第3回
まちづくりセミナー
社会科見学として楽しむまちづくり
日時:平成 22 年 1 月 30 日
場所:県民会館 701 号室
講師:社会科見学に行こう!主宰 小島 健一
(はじめに)小島さんが普段していること
・ 社会科見学
社会科見学に行って関連の記事を書いたり、企画を立てたりしている
・ 写真家
写真撮影の依頼があれば撮影しに行く
写真をストックしておいて、使いたい人が料金を支払い使うサービスの写真も撮影してい
る
・ 企画
雑誌や本、旅行の企画や、テレビ会社のアソシエイとプロデューサーとして企画をしたり、
スポンサーを探しもする
1. 社会見学と私
第1章
(1)2004 年日比谷共同溝との出会い または 私が如何にして心配するのを止めて土木
を愛するようになったか
2004 年にジオサイトプロジェクトというイベントで日比谷共同溝を見学に行き、共同溝とい
うトンネルを掘る工事を見ることになった
※ 共同溝とは電話線、ガス、水道などのライフラインを共同で埋めておくトンネル。
ライフラインのどれかを工事する際に、いちいち地面を掘り返す必要がなく、地震からライフラインの損
傷を軽減し、地上の工事を減らすことができる
トンネルを掘る装置は、想像を超えていて「何これすごい!」という感動があった
また、その共同溝というものが東京の地下に張り巡らされていることすら知らなかった。
東京の地下は思ったよりもすごい事になっていた!
このイベント中では、トンネルをつくった人たちがコメントを書いていた
「愛する妻へ いつも寂しい想いをさせるけどいつか赤ちゃんと親子3人で東京の地価を散
歩しようね」
「家族友人へ、めったに会えないけどトンネルのようにまっすぐな人生を進んでいるので心
配しないでね」
どういう人がどういう気持ちでトンネルをつくっているか知ることができた
自分の時間を削っても、このような施設を整備している人がいること
自分の仕事に誇りを持っていること
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地上に出て、目に飛び込んでくるもの全てが、人の手によってつくられていて、自分の生
活が知らない誰かによって支えられていることを実感
⇓
「またここへ来たい」と思った
⇓
20 人以上集まれば見学できるらしい
⇓
mixi 上に「社会科見学に行こう!」を発足
それからの社会科見学例
① 東京港湾視察船(石原都知事が乗って視察する船)
船上から普段は見られない角度から港を見ることができた。
②東京湾の埋立地、中央防波堤埋め立て処分場
・ 限りある埋立空間大切に(埋立地は残り 30 年くらいしかもたない)
・ 見学者ひとりひとりにゴミを減らす努力が必要ということを教えられた
・ 現場の人は、どれだけゴミを小さくするかという技術を開発している
⇓
ゴミ問題を考えるきっかけになった
③横浜火力発電所
地上 200 メートルの蒸気を吐き出す煙突が展望台になっており、横浜の街や、富士山を
一望できる。
④J-PARC 加速研究所(大強度陽子加速器施設)
素粒子をすごいスピードで加速させてぶつける施設
その壊れたものを巨大なデジカメのような検出器で壊れた状態をさぐっていき壊れたか
けらを探し、世界で一番小さいものを探す(この世界を構成する一番小さなもの)
これを知ることで、世界がどのように構成されているのか知る
「加速器の夜」というイベントを年3回やっている
⑤日比谷共同溝
見学をはじめて10回以上見学をしており到達の瞬間も立ち会った。
土木の見学では、どんどんできていく感じがとてもおもしろい。まるで自分の子どもが
育っていくよう。
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シールドマシンが到達した後は、到達直後、地金の色が見えてキラキラしているのが
半日もたつとさびてしまい
数日すると切り裂かれて地上に搬出されるが、その役割を自分が終えたことを知って
いるかのように見えた。
最後に日比谷共同溝を訪ねたときは、丸かったトンネルがパーティションで仕切られ
て形も変わってしまった。
⑥首都圏外郭放水路
埼玉県春日部市の世界最大の治水施設防水施設。
直径13メートルで世界最大
⑦東京副都心線 渋谷駅
⑧首都高中央環状新宿線
見学している間に知らぬ間に活動がメディアに取り上げられるようになり、社会科見学と
いう言葉が使われるようになってきた
2.
社会科見学に行こう!in 富山 富山大橋
(1) 見学の極意
① 予習をしよう
遊びではなく、社会科見学という勉強だと思って予習をしたい。
予習をしておくと現場の人と話をすることができる。
② 係の人の話を聞こう
現場の人と仲良くなって話をきくことができると、パンフレットに書いていないもっと詳しい
話を聞くことができる。
③ 五感を使おう
スペック的なものは本やウェブ上などで調べることができる。それ以外のものを吸収して
ほしい。匂い、暑さ、寒さ、どのような環境でその人たちは仕事をしているのか。その場で
しか感じられないことを感じよう
④ 写真を撮ろう
記念的な要素もあるが、看板などを撮影しておくと記録として役立つ。
人に伝えるときにより伝わることができる
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⑤ 人に伝えよう
一緒に見学にいった人たちと感想を話すことで、自分が気づけていないことを補完するこ
とができる。
帰宅後、周囲の人に話すことで、自分の気づきを整理できる。ブログや HP 上で公開する
のもアリ。
(2) 社会科見学裏五箇条
① まず行ってみる!
予習をしすぎて疲れてはもったいないので、予習は前提だが、わからなかったら行ってみ
る
② 現場は一期一会と知れ!
その日、その日の現場の状態は違ってくる。1日単位でそのときにしか見られない光景、
そのときにしか知れないことを知ってくるといい
③ 考えるな 感じろ!
あまりスペックなどにこだわらず、自分が何を感じたのかということを大事にしてほしい
④ 空気を読め!
社会科見学は団体行動なので、専門的な質問や現場の人が答えづらい質問を大勢の前
でするのは差し控えたほうがいい
⑤ 仲良くなったが勝ち!
はじめて会った人同士がいきなり全てをさらけ出したりはできない。初歩的な質問から
徐々に仲良くなって話を聞いていけることが社会科見学の醍醐味だと思う。
3. 富山大橋の架け替え工事の概要
富山県富山土木センター プロジェクト推進班 釜谷さん、高沢さん
工事の概要
~DVD より~
初代の橋と、二代目の現在の富山大橋の概要
富山県の中心神通川にかかる橋 富山大橋
昭和 11 年の竣工以来、老朽化、また1車線による慢性の交通渋滞が起こっている
現在の橋は2代目、明治42年に初代の橋がかけられた
初代の明治 42 年は幅6メートルの木製
富山大学のイチに陸軍歩兵連隊が移駐してきたため、架橋され、「連隊橋」と呼ばれ
昭和11年に鉄筋コンクリートの永久橋「富山大橋」とかけかわった。
昭和44年に激流があり集中豪雨代増水西側橋脚3メートル沈下路面が陥没し、重大な被害
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交通混乱、富山県の復旧被災1ヶ月後に仮復旧翌年には全面復旧
その後ライトアップなど路面電車が走る橋として親しまれている
橋梁から60年経過しており老朽化や車両の大型化により通行の安全確保が難しく
約 26,000 台/1日が通過し昼夜を問わず交通渋滞が起きているため4斜線化する必要があ
る。
架け替え工事について
工事は平成18年11月にスタート
橋桁を支える橋脚、橋台工事が完了している
平成21年2月7日 架け替えドラマ第2章が開始
現在の工事は橋桁の一部が朝5時に運ばれてきた狭い道を切り返しながら運ぶため時間を
選ぶ。新しい橋は予め工場で作られた橋桁の一部をボルトで合わせ架けて行くという工事。
トラック輸送するため、半分にした箱状の桁を地組みヤードで長さ12メートル、幅、4.5メー
トル、35トンの橋桁1ブロックに組み立てる。
そのブロックを送り出しヤードで順次組み立て長さ466メートルの橋桁にしていく。
通常はベント方式をとれずより安全な送り出し方式をとっている。
オレンジは手延筋、釣竿のように先端が軽く、徐々に重くなっており無理なく橋桁を導いてい
く。
橋げたの加重バランスを注意し、油圧ジャッキのスピードを一致させることが重要。
ジャッキを伸縮させながら1時間に4メートル橋桁を移動させ、固定させた後にコンクリートで
歩道、車道、軌道を作っていく。
完成イメージ
完成は平成23年度
立山連峰との調和と、人々に親しまれるよう、計画されており歩道の幅も広げられる。
現在単線の軌道も複線化され、人々がくつろげるバルコニーも歩道の片側2箇所設置され
る。
全ての工事関係者は安全に着実に富山大橋の架け替え工事を進めていきます。
ではバスで行って見ましょう!
アンケートの付箋に何かしら感じたことを書いておいください。
4.
工事見学
5
5.
-略ディスカッション
感想
・つくっている人の顔がみれた
・人の手で作業していることがわかった
・個人としてはいい色だと思う
Q色の名前は?
A 青鈍(あおにび)色
・模型では簡単そうに見える作業も実際は大変なんだろうな
・「模型も大変です」
・人の手で作業する
・油圧ジャッキで送る、橋げたのセッティングをするには送り出し桁 900 本の最終調整は人力で接地を行う、
最終的には人の力で行うということに、工事にあたる人間としても感動した
Q 現場がきれい何人で作業をしているんだろう
A 多いとき60人、今日だと20人ぐらいで
Q完成後、電灯が見当たりませんが真ん中の電灯だけで大丈夫でしょうか?
A 歩道の欄干のガラスを照らすように接地して歩道も照らすことを考えている
ガラスを光らせるので橋の上流・下流からみると高欄から光って見えるのではないか
Q 工事についてどのような点にこだわってたずさわっているのか
A 工事は囲うメーカー、工事業者、工事業者、発注者の県、補助事業者の国と多くの関係者が携わってい
る。その人たちにとってこだわりが違うと思うが、発注者側としては、全体の開通を目指してやっている
橋のみならず全体に与える社会性、安全確保、早期橋梁、予算確保等がある
現場で働く人にとっては、安全第一が第一点。いいものをつくる品質確保が次。設計の基準に対してミリ
単位で施工をしている。現場のこだわりはこの2点だと思う
Q 費用の内容、風への対策、ランニングコスト予算の内訳
A 国の補助事業で半分 県と富山市で負担している。
A 風への対策は橋自体は大丈夫、橋の上を通る人の対策こうらんは風をよけるようにパンチングメタルを
配置するアルミの板に穴を開けた構造なので風切り音が出るのではないかという心配をメーカーでして
おり今実験をしている
ランニングコストは何十年に1回再塗装がある。そのときにどのくらい費用がかかるかはわからないが
現在の塗装は品質の高いものを用いているので、すぐに塗装が必要になったりはしないと思う。
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Qどの程度の増水に耐えられるのか?
Aパンフレット設計洪水流量、が断面図からわかる。洪水がきても橋には水がかからない設計になってい
る。それより設計洪水流量より2メートルの余裕を見込んでおり、それを超える場合は、堤防全体が決壊
してしまうだろう。
Q今回この工法が選ばれた理由は
A 通常は、支柱を立てて橋げたをかけていくが神通川の水が多いので、水が流れている場合によく用いら
れる工法が送り出し工法、他の工法もあるが、街の中で大きな音が立てられなかったり、水深が浅いた
め舟が使えないなど消去法でいくと、この送り出し工法になる。
Q橋台の石張りはなぜ部分的なのか?
A 橋脚の上流側、下流側の石張りは、景観に配慮したものであるがけち臭いのは、石張りは装飾で構造と
は関係ないが、それでも厚さ20センチから30センチ増えてしまう。
橋脚の幅は河川の管理上、流れの面積によってその何パーセントというふうに定められている。
わずか数十センチであっても、両側に張り出す60センチ×橋脚の数7で4メートルほど幅をとってしまう。
安全性や法の規定をおかしてまで装飾をつけるということはないので側面には貼ってない。
実際橋をかければ一番見えるであろう上下流にだけ張ってある
Q 現橋と旧橋の高さの違いはなぜか?
A 洪水時の安全面に対する規定が昭和11年と現在とでは違っている。構造的にも現在のほうが頑丈にな
ったということで桁高が上がった
Q 印象として鉄の薄さに驚いた大丈夫か?
A 大丈夫です。阪神淡路大震災クラスの地震にも耐えられる構造になっている。
Q 超大級のわりに橋の桁が少なかった、少数主桁という橋ではないだろうか?
A 少数主桁という橋が最近はやっており、新しい橋もそのような設計になっている。
Q 色の塗り替えサイクルは?
A 再塗装、昔の塗装は10年サイクルだったが、設置場所による違いはあるだろうが(海に近いなど)20年
以上は塗り替えはないのではないか?
Q 既設橋はコンクリート橋となっていたが
A 鉄の箱桁の上にコンクリートの床板がのるが、合成床板といってメタル製の型枠がわりのものを主桁の
うえにおいてコンクリートを置いていくメタルの部分は残る
Q 大雪のとき作業はできたのだろうか?
A 昨年末からの大雪で作業はストップして1週間ぐらい工程が遅れたが、最近の天気のよさや現場のがん
ばりで逆に1週間くらい工程が早まっている。どこかで止まってもどこかで取り戻すので最終的な工期は
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間に合うだろうと考えている。
Q設計や建設資材をつくっているのはどこか?またなぜその団体なのか?
A 設計・建設の発注主体は富山県、現在の橋は県道富山高岡線という線にかかっている管理主体が富山
県である
建設作業を行っているのは入札により決定した川田工業佐藤鉄鋼建設企業体という業者が工事を請け
負って進めている
Q 橋に愛称を募集したりはしないのだろうか?
A 歴史的には、富山大橋の前代は神通大橋という木橋だった。DVDにあったように、前の橋は連隊橋と呼
ばれていたと聞いている。現在の橋になったときに富山大橋という呼び方になった。感覚的には富山大
橋になるだろうおと思うがそれが議論になったことはない。連隊橋に戻るということももうないだろうなその
ような議論は我々の範疇を超えていて難しい。
Q 青鈍色は伝統色ということで塗装費用が高いのではないか
A 色は伝統色ではあるが、一般的に工事に用いられる色なので、費用がかさむということはない。
・濃い色が、私の目にも風景に合っているように思った。伝統色。橋の横にカフェがほしい
「きれいだということだと思うんですけど」
・遠くから見るのと近くで見るので印象が違った。たとえば、ひとつのものだと思っていたものが今回の見学
で複数のものが組み合わさっていることを知った。
Qまた見ることはできますか?
A 見学は実はかなりあります。いろんな団体から見学したいと申し出がありまして今年度4月から7,8回は
あったと思う。ひとりで見に来たいと言われても難しいが、特別の手続きはない。
Q問合せ先は?
A 富山県富山土木センターの管理検査課のプロジェクト推進班になる。
1月から富山大橋の進捗状況とグーグルで検索してもらうと、工事の進捗状況がわかり、問い合わせ先
もわかるようになるのでご覧ください。
Q 問い合わせは気軽にしても大丈夫ですか?
A はい
・部屋で見るよりイキイキと話をされている現場の方が印象に残った
・現場の人がうれしそうに話してくださったのが印象的でした。
・コンクリートから人へとHさんは言うが、コンクリートはすごい。これからも続けるべき。
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6.
社会科見学とは
社会科見学とは企業にとって
・
事業を多くの人に知ってもらう機会
CSR の一環として見学会をしている 公共事業として税金が使われているかを知る
・
製品に親しみを持ってもらう機会
工場見学に行ったところの品物を手にとることが多い
・
特に土木は建設中の現場を見てもらうことで植樹効果が見込める
公共工事の進捗を見守る人たちが増えたり、利用するたび現場の努力などを思い出す
ことができる
・
職員に人の目を意識させる機会
見学者が来たほうが、現場の職員も気が引き締まる。見学できる施設で挨拶がおざなり
なところがないので、外部の人が刺激になる
・
職員の誇りを喚起させる機会
ポジティブな意見が出ると職員の方も嬉しくて誇りに繋がるのではないかと思う。
愛社精神も高まる。
見学者にとって
・ 新しい知識を得る機会
壁の向こう側で行われていることに飛び込んでいけるのが社会科見学の手段。
・
新しい世界を知る機会
現場の方に会うこともできたし、見学会に参加した人たちみんなに会うことができる機会
見学者同士で話すうちに、別の見学先に行けたりする。
・
・
・
新しい人に会う機会
「人がいる」ことを再認識する機会
今の世の中、とても便利になっていて、インフラ基盤が整っているため他の誰かが自分の
ことを支えてくれていることを忘れがちになっている。
他の人の仕事ぶりを見ると、改めて自分の生活を見直す機会になる。
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街ですれ違う 1 人ひとりも、どこかで自分の生活を支えてくれていると思うと、また優しい目で
見ることができる。
そういう人が増えることによって、より住みやすい社会になるのではないか
それが、今回考えた社会科見学を通してのまちづくりになる。
今後北陸新幹線などの機会もとらえて、社会科見学に参加していくともっとおもしろいと思う。
社会科見学で人を認め、住みよいまちをつくろう!
Q 社会科見学に興味を持つことができましたが、どうやってネタを見つけてくるのですか?
A ひたすら検索
自分が興味を持ったことなどについて、インターネットなどを利用して、調べてみてください。
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