の産出量は11個
 独占は6個しか生産しない

経済厚生は価格=限界費用の水準と比べ低
下する
 低下した厚生の損失を死荷重(しかじゅう)と
いう

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産業組織論 10
24
独占と経済厚生
円
消費者余剰
独占の生産者余剰=
M
PM
P*
独占の消費者余剰=
生産者
余剰
独占の総余剰=
C
限界費用曲線
需要曲線
数量
QM
2014/1/16
Q*
産業組織論 10
25
独占だが限界費用で価格付けした場合
円
競争の総余剰=
M
PM
P*
生産者余剰はゼロ
消費者
余剰
C
限界費用曲線
需要曲線
数量
QM
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Q*
産業組織論 10
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ファスナーの例の死荷重を求めよう
三角形の面積=縦×横÷2
=(70-45)×(11-6)÷2
=25×5÷2=62.5
死荷重
円
独占の経済厚生
100
M
PM=70
死荷重=厚生損失
C
限界費用曲線
P*=45
需要曲線
数量
Q M=6
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Q *=11
産業組織論 10
27
競争政策
価格が高すぎると非効率性が高まる
市場支配力の濫用






1.
2.
3.
大規模製造業者が下請け企業いじめ
大型小売店が納入企業に特別なサービスを要求
政府は積極的に競争の促進を実施している
独占禁止法(日本),反トラスト法(米国)
価格カルテル・談合の阻止
大きな合併の制限
優越的地位の濫用の防止
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産業組織論 10
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自然独占
上水道や下水道は設備に膨大な費用がかかる.
独占に任せておいた方が良い
 これを自然独占という
 政府の規制の必要性,自治体が運営
 以前は電力,電話,CATVも自然独占だった.
今は違う!

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産業組織論 10
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正の外部性
技術革新によって企業の競争力が高まる
 完全競争ではない

独占は望ましくないが技術進歩は人々に幸
福をもたらす
 発明や発見は多の人々に良い影響を与える
 知的財産権の保護
 ミッキーマウスの保護
 政府の補助金や税制の優遇措置
 特許制度

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産業組織論 10
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